自社の商品やサービスを知ってもらうために重要な役割を担うのが「オウンドメディア」です。オウンドメディアを上手に運用することは、自社を詳しく知ってもらえるだけでなく、定期的なリピーターづくりにもつながります。
本記事ではオウンドメディアを構築するためにはどのような方法があるのか、設計から立ち上げの段階で押さえておくべきポイントを解説します。また、構築に必要な費用相場やおすすめツール、オウンドメディアで成功するためのコツもご紹介します。
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目次
オウンドメディアの作り方【設計編】
オウンドメディアを成功させるために設計段階で考えておきたいのは、目的やターゲット、目指すゴールなどを決めることです。具体的なイメージを運用するメンバー全員が共有することは、オウンドメディア成功のためにも必要不可欠なステップになります。
目的を明確にする
まず考えたいのは「なぜオウンドメディアを運用するのか」という目的です。ここが明確でなければ、どのようなコンテンツを提供すべきかが明確になりません。また、オウンドメディアが成功しているかどうかも判断できません。
オウンドメディアの主な目的は以下の5つです。
- 商品やサービスの認知度向上
- 企業やサービスのブランディング
- 見込み客(リード)獲得
- 売上の増加
- 採用
目的を決める際はできるだけ1つに絞るようにします。どうしても複数の目的を持たせたい場合は、優先順位を決めるようにしましょう。
達成したいゴール(KGI・KPI)を設定する
オウンドメディアの目的を明確化した後は、達成したいゴールとしてKGIとKPIを設定します。
KGI(Key Goal Indicator)とは「重要目標達成指標」のことで、最終的に目指す目標を指します。一方のKPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」のことで、最終目的の達成に向けた達成度を測るための中間目標になります。
KGIとKPIを設定するときに重要なのは、数値で設定することです。例えば「商品やサービスの認知度向上」を目的にするのであればKGIでは「PV数を月間1万PVにする」という設定をします。その達成度を測るためのKPIでは「オープン後1か月後の月間PV数は5,000」というように設定します。
ターゲット=読者を想定する
どのような人にコンテンツを見てもらいたいか、ターゲットとなる読者層を設定することも重要です。
ターゲットを設定する際はできるだけ具体的なイメージを持って決めるようにします。どのような場面でコンテンツを読んでもらいたいか、どのように課題を解決してもらいたいかなども考えておきます。
ターゲットのイメージをより明確にして共有するためにはペルソナを設定するのも有効です。年齢や性別だけでなく、生活スタイルや性格なども設定すると「この人のためにどのようなコンテンツを提供するか」が具体的にイメージできるようになります。
メディアの提供コンテンツを検討する
メディアの目的やターゲットが決まったら、提供するコンテンツについて検討します。ターゲットの課題解決のためにはどういったコンテンツが必要か、テーマを決めておきましょう。
さらに、テキストでのコンテンツ提供なのか、動画や画像を多用したほうがいいかなど、提供方法も考慮するとよいでしょう。
集客方法を決める
オウンドメディアは立ち上げただけですぐに集客できるわけではありません。誘導方法についても考えておきましょう。
主な手法は検索流入、SNS運用、広告配信などです。ターゲットの行動様式にあわせてメディアを見てもらうまでのストーリーを考えます。方法は1つだけとは限りません。予算や運用体制に合わせて検討することが重要です。
オウンドメディアの作り方【立ち上げ編】
オウンドメディアの設計後は、立ち上げ段階に入ります。このステップでは、サーバーやドメイン、運用体制など実際の動きに関わる部分を決めていきます。
サーバーとドメインを準備する
オウンドメディアをインターネットで閲覧してもらうために必要不可欠なのは、サーバーとドメインです。サーバーとドメインは、すでに保有しているサーバーとドメインでの運用と、新しくサーバーとドメインを取得する2パターンがあります。
保有しているサーバーで運用する際は、必要な機能が網羅されているか、容量は十分かなどを確認するようにします。
新しくサーバーを取得する場合は共用、専用、VPS、クラウドから選択します。共有、専用、VPSは月々の定額料金で使用するレンタルサービスです。共有サーバーは1つのサーバーを複数のユーザーで使用し、専有サーバーは1つのサーバーを1人のユーザーで使用します。専有サーバーのほうがセキュリティの精度は向上しますが、月額費用が高くなります。
専用サーバーレベルのセキュリティ性を持った共有サーバーが、VPSサーバーです。専有サーバーより月額費用は抑えられますが、共有サーバーより高額です。
クラウドは必要な容量や機能によって料金が決まるサービスです。月々で使用する容量を変更するといった使い方もできます。商品がテレビやネットニュースで取り上げられ、アクセス数の増加が想定される際、それに対応できる機能を一時的に追加することもできます。ランニングコストを抑えて柔軟性が高い運用をしたいときにおすすめのサーバーです。
ドメインは「.com」「.net」「.info」など取得するドメイン名で費用が異なります。情報提供がメインコンテンツとなるオウンドメディアでは、企業やサービスに関する情報発信のために使われることが多い「.com」や、特に情報発信を意味する「.info」などを取得するとよいでしょう。
オウンドメディアに適したCMSを選定する
更新頻度が高いオウンドメディアは、運用プラットフォームとしてCMS(Contents Management System)で構築します。CMSを使うことで、HTMLやCSSなどの専門知識がなくても、コンテンツの更新ができます。
世界的に利用されているのはWordPressなどのオープンソースCMSです。汎用性も高く機能追加もしやすいという特徴があります。自社にCMSに詳しいスタッフがいない場合は、サポート体制がある商用パッケージのプラットフォームを使用する方法もあります。
運用を始めた後、異なるシステムに乗り換えるのは大きな手間とコストが必要になります。社内のリソースやランニングコストなども考慮して決定しましょう。
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解析ツールを導入する
KPI確認のためにも重要になるのがサイトの解析ツールです。投稿したコンテンツがどのように閲覧され、ゴールにつながっているのか、データを収集してくれます。一般的には無料で使用できるGoogleアナリティクスを使用します。
閲覧数だけでなく流入経路や直帰率などを確認することで、提供するコンテンツの改善も行います。
コンテンツの作成ルールを決める
同じメディア内で、各コンテンツの文体や見せ方を統一させることは、見やすさを向上させ、リピーターづくりにもつながります。
見出しの付け方や文体、構成、画像の挿入位置などをルール化すれば、コンテンツ作成などの運用もしやすくなり、継続した運営もやりやすくなります。
オウンドメディアの運用体制を決める
オウンドメディアを成功に導くためにもっとも重要なのは「継続させること」です。そのためには誰がどのような役割を担っていくのか、運用体制を決めておくことが必要になります。
作成するコンテンツのテーマを企画する人、記事を書く人、確認する人、分析する人など、担当者の役割を具体的に決めておきましょう。
オウンドメディア構築にかかる費用相場
オウンドメディアの構築にかかる費用はどのくらいが相場なのでしょうか。サーバーやドメインなどハード部分に必要な費用と、構築費用、コンテンツ作成に必要なライティング費用に分けてご紹介します。
サーバー・ドメインにかかる費用相場
サーバーやドメイン取得に必要な費用の相場は以下のようになります。
必要項目 | 費用相場 |
ドメイン(.comの場合) | 取得費用 1円(お名前.comの場合) 更新費用 年間約1,400円 |
共有レンタルサーバー | 初期費用 約3,000~5,000円 月額費用 約1,000~3,000円 |
専有レンタルサーバー | 初期費用 約8万~12万円 月額費用 約2万~4万円 |
VPSレンタルサーバー | 初期費用 約0~1万7,000円 月額費用 約350~6万5,000円 |
オウンドメディア構築サービスの費用相場
オウンドメディアの構築を外注する場合の構築費用は、デザインのやり方、必要な機能など構築パターンによって異なります。
一般的な費用は以下のようになります。
構築パターン | 費用相場 |
デザインテンプレートを活用し、CMSで構築 | 約20~30万円 |
オリジナルデザインで、CMSで構築 | 約35~50万円 |
ライティングにかかる費用相場
コンテンツとなる記事作成にかかる費用は、記事の内容や専門性などで異なります。
コンテンツの内容 | 1記事(3,000字程度)の費用相場 |
一般的な情報記事 | 約2,400~1万5,000円 |
インタビュー記事 | 約3万円~ |
専門知識が必要な記事 | 約1万5,000円~ |
失敗しやすいオウンドメディアの例
見込み客をターゲットにするオウンドメディアを立ち上げたとはいえ、すべての人が成功できるとは限りません。失敗する例をみていきましょう。
目的とターゲットがあいまい
多くの失敗にありがちなのが、ただ漠然とオウンドメディアの名前に惹かれて始めている人が多いことです。形から入るのも大事ですが、何となく儲かりそう・上手くいきそうと考えてしまうと、何を目的としてどのようなターゲットに絞るか照準が定まりません。
また、ターゲットを選定しても、オウンドメディアでは最終目標となるゴールが明確でないと、目的とターゲットがあいまいになってしまいます。その結果、オウンドメディアのサイトを運用しても思うような成果が反映されなくなります。
本質を理解していない
オウンドメディアは自社商品やサービスの見込み客をターゲットにしています。つまり、まったく新規の顧客をターゲットにする場合にはオウンドメディアの戦略は適していません。
例えば運動・スポーツに関連する商品を売りたい場合、常日頃からトレーニングをしているスポーツマンやダイエットや健康的な面でジョギングを始めようとする人は見込み客といえます。
しかし、運動にまったく興味がない人にまで自社の商品を売りたいと思っても、検索サイトを利用して調べることはまず有り得ないでしょう。新規客にまで商品を売りたいのなら、ペイドメディアのようにテレビや雑誌の有料広告を活用して広く周知させることが必要になっていきます。
言いたいことが分からない記事が多い
オウンドメディアを運用するのに、ターゲットを広げ過ぎてしまうと、だれに向けての記事なのか分かりづらくなり、抽象的な内容になりやすいです。
さらに、言いたいことが絞りきれていない場合、最後まで記事を読んでも結局なにが言いたいのかユーザーにも判断できなくなってしまいます。オウンドメディアは見込み客をターゲットにしているのに、ユーザーがコンテンツを閲覧して何のメリットもないと判断すれば、自社の商品やサービスにまで興味が薄れてしまいます。
コンテンツの質が悪く、更新もしていない
オウンドメディアはPV数が大切です。どれだけ自社のコンテンツを閲覧しているのかという目安にもなりますし、それだけ自社商品・サービスのリピート率も高くなります。根本的にコンテンツの質が悪いものは論外ですが、定期的に更新していないのもオウンドメディアの失敗例です。
見込み客を取り込むオウンドメディアはSEO対策ができていて質のよい記事制作になっていると、リピート率が増えます。これは単純にユーザーがコンテンツを楽しみにしているからといえるでしょう。
逆にいえば、コンテンツの更新が遅い場合になると、ユーザーは自社のコンテンツに飽きてしまい、アクセス数が落ちて商品・サービスへの興味が薄れていく可能性があります。
オウンドメディアで成功するコツ
それではオウンドメディアで成功するためにはどうしたらいいのでしょうか。
長期的なスパンで目標数値を持っておく
オウンドメディアは有料広告を掲載するペイドメディアと違い、短期間で結果を出すことを目標としません。1度記事にしたからといって、そのサイトが爆発的にPV数を伸ばすほど拡散するのは奇跡に近いといえます。
「毎月どれほどのPV数を目標にするのか」、「商品やサービスをどの程度受注するのか」、「どれくらいの割合(1日1~5記事など)で記事を制作して更新するのか」など、半年や1年という長期的なスパンで計画していくようにしましょう。
SEO対策を講じておく
記事制作にはターゲットに沿ってキーワードを策定する必要があります。見込み客が検索サイトを利用した場合に、検索結果で自社のコンテンツが上位表示されるようにしましょう。
このためには自社の商品・サービスがどのようなキーワードに分類され、関連語には何が最適かを常にイメージしなくてはなりません。よく勘違いされるのが、単純にキーワードを散りばめた記事が良いということです。
確かにキーワードの数が少ないのは検索結果で不利ですが、あまりに多くのキーワードを入れると文章として不自然になります。キーワードと関連語を自然な流れで文章にし、記事自体がユーザーにとって有益な情報となるように執筆しないといけません。
これには文章力やSEO関連のスキルや経験が必要となります。
継続した更新を実施してリピーター獲得
インターネットの世界は常に新しい情報が配信されています。スマホの普及率が高いことを受けて、日常生活でインターネットはかなり身近な存在といえるでしょう。記事数を増やして情報発信を提供し続けることは、見込み客に興味をもってもらう上でも必須といえます。
また、コンテンツを随時更新することで飽きさせない工夫をしていくのは、自社の商品・サービスを購入してくれるリピーターを多く作ることにもつながっていきます。これらリピーターはSNSを通じて気に入った商品やサービスを紹介してくれるので、フォロワーなどの新たな新規客を呼び込んでくれる可能性も高まります。
記事制作の内製と外注でのメリットとデメリット
先述したように、優良なオウンドメディアの記事制作にはSEOの知識が必要です。また、頻繁にコンテンツを更新しなくてはなりません。
これをすべて自社で製作すると運営費用は安くなるメリットはありますが、コンテンツ制作と更新のために、スキルのある人材が求められます。
そのため、社内にSEO対策のスキルを持った人材がいないと、良質のコンテンツを制作できず、記事の更新も進まないというデメリットが生まれてしまいます。
では外注はどうでしょうか。
優良なコンテンツ制作を専門にする外注先に依頼できれば、自社の社員を商品・サービスの企画や開発、営業などの主力部隊に集中して力を注げます。
デメリットは情報漏えいの可能性や社内にノウハウが蓄積されないことでしょう。
内製と外注を組み合わせて運用
コンテンツの制作には、すべて内製するか外注に委託するかで分けるのではなく、両者を組み合わせて運用することも可能です。
コストと良質のコンテンツのバランスが大事
自社でコンテンツを運営するにはコストがかからないものの、全体的なノウハウやスキル、経験のある人材が必須となります。一から育てようとなると時間もかかり、その間にライバル会社に商品やサービスで後れを取ってしまう可能性が高まります。
また、すべて自社運営になると品質面の維持徹底が難しく、常に更新する状態をキープさせていくことが困難となるでしょう。
外注はオウンドメディアのコストがかかりますが、高品質を保てるメリットがあります。記事制作は外注しながらチェックは自社で運用するなど、コストと良質のコンテンツをバランスよく維持していくように心がけましょう。
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屋台骨となるサイト制作は外注を視野に
オウンドメディアの生命線ともいえるサイト構築は重要です。サイトも見やすく編集も容易でありながら、集客に効果を見込める戦略が必要になるので、サイト構築は専門的な知識を有します。
IT関連の知識を有した社員が在籍している場合、自社で担当するのもいいですが、屋台骨となるサイト制作は外注したほうが良質のコンテンツを維持していくのに最適です。何より、既存の仕事を抱えながらオウンドメディアを構築していくのはかなり大変な作業といえます。
また、既存の自社ホーム―ページをすべてワードプレスで管理する場合や一からホームページを作りなおす場合などで制作にかかる費用も大幅に変わってきます。外注コストを気に掛ける必要はありますが、オウンドメディアは長期的なスパンで成果を出していくものなので、しっかりと中身の濃いサイト構築に臨むようにしましょう。
オウンドメディアを成功するには
目標と良質のコンテンツが大事
オウンドメディアは自社の商品・サービスに興味をもってもらうよう見込み客を誘導しなくてはなりません。そのためには短期間で結果を残すのではなく、半年から1年以上かけた長期的なスパンで目標数値を設定し、良質のコンテンツを制作していくことが大事といえます。
SEO対策を実施した記事や継続したコンテンツ更新をしていくことでリピーターを獲得し、見込み客に飽きさせないことがオウンドメディアの成功するポイントになります。
コストはかかりますが、オウンドメディアのサイト構築や記事制作は高品質であることも重要ですし、制作した記事は削除さえしなければ残り続ける資産です。中長期で見たときに、投資対効果は良くなっていくのではないでしょうか、
クラウドソーシングのランサーズでは優良なオウンドメディアの制作に関するフリーランスが多数在籍していますので、コンテンツ制作は専門知識を有する外注のライターに記事制作を依頼するなど、検討してみてはいかがでしょうか。
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