シングルマザーが「プロのライター」として食べていく

シングルマザーが「プロのライター」として食べていく
シングルマザーで2人のお子さんを育てるフリーライターの清水 希枝さん。フリーランスとして独立したときには、すでにママであった清水さんにとって、子育てと仕事の両立は過酷なものでした。まして、独立当初はなかなか良い案件に巡りあえないもの。そんな状況から打開できたのは、ある大型案件との出会いがきっかけでした。【フリーランスが語る、思い出の仕事シリーズ】
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「ライターとして、食べていく」 | 大型案件との出会い

ライター業を始めたのは、今から約4年前。出産を経験し、仕事を退職……。社会からの疎外感を感じて孤独に思い、自分に出来ることはないかと模索した結果でした。今しか見られない我が子の成長を、一番側で見ていたい。

でも、仕事人としての自分を失いたくはない。そんな葛藤をしながら、望む全てを手に入れられる環境がクラウドソーシングサービスを活用してのライター業だと思い、突き進んだのです。

現在は、離婚を経験し2人の子供を抱えるシングルマザー。毎月発注していただける案件も増え、子育てをしながら家事、仕事……とライフワークバランスの良い「満ち足りた生活」が出来ています。

今この生活が出来ているのは、2年半前にランサーズを通じて受注した大型案件のお陰です。自分を決して諦めず、挑戦に挑戦を重ねた4年間をお話しします。

ライターデビューし、単発の依頼をこなす日々

パソコンのデスクトップ

最初は、ただひたすらに記事を買ってもらうため、有益な情報を得ようとネタ探しの毎日でした。ライターとしてお仕事を貰えたものの、それで生活していくのは到底無理な金額。

お小遣い程度……といったところでした。この時点ではまだ、将来の明確なビジョンは描けていなかったように思います。貰えた仕事に全力を注ぎこむのみ! とにかく、やる気と野心だけはありました。

1本だけの依頼でも、単発の依頼だとしても、常に全力。「この人ならちゃんとしたコンテンツを制作してくれる」とクライアントに思ってもらうことを第一に、貪欲に仕事を進めました。ランサーズ内での実績が増えていけばいくほどに、段々と提案が採用される機会が増えていきました。

単発だった案件が、継続依頼に変わり……少しずつではありましたが、大体、月の収入が世の中の主婦がフルにパートに通うくらいになったのを覚えています。自宅でも、こんなにお金が稼げるのか! と自分でも驚いたくらいです。

初めての大型案件は、100記事規模!

主婦のお小遣い稼ぎでは無く、プロのライターとして食べて行こうという決心がついたのが、あるクライアントからの依頼でした。

「100記事以上欲しい」という大型案件に提案し、たくさんの実績を積んだライターさんの中からわたしの提案が選ばれたのです。単価は当時まだ1記事1,000円程度。それでも100記事ですから、単純計算で10万円の報酬です。

もしかしたら、これで食べていけるんじゃないか……そんな気持ちが芽生えました。自分には無理かと諦めていたような案件にも、提案を出すことに決めました。挑戦しなければ成長はない。

今の自分を超えるには、今の自分が経験していない世界を見て行かなければならない……そう思って、子供達を寝かしつけたあとに一人黙々とパソコンに向かいました。

大型案件をくださったクライアントは、わたしの記事の内容に関して様々な意見をくださいました。こうすればもっと見やすい、ここはもっとわかりやすい表現があるはずだ……と細かに指示や指摘をしてくださり、ライターとしての自分のスキルをもっと向上しなければと強く思いました。

満足してもらえる記事を納品するために、クライアントが求めるレベルに至るまでスキルを向上することが急務だと感じ、ライティング関連の書籍を読み漁りました。

数か月に渡るプロジェクトが増え、開業へと動きだす

大型案件をこなした後も今まで通り単発の案件もありましたが、数か月に渡るプロジェクトがかなり増えました。毎月お約束した数の記事を企画し執筆、そして納品……と、決まったペースで仕事が出来る案件が増えたことは自分の自信に繋がりました。「いつ仕事がなくなるかわからない」といった焦燥感に駆られることも段々と少なくなったと感じます。

いつまでわたしの記事に需要があるか、この業界は今後どう変化を遂げていくのか……考え始めたらキリがありませんし、答えも見つかりません。それでも、わたしは物を書くという仕事が好きですし、やりがいも感じています。

そしてなにより、子供の一番側で暮らすことが出来ているという事実。これは他の何にも変えられない、最高の環境だと思えたんです。

開業届は、案外簡単に作成できました。税務署に提出し無事に受理され、正式にわたしは社会人として1人で再スタートを切ったんだ……と感慨深くなりました。

これで生きていく。子供2人抱えて覚悟を決めたシングルマザー。

クリスマスツリーとプレゼント

前の仕事をしていた頃は、子供が体調を崩して急遽休みを取ることになり、職場の誰かに後ろ指を指されたり、休んでばかりで仕事が追い付かず迷惑がられたりしたこともありました。当時のわたしは頑張ろうと思っていても頑張れない状況に悩み、頑張る環境が無かった結果、頑張る余裕さえも失っていました。

でも、ライターとして仕事をしている今、そういったことで頭を悩ませることはありません。子供が咳をしたら病院へすぐに連れていけますし、天気の良い日は公園へ連れて行き遊ばせることが出来る。こんな生活が送れるのも、仕事が自宅でいつでも出来るからです。

1歳の息子が保育園に入れず待機児童になっているということもあり、日中の稼働は息子が昼寝をしている30分程しかありません。子供が寝てからの執筆に慣れ、毎日の睡眠時間は長くて3時間程度です。

もうすぐクリスマス。最近、4歳になる娘はわたしにこう言ってくれました。「ママはいつも寝ないでお仕事頑張っているから、クリスマスに寝んねいっぱいプレゼントしてあげたい。」

そんな娘の言葉がなによりのプレゼントです。ママは今日も明日もこれからも、このお仕事で頑張るよ。だから見守っていてね。ママは君たち2人の成長を、誰よりも側で見ているから。

(おわり)

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