人生を取り戻すため――。薬剤師の資格にとらわれない生き方

人生を取り戻すため――。薬剤師の資格にとらわれない生き方
ランサーズに登録して、自分らしい働き方を体現している人たち=「ランサー」。たくさんのランサーの中から、活躍目覚ましいランサーを表彰するのが『Lancers of the Year』です。6回目を数える2020年の『Lancers of the Year2020』は、新型コロナウイルス対策のために初のオンライン開催となりました。盛況のうちに幕を閉じたオンライン開催を記念し、受賞ノミネートをされた中からオンラインやメールで取材協力をいただいたランサーの皆さんの軌跡を紹介します。第6弾はフリーランスライターとしてご活躍の木村妃香里さんです。
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Lancersに出会って――薬剤師から一転、ライターへ。資格を生かした木村さんの新しいキャリア

渋谷にある大手ドラッグストアで、薬剤師として働いていた木村妃香里さん。正社員として働いていた木村さんは一転、職場を辞めてフリーランスライターとして活動しています。

なぜ薬剤師を、職場を辞めてフリーランスになったのか。どうやって薬剤師時代の収入を上回るようになったのか。資格にとらわれず、自分のがんばりを支えに活躍する木村さんに話を伺いました。

過酷だったドラッグストア時代


――ランサーズには本当にさまざまなバックグラウンドを持った方が登録されています。それでも大手ドラッグストアの正社員・薬剤師として働かれていたというのは、なかなか異色の経歴でしょう。大手ドラッグストアの正社員・薬剤師というのは、かなり安定した職業だと思うのですが、なぜ職場を辞めてランサーズで活動されるようになったのでしょうか。

木村妃香里さん(以下、木村):ドラッグストアに正社員として入社した当時は、薬剤師として生きていく人生を少しも疑っていませんでした。何しろ薬剤師になるために、1200万円もの奨学金を借りて6年間も大学に通ったのですから。

にもかかわらず、ドラッグストアで働き始めてしばらく経った頃には「このまま正社員をやるのは無理だ」と思ったんです。

――なぜ無理だと思ったのでしょうか。

木村:労働環境に耐えられなかったんです。自宅から勤務先までが遠く、満員電車に乗って往復3時間かけて通勤していました。

お昼休憩を1時間取れることはまずなくて、サービス残業が当たり前。帰宅するときはいつも終電ギリギリで、終電に間に合わないこともありました。そんなときは途中から40分かけて自宅まで歩いて帰りました。シフトも過酷で、夜中の2時に帰宅したのに朝5時には起床しなくてはならないこともありましたね。

――それは過酷でしたね……。それでも退職するのは大きな決断だったのではないでしょうか。

木村:そうですね、入社4年目には店長をやらないかと声もかけていただきました。年収も大きくアップするオファーでしたが、社会的な安定を取る以前に、すでに身も心も限界だったのでお断りして退職したんです。

「薬剤師を辞めるなんてもったいない」と社内のあらゆる人から言われました。
でもこんな状況で働き続けて、自分の人生を無駄にする方がよっぽどもったいないと、私は考えたんです。

多額の奨学金を使って薬剤師になった私の、仕事を辞めるという選択。母は、私の選択を何も言わずに認めてくれました。「辞めたい……」と愚痴をこぼしたときに、「そんなところ辞めちまえ」とスパっと意見を言ってくれた母には感謝しています。

薬剤師の知識を生かしたライターへ


――素敵なお母さまですね!ランサーズに登録し、活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

木村:まだ薬剤師として働いていたころに、お小遣い稼ぎで始めたのがきっかけです。

普段はとても活動できる状況ではありませんでしたが、あるとき声帯炎を患って声が一切でなくなり、治るまで2週間ほどお休みをもらったことがありました。何か暇つぶしにでもなればと思って少し活動したのですが、退職後は生活費を確保するために本業として取り組んでいます。

――ランサーズではどんな仕事に携わっているのでしょうか。

木村:ライターの仕事をメインに活動しています。いまでは1か月に10件ほどのプロジェクトを受注しています。薬剤師の資格をもっているので、医療系の案件が多いですね。

――医療系のライティング案件というと、どのようなものがあるのでしょうか。

木村:例えば薬剤師向けの転職サイト、疾患や治療方法の解説、薬機法のチェックなどさまざまです。

――なるほど、いろいろなニーズがあって、しかも薬剤師の資格が十分に生かせそうですね。

木村:はい。こうしたライターとしての受注以外にも収入源を増やそうと思って、仕入れ販売をしていた時期もありました。こちらも半年で約70万円の売上をつくることができたので、いつかネットショップも開いてみたいと考えています。

ランサーズを使って生活するようになってからは、とにかく「できる仕事を増やすこと」に力を注ぐようになりました。2019年は薬事法管理者やコスメ薬事法管理者など、仕事に役立ちそうな資格をいくつか取得しました。

2020年の今は、デザインを勉強しています。Web記事の制作に携わる仕事柄、アイキャッチ画像やサムネイルをつくれるようになりたいと考え、Photoshopやillustratorの使い方とデザインの基本を習得しているところです。

フリーランスになって変わったこと


――さまざまにチャレンジをされているんですね。木村さんはもともと勉強が苦にならないのでしょうか。

木村:嫌いではないかもしれませんが、正社員の頃と違って、フリーランスだとスキルがそのまま収入アップにつながるので「いろんなことを勉強したくなる」という心境の変化に自分自身、驚いています。

――ランサーズを使って、フリーランスとして活動されたからこその変化なんですね。他にフリーランスとなって変わったことはありますか。

木村:自分でも驚くほど、時間を大切にするようになりました。フリーランスは使える時間が長いほど、収入アップにつながるからです。

単価が低い仕事でも、時間さえあれば数をこなせますし、自分に時間を投資してスキルアップのために勉強することもできます。

それから1日のスケジュールを自分の裁量で決められるようになったのはうれしいですね。朝起きて、「今日も仕事か……」と憂鬱になることが、フリーランスになってからは一度もありません。通勤時間がなくなったのも大きいです。

――時間が自分でコントロールできるようになったのは大きな変化ですね。仕事でかかわる人との関係はいかがでしょうか。

木村:自宅で仕事をしているので、人と接する機会はほぼゼロになりました。もともと一人で生活するのが好きなので、実はいまの状態の方が向いていると思っています。

でも対面でこそ会うことはありませんが、仕事をする上でたくさんの方とつながっているのも事実。顔が見えないからこそ、いつも仕事を依頼してくださるクライアントの皆さまには感謝しています。

1年以上継続して仕事をご依頼くださるクライアントさんが、わざわざ東京から熊本まで足を運んでくださったこともありました。対面しなくてもできる仕事だからこそ、実際に会いに来てくださるうれしさ、ありがたさを実感しました。

――わざわざ熊本まで!すばらしい出会いですね。

木村:実はつい最近もうれしい出来事がありました。

あるブログ記事のリライトを頼まれて、できる限りのことをして納品したところ、クライアントさんから納品した仕事への感謝とともに、「木村様の能力に感銘を受けて」追加で記事執筆を依頼したいというメッセージを頂戴しました。

これ以上ない褒め言葉をいただいて、Web上の仕事でもここまで感謝されることってあるんだなと実感しました。誰かに感謝される仕事は、対面じゃなくてもできるんです。

「資格があるからその仕事をしないといけない」という思い込みを捨てる

やりがいのある日常を送る木村さん

――Web上で仕事をしていると、孤独になったり相手の表情が見えなくて不安になったりすることもありますよね。そんな言葉をかけられると、やりがいを感じますね。木村さんは今後、どんな活動をしていきたいと考えていますか。

木村:当初から、フリーランスとなって5年以内に月収100万円を超えることを目指しています。早く奨学金を返済して、目標を必ず達成したいです。

ライター以外の仕事にもどんどんチャレンジしていきたいですね。アイキャッチ作りや動画編集なども手がけていきたいです。それから、私と同じように正社員という働き方に疑問を持っている方に、私の事例を通してフリーランスという選択肢もあることを伝えていきたいですね。

――フリーランスという選択肢、ですか。なかなか飛び込む決断をするハードルは高そうですね。

木村:そうですね。でも何かにとらわれている限り、新しい人生は歩めないと思うんです。

私の場合は「薬剤師の資格があるからこの仕事をしないといけない」という思い込みを、思い切って捨てました。それでも意外に、人生なんとかなるものです。周りに何と言われようと、自分を犠牲にする働き方を続けるくらいなら、フリーランスの道を選んだ方が楽なこともあるでしょう。

でもチャンスをただ待っていても、新しい生活は手に入りません。「自分なんてたいした能力もない」と思っていた私ですが、思い込みを捨てて、コツコツとライティングを続けることでライターとして生活できるようになりました。

もし迷っているのなら、とにかくチャレンジしてみよう!と伝えたい。チャレンジする勇気を持つための材料を、たくさんの人に届けていきたいですね。

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