オリコンにも入ってます。作詞・作曲家が、ライター業にも挑む理由。

オリコンにも入ってます。作詞・作曲家が、ライター業にも挑む理由。
この世にあふれる「音楽」。日々耳にするけれど、誰もが簡単に作れるわけではない、遠い才能の世界。そんな才能を職業にする人がいます。ゲーム音楽やアイドル向けのポップス、演歌まで、幅広い「音」を生み続ける、作詞・作曲家の関口正男氏。塗装業を営む父の背中を見て育った幼少期、音楽には無縁で体ばかり動かしていたという少年は、いつしか「音」を生業とするようになりました。近年はライターとしても幅広く活動する、その原動力は一体なんなのでしょうか。
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作詞と作曲とライティング。その先にある“もの”

思わず表情をほころばせながら、取材に応じてくれた関口氏。片手には、埼玉県入間郡毛呂山町のマスコットキャラクター「もろ丸くん」のボールペンが握られています。

「すごく可愛いんですよ、『もろ丸くん』って」

とても気さくな雰囲気を持つ関口氏。実は、この「もろ丸くん」のキャクラターソングを作曲した張本人であり他にも、ゲームBGMやポップス、演歌の作詞作曲、ボイスサンプルの作成まで、幅広い「音楽」を作っています。

ライターや温泉ソムリエの顔も持つ、多才な関口氏ですが、作詞・作曲・ライティングを通じて、周りに伝えていきたいことがあるといいます。作詞・作曲家人生11年目にして、新たに見えてきたもの―夢を手にしたフリーランスの、「これまで」と「これから」をインタビューしました。

作詞・作曲家でライター業も行う関口正男氏へのインタビューをお届けします。

実績ゼロからつかみ取った作詞・作曲家への道

――作詞・作曲家になって11年。ここまでの経緯を教えてください。

この仕事を志した最初のきっかけは、とにかく音楽が好きだったからですね。作曲というのがどこまでできるのか、ちょっと調べてパソコンで作ってみようと思ったのが出発点です。僕の父親が自営で塗装業をしていたので、自分自身もフリーランスとしてどこまでできるか挑戦してみたかったというのもあります。

――とはいっても、いきなり仕事につなげていくのは難しかったのでは?

そうですね、最初は100社くらいに自分から営業メールを打ったりしていました。でも相手に見せる実績もなかったので、返信はほぼゼロ。ただそのなかで、1、2社から、こういうところにアプローチしてみては、と貴重な意見を頂けたんです。それを参考にしながら、進んできました。

――具体的にはどのように行動したのですか?

まずは、アニメやゲーム業界など、需要がありそうなところに飛び込んで行きました。そこで技術を磨き、人脈を作れればと思って。自分にどれぐらいのニーズがあるのかは、自分で決めるのではなく、勇気を持って飛び込んだ先で決められるものだと思いました。

そのなかで、値段の交渉やどういう作業ができるかなどが自然とわかってきますし、自分に何が不足しているかなども見えてきます。いろいろ模索しながら、なんとか実力をつけようと躍起になっていました。

――幼い頃から音楽は好きだったのですか?

いえ。ピアノも全然興味なかったですし、むしろ男がピアノ弾くなんてと思っていました。今思うと、昔からやっておけばよかったなと思いますけどね。僕は、サッカーを始めとしたいろいろなスポーツばかりやっていました。

それでも、好きなアーティストはいて、曲を聞くたびに気持ちが救われたり、高ぶったりすることはありましたね。音楽を聞くのは好きでした。

キャリア3年目の快挙。オリコンランクインを果たす

――作曲した歌が、オリコンランキングに入ったと聞きましたが?

僕は2007年頃から、アイドルの曲作りを始めたのですが、ちょうど3年目ぐらいだったでしょうか。本当に偶然だったのですが、あるアイドル事務所さんにお声がけいただいて、曲作りに携わりました。その後事務所が、その曲をしっかりとした流通に乗せてオリコンに入る流れを作ってくださったんです。これは、僕の力ではなくて、出会った皆さまに支えていただいた結果だと思っています。

この頃から、仕事で出会う人のレベルも高くなってきました。すごい人に会うたびに、自分自身の足りないところが目につきましたね。「早く力をつけなくちゃ!」と、もがきました。

――確かに仕事内容がステップアップすることで、自分の実力不足に気付くことってありますよね。

そうなんです。趣味で作曲をするのと、仕事で作曲をするのって本当に違っていて、自分の好きな音楽を作れないことが一番の悩みでした。仕事のもっとも大切なところって、クライアントの要求を汲むことですよね。自分の知らないジャンルを要求されても、それにきっちり応えるのがプロです。僕にとっては、この点が課題になりました。

作曲を始めた当初は、音楽理論をまったく知らなかった。自分の力不足を補うために、音楽理論を習い始めたんです。もう、バイエルや「ドレミファ」の初歩からやりましたね。

――その努力は仕事に活かせましたか?

そこで学んだ理論と、クライアントの求めるイメージがうまくリンクして、相手が要求するような曲を作れるようになってきました。どんな作品でもそうだと思いますが、いざ仕事となった場合、相手が聞いてくれる作品、見てくれる作品、プレーしてくれる作品に仕上げていくのが大切です。ひとりよがりのものは、どんなに出来が良くても誰も必要としてくれませんから。

たとえばゲームなら、どのような曲を作れば、プレイヤーが楽しく遊べるだろうとか。相手あっての音楽を作るよう、心がけるようになりましたね。

ライター、温泉ソムリエ。異分野への挑戦

――ところで、温泉ソムリエの資格を取ろうと思ったのはどうしてですか?

視野を広げるためです。僕は美術館や博物館など、いろいろなところに行くのが好きなのですが、温泉もその一つです。都内近郊・埼玉あたりの温泉は、ほぼ行き尽くしました。

僕は人が好きなので、人と触れ合うことによってどんどん自分自身を向上させて、一緒に成長していきたいなと思っています。みんなでいいもの作っていこうというときに、「こういうことならできるよ」といろいろな提案をしていきたいんですね。できることを増やすために、好きなもので資格を取ることを思いつきました。

――昨年からは、ライターとしても活躍されています。ランサーズに登録したきっかけは?

これも、人との出会いがきっかけですね。交流会で出会った方が、ランサーズを利用していたんです。それまでは、facebookやツイッターなどはやっていても、クラウドソーシングを利用したことはありませんでした。そのときは、仕事をしたいから登録したというよりも、興味本位で始めたところが大きいですね。

――なぜ文章を書こうと思ったのですか?

作曲をするにあたって、新しい世界観やスキルをもっと増やしていきたかったからです。ライティングを通じて、これまで知らなかった分野について知ることができたのは、ライター業をやっていて一番大きな収穫でした。ランサーズ上で今は認定ランサーになることもできて、ライターとしても充実していますね。

作曲って、本当に作り手の人間性がすべて出てしまうんです。自分自身がやっていないことをどんなに伝えようとしても、受け手には、特に作詞ではすぐにバレてしまう。ちゃんと相手の心に届かせるためには、自分自身経験したことでないと難しいんです。その意味でも、ライター業を通してこれまでになかった経験や知識が身につき、作れる曲の分野も広がったと思います。

表現手段を越えて伝えたいメッセージ

――作詞・作曲家として、今後の目標を教えてください。

作曲家として目指すのは、わかりやすいところで、もっと上位のオリコンを狙うなど「結果」を出して行きたいのはありますね。

作曲家って曲を依頼されるのに二種類のルートがあります。僕個人に直接お声がけいただくものと、コンペですね。だいたいの大きな案件は、コンペを勝ち取らねばなりません。メジャーアーティストへの曲作りに携わるのも、このコンペをくぐり抜けてからです。これまで以上に加速度を増して、コンペに挑戦していきたいと思っています。

――ライターとしても、目標とするところはありますか?

せっかくなので、「温泉ソムリエ」を活かした温泉取材をやってみたいですね。マイナーどころもメジャーどころもひっくるめて、温泉の取材記事を書いてみたいです。

あとは、「食品衛生管理者」の資格もあるので、飲食店や居酒屋などの記事にも挑戦してみたいですね。ライターに関してはできることを模索しながら、一歩ずつステップアップさせていきたいと思っています。

――表現者として相手を喜ばせたいと?

そうです。作詞でも作曲でも文章でも、最終的に僕が目指したいのは、出会う人々を笑顔にしていきたいという想いです。もちろん僕の本業は曲作りであり、ライティングは本業を支える栄養素だと思っていますが、曲でも文章でも、僕が人に表現することで相手が何かを感じて得てくれるものがあれば、その時点で全てが本業になりうるのだと思っています。

近い将来、「温泉アイドル」の曲なんかを作って、1人でも多くの人の笑顔を引き出せたら最高ですね。

(おわり)

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