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テクノロジーで現代医療に挑戦 AIが内視鏡検査をサポート、胃がん早期発見で生存率を上げる

胃がんは発見が遅れるとその後の生存率に大きく関わりますが、大腸がんに比べて見つけにくくベテランの医師でも見落としやすいがんです。株式会社AIメディカルサービスではAIでその課題に立ち向かおうと、胃がんの内視鏡AIを開発しています。 AIメディカルサービスの製品や理念、同社で働くことについて、CTOの加藤勇介さん、エンジニアの鈴木健一郎さん、そして人事の坂本さんに話を聞きました

【本記事の内容】

医療現場の課題にAIで切り込む

    • 胃がんの見逃しゼロが目標、一人でも多くの患者を救う
    • AIで医療現場の課題を解決し、診療を変える
    • AIの深層学習で内視鏡開発が実現

協力してくれた医師へ「恩返ししたい」

    • 難しいと思ったから挑戦
    • 「良いものを社会に届ける」という思いがベースにある

それぞれの経験が生きる、風通しの良い職場

 

医療現場の課題にAIで切り込む

▼胃がんの見逃しをゼロにし、一人でも多くの患者を救う

――御社の事業について教えてください。

加藤さん:メイン事業は、内視鏡検査におけるAI診断支援ソフトウェア事業です。100を超える共同研究施設より医療データを収集し、胃がんの見逃しを減らすことを目標とした診断支援ソフトウェアの研究開発を行っています。第1弾の製品は2022年には承認を得て販売を開始する予定です。

――胃がんの内視鏡は世界初だとうかがいました。なぜ胃がんを?

坂本さん:代表の多田は開業医であり内視鏡専門医でもあります。内視鏡専門医としての経験も豊富ですが、高いスキルがある医師でも胃がんを見つけるのは難しく、見逃しやすいという問題がありました。

加藤さん:胃がんも大腸がんも同じくらいの頻度で発生しますが、大腸がんは隆起するのに対し、胃がんは平坦なまま色だけ変わるという変異で見つけにくいのです。しかし、胃は栄養を吸収する臓器です。もしがんが広がり胃を全摘出した場合、栄養を摂り込めなくなるため、その後の生存率に関わります。

坂本さん:多田はこの状況を改善したい、自分のクリニックだけでなく世界中の医師の手助けになる方法を見つけなくてはという使命感にかられ、私財を投じて胃がんの内視鏡AI開発をスタートしました。この取り組みに共感された多くの病院や医師からも協力・応援をいただいています。

加藤さん:胃がんを早期発見・治療できた場合、胃がんの5年生存率は飛躍的に上がります。私たちのミッションは、胃がんの見逃しをゼロにすること。一人でも多くの患者さまを救うことを目指しています。

▼AIで医療現場の課題を解決し、診療を変える

――AIでガンを発見するというアイデアはどういうところから?

加藤さん:多田はかねてより遠隔診療や簡単に予約ができるような便利ツールを作って周囲に配布していたこともあり、内視鏡を含めたクリニック経営の効率化については常に考え続けていました。そんな中、「医療現場の課題や診断を良くするために、AIを医療に活かせるのではないか、AIを使えば本質的な診断が変わるのでは」というひらめきがあり、AIの内視鏡画像診断の開発を開始しました。

――医療の現場で、胃がんの早期発見が重要な課題だったという以外にも、胃がんに注目した理由はありますか。

加藤さん:大腸ポリープに関しては国内・海外の企業での取り組みがあったのですが、胃がんは事例数が少なかったのです。また、AIで画像判定させたところ、胃がん発見の成績が良かったのも理由のひとつです。それらを含めて、AIで胃がんに挑戦しようということになりました。

▼AIの深層学習で内視鏡開発が実現

――内視鏡AIの開発で大変だった部分は?

加藤さん:医療データを集めるという部分に尽きると思います。医療AIという分野では、医療機関や医師と一般の人が関係を持つということが難しい。開発には医療データが必要ですが、個人情報保護の問題をクリアしつつデータ収集の協力を依頼しなくてはいけません。これは私たちだけではできないことなので、どうしても医療機関や医師に頼ることが多くなります。そこが一番の障壁でした。 次に、技術的な課題もありました。がんは人工物ではありません。一般的に生体培養はAIには難しいという技術的なハードルもあり、これまでの古い技術では不可能なように思えましたが、深層学習という新しい技術を使うことで手掛かりを掴めました。 また、医療機器をリリースするためには、多くの規制に対応する必要があります。審査の構造的な問題もあり、ベンチャーが挑戦するのは難しい課題でした。そこは医療機器開発経験がある優秀なスタッフを採用し対応しています。まだまだ多くの技術的及び薬事的な課題が残っていますが、これら多くの課題を一緒に解決してくれる優秀な方の当社へのジョインを期待しています。

協力してくれた医師へ「恩返ししたい」

▼難しいと思ったから挑戦

――最初にAI内視鏡を開発するという話を聞いた時の印象を教えてください。

加藤さん:私はエンジニアで、前職はデータサイエンティストとしてデータ分析や画像認識などをしていました。そういう繋がりからAI開発者としてスカウトを受け。事業に関する説明を聞いたのですが、最初は「難しいことをやっている」と感じました。 見つけようとしている対象が画像認識としてはたくさんあるパターンではないので困難な課題だったため、画像認識の観点から「これはできないだろうな」と思ったのです。反面、「高い技術力をもった人材が簡単に集まることは難しいから、自分が何もしなかったら発展のしようもないのでは」という使命感を感じ、「それなら短い時間でも手伝って軌道に乗せたい」と思い入社しました。

――現在はどのように考えていらっしゃいますか。

加藤さん:たくさんの医師と接するのですが、皆さんからデータ提供や、いろいろなアドバイスをしていただいています。無償で、そして貴重な時間を割いて協力して下さっているので、本当に感謝しています。 力を貸してくださる方々から「医療の向上に貢献したい」という思いを感じるたび、皆さんに恩返ししたいという思いが強くなり、期待に応えたいと思っています。

――鈴木さんはこちらの事業について、入社前はどのような印象を抱いていましたか。

鈴木さん:前職は、エンジニアとして大手メーカーで医療機器の開発していました。メーカーではお客様である医療機関、医療従事者にアクセスすること自体が難しく、どんなに大手でもなかなか直接意見をいただける機会はありません。ましてやデータを提供してもらうこと自体が困難です。けれど当社は、代表である多田のミッションや人徳が評価を受けていることから、メーカーではできないことができそうだと思いました。

――現在はどのように感じていますか。
実際に勤務してプロジェクトに関わるようになり、なおさら「メーカーにできないことをやっている」と感じています。予想よりたくさんの医師からご協力いただき、短時間でたくさん意見をいただけるのはとても貴重なことです。そういったご厚意を受けていますから、モチベーションも高くなりますし、現場に役に立てる製品を出したいという思いが強くなっています。

▼「良いものを社会に届ける」という思いがベースにある

――医師や医療機関の皆さんからいただく言葉や感じる思いが励みになっているのですね。

加藤さん:プロトタイプに対してヒアリングをさせていただいたり、実際現場で使っていただいたりするのですが、リアルなご感想やご意見をいただくとやりがいを感じますし、応援のお言葉や「早く出してほしい」というお声はモチベーションになります。早く内視鏡AIが医療現場で活躍する未来を作りたいです。 医療業界では、さまざまな規制や法律に準拠して製品開発を行う必要があります。規制に目を向けると堅苦しい側面がありますが、良いものを社会に届けるプロジェクトに取り組んでいるということ自体がやりがいです。社会貢献性の高い事業を手掛けているという思いのもと、日々の業務に取り組んでいます。

それぞれの経験が生きる、風通しの良い職場

▼職場の雰囲気を教えてください

鈴木さん:さまざまなキャリア、年齢の方がいます。年齢や性別を気にせずフランクにコミュニケーションを取る方が多く、私も入社した初日から気さくに声をかけていただき、壁を感じることはありませんでした。馴染みやすい空気があります。 ベンチャーは若手が多いイメージがありますが、私のチームでは37歳の私が中間くらい。バランスもとても豊かで、それぞれの経験を持ち寄ってしっかりしたものが作れるチームだと感じています。

坂本さん:メーカー系出身かベンチャー系出身なのかで見え方が異なるでしょう。例えば、日本の大手メーカーは序列がしっかりしていて部署ごとに区切られているため、横が見えにくいのではないかと思います。そういう環境にいた人からすると、当社は横の垣根が低く風通しがよく感じられるでしょう。一方で、ベンチャー企業やAIの企業出身の方は、サービスやモノづくりの全体像が見える環境だと感じられると思います。どちらから見てもメリットがある会社です。

加藤さん:明るく落ち着いた人が多い会社で、社会貢献をしていると実感しながら仕事ができます。長期の目標に向かって、ひたむきに目の前の課題を解決してくれる人と一緒に働ければと思っています。


取材後記

株式会社AIメディカルサービスは日本が世界をリードしている先進の医療分野である内視鏡でAIの最新テクノロジーを活用して事業を開発しております。2019年には46憶円を資金調達しておりまさしく急成長中のベンチャー企業です。医療という分野は一般の民間企業では参入することが難しい領域ですが、インタビューを通じで果敢に挑戦をしていく熱意を感じることができました。

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