自社のロゴを作ると、会社の信用性も高まりますし、自社のブランド力も上がります。今からロゴ作成しようとしている企業も多いでしょう。ロゴを制作したら、独占的に利用するためにも商標登録をするべきです。商標登録するといろいろなメリットがありますが、注意点もあります。

ロゴを商標登録する必要性とは?
ロゴを作ると、企業のブランド力を強化することができますし、宣伝効果も高いです。
企業はロゴによって企業理念やビジョンを社会に知らしめることができますし、ロゴがあると企業のイメージアップにつながります。信用性も獲得できるので、取引がしやすくなったり顧客獲得に役立ったりすることもあるでしょう。さらに、インパクトのあるロゴを作ったら、覚えてもらいやすくなって、利用されるチャンスが増えます。
ただ、ロゴを作っても商標登録しなければ、他の会社や個人が勝手に同じロゴや類似のロゴを作って使われてしまう可能性があります。商標登録しない限り、保護を受けられないので黙ってみているしかありません。
そこで、ロゴ作成後には、必ず商標登録すべきです。著作性が認められないロゴであっても商標登録することはできます。
ロゴの商標登録のメリット・商標登録なしのデメリット
ロゴを商標登録するメリットとは
それでは、ロゴの商標登録にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
独占的にロゴを利用できる
まず、そのロゴを独占的に利用できることです。商標登録をすると、他者はそのロゴを使うことが認められません。
もし勝手に使われたら、使用者に対し、差し止め請求や損害賠償請求ができます。また、いったん自社が商標登録したら、他者は同じ商標を登録できなくなります。
類似のロゴを使われなくなる
商標登録すると、類似の商標も使用が認められなくなります。まったく同じものではなくても真似されると自社イメージが低下するおそれがありますが、商標登録すると、もし真似をされても利用を差し止めたり、無断使用している人に対して損害賠償したりすることができます。
半永久的にロゴが保護される
商標は、特許や著作権のような期限がなく、更新を続けると永久的に維持することができる点もメリットです。
社会における信用が高まる
さらに、商標登録すると、社会における信用が得られて広告宣伝に利用できますし、自社製品のブランド化も可能になります。財産的価値が認められ、要らなくなった場合には譲渡も可能です。
ロゴの商標登録しない場合のデメリット
それでは、ロゴの商標登録をしないと、どのようなデメリットはあるのでしょうか?
この場合、ロゴを勝手に他人に使われるおそれがあります。ロゴを作っても著作物性が認められるとは限りませんし、勝手に他人に使われてしまっても文句を言うことができません。ロゴには著作物性が認められないことも多いので、著作権を理由として差し止めや損害賠償請求をすることも難しくなります。
また、自社より先に他人(他社)が商標登録してしまったら、その商標はその他社のものになってしまうので、自社が使うことができなくなります。
自社が作ったロゴなのに、自分で使うことができず、他社にとられることになるのです。他社が適法に商標登録してしまったら、その他社がその商標によってどれだけ利益を得ても、自社は指をくわえてみているしかありません。
このように、商標登録しないと多大なデメリットがあるので、ロゴを作ったら今すぐ使わないとしても、とりあえず商標登録しておくべきです。
ロゴ商標と文字商標の違いと選び方
次に、ロゴ商標と文字商標の違いと選び方について、ご説明します。ロゴの商標を取得するとき、ロゴ商標と文字商標という分類をすることができます。
ロゴ商標とは、イラストなどを使うデザインのロゴです。イラストだけの場合もロゴ商標ですし、イラストと文字を組み合わせている場合にもロゴ商標となります。
例:ランサーズ株式会社が出願人の図形商標(ロゴ商標)
これに対し、文字のみで構成されている商標は文字商標です。
例:ランサーズ株式会社が出願人の文字商標
ロゴ商標と文字商標のどちらを登録すべきかで、迷ってしまうことがありますが、その場合の選び方の基準をご紹介します。
商標権として保護を受ける権利の内容は、ロゴ商標も文字商標も同じです。ただ、類似性の判断においては、結論が変わってくる可能性があります。
たとえばイラストと文字の組み合わせのロゴ商標を登録しているとき、文字部分を真似されたら、類似性が認められないおそれがありますが、文字商標として登録していたら類似性が認められて差し止め請求ができるケースがあります。反対に、文字商標を登録している場合には、自社のイメージイラストを真似されても差し止め請求ができません。
そこで、商標登録するときには、できればロゴ商標と文字商標の両方を登録した方が保護が強くなります。
費用的な問題でどちらかに絞る場合には、 自社がよく使うタイプの形態で、ロゴの商標登録をすると良いでしょう。ネーミングに特徴があるなど文字メインなら文字商標、イラストにインパクトがあるイラストメインならロゴ商標にするなどがおすすめです。
ロゴ商標と著作権の関係はどうなっているの?
次に、ロゴ商標と著作権の関係についてもご説明します。
まず、ロゴ商標には、常に著作物性が認められるとは限りません。著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です(著作権法第2条1号)。ロゴの場合、思想または感情の表現ではないこともありますし、創作性に欠けていることも多く、必ずしも著作物にはならないのです。その場合には、ロゴのデザイナーにも著作権は認められません。たとえば、文字商標の場合には、基本的に著作物性は認められないと考えられています。
ただ、ロゴ商標にも個性的なイラストや絵柄などが使われている場合、著作物性が認められることがあります。この場合には、デザイナーの著作権との衝突が起こります。
商標権と著作権が抵触する場合の考え方について、商標法29条では、「商標出願をしたときに、すでに他人の著作権が存在するなら、著作権と抵触する部分について、登録した商標を利用することができない」と定めています。つまり、他人の著作権を侵害する形での商標利用は認められていないのです。
そこで、ロゴ商標を登録するときには、必ずデザイナーから著作権の譲渡を受けておく必要があります。譲渡を受けたら自社が著作権者になるので、登録した商標を自由に利用できます。
商標登録をしてロゴをフル活用しよう!
以上のように、ロゴを制作したら商標登録をすべきです。商標登録しないと、せっかく作ったロゴを独占的に利用できませんし、まったく無関係な他人や他社に勝手にロゴを使われても文句を言えなくなってしまいます。しかも、先に商標登録されると、自社が使えなくなってしまうおそれもあり、大変な不利益を受けることになります。
ロゴの商標登録をするときには、ロゴ商標にするのか文字商標にするのかについてもよく考えて検討しましょう。また、ロゴに著作物性が認められる場合には、デザイナーから著作権の譲渡を受けておく必要性も高いです。
今回の記事を参考にして、自社のロゴを作成し、商標登録して自社のブランドイメージや信用力の強化に利用しましょう。
法律系ライター:ミミ
約10年間弁護士として、個人様の債務整理や離婚、交通事故などの問題や、企業様の契約交渉や債権回収、事業再生などの問題の解決を行なう。
事務所の所長として、経営者経験あり。現在はライターに転身して、法律系をはじめとした記事執筆を手掛ける。
それ以外にも不動産や税金、社会制度やビジネス、健康、ペットや各種のセールスライティング、ホームページの記事作成やアフィリエイト記事など、非常に多岐に及ぶ記事を執筆。
