生活に密着したLINEを活用してビジネスの集客や販促に活かしたくても、運用方法が良くわからないとお悩みの方も多いでしょう。LINEは、2019年に企業や店舗と顧客を結ぶサービスを「LINE公式アカウント」に一本化しました。
コロナ禍で消費者の行動が大きく変化した今、多くの企業で集客や販促の課題解決のために運用されているのがLINE公式アカウントです。
本記事ではLINE公式アカウントの運用メリットや機能、運用効果を高める「友だち」の増やし方を解説します。自社のLINE公式アカウントを運用し顧客を増やす方法をざっくり把握できる内容なので、ぜひお役立てください。

目次
LINE公式アカウントとは
LINE公式アカウントとは、コミュニケーションプラットフォームの「LINE」で企業や店舗がユーザーに情報を届けられるサービスです。企業や店舗は作成したLINE公式アカウントへの「友だち追加」を促し、情報の配信先となるユーザーを集める必要があります。
多くの芸能人もLINE公式アカウントを活用しており、売上向上を目指すなら集客や販促で活用したいツールの1つです。ユーザーは企業や有名人の友だちになることで、トーク画面で質問をしたり利便性の高いサービスを受けたりできるようになります。メールや電話よりも、格段にユーザーとつながりやすい手法といえるでしょう。
LINEは2022年9月末時点で、月間9,300万人以上のユーザーが日本国内で利用しており、身近なツールとして広く浸透しているのがポイントです。このLINEをビジネスで運用すれば、イベント、新着商品やセールの告知のほか、顧客対応の質を大幅に改善できます。
従来のサービスとの違い
LINEは2019年4月18日まで、中小企業・店舗向けにLINE@(ラインアット)を提供していました。そのためLINE公式アカウントときくと、大企業や官公庁向けのサービスと記憶している人もいるかもしれません。現在ではサービス内容をシンプルにして、LINE公式アカウントに統合しています。
従来のサービスとの大きな違いは、オンライン上でアカウント開設が可能で、使える機能に制限のない「フリープラン」が用意されている点です。リニューアル後は、フリープランでも有料プランとの機能差がないため格段に運用しやすいというわけです。
LINE公式アカウントを運用する4つのメリット
ここではLINE公式アカウントをビジネスで運用するメリットを、次のとおり4つご紹介します。
- 無料で集客や販促に使える機能を利用可能
- メルマガよりも情報発信力が高い
- 細やかな分析ができる
- ユーザーのLINEアプリを活用できる
ではそれぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
無料で集客や販促に使える機能を利用可能
LINE公式アカウントには、後述しますが集客や販促に役立つ基本機能が数多く搭載されています。充実した機能のすべてを無料プランで利用可能な点が、大きなメリットです。
メッセージの配信数が増えてから有料プランへ変更できるので、お試しのしやすさも魅力といえます。また月単位で配信数に応じて有料プランを変更できることから、マーケティング施策に応じて月額料金をコントロールすることも可能です。
メルマガよりも情報発信力が高い
LINE公式アカウントを運用すれば、プッシュ通知で情報を発信できるのでメールマガジン(以下、メルマガ)より情報発信力を高められます。ロック画面や画面上部に表示されるのでユーザーが気づきやすく、かなり高い確率で見てもらえる点がメリットです。
メルマガと違い、迷惑メールとして弾かれたり受信箱に埋もれたりすることもありません。さらにスタンプ、画像のほか、動画・音声も配信可能なので、メルマガより多様な表現が可能です。またTwitterやFacebookでの告知と異なり、受動的にユーザーが情報を得られ情報の到達率が高い点も見逃せません。
細やかな分析ができる
管理画面で、さまざまなデータを確認・分析できる点もメリットです。友だちの追加・ブロック数、メッセージの配信数、チャットの送受信数や発行したクーポン・ショップカードの利用状況などがわかります。
データからキャンペーンやメッセージの反響、顧客ニーズなどを把握でき、マーケティングに活かせる点が強みです。
ユーザーのLINEアプリを活用できる
LINE公式アカウントはユーザーが日頃から利用しているLINEアプリを利用するため、スマホから削除されない点がメリットです。自社独自のアプリを開発しても、ダウンロードしたユーザーがアプリそのものを削除してしまっては情報を配信できません。
自社のLINE公式アカウントを友だちに追加するようお願いすればいいので、運用のハードルが低いといえるでしょう。
LINE公式アカウントの12の機能と運用事例
ここでは、LINE公式アカウントの代表的な機能や運用事例を一覧でご紹介します。
以下の表では、自社の公式アカウントを友だちに追加してくれたユーザーを「友だち」と表記しています。
機能 | 機能の詳細 | 運用事例 |
---|---|---|
メッセージ配信 | 友だちにメッセージを配信する | ・新着商品やキャンペーンの情報などユーザーに役立つメッセージを送り、店舗やECサイトへ集客する |
LINEチャット | 時間や場所を気にせず、1対1で友だちとやりとりができる | ・問い合わせや予約の受付が可能になるので、電話代わりに使える ・VR技術を活用したストアで「オンライン接客」を実践する事例もある |
LINEコール | 無料で音声およびビデオ通話ができる機能(友だちからLINE公式アカウントに向けて) | ・チャットでは対応しきれない問い合わせや、急遽予約の変更を連絡する際などに活用できる |
応答メッセージ/AI応答メッセージ | ・友だちから話しかけられたチャットに対して、返信対応を自動化する機能 ・「応答メッセージ」では、友だちから話しかけられたチャットに含まれるキーワードに対する返信内容を管理画面上で設定可能 ・「AI応答メッセージ」では、チャットの内容をAIが判別し適切に自動返信するため、事前にキーワードや返信内容の設定は不要 | ・接客中のほか、営業時間外や定休日の簡易的な対応に使える ・飲食店、美容院、各種教室の運営者におすすめ |
リッチメッセージ | ・画像とテキストを組み合わせ、視覚的に訴求できる機能 ・LINE公式アカウントで発行したクーポンや商品ページリンクへの導線を設定できる | ・「対象店舗を今すぐチェック」「詳しくはこちら」のリンク先にクーポンなどを設定 ・「期間限定」や「先着順」などのテキストで、早めのアクションを促す ・シンプルなテキストを心がけ、タイトルは最大10~13文字程度にする ・サービスや商品ごとに適切な色を選ぶ |
リッチメニュー | ・LINE公式アカウントのトーク画面を友だちが訪れた際、画面下部に表示される固定メニュー ・表示期間を指定できる | ・外部サイトやクーポン、ショップカードへ友だちを誘導 ・セールやキャンペーン期間に合わせて、ボタンサイズを大きくして目立たせる |
カードタイプメッセージ | ・カルーセル形式(横並び)で複数枚の画像(カード)を配信できるメッセージフォーマット ・吹き出し1つあたり最大9枚のカードを設定可能 | ・「プロダクト」「ロケーション」「パーソン」「イメージ」の4つのタイプから用途に合わせて作成 ・「もっと見るカード」を最後に表示させ、詳細情報を掲載した自社サイトなどに誘導 |
LINE VOOM(旧タイムライン) | ・動画がメインのコンテンツプラットフォーム ・何度でも無料で投稿できる ・「シェア」しやすい設計 | ・友だちのフォロワーを介して、LINE公式アカウントの友だちや「LINE VOOM」のフォロワーになっていない人にもリーチできる |
ショップカード | ・来店や商品購入の特典としてポイントを付与できる ・特典の設定や紙ベースではなくLINE上で発行・管理可能 | ・ポイントがたまると割引などのインセンティブを用意し、リピーターを獲得する ・ポイントの有効期限を通知して再来店を促す ・利用状況などのデータをリアルタイムに把握・分析して、販促課題の改善につなげる |
クーポン | ・来店時に使えるおトクなデジタルクーポンを発行し、友だちに対して配信できる | ・クーポンへの期待値が高いことから、友だち数が増えてきた段階で、来店につなげる施策として有効 |
ステップ配信 | ・設定した内容やタイミング、期間で、事前に設定した条件に一致したユーザーに対しメッセージを自動的に配信できる | ・友だちの状況や属性に合ったメッセージを適切なタイミングで継続的に送り、集客や購買を促進する ・ブロック率の低下を期待できる施策の1つ |
LINEの運用効果を高めるポイントは「友だち」を増やすこと
ユーザーがLINE公式アカウントを「友だち」に追加してくれると、企業や店舗は友だちに対して直接情報を届けられるようになります。LINE公式アカウントの運用効果を高めるポイントは、この友だちを増やすことです。
ここでは、友だちを増やす重要性や友だちを増やす方法などを詳しく見ていきましょう。
なぜ友だちを増やすことが重要なのか?
なぜ友だちを増やすことが、LINE公式アカウントを運用する上で重要なのでしょうか?LINE公式アカウントを友だちに追加するユーザーの多くは、その店舗やサービス・商品を利用・来店した経験のある人でしょう。
そのためLINE公式アカウントの友だちは、配信された情報との親和性が高く、配信が行動喚起につながりやすいという特徴があります。たとえばLINEビジネスガイドの「ユーザーアクション」統計では、次のような回答結果が示されました。
- 7割弱の友だちが「企業・店舗からのメッセージを読んだ」
- 4割弱の友だちが「LINEで商品を見た後、実店舗やPCサイトで商品を購入した」
この回答結果から、LINE公式アカウントの配信に対する友だちの期待値が高いことがわかります。つまり友だちが増えると配信を受け取る母数が増え、告知を効果的に認知させられることから集客・販促の効果も高まるというわけです。
LINE公式アカウントで友だちを増やす5つの方法
ではどのように運用すれば、友だちを増やせるのでしょうか?ここではLINE公式アカウントで友だちを増やす方法を5つご紹介します。
施策の種類 | 友だちを増やす方法 | 具体的な実践例 |
---|---|---|
オフライン施策 | 店頭POPやポスターを掲げ、スタッフが直接声がけ | ・レジ近くに店頭POPやポスターを貼る ・すぐに活用できる友だち追加特典を用意しておき、お会計の際におすすめする |
QRコードをさまざまな場所に設置 | ・管理画面の「友だち追加ガイド」から友だち追加時のQRコードを発行 ・レシート、DM、チラシなどにQRコードを印刷 | |
オンライン施策 | URLやボタンを設置 | ・SNSのプロフィール欄やYou Tube動画下の概要欄、メルマガのフッターにURLを設置 ・ブログ、Webサイト、LPに追従するバナーやボタンを設置 |
チャットボットを設置 | ・Webサイト、LPに設置したチャットボットがアクセスした際に自動で立ち上がるようにしておく ・詳細については「LINEで問い合わせる」という導線を引いてチャットボットから友だち追加へ誘導 | |
特典にこだわる | ・友だち追加時だけでなく、継続的にクーポン配布や抽選などを実施してインセンティブを提供することが重要 ・メリットなしと判断されるとブロックされる可能性がある | |
「友だち追加広告」を活用する | ・LINEアプリ内のトークリスト、LINE NEWS、LINE VOOMに広告を掲載する ・テキストや画像を工夫して配信効果の高いクリエイティブを事前に用意する必要がある |
一覧でもおわかりいただけるように、LINE公式アカウントで友だちを獲得するためには効果の高いクリエイティブが必要です。また常にページのサイドや下部に追従するバナーやボタンを作成して設置すれば、「友だち追加」につなげる導線を常に確保できます。
効果的なクリエイティブや追従するバナー、ボタンの制作には、スキルや専門性の高いフリーランスへ依頼するのがおすすめです。自社で取り組むより迅速で質の高い成果物を得られますので、検討されてはいかがでしょう。
「あいさつメッセージ」を充実させて友だちとつながる
ユーザーが、LINE公式アカウントを友だちに追加したり、ブロックを解除したりした際に配信されるのが「あいさつメッセージ」です。通常のメッセージ配信では吹き出しは1通あたり3つまで設定できますが、あいさつメッセージでは5つまで設定できます。
ユーザーがアクションを起こしたらすぐに配信されることから、読まれる可能性がとても高いという特徴があります。無料で配信されるため、友だち追加のお礼やアカウントの紹介文のほか、おトクな情報を配信するのがポイントです。
あいさつメッセージでLINE公式アカウントの第一印象が決まるため、充実させましょう。友だちであるインセンティブが大きいと口コミが広がって友だちが増え、ブロック率低下にもつながるので重要な施策です。
セグメント配信でユーザーに有用な情報を届ける
運用においては年齢層・性別・地域などを指定したセグメント配信を実施して、友だちに有用な情報を届ける工夫が欠かせません。友だちを不快にさせるような情報を配信すると、ブロックされる可能性があるからです。また友だちの属性に適した情報を届けることで、売上の向上などの配信効果を高められるでしょう。
たとえば改正民法において成年年齢は18歳に引き下げられましたが、お酒やタバコの年齢制限は20歳のままです。そのため18歳の人にアルコールのクーポンを配信したら、「使えないクーポンをなぜ送ってくるんだ」と思われてしまいます。
このように、それぞれの友だちにふさわしい内容の配信をしていくためにもセグメント配信が重要だというわけです。
LINE公式アカウントの始め方
まずはLINE公式アカウントの料金プラン(2022年12月時点)を、次の表で確認しましょう。なお料金プランの改定が2023年6月に予定されており、日割り料金についても2023年1月末で廃止される予定です。
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
---|---|---|---|
月額固定費(税別) | 0円 | 5,000円 | 15,000円 |
無料メッセージ通数 | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ料金(税別) | 不可 | 5円 | 〜3円 |
ここからは、LINE公式アカウントの始め方を解説していきます。インターネット環境とスマートフォンもしくはパソコンがあれば、アカウントの作成が可能です。ここではPC画面を参照しながら、アカウントの作成方法を見ていきましょう。
LINE公式アカウントの開設ページで「LINE公式アカウントを始める」をクリックすると、次の画面が表示されます。
LINE公式アカウントを開設するには、はじめにLINEビジネスIDの作成が必要です。LINEビジネスIDごとに、LINE公式アカウントは100個まで作成可能です。自社の取り組みに合わせて、使い分けるといいでしょう。
LINEビジネスIDをお持ちでなければ、「アカウントを作成」をクリックしてください。
LINEビジネスIDの作成にあたっては、個人向けのLINEアカウントあるいはメールアドレスのみで利用可能なビジネスアカウントを登録します。
登録が完了したら「サービスに移動」をクリックしてください。
次に、LINE公式アカウントの作成に必要な情報を入力していきます。
入力内容に間違いがないことを確認したら、完了ボタンをクリックしましょう。
入力内容の確認画面で完了ボタンをクリックすると、次のような画面が表示されます。
LINE公式アカウントを作成できたら、管理画面(LINE Official Account Manager)に移動して基本設定を進めましょう。
管理画面での基本的な流れは、次の3つのステップです。
- 画面右上の「設定」から、アカウントの基本設定や公開設定などを行う
- 画面上部の「プロフィール」タブから、プロフィールを設定する
- 画面左側のトークルーム管理下の「あいさつメッセージ」を設定する
プロフィールは企業やブランドの基本情報を掲載できWeb上で公開されるほか、ユーザーが友だち追加する際に表示されます。Webサイトのトップページのような役割を担っていると考えるといいでしょう。
あいさつメッセージの編集は、4つのテンプレートが用意されているので参考にしてください。プレビューを見ながら編集できるので、とても便利です。この3つのステップを完了したら、友だちへメッセージを配信してみましょう。
友だちを獲得したら属性に合わせて配信しよう
本記事では、LINEの公式アカウントを運用して顧客を増やす方法について解説しました。LINE公式アカウントは無料で始められるほか、無料でもすべての機能を使用できるので割安感があります。
友だちを増やすためには、クリエイティブに力を入れたり追従するバナーやボタンを用意したりすることも検討するといいでしょう。その際には、知見のあるフリーランスに依頼するとスムーズに品質の高い成果物を手に入れられます。
友だちを獲得したら、役に立たない情報を配信してブロックされないように属性に合わせた配信を心がけることが大切です。
