WordPressは世界中のさまざまな業種の企業サイトに使われているCMSです。WordPressが大きなシェアを持っているのは、それだけたくさんのメリットがあるからです。もちろんデメリットもいくつかありますが、対策することでメリットの多いWordPressを導入する価値がさらに上がります。
本記事では、WordPressのメリット・デメリット、デメリットの対策方法、さらに作成可能なサイトについて詳しく解説します。

目次
WordPressを採用する8つのメリット
会社やお店のWebサイトをWordPressで構築する、以下の8つのメリットを解説します。
- ブログのように直感的に操作できる
- SEOへの対策を行いやすい
- 無料で利用できる
- テンプレートやテーマが豊富でデザイン性のあるWebサイトを構築できる
- プラグインでECサイト(ネットショップ)化できる
- 解説情報が多くて開発しやすい
- どこでも投稿できる
- 有料でサポートしてくれる業者もいる
1. ブログのように直感的に操作できる
企業のWebサイト(コーポレートサイト)を構築・運用するとなると、Web担当者はプログラミングやデザインの高度な知識が必要になると感じてしまうかもしれません。Webサイトをつくる際には、それぞれのページを魅力的に仕上げるために専門的な技術を駆使し、コンテンツを増やしていくことが必要になると考えていませんか。
これでは、ハードルが高すぎてサイト作成が後回しになってしまいます。
WordPressは一度導入してしまえば、記事を追加したり編集したりする作業は簡単にできるようになります。ブログやSNSを普段使っているWeb担当者がいれば、サイトのデザインに従って文章やイメージ画像を投稿するだけです。直感的に操作でき、必要に応じてコンテンツを増やすことができます。
2. SEOへの対策を行いやすい
コンテンツを持ったとしても、自社サイトに訪れてくれる人が少なければ成功とはいえないでしょう。自社サイトへの流入量を増やすには、SEO対策は欠かせません。Googleなどの検索エンジンが、自社サイトを上位で表示してくれるように、サイト全体の構成をカスタマイズする必要があります。
WordPressは、検索エンジンに高く評価されるための構造や機能を備えています。WordPressは、Webサイトのページ階層がきちんと整理されるようにコンテンツを増やせるのです。
検索エンジンは、WordPressのような明解なページ構造を持つWebサイトを高く評価します。例えば、GoogleのSEOスターターガイドには「Googleはサイト全体でページが果たす役割を把握しようとします」とあり、Webサイトの階層の重要性に言及していることに注目してください。
階層としてWebサイトの全体がわかりやすく整理されているWordPressは、基本的にSEO対策と相性が良いといえます。また、後述するWordPressのプラグインやテンプレートによって、さらに踏み込んだSEO対策が可能になります。
3. 無料で利用できる
WordPressは、無料でダウンロード・インストールが可能です。サーバーにインストールして各種ページを作成・投稿すれば、Webサイトの運用を開始できます。つまり、WordPressを利用すればWebサイト作成のツール・アプリケーションを購入する必要がなく、サーバーとドメインさえあれば、サイト構築に必要な環境をそろえることが可能なのです。
また、Webサイトをより魅力的にするためのカスタマイズを助けてくれるWordPressプラグインやWordPressテーマにも、無料で使用できるものが多数用意されています。Webサイトを運用していく上で、必要なことの多くをコスト無しで実現できるのは大きなメリットです。
4. テンプレートやテーマが豊富でデザイン性のあるWebサイトを構築できる
WordPressの大きな魅力のひとつは「WordPressテーマ」と呼ばれる豊富なデザインテンプレートです。
競合他社のWebサイトなどで、ダイナミックな動きがあって魅力的な仕上がりになっているものがあるとします。同じようなクオリティのWebサイトを持ちたいと思いWeb制作会社に依頼すると、かなりの費用がかかってしまうことでしょう。
しかし、他社に似ているデザインや機能を備えるWordPressテーマを探すと、大抵は希望に近いテンプレートを見つけられます。
多くのWordPressテーマは無料で提供されています。テンプレートの種類は多数あり、デザインが他社と似通ってしまう心配もありません。
また、有料のWordPressテーマを導入するにしても、利用料を一度払うだけでテーマの開発会社からサポートを受けながらWebサイト構築ができるので、制作会社にWebサイトの構築を依頼するよりもコストパフォーマンスに優れます。
5. プラグインでECサイト(ネットショップ)化できる
WordPressにはプラグインと呼ばれる、Webサイトに付加的な機能を追加できるツールがあります。WordPressの基本機能に含まれていない機能を、専門的なプログラミングなどの知識がなくても、プラグインとして簡単に導入することが可能です。
WordPressの管理画面にあるプラグインの項目から、簡単に有効化・無効化の設定ができるようになっています。
プラグインがあれば、ユーザーエクスペリエンス(UX)を改善したり、セキュリティの向上の機能を追加したりということができます。例えば、投稿に使用した画像を圧縮してくれるプラグインを使うと、ブラウザ上の画面表示速度が向上して、ユーザーのストレスを軽減してくれます。
また、スパムメッセージの投稿ができないようにしてくれるプラグインもあり、Web担当者の運営作業の負担を軽くしてくれます。SNS連携をしたり、お問い合わせフォームを追加したり、Webサイトにネットショップ機能をつけたりするときにも、プラグインを活用して、簡単に機能を増やせることも魅力です。
6. 解説情報が多くて開発しやすい
自社のWeb担当者を中心に内製で自社サイトを構築する場合には、Web制作会社に外注するわけではないので、不明点や課題に直面した際に手厚いサポートを受けられるわけではありません。
ですが、WordPressは利用者の多いCMSなので、課題や不明点をインターネット上に多数公開されているハウツーページを閲覧して解決できます。つまり、利用者が多いCMSなので、情報量も多くてなにかわからないことがあっても自身で調べて解決することが難しく無いということです。
実際に、多くのサイトがWordPressの使い方について解説しています。自社の担当者だけではわからないプラグインを実装する方法や、セキュリティ強化の施策などの情報を閲覧して、業務を進めていくことができます。
7. どこでも投稿できる
WordPressは、アプリケーションソフトで動作するものではありません。管理画面自体もWeb上に存在し、インターネットに接続できる環境があれば、どこからでもアクセスが可能です。そのため、記事を投稿したり、掲載している情報を編集したりすることが簡単に行えます。
セキュリティ対策のためにアクセスの制限を付与することも可能ですが、サイト管理の仕事だけのために、会社のパソコンの前に行かなくてはならないという状況は避けられます。自由な働き方を重視したい事業者のニーズにもマッチしており、Webサイト運用をうまく軌道に乗せるためにはWordPressは使い勝手が良いCMSです。
8. 有料でサポートしてくれる業者もいる
自社のWeb担当者でさまざまな機能を追加して順調に運用していても、問題が全くないということはあり得ません。専門的な知識を持ったプロフェッショナルに相談したいというシーンもあるでしょう。
「常駐してもらうほどではなくても専門家の知恵を活用したい」といったときには、WordPressのコンサルティング業者に依頼しましょう。開発の岐路となる状況でスポット的に相談でき、解決策を提案してもらえます。
WordPressの6つのデメリットの対策方法
WordPressで自社サイトを構築するデメリットもありますが、対処方法があります。デメリットに対する下記の対処方法の詳細をご紹介します。
- WordPressを簡単に構築できるレンタルサーバーを使う
- セキュリティの脆弱性に注意して構築する
- カスタマイズが難しいなら外注する
- 静的サイトに比べて遅い表示速度を改善する
- プラグインやテーマの互換性を持たせてエラーを減らす
- WordPressのアップデートはプラグインのエラーに注意する
1. WordPressを簡単に構築できるレンタルサーバーを使う
WordPressはインストールする場所(サーバー)が必要です。また、WordPressで構築するWebサイトにアクセスするためのURL(ドメイン)も必要です。通常はドメイン業者からドメインを購入した上で、サーバー業者に月額1,500〜3,000円でサーバーをレンタルして、WordPressをインストールします。
WordPressがあれば簡単に投稿できるようになるとはいえ、Web担当者の作業はそれだけというわけにはいかないのです。
レンタルサーバー業者の中には、WordPressの簡単インストールサービスを提供している業者もいます。このような業者からサーバーをレンタルすれば、レンタルサーバーの管理画面にログインして、WordPressをワンボタンでインストールできます。
さらに、ドメイン設定のサービスも同じレンタルサーバー事業者が取り扱っていて、連携して簡単にドメイン取得とセッティングまでできるものもあり、便利に活用できます。
WordPressを使って自社でWebサイトを構築する場合は、サイト制作会社にお任せというわけにはいきません。しかし、自社の用途や目的に最適なレンタルサーバー選びができるなら、スムーズに運用が開始できるので、WordPressのインストール作業を負担だと感じないというケースも少なくありません。
2. セキュリティの脆弱性に注意して構築する
WordPressにはセキュリティに問題があるというニュースが定期的に報告されています。
確かに、Webサイトの攻撃者にとって、利用シェアの高いWordPressサイトは攻撃の対象となりやすいことは事実です。実際に、投稿内容を書き換えられたり、Webサイトを乗っ取られてしまったりといったケースも存在します。
しかし、WordPressを開発する非営利団体「WordPress Foundation」は、随時セキュリティホールへの備えや対策を行っています。また、WordPressには、Webサイト運営者がセキュリティを強化する対策も用意されています。
攻撃を目的とした不正なアクセスの大半は海外からのものです。そのため、例えばサーバーの設定やプラグインなどで、IPアドレスの制限を施して、海外からのアクセスを完全にシャットアウトするといった対応が可能です。
また、管理画面へのログインパスワードを複雑にしておくという基本的な対処法も有効です。セキュリティ対策のためのプラグインには、管理画面のURLを任意のものに変更してくれるなど、攻撃への有効な対策ができるものがあるので、導入を検討しましょう。
3. カスタマイズが難しいなら外注する
基本的なWebサイト運用は開始できたものの、集客力強化やコンバージョン率向上の段階で問題になるのが、自社のWeb担当者だけでは知識やリソースが不足していて、有効なプラグイン導入やWebサイトへのデザイン変更が難しいケースもあるでしょう。
Webサイトのカスタマイズのために新しいスタッフを雇うような余裕がない場合は、Webサイトがそのまま放置されてしまうケースも少なくありません。
WordPressの単発的なアシストを担当してくれるサービスを利用して、自社で内製・対応できない作業だけを切り出して外注すると、運営サイトのブラッシュアップを進めることが可能になります。常駐してもらうわけではないので、小規模の事業者でも利用しやすいコスト設定になっていることも多いです。
4. 静的サイトに比べて遅い表示速度を改善する
WordPressは、CMS(コンテンツ・マネージメント・システム)と呼ばれるシステムのひとつです。CMSでは、それぞれのページの内容をサーバー上のデータベースに保存してあり、ユーザーのブラウザに表示させるために毎回データベースの情報を読み出しています。
静的なサイトに比べてCMSは、表示に時間がかかってしまうことがあります。
ブラウザ上にサイトが表示されるのが遅いと、せっかく自社サイトに訪問してくれたユーザーが離脱してしまいます。また、Googleなどの検索エンジンでは、表示速度が遅いWebサイトは検索順位のもととなるページスコアが低くなってしまいます。
ページの表示スピード向上に効果がある代表的な施策は、画像を圧縮して画像のデータ量を小さくすることです。WordPressには効率的に画像を圧縮してくれるプラグインがあって、簡単に画像データを最適なデータ量に変換してくれます。
5. プラグインやテーマの互換性を持たせてエラーを減らす
WordPressを利用してWebサイトを運営していると、以前は正常に動作したはずのページからエラーが出ることがあります。エラーが発生する理由は、プラグインやテーマのバージョンが上がることで、互換性に問題が発生するためです。
それぞれのプラグインやテーマは別々の開発会社のものですから、追加の機能やデザインを更新した際に齟齬が生まれてしまうことがあります。プラグインとテーマの互換性を確認するようにしましょう。
6. WordPressのアップデートはプラグインのエラーに注意する
WordPress本体も随時更新されます。使用しているプラグインが新しいWordPressのバージョンに対応していないと、エラーが起こったり、プラグインが提供していた機能が使えなくなったりすることがあります。
プラグインのWordPressアップデートへの対応状況を確認し、アップデート後にプラグインの動きを確認しましょう。
WordPressの導入方法
自社のサイトをWordPressで構築するメリットが多数あり、デメリットにも対策方法があることがわかりました。ここからは、WordPressで自社サイトを構築する手順を説明します。
1. サイトのドメインを取得する
はじめに、サイトにアクセスするために必要となるドメインを取得しましょう。通常はドメイン業者と1年単位で契約します。ドメインの契約が切れてしまうと、取り戻せないことにもなりかねないので、毎年契約の更新がなされるように注意しましょう。
2. WordPressに対応したレンタルサーバーを契約する
レンタルサーバーを契約します。WordPressに対応しているプランは、公式サイトに記載されていますので、確認して自社に最適なプランを選びましょう。WordPressを運用するためのレンタルサーバー側に推奨されている条件 は、下記の3つです。
- PHPバージョン7.4以上
- MySQLバージョン5.7以上(MariaDBバージョン10.2以上でも可)
- HTTPS対応
3. WordPressをインストールする
サーバーのプランによっては、WordPressがすでにインストールされているプランや、ワンボタンでWordPressがインストールできるプランがあります。
WordPressをレンタルサーバーにインストールするために複雑な作業が必要な場合には、手動でWordPressの最新版をダウンロードして、FTPソフトを使ってレンタルしたサーバーにアップロードしましょう。
4. テーマをチョイスしてサイトのデザインを決定する
WordPressの管理画面にある「外観」メニューから、テーマを選択できます。「新規追加」ボタンから、インストールしたいWordPressテーマを選びましょう。前述している通り、エラーが起こらないように、インストールする予定のプラグインと相性がよいものをチョイスするようにしてください。
5.サイトの初期設定をする
管理画面の「設定」メニューから、サイトの設定をします。サイトのタイトルやメールアドレスなどの基本項目を設定できます。
さまざまな用途のWebサイトを構築できるWordPress
WordPressは、次のような目的のWebサイト構築に適しています。
コーポレートサイトで会社を知ってもらう
自社をアピールするためのコーポレートサイトをWordPressで作成できます。名刺にURLを記載し、会社のアピールポイントについて知ってもらえるようにしましょう。会社の業種にあったデザイン性の高いテンプレートのWordPressテーマを選べば、会社の魅力をよりよく伝えられます。
ECサイトで自社製品を販売
WordPressプラグインを使って、ECサイトとして自社製品を販売するスペースをインターネット上に持つことができます。商品の魅力を伝えるだけのサイトではなく、販売まで扱えることで、より収益性を高められます。
オウンドメディアやブログで日々情報発信
自社についての情報を日々追加したり、商品やサービスに関する情報を充実させたりするたりすることで、ブランド力を高め、商品を認識してもらい、サービスの価値を理解してもらうことが可能になります。
WordPressは、投稿者の管理が簡単にできるので、多彩なコンテンツの配信をチームで一丸となって取り組めるのも大きなメリットです。
アフィリエイトサイトで送客して収益を得る
アフィリエイト向けのWordPressテーマを使って、広告収入を得る仕組みを組み込めます。テーマとターゲットを設定して、関連する商品やサービスの広告やリンクを掲載し、送客することで収益につなげられます。
デメリット対策をきちんと施してメリットの多いWordPressを活用しよう
WordPressでのサイト構築は、小規模の事業者にとってのメリットが数多くあります。コストをかけずに、プロフェッショナルなデザインの自社サイトを持ち、ブランド力を高めて、売り上げをアップさせることも可能です。
たしかに、対処しなければならないデメリットの部分もありますが、解決することができます。簡単に実装できるWordPressを使って、自社の魅力を発信してみましょう。
