自社ホームページをつくりたい、Webサイトの立ち上げを検討している、何年も前に前任者がつくったサイトをリニューアルしたい……。でも、Webサイトの制作、ディレクションをしたことがないので、勝手が分からないという方々に向けて、制作過程をカンタンに解説しました。有名Web制作会社への取材をもとに、一般的な流れを聞いています。どんな作業が発生するのかをざっくりとでも理解しておくことで、失敗のないWebサイト制作を実現してください。

初めての発注を成功させるための、Webサイト制作過程基礎知識
Webサイトを作りたい、と制作会社に発注する前に、ちょっと待って。制作の流れについて何も知らないまま、「Webサイトを作りたいです」と外注しても、サイト制作を進めていく上で無駄なやり取りが発生してしまう可能性があります。
発注側に知識がなく、「とりあえずWebサイトを作ってください」と丸投げされて困ってしまうWebディレクターは甥のです。発注側も制作の過程を理解しておくと、Webサイトの公開までがスムーズ。ここでは、数々のサイトを制作してきたWebディレクターに聞いた、発注者が最低限知っておいてほしいWebサイト制作の流れをお教えします。
その1. ヒアリング
まず、最初に必ず行うのがヒアリング。会社のコーポレートサイトだったり、キャンペーンサイトだったり、Webサイトを作りたいと言っても様々です。「Webサイトを作りたい」と発注するからには、 “何らかの課題を解決したい”と思っているはず。
このヒアリングの際には、まず課題やWebサイトを作る目的を共有します。課題や目的が明確な場合は、課題を解決する手法を相談します。そのサイトは誰に向けて作るのか、何のためのサイトなのか、その予算でどこまでできるのか、その課題を解決するのは本当にWebサイト制作なのか、などなど。
ここのフェーズで、もしかしたら発注者の抱えている課題は、Webサイトを作ることが一番の解決方法ではない、と別の手法が提案される可能性すらあります。
また、すべてのWebディレクターが口を揃えて言うのが、Webサイトを作るのは見た目ほど簡単ではない、ということ。
一例ですが、コーポレートサイトをある制作会社に発注すると、最低でも200万円はかかります。発注者側の予算と、抱えている課題、この2つをすり合わせてもっともいい方法を、このヒアリングで探ります。
その2. ご提案
ここでは発注者、すなわちクライアントと発注された側であるWebディレクターが、前段階でのヒアリングをもとに、与件整理、企画・コンセプト提案、制作要件、体制、概算御見積、概算スケジュール、の提案をします。
具体的には、お客さんからのヒアリングで見えてきた課題を整理して(与件整理)、問題に対してどういうアプローチを取るのかを決めます(企画・コンセプト提案)。
そして、Windowsに対応するのか、Macに対応するのか、スマートフォンも対応するのか、Androidはどうなのか、などの制作要件を決め、請け負ったときにどういう人員でプロジェクトを進めるかという体制をかためます。また、見積りとスケジュールの概算もこの段階で出します。
その3. キックオフ
その2で提案されたものに発注者がGOサインを出せば、実際に発注がなされます(契約書の締結と発注書の送付)。
作業に入る前に、プロジェクト概要と目標の共有、それに加えてこういうメンバーでこのようなスケジュールで進めていきます、と制作側とクライアント側で集まって共有する会を開きます。これがキックオフです。
その4. 企画・構成・設計
その2で提案した「企画・コンセプト」を再確認し、サイトの枠組みや、画面にどのような要素を配置するかを決めていきます。実際に作っていく前の設計図を作る段階、と言うと、イメージしやすいかもしれません。
その5. デザイン
具体的にWebサイトの見せ方を決めていきます。デザインのコンセプトを決め、どこに画像を置くのか、どんな色にするのか、どんな素材を使うのか、どんな表現を取り入れるのか、などを作っていくフェーズです。
その6. コーディング、開発
デザインが終わったら、HTMLを書いたり、プログラミングをしたりします。ここまでくればWebサイト制作も佳境です。
その7. テスト
デザインやコーディングも終わり、サイトが形になりました。パッと見、ほぼできている状態ですが、どこかでほころびが出ていてうまくページが表示できない、なんてことも珍しくありません。すべてのページの表示と動作の検証をしていきます。
その8. 納品・リリース
いよいよ、発注者に納品です。あらかじめ、提案の段階で決めたサイトの公開日に公開し、すべて完了となります。
Webサイトの制作過程まとめ
Webサイト制作というのは、一大プロジェクト。一見、簡単そうに見えるサイトでも、これだけの手間暇がかかっています。発注側と制作側の二人三脚で、長期間こまめなコミュニケーションを取り合うことが、サイト制作の成功に繋がります。
