“畜産王国”といわれる九州。その中でも熊本県・阿蘇地域は豊かな草原で育てられる「あか牛」の産地として知られています。熊本県の農業高校で教員を務める吉永憲生さんは、そんな阿蘇の草原を維持する活動を行うためにオリジナルの名刺を作成することに。初めてランサーズを使ってロゴデザインを依頼したところ、熊本県出身のランサーと出会うことができたそうです。
ランサーズを選んだ経緯や初めてのプロ人材への依頼で気をつけたこと、利用して感じたメリットなどを詳しく伺いしました。
抱えていた課題
ロゴが必要になったが付き合いのあったデザイナーに頼めず、別のデザイナーを探していた。
Lancersでどのように解決したのか
これまでとは違う、さまざまなデザインに出会えた。
熊本につながりのあるランサーに依頼することができた。

目次
阿蘇の草原を守りたい!地域活動に使う名刺を作るためにデザイナーを探し、ランサーズを発見
――吉永さんのプロフィールを簡単に教えてください。
熊本県立農業高校で教員をしています。普段は、午前中は教室で授業をして午後は農場に出て実習をしています。生徒たちにはできるだけいろんな経験をして、学びを深めていってほしいという思いから、様々な活動をしています。
――ランサーズはいつごろ、どういった経緯で利用し始めたのですか?
2022年7月に利用登録をしました。そのときは地域のデザイナーを探していて、何気なく「熊本県 名刺 デザイン」といったキーワードでネット検索したところ、ランサーズがヒットしたんです。それまでランサーズというサービス自体を知らず、当初探していた地域のデザイナーというわけでもなかったのですが、興味がわいて使ってみることにしました。
――なぜデザイナーを探していたのですか?
名刺のロゴデザインを頼みたかったんです。教員としての名刺はあるのですが、新たに課外活動のようなものを始めることにしたので、一目で活動内容がわかる名刺が必要でした。
――課外活動ということですが、具体的にはどのような活動ですか?
熊本県の阿蘇地域にはとても美しい草原が広がっています。ですが高齢化や人口減少により、草原の維持が非常に難しくなってきているんです。
阿蘇に降った雨が地下に浸透して熊本市などの都市部の地下水になり、私たちはその恩恵を受けて生活しています。だから自分も何か、阿蘇の草原を維持するためのお手伝いがしたいと考えました。私の専門は牛の畜産ということから、牛の放牧を通して草原を守る活動を始めることにしたのです。
コロナ禍でもオンラインならつながりを探せる。一つの依頼文から幅広いデザインの提案が届く
――今回初めてランサーズを利用されましたが、それまではロゴなどデザインが必要なときはどこに依頼していたのですか?
こういったデザイン関連で頼みたいことがあるときは、地域に住む知り合いのデザイナーに依頼していました。今回もそのつもりだったのですが、タイミングが悪く、忙しいからとお受けしてもらえませんでした。それで新しくデザイナーを探すことにしたんです。
――今までは対面で、お互いをよく知っている方にお願いしていたとなると、ランサーズで知らない方に、しかもオンラインで頼むことに不安はありませんでしたか?
特にありませんでしたね。ランサーズを使ったことには二つ理由があって、一つ目は、当時新型コロナウイルスが再流行していて、リアルではさまざまな行動制限があったという点です。ランサーズを使うことで、オンラインでもデザイナーを探せました。
二つ目は、知らない方にデザインを頼むことが楽しそうだったからです。今までデザインをお願いしていた方は私の好みをよくわかっていて、細かく指示をしなくても私が望んでいることをくんでくれました。だからいつも希望通りのデザインが完成していました。
その一方で、今までとは全然違う切り口のデザインも見てみたいと思っていました。たった一つの依頼文からランサーのみなさんがどんなことを感じてどんなデザインを提案してくれるのか、考えるだけでワクワクしました。だから依頼を出してすぐのころは提案がきていないか、1時間に1回はランサーズをチェックしていましたね。
最初の提案まではわずか1時間。登録されている人材の豊富さを実感
――依頼の際はどういった点を心がけましたか?
依頼文では、全体的なロゴデザインのイメージを提示してから、細かい希望を記載するようにしました。具体的には「草原で悠々と放牧されている褐毛和種をイメージさせるデザイン」という大きなテーマを掲げた後で、ほかの細かな希望を示しました。
知らない方に頼むことになるため、まず私が自分の考えをちゃんと整理して、相手に意図が伝わるように言語化する必要があります。その点で、自分の思考を整理する機会にもなりましたね。
――そういった依頼文の工夫は、ランサーズ上のほかの案件を参考にされたのですか?
いえ、当時は使い始めたばかりだったのでよくわかっておらず、自分で考えてやりましたね。でも今やるなら、ほかのデザイン関係の案件を参考にしたと思います。
――今回の案件には、55件とかなりの数の応募がありました。
想定以上の反応でしたね。こんなにも多くの方に関心を持ってもらえるとは、正直思っていませんでした。しかも最初の応募は、依頼開始から1時間くらいで来たんです。仕事の早さに驚きましたし、それだけ多くのデザイン関係の方が登録されているんだと、人材の豊かさを実感しましたね。
――最速で1時間でデザインがあがってきたということですが、これまで知り合いの方に頼んでいたときは、依頼から納品までどのくらいかかっていましたか?
内容にもよるので一概にはいえないのですが、親しいこともあって、相手が忙しいとわかると私も急かすことができなくて……。そのため依頼した後は、相手からデザインがあがってくるのをただ待つしかありませんでした。受け身だったんです。でもランサーズは真逆で、ランサーさんからどんどん提案をしてくれます。全然仕組みが違うんだと感じましたね。
価格についても、私はランサーズ上で提示される適正価格に合わせて設定したのですが、デザイナーに直接頼むよりも安くすんだと思います。
当選者はまさかの熊本出身。デザインににじみ出た熊本とのつながり
――実際に提案があった55件のデザインは、クオリティの面でいかがでしたか?
よくある一般的なものもありましたが、思いを込めて作ってくれていると感じるものが多かったですね。デザインは使う人や店の象徴になるので、責任を持って作ってくれて、ありがたいと思いました。
――個性豊かで、それぞれの思いが込められたデザインの中から、どのようにして当選者を決めたのですか?
すごく難しかったのですが、依頼文に書いたことが私の希望ですので、それに一番近いデザインを選びました。
実は当選者を選んだ後にわかったことなのですが、そのデザイナーの方は、なんと熊本県の出身だったんです。しかも今は関東にお住まいですが、幼いころに阿蘇地域に行ったことがあるそうです。当時見た景色を思い出しながら制作したのだと教えてくれました。ぬくもりや思い、活動への応援の気持ちを感じるデザインだったので、そういう背景があるとわかって、さらにこの方を選んで良かったと思いましたね。
――すばらしい出会いですね。提案文には記載されていなかったものの、デザインに熊本とのつながりを想起させるものがあったのでしょうね。そのデザインを使った名刺は周囲からの反応はいかがでしょうか?
とっても好評です。私が牛に関わる仕事をしているのだと一目でわかりますし、ロゴが会話のきっかけになることもあるんですよ。非常に満足しています。
自分とは違う視点からの提案が学びに。学校の活動でもランサーにアドバイスをもらいたい
――ランサーさんとのやりとりで心がけたことはありますか?
お互いに気持ちよく取引ができるようにしたいという思いから、質問にはできるだけ早くお答えして、言葉づかいにも配慮しました。
――初めての利用でしたが、もっとこうすればよかったという点はありましたか?
今回は「名刺に使うロゴデザイン」と限定して募集をかけたのですが、もっと自由度を高くしてもよかったと思っています。用途を限定してしまうと、デザイナーさんの個性を制限することにつながりかねません。次に依頼するときは、ここはよく考えたいと思います。
――これからどのようにランサーズを活用していきますか?
初めてランサーズを使ってみて、本当にいろんな方が登録されているのだとよくわかりました。農業高校では、商品を作って実際にお客さんに届けるところまで生徒が自分たちでやります。そのときに商品の特徴を伝えるロゴやネーミング、輸送方法の知識などが必要になるのですが、私には専門知識がないので、それらに詳しいランサーさんからアドバイスをもらえたらいいなと思っています。ただ学校の制度上、それが可能かどうかがわからないので、まだアイディア段階ではあります。
――最後に、初めてランサーズでプロ人材に仕事を頼みたいと考えている方に向けて、アドバイスをお願いします。
私たちはついつい自分の好みや主観で物事を進めがちですが、ランサーズを利用することで、自分とは全然違う視点から提案をいただくことができます。すごく刺激になりますし、自分の関心を広げることにもつながるので、一度活用してみるといいと思います。
取材・文:ひろみね
https://www.lancers.jp/profile/Merry5
報道記者、大学職員を経てフリーライターに。インタビューやコラムなどを多数執筆している。
