ホームページのリニューアルを決めた後、事前準備もなくとにかく全部更新すればいいと考えていると、失敗する可能性が高くなります。ホームページリニューアルは、注意点を抑えながら計画的に進めることが成功への近道です。
本記事では、ホームページのリニューアルで陥りがちな失敗例を紹介した後、成功のポイントについて解説します。リニューアルプロジェクトを成功に導く進め方もまとめましたので、ホームページのリニューアル作業を進める前に、作業の進め方に問題がないかチェックするのにご利用ください。
関連:ホームページリニューアルのメリット・デメリット、検討タイミングについて
目次
ホームページリニューアルで陥りがちな失敗例
ホームページのリニューアル作業で陥りがちな失敗例を4例紹介します。
自社ホームページのリニューアルプロジェクトがこれらのパターンに陥っていないか確認してみてください。
リニューアルが成功したかどうかが分からない
ホームページリニューアルの目標を定量的に定め、既存と新規で比較できるようにデータを採取しないと、リニューアルの目標を達成できたかどうかが判断できません。
リニューアルの目標を定量的測定できる値の代表例は以下の通りです。
目標 | 代表的な測定値の例 |
---|---|
獲得成果 | PV数、UU数、セッション数、滞在時間、回遊率 |
認知度 | Facebookのシェア数、Twitterのリツイート数 |
コンバージョン | 問い合わせ数、申込数、登録数、購入数 |
顧客満足度 | NPS(ネットプロモータースコア) |
効果測定をするとしても、目標値がなければ、どこまで改善すればいいか分からないでしょう。
この失敗例は、デザインの刷新を目的に掲げた場合に陥りやすい傾向があります。
デザインにだけこだわり、美麗だがファイルサイズの大きな画像を多く使ってリッチな表現にしただけのリニューアルにすると、どういうことが起こるでしょうか。
ホームページの閲覧に以前よりも時間がかかるようになり、PV数の低下や直帰率の上昇など、悪影響が出てしまいます。
PV数の向上を目的にデザインを刷新する場合は、PV数向上の目標値を決めて効果測定をし、目標を達成できているかどうかの確認が必要です。
デザインをリニューアルしたがかえって使いづらくなった
デザインの美しさへのこだわりは重要です。
しかし、デザインを変えた結果操作性が悪くなったりレスポンスが遅くなったりすると、見た目ばかり良くて何となく使いにくいホームページになってしまいます。
特にスマートフォンでアクセスするユーザーは、重くてなかなか表示されないサイトや、レスポンシブ対応していないサイトは見向きもしません。
関連:レスポンシブ対応のメリットについて
デザインのリニューアルをする場合は、操作性(ユーザビリティ)や欲しい情報にアクセスしやすいサイト構成・メニューを作りこみましょう。
ドメインを変更した結果検索順位が下がった
ドメインを不用意に変更してしまうと、せっかくこれまで蓄積してきたSEO評価や外部リンクが全部リセットされてしまいます。
その結果、検索順位が下がり、PV数やCV率が低下しかねません。
このような結果を避けるためには、できる限りドメインやSEOで高評価となっているページのURL変更はしないように対策します。
そもそも、現状のサイト評価を確認するには、事前に既存サイトのアクセス解析をして、情報をまとめなければなりません。
評価項目は、既存サイトと新規サイトで揃えて、サイト構成もページ単位でURLを引き継ぐよう設定します。
ドメインや特定のページがGoogleなどの検索エンジンからペナルティを受けている場合以外、基本的にドメイン変更はしない方が無難です。
満足のできる仕上がりにならない
ホームページ制作会社は、経験してきた仕事の違いによって、得意な分野・不得意な分野があります。
制作会社の得意分野とリニューアルの目的が不一致だと、満足いく仕上がりにならず失敗となってしまいます。
ホームページリニューアルを成功に導くための進め方
ホームページのリニューアルを成功させるには、作業の進め方がポイントです。
どのような手順でリニューアルを進めていけば良いか、順番に解説します。
ホームページリニューアルの流れ
ホームページのリニューアル作業は、大まかに4フェーズに分けて進めます。
- 事前準備
- リニューアル作業
- テストとリリース
- リリース後
それぞれのフェーズでどのような作業があるかを一覧表にまとめました。
フェーズ | 詳細作業 |
---|---|
事前準備 | 1.ホームページリニューアルの目的を決める 2.現状のホームページの課題分析 3.競合サイトの分析 4.リニューアル作業の外注先を決める 5.外注先を入れてリニューアルまでのスケジュールを決める |
リニューアル作業 | 1.サイトマップと構成図を整理 2.ワイヤーフレームの作成 3.デザイン 4.コンテンツ(写真・画像・文章・動画)制作 5.コーディング・開発 |
テストと リリース | 1.外部仕様チェック(デザイン通りの動きか) 2.SEO対策チェック(リダイレクトミス、設定キーワードの誤字脱字) 3.性能テスト 4.検収作業 5.サイトリニューアルの告知(プレスリリース、SNS、名刺の変更など) 6.リリース |
リニューアル後 | 1.効果測定と検証 2.改善ポイントを改修 |
ホームページリニューアルの事前準備
ホームページリニューアル作業を進める上で、事前準備は欠かせません。
何のために今回のリニューアルを行うのか、目的をしっかり決めてください。
目的を決めたら、その目的を達成できているかどうかを定量的な数値で決めます。
具体的にはPV数やCV率など、計測できる数値です。
定量的な目標値を決まると、既存ホームページのアクセス分析、課題分析する対象の値も明確になり、問題点を洗い出しやすくなります。
2や3の作業を自社で行うことが難しい場合は、コンサルティングもできるホームページ制作会社を探しましょう。
または、ピンポイントでWebマーケティングに詳しいフリーランスを入れる方法もあります。
外注先がある程度固まったら、リニューアルのスケジュールを立てましょう。
ホームページのリニューアル作業に詳しい外注先に入ってもらうことで、詳細な計画を立てやすくなります。
リニューアル作業
スケジューリングまで完了したら、サイトマップと構成図を整理して、ワイヤーフレームにて画面遷移の基本線を決定します。
ここまで決まったら、Webデザインを進めましょう。
Webデザインを決める際は、Webサイトを実際にコーディングする技術面のキーマンも必ず入ってください。Webデザイン上は可能でも、機能的に実現不可能な画面ができあがる可能性があるためです。
また、Webデザインは、人によって好みがあり、口を出しやすい部分です。
自社のキーマンがOKを出しても経営陣がひっくり返す、ということもままあります。
横やりが入ってデザインに大きな変更が入らないよう、自社内で調整してしっかり固めてください。
製造工程に入ってからWebデザインに大きな変更が入ると、手戻りが多くなり追加費用がかかることもあるので注意しましょう。
ホームページに掲載する記事・文章や写真・画像などWebコンテンツ制作と、機能面のコーディングは平行で進められる作業です。
サイト開発後のテストとリリース
コーディングと開発が終わった後は各画面のテストを進めます。
テスト工程は、ホームページを一般公開するまでに可能な限り不具合をなくすことが目的です。
テストフェースで使う仕様書は、「サイトマップと構成図」「ワイヤーフレーム」など、前フェーズで作成した仕様書をテスト仕様書とします。
これらの仕様書をインプットとして使用し、デザイン通りの動きか、リダイレクトミスが内科などを確認します。
コンテンツの設定キーワードに誤字脱字がないかというSEO対策に関係するチェックも並行して進められる作業です。
また、性能テストは、全画面の表示速度を計測するほか、検索や商品の購入手続きなど、各操作のレスポンス速度も計測して目標値に近づけることを目的とします。
社内LANの中で目標値を達成するよう、デザイン、画像、データ検索のロジック、データベース自身の設定などあらゆる要素が確認項目です。
特にECサイトなどアクセス集中が予想されるなら、ラッシュテストも行って問題なく動くかどうかまで確認する場合も。
テストが完了したら、制作会社から納品されるので、自社で検収作業を行います。
問題なければサイトリニューアルの告知を既存サイトまたは、ニュースリリースで発表しましょう。
サイトリニューアルの告知は、公開日が確定できるタイミングおすすめです。
あまりにも早い段階のサイトリニューアル発表は公開延期が何度も続く可能性があります。
※何度も公開延期になると印象が良くありません。
リニューアル後の作業
リニューアル後の作業を行うフェーズも非常に重要です。
事前作業で決めていた目標値を元に、効果測定と検証を実施。
改善ポイントを見つけては改修を行い、最初に掲げた目標値の達成を目指します。
ホームページのリニューアル作業は、最初のリリースで目標がすべて満たされることはありません。
何度も検証と改善を繰り返すことで、目標達成が見えてきます。
ここまで進めることができれば、ホームページのリニューアルは成功にかなり近づけるでしょう。
ホームページリニューアルを進める上での注意点
ホームページのリニューアルを進める上での注意点が2点ほどありますので、順番に説明します。
リニューアルの目的および目標値を明確化する
ここまで説明してきた内容と被りますが、リニューアル作業に入る前は、リニューアルの目的および目標値を明確化してください。
目的および目標値がはっきりしないと、リニューアルの効果測定はできず、改善案も出せなくなります。
リニューアル時にはSEO対策を忘れない
ホームページリニューアルは、新規にサイトを立ち上げるよりも気を使う部分があります。そのひとつがSEO対策です。
既存のSEO資産を可能な限り活かすよう、以下のポイントを確認してください。
- ドメインはできる限り変えず過去のSEO資産を引き継ぐ
- URLを変えたらリダイレクトする(SSL導入してもURL変わるので必須)
- ページごとのSEO対策キーワードを決める
- 存在しないページ、削除したページに404を設定
- パンくずリストを設置
パンくずリストとは、サイトのどの位置にいるかを表示する上位階層のリンクリストのこと。
戻りたい部分をクリックすると、そこまで簡単に戻れるという操作性に配慮した機能です。
操作性が良くなるだけでなく、リンク文字列がSEOキーワードにもなるため、ユーザーにも検索エンジンにもテーマが分かりやすくSEO効果があるとされています。
リニューアルの目的に合った制作会社を探す
リニューアルするサイトの性格や、どこまでの作業を頼むかによって選択するホームページ制作会社は異なります。
ホームページリニューアル作業を外注する場合の選び方については次で解説します。
外注先をどこにするかの検討ポイント
ホームページのリニューアル作業をどこにするかを検討する際のポイントを4点にまとめて解説します。
自社と同じ業種のWebサイト作成経験があるか
外注先の制作会社は、自社と同じ業種のホームページ制作実績がある会社を選んだ方が、意図が伝わりやすくおすすめです。
あるいは、ホームページの目的(ECコマース、採用サイト、会社情報サイトなど)に合わせて制作会社を選ぶという考え方もあります。
いずれにしても、リニューアルするサイトと同じようなホームページの作成経験があるかどうかは、外注先選びの大きな判断材料となります。
相見積もりを取る
リニューアル作業の依頼先選びだけとは限りませんが、数社から相見積もりを取り、適正な費用相場を確認しましょう。
相見積もりを取る場合は、自社側で見積もり表を作って各社そのフォーマットに記入してもらうようにして、比較しやすくしてください。
提案内容を見て価格だけで決めず、求めるレベルの作業が期待できるかをよく確認しましょう。
ホームページリニューアルの課題分析から入ってもらえるか
ホームページ制作会社の中には、現状のホームページの課題分析や競合サイトの分析の上流工程も可能な技術力を持っている会社もあります。
上流工程から入ってもらえれば、ホームページリニューアルの目的も最初から理解してもらえ、スムーズに作業を進められます。
ただし、上流工程の対応料金は高くなるため、予算との兼ね合いを考えることも重要です。
サイト内コンテンツの著作権を確認
相見積もりを取るときに、画像や文章などのコンテンツの著作権はどうなるのかも確認項目に入れておきましょう。
最低限、将来のリニューアルでも使用できるかどうかは確認しておきたいポイントです。
将来またリニューアルをする際、画像や文章などが再利用できるかどうかで、将来のリニューアル費用を軽減できるかどうかが決まります。
専門性の高い人材が必要ならフリーランスもおすすめ
リニューアル作業の上流工程を専門のフリーランスに依頼し、リニューアル作業以降は別で発注すると、総合的に見てリニューアルにかかる費用を抑えることも可能です。
ホームページのリニューアルを検討しているなら、ぜひランサーズも活用してみてください。