
東京のシンボルである「東京タワー」。インターナショナルオレンジとホワイトのツートンカラーがメインの塔体は、毎晩、東京の街を優しく照らしてくれています。東京タワーを中心に、観光業や不動産業等を展開する株式会社TOKYO TOWERでは、2023年12月に迎える開業65周年に向けて、周年ロゴをランサーズで発注いただきました。
なぜフリーランスを活用しようと思ったのか、選ばれたロゴに込められた背景など、抱えていた課題感や実際に利用しての感想などを、御担当の方に伺いました。
Lancers活用前に抱えていた課題
コロナ禍を経てインバウンドのお客様が増加し、多様な価値観が混在している今、既存のデザインにとらわれず、より自由で幅広いアイデアを集めたいと考えていました。その方針の中で、高いクオリティを担保したまま、予算を抑え、且つ、多くのデザインを集めることができるプランを探っていました。
Lancersでどのように解決したのか
ランサーズを利用し、フリーランスに向けて作成を依頼したところ、550件を超える斬新なロゴデザインが集まりました。弊社が希望していた、分かりやすく革新的なロゴを選定できました。
「自由で幅広いデザイン案が見たかった」ランサーズを活用した背景
――ランサーズを利用しようと思ったきっかけを教えてください。
大きく二つあります。一つ目はさまざまなフリーランスの方々の自由で斬新なアイデアを拝見したかったからです。
コロナの影響で、東京タワーはここ数年、開業以来の厳しい状況にありましたが、現在はインバウンドも回復し、お客様も増加傾向にあります。コロナ禍を通じ、価値観が大きく変わった今、今まで以上に来場者数を増やすためには、固定観念にとらわれず、さまざまなアイデアやデザインを受け入れる必要があると感じていました。
65周年ロゴの制作は、その一つのきっかけであり、新しい東京タワーのイメージを作っていく良い機会になるだろうと考えました。
二つ目は、高クオリティの制作物を、予算を抑えて発注したかったからです。
弊社では、簡易なデザイン制作以外は、外注をすることが多いのですが、クオリティを担保しつつ、予算を抑えて、さまざまなデザインを募集できる方法はないかと考えていました。
そんなときに、グループ会社である「マザー牧場」が、周年ロゴの作成でランサーズを利用していたことを知りました。その際にかなりの数の提案が集まり、幅広い視点からロゴを選定できたと聞き、ランサーズを利用してみることにしました。
――個人への発注に、不安はなかったのでしょうか?
マザー牧場のコンペ募集ページを拝見し「クオリティの高いロゴデザインが提案されている」と思っていました。制作物のクオリティをあらかじめ確認し、実際に選んだという実績を知っていたので、不安はありませんでしたね。
また、さまざまなタイプのロゴ案が集まっていたところからも、私たちの既存の概念を覆してくれそうな予感がありました。品質が担保されつつ、予算も抑えられそうだったため利用を決意しました。
開業65周年ロゴを発注! 高クオリティな制作物が550件以上集まった
――実際にどのような業務を依頼されたのでしょうか?
2023年12月23日に開業65周年を迎える「東京タワー」の周年ロゴを、ランサーズのコンペ方式で募集しました。過去にも周年ロゴを制作したことはありますが、公募は今回が初めてです。自由で幅広いデザインを募集したかったため、老若男女問わずたくさんのお客様に親しまれることと、インバウンドのお客様が増えていることを踏まえて、あえてガチガチに制約を決めずに、募集させていただきました。
東京タワーは、塔体自体にオリジナリティがあるため、どうしても塔体の表現が同じようになってしまいやすいです。正面からタワーを見るのか、煽って見るのか、斜めから見るのか、あるいはデフォルメして表現するか・・・など、定番の構図以外に、どのようなデザインが集まるのか、「65周年」をどのように訴求するか等が、楽しみでしたね。
<実際の募集ページ>
「東京タワー」を経営する株式会社TOKYO TOWERの「開業65周年ロゴ」
――ランサーズを利用してみていかがでしたか?
高クオリティなロゴが550件以上も集まり、非常に驚きました!多く集まっても300くらいかなと予想していたのですが、締切間近で応募数が加速し、たくさんの方からご提案をいただきました。ただ、いい意味で選考が大変で(笑)社内では嬉しい悲鳴でしたね。
集まったロゴはどれもクオリティが高く、熱量のあるものばかりでした。ランサーの皆さんがお客様目線として普段どのように東京タワーを見てくれているのかが伝わり、新しい視点が得られたと感じています。特に今までのロゴとは別の角度からデザインされたものは光って見えましたね。
――今回選ばれたロゴの背景を教えてください。

コロナ禍を経て、ようやく日常が戻りつつある中で、世界中からインバウンドのお客様が増えています。今まで以上に東京タワーを世界へ発信し、集客していくためにどうしたらいいのかを検討した結果、ビジュアルの親しみやすさや分かりやすさ、世界に誇る日本文化であるアニメーションを意識したキャラクター性が目を引いたことが決め手となりました。
加えて、東京タワーのコーポレートロゴや、過去の周年ロゴにはない可愛さとユニークさを兼ね備えている点から、今回はこの提案を採用させていただきました。65の数字が周年の周知を高め、キャラクターに扮した東京タワーの笑顔が、お客様への「おもてなし」を表現しています。
コロナ禍の影響で、私たちだけではなく、観光業にとっては、非常に苦しい三年間となりました。ようやく元の日常生活が戻ってきたからこそ、ロゴを見て「東京タワーに行ってみようかな」と思ってもらえる一つのきっかけになれば幸いです。
<ロゴデザインを担当したランサー>
ricoさん / グラフィックデザイナー
――社外での反響はいかがですか?
現在、ロゴは名刺やホームページなどに使用しているのですが、名刺を渡すたびに「65周年なのですね」「ロゴ可愛いですね」と会話が盛り上がることが多いです。65周年を知っていただくきっかけが増えていると感じています。今後はロゴを反映させた周年グッズの展開も検討しています。
ランサーズは“公募サイト”ではない。活用するためのアドバイス
――御社のように歴史ある会社の場合、フリーランスの活用を懸念してしまう場合もあると思います。利用を検討している方へ活用のアドバイスをお願いします。
正直、コロナ禍がなければ、弊社もクラウドソーシングの利用は検討していなかったかもしれません。弊社では、2020年の10月にクラウドファンディングを行ったことがきっかけで、新しいサービスを試す良さを感じたことが大きく影響しているからです。自分たちも変化し、新しい風を入れていくことの必要性をひしひしと感じていました。そんな矢先に、マザー牧場でのランサーズ活用を聞いたため、会社として大きな一歩を踏み出せたのだと思います。
ランサーズを検討している企業様は、まずは小さな案件から発注することをお勧めします。ランサーズは単なる公募サイトではなく、応募してきた方がどのような人柄なのかがよく分かるシステムです。一定の条件をクリアした「認定ランサー」という制度があったり、プロフィールからフリーランスの経歴が見れたり、ポートフォリオを確認できるなど、人柄が見えるため一緒に仕事がしやすいです。
一般的な公募サイトでは制作物と応募メッセージしか確認できないところも多く、その点人柄を感じるランサーズでは安心して発注ができるかと思います。
また、私たちの想像を超える自由な発想のデザインをご提案いただけます。ランサーズは日本や世界各国から多くのデザイナーさんが登録されているので、何百、何千の幅広いアイデアを提案いただける点は非常に新鮮で助かりますね!
今回のロゴ募集では、中にはもう少しブラッシュアップすればより良いデザインになる作品もありましたが、全体的にユニークな提案をいただきました。予算を抑えつつ、高クオリティの制作物をいただけるので、まずは気軽に試してほしいと思います。
――今後はどのようにランサーズを使っていきたいですか?
今後は、東京タワーの施設部分のネーミングをランサーズで募集するのも面白そうだと思っています。集客ができるように、ユーザーの立場で斬新なネーミングを集められるといいかもしれませんね。

“日常使い”ができる観光施設へ。日本を象徴する東京タワーの魅力
――ありがとうございます。最後に事業内容や東京タワーの魅力について教えてください。
株式会社TOKYO TOWERは、主に観光業、不動産賃貸業を営んでおります。私は観光本部営業企画課に所属し、集客のための企画プランニングと運営を主に、お客様に楽しんで頂くコンテンツを生み出す業務を担当しています。
東京タワーには、コンセプトの違う2つの展望台(メインデッキ・トップデッキ)があり、季節や時間によって、さまざまな風景をお楽しみ頂けます。私の部署ではイルミネーションやプロジェクションマッピング等を使って、四季折々の季節感を表現する事を大切にしながら、展望台の楽しみ方を増やしています。
最近ではウェルネスブームに乗って、メインデッキまで続く600段の外階段を昇るコースも人気です。正面広場では自治体と組んで食のイベント等も定期的に開催しており、特別なときだけではなく、日常使いができるスポットとして楽しんでいただきたいですね。
東京タワーは港区芝公園に位置し、煌びやかで立体的な景色を、360度眺められます。変化が激しい東京の中心で、昭和・平成・令和と65年に渡って、変わらずに立ち続ける姿は、もしかしたら安心感や癒しを、多くの方々に与えているのかもしれませんね。いよいよ今年の12月23日には開業65周年です。ぜひ東京タワーに気軽にお立ち寄りください。そして、100周年に向けて変化し続けるタワーを一緒に見守っていただけたら幸いです!
取材・文:田中青紗
https://www.lancers.jp/profile/sayakatanaka
テレビ番組制作会社の勤務を経てフリーライターに。インタビュー記事、エッセイ、コラムなどの執筆をしています。
