新しく立ち上げるWebサイトやプロジェクト、会社やブランドなど、色々なものにロゴは存在します。ロゴは目に馴染みやすくシンプルに作られていることが多く、一見、すぐに作れてしまいそうですが、そう簡単ではありません。もし、自社で使うロゴを発注することになったら、発注前に基本的なことは押さえておきましょう! 今さら聞けない、ロゴのいろはについてご紹介します。

そもそもロゴの役割って?
ロゴは、会社の文化や理念などをグラフィカルな形で表現することで、多く人の目に触れさせ、会社の存在価値を世の中に広く知らしめていく役割を持っています。いわば企業や製品・サービスなどの顔です。
文化・理念を言葉ではなくビジュアルイメージで表現するもの全般を指す「ビジュアル・アイデンティティ(VI)」というものがありますが、ロゴはこの、「ビジュアル・アイデンティティ(VI)」の一種です。
ロゴを考える上で重要なこと
ロゴと一口に言っても、社名やブランド名だけで構成されるものもあれば、マークとセットで構成されるものもあります。例えば、リクルートならば頭文字の「r」のシンボルマークと「RECRUIT」という社名を組み合わせて構成されています。スターバックスだと、シンボルマークである丸い絵と「STARBUCKS COFFEE」の文字列で作られています。
こういった構成を考える上で最も重要なのは、その会社は何を大切にしているのか、どういった理念のもとで経済活動しているのか、を掘り下げること。
製品であれば、どういった特徴があって、他とはどういう違いがありどこが強みなのか、それ次第でロゴの作り方も変わってきます。様々な案を出していって条件が複雑になったとしても、大前提の「ロゴは会社の文化や理念を視覚化したもの」というのを忘れてはいけません。
ちなみに、ロゴを発注する際にやってしまいがちなのは、担当者やその会社の社長が「青が好きだから」、「こういう形が好きだから」と趣味で決めてしまうこと。ですが、それと会社の目指すイメージは、必ずしも一致しません。色や形には、それぞれ「持たれるイメージ」があります。
世の中に狙い通りに認知されるために、デザイナーとの間ですり合わせをしっかり行いたい部分です。
ロゴ作成にかかる時間
最も時間が必要なのは、作業に入る前のヒアリングの段階。企業の目指す方向を正確に掘り下げるためにも、必ず対面、難しくてもスカイプなどで、打ち合わせを行いたい部分です。
ここで“幹”の部分を固めてしまえば、ロゴに使う色や形のパターンはある程度絞られてきます。
ロゴが完成するトータル日数はピンキリですが、実作業自体はひとつあたり1~2日ほどです。しかし、事前の入念なヒアリングや、認識のすり合わせ、ロゴを制作したあとのルールの取り決めの時間なども加味すると、最低でも半月以上はみましょう。
ロゴ制作後のルールって?
いざロゴが完成すると、ロゴを使用するにあたってルールを決める必要があります。
例えば、ロゴの余白領域の設定(アイソレーション)。
何かの紙媒体でロゴを使用する際、ロゴ周辺の余白に、何らかの文字やマークを書いてしまうと、それがロゴの一部のように見えてしまう可能性があります。そうならないために、ロゴの周りにどの程度の余白を設けなければならないかを明確に定めるのです。
文字の位置や置き方についてもルールを定めます(レギュレーション)。例えば、「タチツテト」を見ると、「ト」は右に離れて見える性質があるように、文字同士の間隔は、それぞれちょうどいい距離があります。
ロゴ制作時に、デザイナーが文字ごとの間隔を調整していますので、文字の位置を勝手に変えるといったことはNG、とルールで決められることがほとんどです。ほかにも、
- 傾けたり縦横比をいじるような変形
- 色替えの禁止
- 白黒で使用する場合の指示
- 印刷時の特色指定
- 使用可能最小サイズを定める等
などがレギュレーションに含まれます。
ロゴ発注の際のやり取りで覚えておきたい用語
シンボルマーク
いわゆるロゴに使われている印象的なマークのこと。例えば、スターバックスの丸い絵など。
ロゴタイプ
社名・製品名などのテキストロゴのこと。
タイプフェイス
ロゴタイプの、フォントや形状などのスタイルのこと。
アイソレーション
ロゴに定められた余白領域。この領域内には他のデザイン要素を配置することは不可。
レギュレーション
ロゴの使用ルールについて定めたもの。傾け禁止・色替え禁止・使用可能最小サイズなど。
発注者側は、デザイナーに依頼するだけ、と思ってしまいがちですが、ロゴ作成におけるデザイナー目線の話や用語についてを知っておくと、やり取りがスムーズになります。発注する前に、ぜひ参考にしてみてくださいね。
