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会社の業績を上げるBtoBのクレーム交渉

デパートやホテルなど、BtoC(対個人)事業では、クレームを糧とし成長しようというのは当たり前のこと。高いホスピタリティで有名なリッツカールトンも、クレームを財産としていることで知られている企業ですね。BtoB事業でも最近、クレーム対応の重要性が注目されるようになっています。そこで、BtoB事業ならではのクレームについて、クレーム対応のプロに話を伺いました。

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クレームと苦情・苦言は同じではない

クレーマー
そもそも、クレームの定義とは何? クレームアドバイザーとして著名な関根眞一氏の弟子、歯科医でクレーム対応の講演なども行っている山崎芳徳氏に話を伺いました。

「クレームとは不当な要求のことです。苦情や苦言、改善要求とは違います」 / 山崎芳徳氏

主張する方は正当と思っていても、捉える方が不当だと判断すれば、それはクレームになってしまいます。逆に、一見過大な要求に思えても、捉える方が苦言をいただいたと思えば、それはクレームではなくなります。

「BtoB間でもBtoC間でも、クレーム対応の基本は話を聞くことです。相手が何を言おうとしているのか、しっかり最後まで話を聞くのが重要です」 / 山崎芳徳氏

正確にメモを取り、慌てず冷静に考えてから説明。現場を確認し、スピーディに対応することも大切です。しかし、これがクレーム対応初心者には難しいですね。

「まずは場数を踏むこと。場数が少ない時はロールプレイなどで練習するといいですよ」 / 山崎芳徳氏

クレーム対応の基本はBtoB事業、BtoC事業どちらも同じ。関根眞一氏によるクレーム対応の7か条をあげておきましょう。

  • 非を認めて謝罪
  • 感情を抑えて素直に聞く
  • 正確にメモを取る
  • 慌てず冷静に考えてから説明
  • 現場を確認する
  • 迅速かつ正確に対応する
  • 対応は平等に

BtoB事業クレーム担当者の心がまえ

クレーマー
対企業、対消費者、どちらもクレーム対応の基本は同じ。ですが、相手が企業だと金額も大きくなりますし、関わる人の数も違うので問題は複雑です。クレーム対応の7箇条が基本なら、BtoB事業でのクレームは応用編といったところ。企業のクレーム担当者はどういった心がまえでいればよいのでしょうか。

「まずは、相手の話を聞き遂げること。それからすぐに答えを出さないこと」 / 山崎芳徳氏

“迅速に対応するのとすぐに答えを出すのは違う”。ですが誤解している人が多く、答えを急ぐ人が多いそうです。迅速に足を運び、話をよく聞き、非を認めて謝罪することは必要ですが、早急に答えを出す必要ないと言います。

上司に相手の主張を報告しなければなりませんし、そもそも、合意には時間がかかるもの、交渉は短時間でしようとせず時間をかける必要があります。

相手の担当者から、その場で「対応によっては今後の付き合いを考える」と迫られた場合でも、「お気持ちはわかります。申し訳ありません。上の者にしっかり伝えます」と繰り返し、答えを出さないでいるしかありません。そして、会社に戻ったら内容を正確に上司に報告しましょう。

判断をするのは上司、もしくはさらに上の経営者だという意識が必要です。

BtoB事業クレームで判断に迫られた時には

クレーム対応

実際にあった話です。メーカーAは企業Bにある機械を納品。その機械が早い段階で故障しました。メーカーAは修理を申し出ましたが、Bは返品交換を主張。機械は数千万するもので交渉は長引きました。こういった場合、判断するのは担当部署のトップ、経営者など。いわゆる経営陣です。

「BtoB事業でのクレームで判断を下す際に重要なことは、“会社の利益になるか”“世の中のためになるか”ということ。社会的な要素を含むのがBtoC事業のクレームと異なります」 / 山崎芳徳氏

過大な要求と思えても、企業Bの業績が好調で今後メーカーAと取引を拡大する意向があるのなら、経営陣として甘んじて受ける必要があるかもしれません。また、企業Bの業績が悪くこの先納品が見込めないなら、対応は違ってきます。

結論としてメーカーAは、Bとの付き合いを優先し返品交換を行いました。

  • 相手企業の経営状態はどうか
  • 力関係においてどちらが上か
  • 主導権がどちらにあるか
  • 人として正しい判断か

そういったことを踏まえて判断することが必要だと山崎氏は言います。「新規開拓が難しい現代。新規開拓よりもクライアントを放さない努力も必要です」。クレーム対応を積み重ね、企業の財産として業績につなげてゆきたいですね。

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