横浜F・マリノスのファン、サポーターなどの皆様向けの新電力プラン「横浜F・マリノス電気(愛称:マリでん)」をリリースする横浜マリノス株式会社。サービスロゴはランサーズのロゴコンペで募集しました。サポーター・スポンサー・自社の全ステークホルダーが納得いくものにしたいという想いは、どのようにロゴに反映されたのでしょうか。
納得いくロゴづくりのために、広くアイデアを集める
日本プロサッカーリーグのクラブチーム横浜F・マリノスを運営する、横浜マリノス株式会社。この春、丸紅新電力株式会社とタッグを組み、新しい電力プラン「横浜F・マリノス電気(愛称:マリでん)」をリリースします。
ファン、サポーターなどの皆様のご家庭向けに開発されたこのプラン。加入者の電気料金が安くなり、安く抑えられた料金の一部が応援金として横浜F・マリノスに還元されます。
マリでんのリリースに合わせて、ランサーズのコンペでロゴを作成。今後のプロモーションに使われるだけでなく、横浜F・マリノスの各種冊子やWebサイトにも掲載を予定しています。
マリでんの魅力を伝えるため、今後多くの人の目に触れることとなるこのロゴ。これをフリーランスによる公募で決定した背景には、どんな想いがあったのでしょうか。横浜マリノス株式会社 法人事業本部 法人営業部 武田裕迪さんにお話を伺いました。
型にはまらない提案による集合知に期待
ーーフリーランスからロゴ提案を集められると知ったとき、期待を感じたことはありますか。
一つの制作物を作るためにいろんな人たちの知恵を集める、ということに期待がありました。制作会社さんに依頼すると、弊社の期待通りのロゴをご提案いただくことになりますよね。公募型だと、我々のアイデアや従来の制作打合せでは出てこないような、バラエティ豊かなアイデアが出てくるんじゃないかと思っていました。
手前みそですが、マリでんって本当にいいプランなんですよ。ご家庭の電力使用量によりますが、1世帯の電気代が年間5,000~10,000円ほど安くなり、安くなる分の一部、月々100円が応援金として横浜F・マリノスに還元される仕組みになっています。加入者にとって、電気料金が大幅に下がるだけでなく、贔屓にしているクラブを応援することにもなるんです。
でも加入者の立場からすると、電力会社を切り替えるのって手間がかかりそうなイメージですよね。それだけでなく、電気は安定して供給されるのかなとか、不安もあるわけです。僕もこの取り組みを始めるまで知らなかったんですが、実は電力会社の切り替えにはほぼ手間がかからないし、どの電力会社と契約しても供給安定性やリスクは変わらない。その事実はプロモーションを通じて頑張って伝えていくべきところですが、サービスを正しく知ってもらうことさえできれば、どなたにも前向きに加入検討していただけると思っています。
そして、プロモーションを通じてサービスを正しく知っていただくためには、その前に興味を持っていただくというハードルがあります。ロゴとともに乗り越えたいのはこのハードルです。見た人の目を引いて印象づけるというところで、しっかり活躍してくれるロゴが必要だと思っていました。
ロゴのクオリティって、作り手のデザイナーとしての活動歴の長さと必ずしも比例しないんじゃないかと僕は思うんです。腕試しでもいいので、いろんな方々にチャレンジいただけるのであれば、それは大歓迎でした。沢山の方から幅広くアイデアを募れば、目に留まる、少し先の情報まで見てみようと思わせる、そんなロゴにも巡り合えるんじゃないかと思っていました。
選定プロセスにステークホルダーを巻き込んで、みんなのロゴに
ーー集まったロゴ提案を見たときに、どのように感じましたか。
ポジティブな意味で、すごくびっくりしました。
開催前は、期待はあるにせよ、やはり応募数と質は気になっていたんです。同じくらいの報酬で開催している過去のロゴコンペを見ても、同じ人がまたご提案するとも、同じクオリティの作品が集まるとも限りません。実際にご提案が何件来るか、どんなロゴが集まるかは、やってみないとわからない。コンペ終了まで、やきもきする気持ちが正直ありました。
しかし蓋をあけてみれば、80件もご提案がありました。30案くらいあれば充分選べると思っていたので、とても多くご提案をもらったと思いました。それはもう、嬉しかったです。
集まったロゴもとてもよかった。絞り込むのに大変苦労しました。最終決議に80案すべてを持ち込むわけにはいきませんので、まず僕のほうで、作品を一つ一つ見て、ロゴとして目を引くなと思うものを10案まで絞りました。
その後その10案を部内の会議で公開して、部のメンバーでの人気投票をやってもらいました。その一方で、知り合いのサポーターの方々に会いにいって、サポーター目線でどれがいいと感じるか見てもらいました。こうやって集めたご意見も踏まえつつ、10案を更に3案まで絞り込んだんです。
最終の3案は、丸紅新電力様にも見ていただきました。そこで先方から「これがいいですね」と言っていただいた案が、僕も好きで。最終決議の会議で素直にそれを伝えたところ、そのロゴが本採用となりました。自薦も他薦もうまく重なってくれたなと思いましたね。
ーー最終決定したロゴの評判はいかがですか。
リリース直前の現時点での感触にはなりますが、社内での評判は大変よいです。「『F・マリノス』『電気』というキーワードをイメージしやすい」という声が多いですね。社内だけでなく、丸紅新電力様にも気に入っていただけているのも、とてもありがたいことだなと思います。
マリでんに加入するのはサポーターをはじめとする個人の方々で、弊社と一緒にプランを組み立てたりプロモーションで協働されるのは丸紅新電力様です。僕のためのマリでんじゃなくて、みんなのマリでんですので、ロゴもみんなで見て考えたいという気持ちがありました。「いろんな立場からの支持が厚いから、このロゴです」と言えるようにしたかったんです。
選定のプロセスで一番時間がかかったのは、実は80案から10案に絞るところです。僕の一存で一次選考から外れた案は二度と復活しないので、もしここにすごくいいアイデアが埋もれていたら、全員にとってもったいないと感じたんです。絶対に僕の主観を入れちゃだめだと思いながら、ランサー様からいただいたメッセージ含めて一つ一つ見ていきました。
選定には様々な方に関わっていただきましたが、どなたからも「これがいい。なぜならば……」と、力強いコメントをもらえたのが印象的です。各々のコメントに力が入るようなアイデアをもらえたのは、コンペを実施してよかったなと思うところです。
今回作成したマリでんのロゴは、例えばF・マリノスのスポンサー一覧のような、他のスポンサー企業様の会社ロゴがずらりと並ぶところに、恐らくこの1個だけ、会社のロゴじゃないものとして入る可能性があります。しかも、それがフリーランスの方が作ったものとなると、かなりレアな話ですよね。コーポレートロゴに匹敵する扱いをさせていただく可能性もあるわけですから、説得力もしっかり持たせたい。そのためには、関係者みんなが納得しているだけでなく、愛されるロゴであることが大切だと思っていました。
最終的に、サポーターも、スポンサーである丸紅新電力様も、弊社メンバーも、みんなが支持するロゴに決められたのは、意味のあることだなと思います。みんなで最もよいものを選ぶことができた経験は、長くロゴを使うにあたって、納得感と愛着に強く結びつくと思いますので。
自らの意思での提案だからこそ感じられる本気さ
ーーロゴコンペを終えて、開催前には想定していなかったメリットを感じることはありましたか。
応募作品を見たとき、弊クラブやマリでんのことをすごく考えてくれたのだろうな、と感じるものが多かったんです。そういう純粋さやまっすぐさを感じる作品が集まるのはいいですよね。
ランサーズさんのコンペは、ご提案したら必ず何かもらえるというわけじゃないですよね。ご提案するもしないも本人の自由で、かつ報酬ゼロの可能性もあるのを承知でご提案くださっているわけです。
何が動機かは人それぞれだと思いますが、ご提案くださる方には自らを動かす強い気持ちがあるはずです。当選報酬かもしれないし、名や実績を上げるための足がかりかもしれないし、横浜F・マリノスと何らかの形で繋がりたいからかもしれない。動機はなんでもいいんです。何にせよ、その本気さが、いいご提案を生むんじゃないでしょうか。今回選ばせてもらったロゴも、そういう熱量の強いご提案だったなと思います。
ーー今後のランサーズ活用の展望があれば、教えてください。
サッカークラブへのスポンサーシップと言うと看板やユニフォームに社名を入れるイメージが強いかもしれませんが、それだけではなく、取り組みは多岐に渡ります。今回のような異業種とのコラボレーションですとか、スポンサーの事業成長に貢献しうるプランを立ち上げるみたいなことも、今後増えてきます。前例のない取り組みに邁進するなかで、またフリーランスの方々の知恵や熱量をお借りできたら嬉しいですね。