コンテンツ・マーケティングやオウンドメディアの運用で、重要な成功要因となり得る画像の質。その著作権や肖像権など、運営側が知っておくべき情報を株式会社アマナで唯一のチーフコンシェルジュを務める、執行役員の深尾 義和氏に語っていただきました。本稿は2015年12月に開催した、『ビジュアルで差をつける!勝てるコンテンツマーケティング』と銘打ったセミナーから、画像の著作権や肖像権に関する講義を抜粋してご紹介します。

トレンドになってきたコンテンツ・マーケティング
現在、コンテンツ・マーケティングがトレンドといいますか、企業の情報発信の領域で活用が進んでいます。コーポレートサイトみたいなものですとか、ブランドサイト、ソーシャルメディア、メールマガジン、企業によってはアプリみたいなものを、プラットフォームとしている会社さんもあると思います。
プロダクトを持つ会社さんだと、展示会やショールームをオウンドメディアとして捉えているケースもありますね。あとは、従来型の店頭のムービーですとか、カタログ、チラシみたいなものも含みます。企業が自分たちで、アドテクノロジーを使って、ターゲット配信するみたいなこともかなり進んできているのかなという印象です。
カタチはさまざまですが、オウンドメディアでの情報発信を行なう傾向が高まりました。これらが、世の中的にはコンテンツマーケティングと呼ぶ。WEBサイトなんかを見ると、多分、そう書かれているのかなというふうに思います。
コンテンツ・マーケティングとはなにか
ではコンテンツマーケティングとは、本来、どういうものなのか。日本ではこの数年で盛んになってきましたが、アメリカでは10年ぐらい前から注目されている手法なんです。オンラインということではなくて、企業が自分たちで情報発信するという意味で、コンテンツ・マーケティングは古くから導入されている手法になります。
コンテントマーケティングインスティチュートという、アメリカにあるコンテンツマーケティングの業界団体が出している定義があります。
コンテンツマーケティングとは、適切で価値あるコンテンツを作成し、配布する技術である。ターゲットとなる見込み客のことを理解し、これを明確に定義することにより、見込み客を引き寄せ、獲得し、見込み客とかかわり、見込み客に、購買に結びつく行動を促すことを目的とする。
このように定義されているんですね。更にウイキペディアに載っているコンテンツマーケティングの定義を要約すると、“価値のあるコンテンツを届けるということ”が、コンテンツマーケティングの定義なのかなというふうに考えています。
価値のあるコンテンツとはなにか
価値のあるコンテンツって何だ? という疑問が出てくると思いますけど、回答はさまざまあります。消費者からすると、そのコンテンツにふれることで、消費者自身の生活が、どういうふうに変わるのかということなのかなと考えています。
企業が一方的に、伝えたい情報を伝えるという時代ではない、といろんなWEBサイトとかブログに書いてあると思うんですね。ワンウェイの情報提供ということ自体は、もう古いということで、そのコンテンツがどうやって消費者にかかわっていくのかが、価値の提供になるということです。
では具体的に、どのようにコンテンツを構築していくのかということですが。当たり前なんですけれども、そのコンテンツで何を伝えたいのかということがきちんと存在する。それを消費者目線で考えると、どんなふうに自分の生活が変わるのかだったり、どんな価値をもたらしてくれるのかが伝わることになります。
これを念頭に置くと、商品の何を伝えるのかが重要になってきます。それを押さえてコンテンツをつくっていくと、一般的には、心に響くコンテンツがつくられ、それ自体が消費者の行動を促していくことになる。これが、コンテンツマーケティングの定義から考えると、コンテンツを捉えるときの、一つの見方になるのかなというふうに思っております。
コンテンツ・マーケティングにおける画像の重要性
ここから二つほど、コンテンツマーケティングのポイントについてお伝えさせていただきます。一つ目が、情報は視覚で捉えているという話です。
一般的にも知られていることではありますが、得られる情報量の87%は視覚がもとになっています。目に入るものから、情報を取っていますというふうに言われているんです。非常に高い割合で、視覚に訴えるものから情報を取っている。
恐らく、コンテンツマーケティングを実施している会社さんであれば、写真が大事だと聞いたことがあるかと思います。ぱっと見たとき、得られる情報の量が多いから、ビジュアルが重要であるということですね。
例えばですけども、こういうものですね。非常におなかが空いているときには、ぐっとくるものだったりとか、もしくは、おなかがいっぱいのときには見たくない。そういう感覚を語らずとも与えていくというのが、視覚が持っている情報量だと思います。
次に2つ目の事例として、こちらの写真をご紹介します。感動を覚えたりとか、自分も頑張ろうと前向きな気持ちになったり、そんな印象を与えるものではないでしょうか。
このように、ビジュアルが与える影響というのは、非常に大きいんじゃないかなというふうに思います。逆に考えると、使い方を間違えた場合に、マイナスの影響が大きいということがポイントになることも覚えておかなければいけないことです。
Web上にある画像の著作権、肖像権
オウンドメディアでビジュアルの使い方を間違えると、受けるダメージというのは非常に大きいというお話をさせていただきます。こういうところを押さえておいたほうがいいんじゃないですかという意味で、ポイントとしているんですけれども、著作権侵害とか肖像権侵害みたいなことですね。
具体的には、どういうもので、どういうことに気をつけなきゃいけないのかということから解説いたします。まずは、インターネット上の画像を自由に使えるのかというテーマ。Googleの画像検索とかで出てきたものを、勝手に使って良いかどうかっていう話ですね。
感覚的には、だめそうだなって感じるかと思います。例えば、NAVERまとめとかに載っている写真とかも、感覚的には、これ、勝手に使ったらまずそうだなというふうになると思うんですね。これは、多くの人が感覚的にマズいなと思えることです。
では、ストックフォトで販売されている写真と同じ構図で撮影するのはいかがでしょうか。昔あった話で言うと、表紙にかわいい女の子のアップの写真を使ったカタログがありました。その写真自体は、撮り下ろしているものなんです。けれども構図自体が、別のカメラマンが撮影したものと、非常に酷似していた。これ自体、構図に関しては、勝手にパクっているんじゃないかって話になるんですね。
それと同じことで、構図を盗用するだったりとか、知らず知らずのうちに盗用している場合もあれば、意図的に、「これ、格好いいよね」ということで同じように撮影してしまう場合もある。これは、そういうリスクがある、問題になる可能性があること自体を知っているかいないかが、まず重要です。これマズそうだよね、という感覚をどれぐらい上げられるか。この感度の有無で、企業なり個人がビジュアルによってダメージを受ける可能性を左右します。
著作権侵害のリスクを回避するために
ご説明した著作権などのリスクを、どのように回避していくかというお話です。ひとつは、ノウハウを企業内に蓄積することがあります。その他に、弊社を含めた写真を貸し出す事業を展開している企業のサービスを利用する方法があるんですね。
例えば、免責サービスみたいなものがあります。言葉は悪いですけど、いわゆる「パクってるかも」みたいなときに、訴えられたりするわけですよね。そのときの保険として機能するような、免責サービスというものがあります。
もうひとつは、ライツのクリアランスといわれてるもので、簡単に言うと、この写真に写っている選手に、一人一人にマネジメントする会社がついていたり肖像権を管理している人がいると思うんですけども。こういう人たちに対して、こういう意図で、こういう企業の情報発信に使っていいですかと代行するような、ライツをクリアランスしていくようなサービスもあります。
海外のサイトなどで、良い写真をたくさん載せられている、フリーで載せられているサイトってたくさんあると思います。そこの中できれいな橋の写真を使っていて、それを自分の会社のブログなどに載せてみたとしましょう。その写真自体の権利というのは、どこに帰属しているのか。
もしくは先ほども触れましたが、Googleの画層検索でみつけた写真を使うのはマズそうだと。では、自由に写真を使って良いと書かれているサイトでダウンロードしたものは、危なくないのかという話があります。
どちらも実は、危ないんですね。権利を主張する人というのは、非常に多くいたりもするので、そういったところをライツのクリアランスとか、免責サービスみたいなものを活用しながら、使っていただけると、安心してコンテンツ・マーケティングが実施できるかと思います。
