副業はアイデンティティを確認できる存在。役員とシナリオライターの両立

副業はアイデンティティを確認できる存在。役員とシナリオライターの両立
神奈川県を中心にドライバーの委託事業を行なう会社で役員を勤める岩崎あゆみさんは『森山まなみ』というもうひとつの名(ライターネーム)をもっています。「”森山さん” と呼ばれる方がしっくりくる」と語る彼女にとって副業の存在とは?
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『作家・シナリオライター』という肩書きが、一番私らしい


副業で作家・シナリオライターとして活動する岩崎あゆみさんは、セールスドライバーの委託事業をおこなう会社で、社長を勤める旦那さんとともに、事務・経理担当として働いています。

米・イリノイ州立大学を卒業後、外資系大手機器メーカーに就職。約9年ほど営業事務の仕事に取り組んだ後、シナリオライターとして独立。一時期はフリーランスとして活動されていました。

2年前の夫の起業をきっかけに、役員に就任。現在は夫婦二人三脚で約30名のドライバーを束ね、会社を経営しています。

バリバリ働く岩崎さんのもうひとつの顔が、大家族のママ。上は18歳、下は2歳の2男5女を育てるお母さんでもあります。

多忙な毎日を送る岩崎さんですが、それでも「作家・シナリオライター」として、副業は続けていきたいと語ります。文章を書くことに喜びを感じ、アイデンティティそのものを話す彼女の副業生活を伺いました。

生きがいである副業を続けるため、その他の時間をどう効率化するか


ーー 本業ではどのような仕事をしているんですか?

セールスドライバーの委託事業をおこなう会社という会社で、夫の手伝いをしています。役職は役員となっていますが、社員は夫婦2名のみ。事務・経理まわりを担当しています。

ーー 副業を始められたきっかけを教えてください。

前職の外資系大手機器メーカーに勤務していた時代、日記を書いていて。もともと文章を書く事は好きで、将来仕事に出来たら面白そうだなとは考えていました。

そんななか、育休でお休みをいただいてた時に、雑誌・講談社の「少女漫画シナリオ募集」という記載をみて、時間もあったので応募してみたんです。すると、幸運にもシナリオ大賞に入選することができました。

その後、2002年に講談社さんの少女マンガ雑誌で原作者デビューしてから、副業としてお仕事をいただけるようになったんです。

ーー それからずっと副業を続けられているんですか?

いいえ。実は一度、個人で働いていました。少女マンガ雑誌でデビューしてから、より本格的にシナリオライティングを学ぼうと青山シナリオセンターに通い、講座を修了。その後、退職しフリーで活動していました。

ーー 旦那さん(社長)は副業についてどう思われているんですか?

私の仕事が事務・経理まわりなので、毎月末(締め日)になるとバタバタします。その様子を見ていると「副業辞めたら?」とは、言ってきますね(笑)。家の中が汚くなると「副業より家事やってよ」とか。

でも、副業の仕事は自分にとって生きがいなので、辞める気はないです。旦那の意見は、今後もかわしていこかなと。

あと、仕事以外の時間をどう効率的にしていくかを考えるようにしています。完全には実践できていませんが、家事やベビーシッター、事務仕事は代行業にアウトーソースしてお任せしていければと思っています。

好きな仕事は削減せず、プライベートの庶務を削っていく方針です。

副業解禁の流れは悪くないが、仕事の軸を育てないと根無し草になるのでは?

ーー 昨今の副業解禁の流れを率直にどう思われますか?

個人的には嬉しい流れだと思っています。しかし、これから社会に出ていく若い人たちにとってはマイナス面もあると考えています。というのも「副業OK」だからといって、あれもこれも仕事に手を出していたら、軸が育たないなと。

「食べていけるなら仕事はなんでもいいじゃん」という生き方もあると思いますが、ジョブホッパー的なキャリアには、うーんと首を傾げてしまいますね。

なので、まずは本業の仕事でしっかりと軸を作ることが大事だと思います。そのうえで、別のスキルも身に付けたいから副業する、はすごくいい。

政府が推し進める副業は賛成している部分が強いものの、安易な考えで仕事を転々としたり、本業に身を入れきれない若者が増えることは反対ですね。

ーー 最後に岩崎さんにとって『副業』とは、どのような存在ですか?

私らしさを感じられる『アイデンティティ』のような存在ですかね。前職で働いていた時も思っていたのですが、私はあまり会社員という肩書きに価値を感じていなくて。会社員だと、会社の目的にそったアウトプット(成果)が求められるので、その中に自分を出しにくいと感じていたんです。

一方で副業は個人でおこなう仕事なので、「森山まなみ」というライターの色を100%出すことができる。現在は「奥さん」や「お母さん」と呼ばれることが多く、本名で呼ばれる機会が少なくなってきたこともあり、「森山まなみ」というライターネームのほうが、本当の自分だと思うようになりました。

将来的には、本業を辞めて、またフリーライターとして活動していきたいという気持ちはあります。が、新たな社員を雇う計画はありませんので、当分は副業として文章を書いていきたいです。

ちなみにライタネームの「森山」は、人名一覧の本を開いた時、たまたま目についた苗字。「まなみ」は妹の名前を勝手に拝借してつけました(笑)。

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