顧客の新規開拓に向けて、営業先のリストを作成することは営業活動の第一歩。しかし、ネットや電話帳から法人の情報を集めるのは非常に手間の掛かる作業です。忙しい営業マンがその役割を担ってしまうと、「リストを作るのに時間を取られて肝心の営業活動ができない」という本末転倒な結果に。
企業リストは社内で作らなくても、専門の業者から購入したり、無料のリストを入手したり、いくつかの方法で準備できます。ここで気になるのは、有料のリストと無料のリストの違いです。また、有料の場合どれくらいの費用をイメージすればいいのでしょうか。この記事では、有料リストと無料リストのそれぞれの特徴や、有料リストの費用相場についてご紹介します。

目次
エクセルを使った無料で自社で企業リストを作る方法
無料で入手できる企業リストのひとつに、国税局のサイトより取得できる法人ナンバーを活用したエクセルリストがあります。具体的な入手手順を解説します。
国税局のサイトへアクセスする
国税局法人番号公表サイト「基本3情報ダウンロード」へアクセスします。
リストをダウンロードする
全件データのダウンロード(各都道府県別)をクリックし、都道府県ごとのファイルをクリックしてダウンロードします。
法人番号を正しい表示にする
「B」列すべてを選択して、右クリックで「セルの書式設定」を選択、「表示形式」タブで分類の「数値」を選択し「OK」をクリックすれば正しい法人番号が表示されます。
エクセルで作成した企業リストをより便利に使う6つのコツ
エクセルの機能を活用すれば、より企業リストは見やすく活用しやすくなるでしょう。企業リストがより便利に使えるようになる、エクセルの6つの機能やコツを紹介します。
列幅を自動調整する
電話番号やメールアドレスなど、入力した内容がセル幅よりも長い場合は見切れてしまいます。以下の手順でセルの列幅を自動調整しましょう。
- ドラッグして調整したい列をすべて選択
- いずれかの列の右端をダブルクリック
固定機能を活用する
項目名や企業の通し番号などは、固定しておくと企業リストが見やすくなります。以下の手順でウィンドウ枠の自動固定機能を使いましょう。
- 固定したい行のすぐ下の行、かつ固定したい列のすぐ右にあるセルを選択
- 「表示」タブの中の「ウィンドウ枠の固定」を選択
テーブル機能でリスト化する
テーブル機能を使うと、セルの自動設定やフィルター機能などリストの作成、データの抽出に便利な機能が使えるようになります。テーブル機能を使う手順は以下の通りです。
- テーブル(表)作成したい範囲をドラッグして選択
- 「挿入」の中から「テーブル」をクリック
- 出てきたポップアップの「OK」をクリック
テーブルの自動設定機能では、テーブルの色やデザインを選べます。「ホーム」タブの「テーブルの書式設定」から設定可能です。
新規追加や修正はフォーム機能を使う
エクセルで作成した企業リストに新規企業を追加するとき、または既存のデータを修正するときに便利なのが「フォーム機能」です。1行分のデータを1枚のフォームとして表示して入力できます。フォーム機能の使い方は以下の通りです。
- クイックアクセルツールバー(左上部分にある下矢印のアイコン)をクリック
- 「その他のコマンド」をクリック
- 基本的なコマンドの横にある「▼」をクリックし、「すべてのコマンド」を選択
- 項目の中間あたりにある「フォーム」を選択し、「追加」「OK」をクリック
- ツールバーにフォーム機能が追加される
ツールバーのフォーム機能をクリックすると、1行分のデータが1枚ずつ表示されるようになるため、ここから新規追加や修正ができるようになります。
複数属性のデータの抽出はスライサー機能を使う
ひとつの属性でのデータの抽出は、テーブルに付属している「▼」で抽出できますが、複数の属性(たとえば「東京にある製造業の企業」など)で抽出をしたいときは、「スライサー機能」が便利です。以下の手順で使用しましょう。
- 表のどこかのセルを選択し、「テーブルデザイン」タブの「スライサーの挿入」をクリック
- チェックボックスの中の絞りたい項目にチェックを入れ、「OK」をクリック
- 重なって出てきたチェックボックスは、ドラッグして見やすい場所に移動する
複数属性で該当する企業をリストからかんたんに抽出できるため、範囲を絞って営業活動をしたいときや、リアクションの分析をしたいときなどに便利です。
重複している企業は重複の削除で一元化する
既存の企業リストをひとつのエクセルファイルに統合したときや、新規と思って登録した企業が休眠顧客だったなどの理由から、リスト内で企業が重複してしまうこともあります。重複している企業は「重複の削除」で一元化できます。
まず、重複している企業がないかを以下の手順でチェックしましょう。
- 「ホームタブ」を選択し、「条件付き書式」をクリック
- 「重複する値」を選択し、重複がないか確認したい項目を選択
- 重複しているデータがあればハイライトされる
- 項目名の横にある三角形のボタンを押し、ソート機能を使用してデータの並び替えを行えば、重複しているデータが並ぶ
重複している企業は、以下の手順で一元化します。
- 重複を削除したいセルを選択する
- 「データ」 タブの 「重複の削除」をクリック
- 特定の項目が同じである企業を削除したい場合は、該当する項目だけにチェックを付ける
- 「OK」をクリック
重複している企業情報が削除されます。
購入にいくらかかる?有料の企業リストの費用相場とは
まずは、有料で購入できる企業リストの費用相場について説明します。
業者や購入する件数によって費用相場は異なる
有料の企業リストの費用相場は、業者によって大きく異なります。また、1件単位で金額が設定されているため、購入する件数によっても費用は変わります。
一般的な費用相場とは
一般的に企業リストは、名簿1件あたり10円~30円が相場。件数分の料金に加え、初回の登録料やリスト作成を依頼する際の基本料がかかる場合もあります。また、「最低限の情報」と「詳細な情報」など、提供する情報の細かさによって異なる単価のメニューを設けている企業もあります。
例えば「詳細な情報」の場合、企業名や住所、連絡先だけでなく、代表者名や設立年、従業員数規模、売上規模、資本金などの情報も知ることができます。
主な企業リスト業者の費用例
企業リストを扱う業者の中から、代表的な4社を例に実際の費用感をチェックしてみましょう。
株式会社スクエア
名簿は1件5円から。これに加えてデータ出力を依頼する場合、1件5円など、諸々のオプション料金が発生します。
エコノス株式会社
名簿は1件11円から。リスト作成を依頼できるだけでなく、リストを整理して最適化するツール「リスツール」は月額3,600円(税別)から利用可能です。
帝国データバンク
名簿は1件10円から。これに加えて基本料金(30,000円〜)がかかります。
企業名簿販売センター
名簿は1件10円から。購入する名簿が1000件未満の場合、基本料金(5,000円)がかかります。また、件数に応じて割引があるため、件数を多く依頼するほど割安になります。
おすすめの企業リスト抽出・作成ツール5選
企業リスト抽出・作成ができるおすすめのツールを5つ厳選しました。それぞれの特徴、プラン、料金、機能、提供企業数を紹介します。
SalesNow Targeting
国内企業を網羅して掲載された全国500万社・100万件の企業データベースです。設定している項目も売上や業界などの営業活動に必要な項目に加えて、部署や人物での連絡先、SNSなどの独自設定の項目もあるため、検索結果から出た企業にダイレクトでアプローチできます。
求人情報やニュースも一覧化、検索ができるため、営業活動だけでなく採用活動のリストとしても活用可能です。無料のデモも利用できます。契約後、導入までの準備、初期運用、本格開始までの間、キックオフミーティングを含んだサポートが受けられます。
料金プラン | 月額料金 | 主な機能 | 提供企業数 |
要問い合わせ | 要問い合わせ | ・成約可能性の高い企業を自動レコメンド ・リアルタイム更新のデータからアプローチタイミングを通知 | 500万社・100万件 |
MuSuBu(ムスブ)
140万件以上のデータから、見込みの高い企業のみの絞り込みによる企業リストの作成ができるツールです。さらに必要な項目を指定してのCSVでのダウンロード、作成したリストからメールをそのまま配信、営業活動後の分析による新しい見込み客への紐づけができます。企業リストの作成以後の営業活動についても一元管理、フォローが可能です。
料金プラン | 月額料金 | 主な機能 | 提供企業数 |
フリープラン | 無料 | ・アプローチ管理機能(制限付き) | 30件 |
スタートプラン | 3か月75,000円(月額25,000円) | ・アプローチ管理機能 ・メール配信機能 | 3,000件 |
6か月プラン | 6か月150,000円(月額25,000円) | ・アプローチ管理機能 ・メール配信機能 | 6,000件 |
12か月プラン | 12か月270,000円(月額22,500円) | ・アプローチ管理機能 ・メール配信機能 | 12,000件 |
BIZMAP
およそ30秒で営業リストの収集と作成が完了する更新型のデータベース。住所、電話番号、売上高、従業員数、代表名、メールアドレスなどの詳細な情報を含んだ、日本全国約3,200人のリサーチャーによる質の高い企業リストをダウンロードできます。
データの検索のみ、および月30件までの企業データのダウンロードなら無料で利用可能です。展示会の出展履歴や製品の導入実績など、独自の切り口からのリスト作成もできます。
料金プラン | 月額料金 | 主な機能 | 提供企業数 |
無料プラン | 無料 | ・企業データの取得 | 100件 |
定額プラン | 3か月9,980 円 6か月6,980 円 12か月4,980 円 | ・企業データの取得 | 1,000件 |
個別プラン | 5,000円~ | ・企業データの取得 | 100件~ |
GeAIne(ジーン)
新規開拓営業支援ツール。約45万件の企業リストの中から、150種類以上のタグをもちいて営業リストの取得ができます。リストの中から、AIが傾向を分析して自社の営業活動にふさわしい企業を、アタックリストとしてピックアップします。複数の営業文章から効果の高い文章への最適化、企業の問い合わせフォームへ営業メールの自動送信、営業活動後のリアクションの簡易レポートの機能など、営業活動ツールとして活用できるでしょう。
料金プラン | 月額料金 | 主な機能 | 提供企業数 |
ビジネス | 70,000円 | ・問い合わせフォームに営業文章の自動送信 ・AIが確度の高い営業リストを抽出 ・営業文章のABテスト ・営業リストの取得 ・簡易レポート機能 | 3か月契約:3,000社 6か月、12か月契約:4,000社 |
スタンダード | 121,500円 | 上記と同じ | 3か月契約:6,000社 6か月、12か月契約:7,000社 |
ハイエンド | 160,000円 | 上記と同じ | 3か月契約:10,000社 6か月、12か月契約:11,000社 |
リスタ
Webに点在しているデータを自動収集し、企業リストをSCV形式で自動作成できるツールです。企業名、郵便番号、メールアドレス、URLなどの項目で出力できます。
業種とエリアから最新の企業リストを検索できる業種×住所検索、指定キーワードから企業リストを検索できるキーワード検索、既存のリストの編集や追加ができるハウスリストツールの3つから構成されていて、エクセルの操作ができればすぐに使えます。
料金プラン | 月額料金 | 主な機能 | 提供企業数 |
ライト | 10,000円 | ・キーワード検索 ・業種×住所検索 ・ハウスリストツール | 20,000件 |
スタンダード | 20,000円 | ・キーワード検索 ・業種×住所検索 ・ハウスリストツール | 100,000件 |
エンタープライズ | 40,000円 | ・キーワード検索 ・業種×住所検索 ・ハウスリストツール(問い合わせURLの付帯付き) | 無制限 |
シンプル | 20,000円 | ・業種×住所検索 ・ハウスリストツール | 無制限 |
無料の企業リストの質は?
企業リストは、有料のものと無料のものでどのように質が異なるのでしょうか。無料の企業リストの特徴と注意点からチェックしていきましょう。
無料の企業リストの特徴
無料の企業リストは、法人ナンバーを活用して作られています。日本では一人ひとりにマイナンバーが設定されていますが、これと同じように、企業にも「法人ナンバー」というものが付与されています。
この法人ナンバーから、企業を検索することできるのです。これを利用して作られているのが無料の法人リスト。サイトで誰でも気軽にダウンロードすることが可能です。
無料の企業リストの注意点
企業リストが無料で手に入るのは嬉しいですが、いくつか注意も必要です。
まず、情報が最新でない場合があります。新鮮ではない情報はテレアポなどをするうえで使い物にならないため、営業を始める前にリストの情報を調べ、メンテナンスするという一手間が必要になります。また、無料のダウンロードサイトではリストとして出力する企業の詳細な絞り込みができないため、ターゲットとして対象外の企業情報も多く含まれることになります。
以上のことから、無料の企業リストはそのまま使うことが難しく、あくまで“素材”と考えた方が良いでしょう。しっかりと調査をして自分たちで手を加えないと、使えないリストとしてそのまま“ゴミ箱行き”になってしまう可能性が高いのです。
有料の企業リストの質は?
続いて、有料の企業リストの質について考えてみましょう。
有料の企業リストの特徴
有料の企業リストは、基本的には業者が信頼の置ける情報源から作り上げたものです。リストは定期的に社内でチェックされ、情報が更新されるので、古い企業情報は無料の企業リストに比べて遥かに少ないといえるでしょう。
また、We上で取得したい企業の条件を詳細に指定できるというのも大きなポイント。さらに業者によっては、リストを購入する前にサイトで抽出した情報の企業名や業種、所在地の一部などを確認することもできるため、不要なリストを除き、本当に必要なリストだけを購入することが可能です。
つまり、有料で購入したリストは情報もフレッシュなうえにアプローチをかけたい企業の正確な情報が載っているため、即戦力としてテレアポなどでそのまま利用できるといっていいでしょう。
有料の企業リストの注意点
前述の内容から、「無料の企業リストに比べ有料の企業リストの方が信頼できる」と感じている人が多いと思います。しかし、有料の企業リストを販売している業者の中にも、悪質な業者が存在していることには注意が必要です。
悪質な企業リスト業者には要注意!きちんと信頼できる業者を選ぼう
名簿業者が企業リストを販売することに違法性はありませんが、中には漏洩したデータなどを不正なルートで買い取って販売しているような悪質な業者も存在します。有料の企業リストを購入する際は、信頼性の高いサイトから企業情報を収集している業者を選ぶようにしましょう。
費用が高すぎる!?悪質な企業リスト業者の特徴とは
悪質な業者か、そうでない信頼のおける業者かを判断するうえで、まずは金額が参考になります。前述の通り、相場は名簿1件あたり10円~30円。これを超える高額な場合は注意が必要です。
高額な費用だけじゃない!?悪質な業者から企業リストを購入すると……
悪質な業者から企業リストを購入してしまうと、そのリストが違法なものであると発覚した場合、購入した側も処罰の対象になる可能性があります。あとで不要なトラブルに巻き込まれないようにするためにも、名簿業者が適切な手段で名簿情報を収集しているか、自ら確認しておくことが大切です。
ホームページで情報の取得方法や安全性に関して記載された文面を確認したり、電話で直接話を聞いたりと、注意深く確認し、自分の身は自分で守るようにしましょう。
企業リストはフリーランスに依頼して作成してもらうことも可能!
企業リストは業者から買い取ったり、無料で入手したりといった方法の他に、フリーランスの人に依頼をして作成してもらうことも可能です。
例えば、フリーランサーに営業をかけたいターゲットの地域や業種、会社規模などを伝え、作成してもらったリストを1件いくらで買い取るという方法で依頼をすれば、有料で企業にお願いするのと同様に即戦力としてテレアポで利用できるリストが完成します。
リストの取り扱いやリスト作成方法に気をつけて、フリーランスに依頼するようにしましょう。
また、フリーランスに依頼することで、悪質業社からリストを買い取ってしまうようなリスクも避けられます。
まとめ
フリーランスに企業リストの作成を依頼するなら、クラウドソーシングがおすすめです。ランサーズは日本最大級のクラウドソーシングサービスを運営しており、多くのフリーランスが登録しています。
単価も自由に設定でき、登録している膨大なフリーランサーの中から信頼できる人を選ぶことができます。相性の良い人が見つかれば、今後継続的に依頼でき、双方にとって良い関係が築けることでしょう。
リスト作成の依頼する際は費用が必要ですが、フリーランスを探したり、募集をするだけなら無料です。
まずは、同じような募集を見て、ランサーズで募集をしてみてはいかがでしょうか。
