ホームページの運営を数年続けていると、ホームページ全体をリニューアルするかどうか迷う場面が出てきます。陳腐化したデザインの全面チェンジやユーザビリティの向上を目指すシステムの入れ替えなど、ホームページリニューアルの目的はさまざまです。
しかし、ホームページのリニューアルはかなり大掛かりになり、予算も多く必要です。これまで通り、ホームページの更新だけでいいのではないか、と感じる人も少なくありません。
今回は、ホームページリニューアルの概要と、リニューアルのメリット・デメリットについて解説します。ホームページ更新との違いや、リニューアルを検討すべきタイミングなどもまとめました。ホームページのリニューアルが必要かどうか迷っている方はぜひ参考にしてください。

目次
ホームページリニューアルとは
ホームページのリニューアルとは、デザインの一新やシステムの入れ替えなど、ホームページ全体のデザイン変更を含む大幅な改修のことです。
ホームページ更新との違いや、リニューアルの目的についてもう少し詳しく説明します。
ホームページ更新との違い
ホームページ更新は、あくまで一部の改修であり、現状の構成などは基本的に変えません。
ページの追加や一部ページの編集、画像や写真の差し替えなどは、ホームページの更新作業に当たります。
サイトの機能性や全体のデザインを変更するなど、すべてのページに大幅な変更が入るケースは、ホームページリニューアルに該当します。
詳しくは以下の記事をご一読ください。
ホームページ更新の作業内容
ホームページリニューアルの目的
ホームページリニューアルの目的は、主に以下の3点に分類されます。
- デザインリニューアルによるブランディング
- システムの更新
- レスポンシブ対応
デザインリニューアルによるブランディング
Webサイトのデザインは、最新の技術やデザインスタイルがどんどん生まれ、トレンドが目まぐるしく変わります。
デザインは数年ごとにリフレッシュしていかなければあっという間に陳腐化してしまうことに。Webサイトに組み込んでいた部品がサポート切れで使えなくなるのもよくあるケースです。
デザインのリニューアルを実施する場合、ブランディングの見直しと改善を目標にして、ロゴデザインやイメージカラーの一新なども含めて検討する企業もあります。
デザインの改善施策の中には、ユーザビリティの改善も含まれます。
アクセスしにくい、あるいは操作しにくいページはないかなど、既存のホームページが抱える問題点を洗い出した上でデザインの改善を検討することがポイントです。
システムの更新
システムの更新は、Webサイトを構成するソフトウェアを更新し、Webの更新作業を簡易化、機能追加などを目的とします。
例えば、CMSを導入することで、ホームページの更新が簡単になり、保守費用の節約が可能です。
ECサイトのシステムを組み込んで自社製品のオンラインショップ機能を追加すると、ユーザーも商品を購入しやすくなり、ユーザビリティ向上に役立ちます。
レスポンシブ対応
レスポンシブ対応とは、PC、スマートフォン、タブレットなど画面サイズの違うデバイスに対して、それぞれ適切な表示をする対応のことです。
従来は、PC用とモバイル用でサイトそのものを分けて管理していましたが、レスポンシブ対応では1つのHTMLで多デバイスの対応を行います。
PV数アップなどSEO面では、1つのURLにアクセスを集められるレスポンシブ対応が重要です。
関連:レスポンシブ対応のメリットについて
では、どういうタイミングでホームページのリニューアルを検討すると良いでしょうか。
ホームページリニューアルを検討するべき7つのタイミング
ホームページリニューアルを検討した方が良いタイミングは、主に以下の7点です。
- ブランドデザインの一新
- デザインが古くなってきた
- SSL対応ができていない
- PV数やCV率が落ちてきた
- 利用している部品が使えなくなった
- スマホ対応ができていない
- サイト更新がしづらい複雑な構成
それぞれのタイミングについて解説します。
ブランドデザインの一新
ブランドデザインを一新するタイミングは、ホームページデザインも一新するタイミングでもあります。
創業10周年などの区切りでブランドロゴやイメージカラーなどを一新するなら、ホームページのデザインに取り入れなくてはなりません。
また、新規事業が大きく伸びて、これまでのブランドイメージでは実態と合わなくなってきた場合もブランドデザインを一新するべきタイミングです。
これまでBtoB事業がメインだったがBtoC事業が伸びてきたという場合なら、オンラインショップを立ちあげることも検討します。
ブランドデザイン一新の事例として参考になるのが、明治産業の事例をです。
新旧それぞれのデザインを提示して、ニュースリリースでリニューアルの目的を明確に伝えています。
デザインが古くなってきた
デザインが古びて見えるようになった場合も、ホームページのリニューアルを実行するタイミングです。
デザインの流行は日進月歩。特に当時の最先端を取り入れていたとしても数年たてば古びて見えることも少なくありません。
特に、トレンドに敏感なファッション関係や美容関係の一般消費者向けホームページは、定期的にデザインのリニューアルを検討しましょう。
SSL対応ができていない
SSL対応とは送受信データの暗号化通信によって、データを盗まれても情報漏洩を防ぐ仕組みです。
SSL対応をしているサイトは、URLが「https」で始まり、Webブラウザの上部にあるURL入力スペースの左側に鍵アイコンが表示されます。
現在では、どのサイトでも常時SSL対応は常識となりつつあります。
特に顧客情報を取り扱うサイト、問い合わせフォームがあるページは、SSL対応が必須です。
PV数やCV率が落ちてきた
ホームページの効果測定を定期的に行っていて、PV数やCV率が明らかに低下してきた場合も、ホームページのリニューアルを検討するべきタイミングです。
PV数やCV率低下の原因を分析して、どのような対策が有効かを検討した結果、ホームページのリニューアルを実行するかどうかを決定します。
考えられる原因としては以下があります。
- Googleの検索ルールに変更があった
- 検索クエリによってコンテンツが重複
- スマホからのアクセスが増加しているのにレスポンシブ対応ができていない
単なるSEO対策で済みそうなら、既存コンテンツのリライトで済む場合もあるでしょう。
Googleの検索ルールはかなりの頻度で更新されるため、昔のままのSEO対策で放置していると、検索順位の急降下などもあり得ます。
また、検索クエリによってコンテンツが重複する場合は、カテゴリ分けをして関連記事としてリンクを貼るといって根本的な対応が必要です。
サイトの構成そのものを変える必要があるスマホ対応ができていないなど、全体の改修が必要となる場合は、リニューアルを検討しましょう。
利用している部品が使えなくなった
古い技術を使っていて、将来的に画面表示にエラーが出ることが分かっている場合、影響範囲が大きいならホームページ全体をリニューアルする良い機会です。
例えば、2020年12月31日をもってAdobe Flash Playerのサポートが終了します。
一時期はインタラクティブな表現をするため、Flash Playerは数多くのサイトで使われてきました。
サポートが切れるとセキュリティの問題が対策されるため、企業サイトに使い続けるわけにはいきません。
スマホ対応ができていない
レスポンシブ対応ができていないホームページも、全ページにレスポンシブ対応を施す凍を検討しましょう。
インターネットにアクセスする人の9割はスマホを使っているという2019年の調査結果があります。
そのうち半数はスマホのみでアクセスしている事から見ても、スマホ対応はホームページのPV数向上に必須の条件です。
ただし、ホームページのアクセス解析結果から、スマホ対応が必要ないと判断できる場合はこの限りではありません。
サイトの更新がしづらい複雑な構成になった
長年更新を続けていると、サイト構成が「つぎはぎ」状態になり、更新しづらい構成になることも少なくありません。
複雑な構成は、更新の手間がかかるだけでなく更新の失敗など不具合の元ともなります。
このように、コーディングや構成が複雑で、更新作業に工数がかかっている場合や、更新ミスが頻発する場合は、ホームページのリニューアルを検討するべき時期です。
サイト構成の整理やCMSの導入で、維持運用コスト改善を図りましょう。
ホームページの種類別リニューアルの周期
ホームページリニューアル周期は、ホームページの種類によっても異なります。
ホームページの種類別リニューアル周期についても確認しましょう。
ホームページの種類別リニューアル周期比較表
ホームページの種類は、大別してBtoB、BtoC、リクルーとサイトに分類できます。
それぞれのリニューアル周期の目安は以下の通りです。
ホームページの種類 | リニューアル周期 | ホームページの種類 |
---|---|---|
BtoB | 5~6年 | 5~6年 流行を追う必要はない パソコンからのアクセスが多い 比較的シンプルなデザイン |
BtoC | 3~4年 | スマホからのアクセスが多い ブランドイメージが重要 ECサイトなど高度な技術が用いられているケースも多い |
リクルートサイト | 1年 | 新卒採用に合わせたリニューアルが必要 |
一般消費者がターゲット層となるBtoCサイトは、トレンドに敏感かつスマホからのアクセスも多い傾向があります。
そのためBtoBのホームページに比べると、リニューアルの周期は比較的早めです。
リクルートサイトは、1年に1度必ずリニューアルが必要となります。
基本的に、リニューアルするかどうかは、マーケティングの観点から検討するべきことです。
しかし、リニューアルに踏み切るかどうかあまりにも迷う場合は、リニューアル周期も判断材料のひとつに入れると良いでしょう。
ホームページリニューアルのメリット4つ
ホームページリニューアルのメリットはいろいろありますが、中でも重要な4点について解説します。
ブランドイメージ向上
ホームページのリニューアルによってデザインを一新する場合は、ブランドイメージの向上につながります。
最新のデザインは、訪問者が抱く第一印象もかなり改善されるでしょう。
統一したデザインは、新たなブランドイメージを構築するのにも貢献するでしょう。
デザインだけではなく、レスポンシブ対応でストレスなく表示や操作ができるなど操作性の改善がみられる場合も、ブランドイメージ向上に屋下ります。
サイトの機能性向上
サイトの機能性向上も、ホームページリニューアルにより得られるメリットです。
機能性向上は、運営側の維持運用面と、サイトの訪問者視点の両面が考えられます。
例えば、CMSを導入すると日々更新しやすくなるため、維持運用コストの改善が可能です。
オンラインショッピング機能を追加すると、訪問者にとって便利な機能が増え、サイトの魅力が増すことになります。
PV数やCV率の向上
ホームページのリニューアルを実行するタイミングで最新のSEO対策を取り入れることにより、PV数やCV率の向上が期待できる点も、リニューアルを実行するメリットです。
検索順位が下がっているコンテンツはキーワードの見直しやコンテンツ内容のリライトなどの対策を進めます。
サイトの構成を整理することで、SEO対策だけでなく、更新・メンテナンスしやすいホームページとなり、維持運用面でもプラスの効果があります。
サイトの価値を高める
デザインを一新し、サイトマップの整理をすることで、より読みやすいサイトにできます。
また、コンテンツ内容をさらに深堀してブラッシュアップし、サイトの提供する情報の価値をさらに高めることも可能です。
訪問者にとって、情報を探しやすく分かりやすいサイトはユーザビリティが高くまた利用したくなるという効果も期待できます。
ホームページリニューアルのデメリット3つ
ホームページのリニューアルも、メリットばかりではありません。
リニューアルのデメリットを、3点にまとめて紹介します。
費用がかかる
ホームページリニューアルでは、既存ホームページの資産を活かすとはいえ、基本的には新規でWebサイトを立ち上げるのと同じぐらいの費用がかかります。
既存SEO資産の引き継ぎ、コンテンツのリライト、既存システムやプログラムの調査など、新規サイト作成にはない作業も多くあるためです。
ホームページを全面的にリニューアル必要が本当にあるのか、一部改修で対応できないかどうかの比較検討も行いましょう。
検索順位が下がる可能性
ある程度PV数やCV率が高く結果を出しているサイトの場合、リニューアルによって検索順位が下がってしまう可能性があります。
サイト構成の再構築は必要だが、以前から使っているURLはできる限り変えないなどの工夫は必要となる点はデメリットです。
使用している画像や文章などの著作権の問題
既存サイト内で使っている画像や文章などの著作権の帰属が自社、あるいはリニューアル作業をそのサイトを制作した会社に再度依頼する場合は、著作権の問題はありません。
しかし、制作会社を変える場合で、サイト内で使用している文章や画像の著作権が前回の制作会社にあると、それらは使えなくなり、新たに作成する必要があります。
ホームページリニューアルの進め方
最後に、ホームページリニューアルを進める手順について解説します。
リニューアルを進める手順
ホームページリニューアルを進める大まかな手順は以下の通りです。
1.サイトリニューアルの目的と目標数値を設定
2.自社サイトの課題を分析
3.競合サイトを分析
4.ホームページリニューアルの依頼先を選定
5.サイトマップ・構成図を整理
6.デザイン・コンテンツ制作・開発
7.効果測定(運用手順もここで固めるとよい)
8.正式リリース
自社サイトリニューアルの目的と目標数値の設定は、自社で検討するべき作業です。
その後の、自社サイトの課題分析・競合サイトの分析以降については、Webサイトのコンサルタントやマーケターの力を借りて進めても良いでしょう。
自社で3番まで進められる場合は、4番でリニューアル作業を依頼する制作会社を選定します。
