ネット販売を始めるためのネットショップを開設するためには、商品や店舗コンセプトの決定のほか、出店方法の検討などさまざまなステップがあります。本記事では、その基本となるネットショップ立ち上げまでの手順を11のステップで解説します。

目次
【ネットショップ開業方法】基本11ステップ
ネットショップの立ち上げには、さまざまな準備が必要です。しかし、一度に行おうとするとどこから着手すればいいかわからず、思った以上に時間がかかることもあります。
順を追って決めればスムーズにネットショップが開設できる、基本は以下の11ステップです。
- ネット販売する商品を決める
- コンセプトを決める
- ショップ名を決める
- 開業にあたり必要な届出や許認可取得をする
- 出店方法を決める
- 決済方法や配送方法を決める
- ネットショップのコンテンツとデザインを決める
- ネットショップを構築する
- 商品情報を準備し、登録する
- 売上目標を設定する
- 集客する
それぞれのステップで実施する内容を具体的に説明します。
1. ネット販売する商品を決める
最初にすべきことは「どんなジャンルの商品を販売するか」を決めることです。販売したい商品が決まっている場合でも、その商品がネットショップで売りやすいか、売れるかについて検討してみましょう。
ネットショップで売れるもの、売りやすい主な商品には以下のようなジャンルがあります。
- 生活に必要なもの
- 定期購入できるもの
- オリジナリティがあるもの
- 対面で購入しづらいもの
- まとめ買いできるもの
- コレクションしやすいもの
- ニッチなニーズに応えるもの
- 地域や期間を限定して販売しているもの
販売したい商品がどこに当てはまるか考えておきましょう。
2. コンセプトを決める
次に大切なのはネットショップの「コンセプト」です。ネットショップのコンセプトとは「誰に」「どんな商品を販売し」「どんなニーズに応えるか」です。
インターネット上には多くのネットショップがあり、同じようなものを販売しています。そんな中、他社と差別化し、自分のネットショップで購入してもらえるポイントを明確にしておくことはとても重要です。
コンセプトを考える際は、できるだけ具体的なイメージを作ることも心がけましょう。「女性」に「便利なグッズを売る」では曖昧です。「40代の仕事をしながら子育てをしている女性」に「家事時間を短縮して家族と触れ合う時間を作るためのお助けアイテムを販売する」というように、誰が見てもイメージが湧きやすいものを考えましょう。
3. ショップ名を決める
次にショップ名を決めます。2つ目のステップで決めたコンセプトを表現したショップ名になるように考えましょう。
ショップ名を考えるためのポイントには以下のようなものがあります。
- 覚えやすい
- 販売する商品がイメージできる
- ロゴを作成しやすい
- オリジナリティを感じさせる
ショップ名を考えたら、その名前をインターネットで検索してみましょう。まったく同じ名前があれば、自分のショップ名が検索結果の最初に表示されない可能性もでてきます。
また、検索されたときにどのように表示されるかも考慮しておきましょう。どんな商品を販売しているかをキーワードとしてショップ名の前に入れると、検索されやすくなるだけでなく、販売する商品が明確になって誘導につながりやすくなります。
ショップ名が絞り込めたら、その名前が商標登録されていないかも確認しておきましょう。登録されている名称を使ってしまうと、たとえ知らなかったとしても法的措置を取られることもあります。
独立行政法人工業所有権情報・研修館の「特許情報プラットフォーム」で登録されているかどうかを確認できます。
4. 開業にあたり必要な届出や許認可取得をする
販売する商品によっては、届出や許認可が必要な場合があります。許可がおりるまでには時間がかかることも多いので、できるだけ早めに申請しておきましょう。
ネットで商品販売する際に許認可が必要になるのは、以下のような商品を販売するときです。
販売する商品 | 許認可の内容 |
---|---|
食品 | 営業許可 |
中古商品 | 古物商許可 |
輸入食品 | 検疫所への輸入届出 |
酒類 | 通信販売酒類小売業免許 |
5. 出店方法を決める
ネットショップを出店するためには、インターネット上に商品を表示し、注文を受け、決済する仕組みが必要です。どのネットショップもいずれかの出店方法を利用して、ショップを運営しています。
ネットショップの出店方法には大きく5つあります。
- ショッピングモール型
- ASP型
- パッケージ型
- オープンソース型
- フルスクラッチ型
それぞれのタイプで初期費用やランニングコストが大きく変わるだけでなく、ターゲット層や運営のしやすさも異なります。事前に決めたコンセプトや売上目標、自社の運営体制なども考慮して決定しましょう。
6. 決済方法や配送方法を決める
決済方法はお客様がどのネットショップを利用するかを決めるポイントにもなります。使いたい決済方法がないと、約半数のお客様がショップを離脱するというデータもあるほどです。
多くの決済方法を揃えておけば満足度は高くなりますが、決済システムの導入には手数料や利用料などのコストも発生します。ニーズの高い決済方法を絞り込むことも重要です。
どんな決済方法を導入するか決めるポイントはターゲット層が利用しやすい方法を選択することです。クレジットカードを保有していない人が多い10代をターゲットにするなら、コンビニ決済やキャリア決済を優先するなど、利用しやすいものを選びましょう。
配送料や配送会社もお客様がネットショップを選択する際の大きなポイントです。送料がかかりすぎると、欲しい商品があっても購入してもらえません。配送会社と交渉して利用してもらいやすい送料設定を検討しましょう。
決済方法や送料に関する情報は、ネットショップ内に必ず表記しなければならない「特定商取引法の表記ページ」にも記載することになります。できるだけ早めに取り掛かっておきましょう。
7. ネットショップのコンテンツとデザインを決める
ネットショップのコンセプトや販売する商品の特徴をわかりやすく表現するのが、ネットショップから発信するコンテンツやデザインです。
どんな色使いにするか、どのようなレイアウトにするかなど、お客様の気持ちを考えながら、利用しやすく、買いたいと思ってもらえるようなものを考えましょう。
検索からの誘導には、商品ページ以外の情報も重要な役割を果たします。どんな情報を発信するかなどコンテンツの内容を考えておきましょう。
8. ネットショップを構築する
ここまでの内容が決まったら、システムに情報やデザインを入れ込み、ネットショップを構築していきます。
店舗名やロゴマークのほか、ネットショップ開設に不可欠な「特定商取引法に基づく表記」のページも作成します。問い合わせや受注メールの送付先なども登録します。決済方法や送料設定などの基本情報は漏れのないようにしておきましょう。
9. 商品情報を準備し、登録する
ネットショップが構築できたら、販売する商品を登録します。商品を魅力的に見せる写真や、特徴を伝える紹介文などを作成して、入力しましょう。
10. 売上目標を設定する
ネットショップが順調に運営できているかどうかを分析するためには、月間、年間の売上目標の設定が重要です。
ネットショップの売上は「アクセス人数×購買率(CVR)×客単価」で決まります。月の売上目標を決めたら、各要素に分解して数字に落とし込んでおきましょう。数値で見える化しておけば、目標達成できなかった時でも、その後どんな対策をとればいいかが見えてきます。
11. 集客する
ネットショップを開店しただけで、情報発信をしなければお客様は買い物に来てくれません。検索広告やバナー広告などコストが必要なものも含め、集客のための行動は予算の範囲で積極的に実施しましょう。
予算をかけずにできる集客方法もあります。FacebookやInstagramなどのSNSを活用した情報発信やフォロワーの囲い込みは、コストをかけずに商品やサービスのPRや購入誘導につなげられる効果的な方法です。
また、検索からネットショップへお客様を誘導するSEOも有効な方法です。ネットショップのアクセス状況を解析して、キーワード設定などを工夫してみましょう。
定期的なブログでの情報発信やメールマガジン発行も、リピーター確保に効果があるので、おすすめです。
ネットショップの開業におすすめのサービス5選
ネットショップの開業には、カート機能や決済システムなど基本的な機能が組み込まれたネットショップ開業のサービスを利用する人がほとんどです。ネットショップ初心者が利用しやすいおすすめのサービスをご紹介します。
欲しい機能が揃っている「Shopify(ショッピファイ)」
低コストながら、必要な機能を組み合わせて追加できる自由度の高さが特徴のサービスが「Shopify」です。海外でスタートしたサービスで、世界でも多くの店舗に利用されています。
Shopifyは月額費用で利用できる基本機能に、欲しい機能を組み込むだけで、自分が目指すネットショップを構築できます。追加できる機能には、レビューや定期販売など販促関連機能のほか、複数の発送先設定や名入れ設定などがあり、2,500種類以上にのぼります。
多言語サイトの構築機能もあり、自動翻訳や通貨変換なども追加できます。海外での販売を予定している人にはおすすめです。
タイプ | 初期費用 | 月額費用 | クレジットカード決済手数料 |
---|---|---|---|
ASP型 | 無料 | ベーシック:25$ スタンダード:69$ プレミアム:299$ | 3.4%~(ベーシックプランの場合) |
月額費用無料で利用できる「BASE(ベイス)」
初期費用だけでなく月額費用が無料で利用できるのが「BASE」です。初めてネットショップを開設する人の利用も多く、ランニングコストを抑えてショップが運営できます。
大きな特徴は、利用を開始したその日に決済機能まで備えたネットショップがオープンできることです。多くのネットショップサービスでは、サービス利用申し込みの後、クレジットカード決済などの決済サービス利用申請が必要になります。カードブランドや決済サービスごとに審査が必要なので、導入までに時間がかかります。
BASEは運営元が決済を仲介しているので、すぐに決済サービスを導入できるのです。
2022年4月には、月額費用を支払えば決済手数料が安くなるプランも登場。気軽に始めたい人も、売上を伸ばしたい人にも使いやすいサービスになりました。
タイプ | 初期費用 | 月額費用 | クレジットカード決済手数料 |
---|---|---|---|
ASP型 | 無料 | スタンダードプラン:無料 グロースプラン:5,980円 | スタンダードプラン:サービス利用料3%+3.6%+40円 グロースプラン:2.9% |
サポートが手厚い「カラーミーショップ」
リーズナブルな利用料ながら、定期販売機能やポイント機能など充実した基本機能が魅力的なサービスが「カラーミーショップ」です。ネットショップ初心者から大手企業まで幅広い利用者がおり、目的に合わせた機能を設定して使いやすいネットショップを構築できます。
大きな特徴は、電話やメールでのサポートが手厚いことです。メールでの問い合わせへの返信も非常に早く、困ったときでもすぐに解決してもらえます。
2021年5月には、月額費用が無料のプランも追加され、初心者により使いやすいサービスになっています。
タイプ | 初期費用 | 月額費用 | クレジットカード決済手数料 |
---|---|---|---|
ASP型 | フリー:無料 レギュラー・ラージ:3,300円 | フリー:無料 レギュラー:4,950円 ラージ:9,595円 | フリー:6.6%+30円 レギュラー・ラージ:4.0%~ |
圧倒的な集客力を誇る「楽天市場」
1つのモール内にテナント出店するようにネットショップを開設するのが、ショッピングモール型です。その中で国内流通総額1位を誇るのが「楽天市場」です。楽天ポイントが利用できるため、多くの楽天カードユーザーが利用しています。セールも定期的に開催され、圧倒的な集客力を持っています。
楽天市場の特徴は1店舗に1人ECコンサルタントがつくことです。どのようにショップを作ったらいいか、販売戦略をどう組み立てるかなどを教えてくれ、ネットショップを成功させるサポートをしてくれます。
タイプ | 初期費用 | 月額費用 | クレジットカード決済手数料 |
---|---|---|---|
ショッピングモール型 | 無料 | がんばれ!プラン:2万1,450円 スタンダードブラン:5万5,000円 メガショッププラン:11万円 | 月間決済高の2.5~3.5% |
※ほかに、システム利用料、楽天ポイント利用料などが必要
デザインも機能も自由度が高い「EC-CUBE(イーシーキューブ)」
ネットショップのシステムを月額で利用するのではなく、自社のサーバーに組み込んで運用するのがオープンプラットフォームの代表格「EC-CUBE」です。
無料で使える基本プラグラムにはネットショップを運営するための基本機能が備わっています。これに必要な機能を拡張機能として組み込む形で構築します。
デザインの自由度も高く、レンタルやモールタイプのネットショップサービスではできなかったカスタマイズができるのが大きな魅力です。デザインや機能・コンテンツの追加などにも柔軟に対応でき、細部にこだわってネットショップを構築したい人に人気があります。
構築費用は他のサービスより必要になりますが、ショップ運営自体には月額利用料などは不要で、ランニングコストを抑えた運用ができます。
タイプ | 初期費用 | 月額費用 | クレジットカード決済手数料 |
オープンソース型 | 無料 | 無料 | 使用する決済サービスによる |
タイプ別ネットショップの構築費用
どんなサービスを利用しても、思い描くネットショップを構築するためには、専門的な知識が必要になります。そこで、利用したいのがネットショップ構築を制作会社などへの依頼です。
タイプ別に構築費用の相場を見てみましょう。
ショッピングモール型の費用
ショッピングモール型は、多くのショップが統一した機能と基本レイアウトで運営しているため、基本的には自社でページの制作が可能です。
それでも、外注すればオリジナリティのあるデザインでの構築ができます。商品追加やアクセス分析などのサポートを、月額費用を設定して実施してくれる制作会社もあります。
ショッピングモール型の構築費用の相場は以下の通りです
構築費用 | 構築後サポート費用(月額) |
---|---|
無料~数万円 | 無料~数万円 |
ASP型のネットショップの特徴と費用
レンタルカートとも言われるASP型のネットショップは、デザインテンプレートの種類も多く、初心者でも構築できるようになっています。デザインに個性を出したり、使いやすいレイアウトに変更をしたい時は、HTMLやCSSなどの知識が必要になるため、構築を外注する必要があります。
ASP型にも、商品追加や運用サポートをしてくれる制作会社があります。
ASP型の構築費用の相場は以下の通りです。
構築費用 | 構築後サポート費用(月額) |
---|---|
無料~100万円 | 無料~数万円 |
パッケージ型ネットショップの特徴と費用
パッケージ型は、ネットショップに必要な機能があらかじめ揃ったシステムを購入し、自社サーバーに組み込んで運用する方法です。食品販売、衣料品販売などに特化したパッケージとして販売されていることもあり、それぞれのジャンルに便利な機能が利用できます。
機能の追加やデザインカスタマイズには専門的な知識と費用が掛かりますが、基本的には追加費用なく運用が可能になります。ただし、機能追加など仕様変更の場合は別途費用が必要になります。
構築後にシステムの管理などを依頼する場合は月額での契約が必要です。
パッケージ型の構築費用の相場は以下の通りです。
構築費用 | 構築後サポート費用(月額) |
---|---|
数百万円 | 数万~数十万円 |
オープンソース型ネットショップの特徴と費用
基本的なカートシステムのプログラムを無料で利用できるのがオープンソース型です。自社サーバーに組み込んで利用しますが、構築には専門的な知識が必要になります。
サーバーの管理を含めた構築後の運用にも知識が必要なことが多く、月額のサポートを依頼するのが一般的です。
オープンソース型の構築費用の相場は以下の通りです。
構築費用 | 構築後のサポート費用(月額) |
---|---|
数百万円 | 数万~数十万円 |
フルスクラッチ型ネットショップの特徴と費用
オリジナルのネットショップシステムを独自開発するのがフルスクラッチ型です。専門性と独自性が高い、自社にとってもっとも使いやすいネットショップが構築できます。
フルスクラッチ型の構築費用の相場は以下の通りです。
構築費用 | 構築後のサポート費用(月額) |
---|---|
数千万円~ | 数十万円~ |
ネットショップの運用に必要な機材や設備の費用
ネットショップの運営に必要な機材や設備の購入費用も、開業資金にふくまれます。ネットショップの運営に必要な代表的な機材や設備を、一覧表にまとめました。
機材/物品 | 費用 | 注意事項 | |
パソコン | 10万円前後 | ネットショップの運用に必要なパソコンには、高スペックなものは不要です。ただし、操作の一つひとつに待ち時間がないほうがストレスなく作業ができます。 | |
プリンター | 2万円前後+インク代 | プリンターはインクカートリッジを使って印刷します。インクカートリッジの価格にも注意しましょう。紙の書類の印刷量や頻度に応じて、インクカートリッジのランニングコストを考慮するのが重要です。 | |
撮影機材 | カメラ | 1万~10万円前後 | カメラをスマートフォンで代用する、数千円程度の機材にするなどで購入費用をおさえられます。 ただし、機材のスペックが低いと最大限の商材の魅力をモニター越しから伝えられません。機能と費用のバランスを考えて、購入する撮影機材を選びましょう。 |
三脚 | |||
レフ板 | |||
照明 | |||
画像編集ソフト | |||
画像編集ソフト | Windowsのペイントなどの無料ソフト | 無料 | 自分で撮影した商品の画像加工をする場合には、左記のいずれかの画像編集ソフトが必要です。いずれのソフトを使う場合でも、画像編集のスキルや知識が必要です。 |
PhotoShopやIllustratorなどの有料ソフト | 数万円 | ||
有料ソフト(月額プラン版ソフト) | 数千円/月 | ||
会計ソフト | クラウド型会計ソフト | 数千円/月 | ネットショップの財務・税務のためには、左記のいずれかの会計ソフトが必要です。 |
インストール型の会計ソフト | 3,000円~ | ||
電話機 | 2万円前後+数千円~数万円/月 | ネットショップの連絡先として、電話番号が必要です。 携帯電話でも問題ありませんが、信頼度をあげるために固定電話番号を取得したり、顧客層によってはFAXでの注文を受けるためにFAX機能付き電話機を導入しましょう。 | |
セキュリティソフト | 年額4,000円前後~/PC1台 | 顧客情報をはじめとした大切なデータを安全に管理するためには、セキュリティソフトは必須です。 複数のパソコンで運営する場合には、台数分のセキュリティソフトが必要です。複数ライセンスが購入できるセキュリティソフトを利用すれば、費用をおさえられます。 |
ネットショップの運用に必要な届け出と費用
ネットショップで取り扱う商材によっては、営業許可申請が必要になります。商材ごとに必要な届け出と費用は以下の通りです。 届け出が必要な場合、申請費用がどのくらいかを把握しておきましょう。
商材 | 必要な届け出 | 申請する場所 | 申請費用(税込) |
中古品買取・販売 | ・古物商許可証 | ・所轄の警察署の生活安全課 | 1.9万円 |
食品 | ・食品衛生法に基づく営業許可 ・医薬品医療機器等法に基づく許可 (取り扱う商材が該当する場合) | ・所轄の保健所 ・各都道府県の薬務課 (取り扱う商材が該当する場合) | 3千円~2.3万円 (業種により異なる) |
酒類 | ・通信販売酒類小売業免許 (複数の都道府県に販売する場合) | ・所轄の税務署 | 登録免許税3万~15万円 |
医薬品 | ・薬局開設許可 ・医療品販売許可 ・特定販売届出 | ・所轄の保健所 ・各都道府県の薬務課 など | エリアにより異なる |
化粧品 | ・化粧品製造販売許可 (ブランド化粧品を直接輸入販売する場合) ・医薬部外品製造販売許可 (国内の事業者からの仕入れた場合は不要) | ・所轄の保健所 ・各都道府県の薬務課 など | エリアにより異なる |
ネットショップの運用に必要となる費用
ネットショップを運用するのに必要となる費用も、開発資金を考えるうえで重要です。ネットショップの運用に必要な費用は以下の通りです。
- オフィスや倉庫の費用
- 人件費
- 配送費
- 梱包資材費
- 宣伝広告費
- 通信費
- ネットショップを構築するシステム面の費用
それぞれの具体的な費用の詳細について確認してみましょう。
1. オフィスや倉庫の費用
ネットショップの運用作業を行うオフィスや、商材の在庫管理を行う倉庫の家賃や光熱費が発生します。ネットショップのオフィスとして自宅を利用する場合には、家賃がかからず費用がおさえられます。
ただし、事業が拡大した場合には取り扱う商材の量や受発注数、発送数も多くなるため、広いオフィスや倉庫は必須です。オフィスや倉庫の家賃は、利便性や規模によって変動します。
2. 人件費
オフィスや倉庫と同じく、事業が拡大した場合にはネットショップの作業量も増えるため人を雇うことになります。アルバイトや正社員など、固定した人員を雇用する場合には人件費が発生します。
正社員の場合は、給料だけでなく社会保険料や厚生年金などの負担も出るために注意しましょう。
3. 配送料
ネットショップの配送料はお客様負担としているショップが多いです。ただし、すべての配送料の負担をお客様側にすると送料がネックでお客様が競合に流れたり、かご落ちリスクが増えたりする原因になるでしょう。
販売機会を損失しないためにも、一定の合計金額に達した場合には送料無料にする、などの対応がネットショップ側に求められます。ネットショップ運営側に発生する配送料の負担分も、月々の費用に入れておきましょう。
月にある程度の出荷量が見込める場合には、配送会社と契約することで配送料をおさえられます。複数の配送会社から見積もりを出してもらい、配送契約を結ぶのも費用を抑えるために有効です。
4. 梱包資材費
商材を発送する際に必要となる梱包資材には以下のものがあります。梱包資材の種類や使用量によって月々の費用は異なります。
- 個装費
- 内装費
- 外装費
- その他の梱包材費
- 印刷代
それぞれの費用の詳細を確認してみましょう。
個装費
個装は商材ひとつひとつを梱包するためのもので、グラシン紙や気泡緩衝材(プチプチ)などが該当します。
内装費
内装は個装された商材を外側からのダメージから守るための梱包材で、PP袋や気泡緩衝材(プチプチ)、パッケージの袋や箱などです。
外装費
外装は商品配送時のもっとも外側にある梱包材で、ダンボールや封筒などが該当します。
その他の梱包材費
ネットショップでギフト対応や熨斗(のし)紙に対応する場合には、ラッピング容姿やリボン、メッセージカードなどのほかの梱包材の準備も必要です。
印刷代
配送をラベル印刷するとき、メッセージカードへの印刷をするときの印刷代なども費用にふくめて検討しておきましょう。
梱包費用は取り扱う商材によって上下します。梱包をしっかり行わないと、商品の破損や水濡れなどのトラブルが発生してしまいます。トラブル防止のためにも、コストカットだけを重視せずに、品質を保った状態で配送できる梱包材を選びましょう。
5. 宣伝広告費
ネットショップの集客のために広告を出稿するなら、宣伝広告費が発生します。とくにショッピングモール型ではなく自社ECサイト系でネットショップを構築している場合は、集客のための対策が必要です。
ネット広告を出す場合の費用は、数万円~数十万円になります。なおSNSなどを活用したWebマーケティングを行う場合には、費用はおさえられる一方で知識やスキルが必要です。また施策に手間がかかる、集客効果が出るまでに時間がかかるなどのデメリットがあります。
6. 通信費
電話代やインターネットのプロバイダ料金が月々発生します。
7. ネットショップを構築するシステム面の費用
必要に応じて、以下のネットショップを構築するシステム面の費用が発生します。
- 月々のプラン料金やオプション料金(APS利用時)
- 独自ドメイン料金(独自ドメイン利用時)
- サーバー代
- メンテナンス費用
それぞれの費用の詳細を確認しましょう。
月々のプラン料金やオプション料金(APS利用時)
ASP(Application Service Provider:アプリケーション・サービス・プロバイダ)の有料プランでネットショップを構築しているなら、月々のプラン料金やオプション料金が発生します。また、クレジットカードをはじめとした複数の決済方法を設定している場合には、決済方法に応じた手数料も発生することも覚えておきましょう。
独自ドメイン料金(独自ドメイン利用時)
インターネット上のURLを独自ドメインにすると、ブランディングに有効です。独自ドメインの取得費用のほかにASPを利用した際には、毎月独自ドメインの利用料が発生する場合があります。費用は月々数百円~数千円です。
サーバー代
レンタルサーバーを借りるか、自社サーバーを構築する場合にはサーバー代が発生します。レンタルサーバーなら月に1,000円~で借りられますが、利用できる容量やページの表示速度がレンタルサーバーによって異なるので注意しましょう。レンタルサーバーを利用する場合には、候補の業者のサーバートラブルの有無や、サーバーのCGIやPHPの対応状況の確認も必要です。
メンテナンス費用
ネットショップ開業のために自社サーバーを構築する場合は、サーバー構築のほかにサーバーメンテナンスやトラブルへ対応するエンジニアへの人件費も発生します。
ネットショップの開業資金とかかる費用のまとめ
ここまで紹介したネットショップの開業に必要な資金と、月々にかかる費用を以下にまとめました。
項目 | 詳細 | 費用の目安 | |
ネットショップの構築 | ショッピングモール型ネットショップ | 内製 | 0~5万円 |
外注 | ー ※基本的には内製 | ||
ASP型ネットショップ | 内製 | 0~5万円 | |
外注 | 10~100万円 | ||
パッケージ型ネットショップ | 内製 | 300~500万円 | |
外注 | 500万円~ ※月々の費用は数万円~数十万円 | ||
オープンソース型ネットショップ | 内製 | 0~5万円 | |
外注 | 100万円~500万円 | ||
フルスクラッチ型ネットショップ | 内製 | 数百万円~数千万円 | |
外注 | 数千万円 | ||
機材や設備 | パソコン | 10万円前後 | |
プリンター | 2万円前後+インク代 | ||
撮影機材 | 1万~10万円前後 | ||
画像編集ソフト | 無料~3万円前後、または数千円/月 | ||
会計ソフト | 3,000円~、または数千円/月 | ||
電話機 | 2万円前後~ | ||
セキュリティソフト | 4,000円~/PC1台 | ||
届け出 | 営業許可申請費用 | 数千円~数万円 | |
ネットショップの運営 | オフィスや倉庫の費用 | 数万円/月~ | |
人件費 | 人員によって異なる | ||
配送費 | 配送料によって異なる | ||
梱包資材 | 梱包資材によって異なる | ||
宣伝広告費 | 宣伝内容により異なる | ||
通信費 | 月数千円~ | ||
システム面での費用 | 月数万円~ |
ネットショップの開業資金が足りないときの対処方法
ネットショップの開業資金不足や、出費を調整したいときに選択肢となる資金調達やコストカットの方法が以下の通りです。
- 補助金の申請をする
- 融資を受ける
- コストカットを検討する
- ネットショップ開業をフリーランスへ依頼する
1. 補助金の申請をする
ネットショップの開業や運用に関する費用の補助や助成が受けられる制度があります。代表的な助成金・補助金制度は以下の通りです。
補助金名 | 条件 | 補助金と補助対象 | 交付元 | ||
IT導入補助金 | 以下を満たす中小企業 ・A類とB類は自社の課題やニーズに合ったITツール導入 | A類型 | 30万~150万円未満の補助金申請額から1/2以内を補助 | 経済産業庁 | |
B類型 | 150万〜450万円以下の補助金申請額から1/2以内を補助 | ||||
C類型-1 | 30万~300万円未満の補助金申請額から2/3以内を補助 | ||||
C類型-2 | 300万~450万円以下の補助金申請額から2/3以内を補助 | ||||
D類型 | 30万~150万円以下の補助金申請額から2/3以内を補助 | ||||
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者が地道な販路開拓等(生産性向上)への対応をした場合 | 補助対象経費総額の1/2を上限に補助 | 日本商工会議所 | ||
事業再構成補助金 | 以下を満たす中小企業または中堅企業 ・コロナ以前と比較し売上が3ヶ月以上減少 ※中小企業は2/3以内(6,000万円超は1/2)、中堅企業は1/2以内を補助 | 従業員数20人以下 | 100万円~4,000万円以内 | 中小企業庁 | |
従業員数21~50人 | 100万円~6,000万円以内 | ||||
従業員数51人以上 | 100万円~8,000万円以内 |
補助金によって対象となる条件や申請期間が異なるために、申請内容を確認のうえで申請しましょう。ほかにも、民間企業や地方自治体が独自に設けた補助金制度もあります。ほかの補助金制度についても調べてみるのがおすすめです。
2. 融資を受ける
補助金制度で給付される補助金は、基本的に諸経費の支払いを済せたあとに申請し、後日給付されます。開業資金の強いサポートになりますが、補助金を直接ネットショップの開業資としては使用できません。
ネットショップの開業のための初期費用が支払えないなど、資金が不足している場合には銀行から融資を受ける方法があります。
ネットショップの開業を目的に銀行から融資を受ける場合には、事業性資金融資(ビジネスローン)を利用することになります。低金利で利用できる一方、融資を受ける条件がややきびしいのが特徴です。審査に通って融資を受けるために、以下のポイントを踏まえておきましょう。
- 借りたい金額や理由を明確にする
- 返済計画を明確に伝える
- 開業届の提出と確定申告を済ませておく
- 税金を滞納しない
いくら借りたいのか、いつまで返済するかを明確にしましょう。事業関連の書類を添えて返済計画を明確に伝えることも重要です。
また、確定申告書が提出書類として求められるので確定申告をしておきましょう。確定申告のなかでも、青色申告は開業届を出していないとできないために、開業届を出しておくことも重要です。
なお税金を滞納していると銀行の融資審査に通りません。所得税など事業関係の税金はもちろん、市県民税などの税金も滞納しないようにしましょう。
3. コストカットを検討する
銀行からの融資が決定しても、実際に融資を受けるまでにはタイムラグがあります。ネットショップの開業資金をすぐに確保したいときには、現在の開業資金のなかで見直せるところがないかを調べて、対応するのがおすすめです。
以下のポイントを調べて、費用を減らせるかどうかを検討してみましょう。
- ネットショップ構築方法
- 購入予定の機材
- 宣伝広告の方法
それぞれの費用を減らせるポイントを解説します。
ネットショップ構築方法
ネットショップの構築に、費用をかけすぎている場合があります。構築方法を考え直してみましょう。たとえば、ネットショップにオリジナリティを出したい、商材や自社のブランディングがしたい、などの理由で自サーバーでのネットショップ構築を希望していることもあるでしょう。
初めは構築費用の安いショッピングモール型やAPS型でネットショップを構築してから、ネットショップの業績が拡大してから自社型ネットショップを構築する方法もあります。開業資金をおさえるために、初期費用の安い構築方法でネットショップを構築する方法も有効です。
ASP型ネットショップのサービスを提供しているプラットフォームには、デザインがカスタマイズできるものや、アプリなどで機能追加できるものがあります。
自社ネットショップ構築よりも、ASP型である程度カスタマイズ性を保ちつつ、初期費用をおさえることも可能です。プランは利用可能な機能やサーバー容量によって選択できます。開業時には必要最低限の機能が搭載されたプランを選ぶことで、節約にもつなげられます。
購入予定の機材
ネットショップで利用する予定の機材や設備を見直すことも、費用の削減に有効です。数十万円もする機材や画像編集ソフトを開業時に購入しなくても、以下の方法で解決できるケースがあります。
- 手持ちのソフトや機材を利用する
- フリマアプリなどを利用して、安く機材を購入する
- 事業が拡大してから、徐々に機材のグレードを上げていく
宣伝広告の方法
ネット広告による宣伝は、費用が高くなる傾向にあります。SNSを利用したマーケティングやSEO対策を行うなど、マーケティングの方法を変えることで、コストを下げながらもネットショップの宣伝ができます。
Webマーケティングは広告よりも即効性はありませんが、長期的な集客が望めるメリットもあります。
4. ネットショップ開業をフリーランスへ依頼する
ネットショップの開業に関する以下のような業務を、フリーランスにスポットで依頼する方法があります。
- ネットショップ構築
- ネットショップの一部機能追加
- 商品登録
- 商品の撮影
- 画像の加工
- SEO対策
たとえば、自社でサーバーのみを用意してオープンソースによるネットショップ構築をフリーランスに依頼すれば、低コストでオープンソース型のネットショップの構築ができます。また、商品の撮影や加工をフリーランスに依頼すれば、自分で高い機材や画像加工ソフトを購入する必要もありません。
自社にネットショップの知識やスキルが不足していても、フリーランスに一部業務だけ依頼すれば費用をおさえられます。
商品登録など、用途に応じてスポット依頼をすれば、正社員を雇うコストもおさえられます。SEO対策やSNSマーケティングも、フリーランスに依頼可能です。
ネットショップの運用を成功させるには、損益分岐点を知っておくのが重要です。損益分岐点とは、売上と固定費がプラスマイナス0になる金額を指します。損益分岐点を越えなければ、どれだけ売上をあげても赤字となってしまいます。
損益分岐点を超えるためには、売上を上げるだけでなく、固定費や変動費をおさえるのも有効です。開業費用だけでなく、月々の費用をおさえるためにもフリーランスへの依頼は利用できます。ネットショップの運用経費をおさえるためにも、フリーランスへの依頼をぜひ活用してみましょう。
ネットショップの開業資金を知って開業にふみだそう
ネットショップの開業の流れに沿って発生する開業資金や月々の費用、開業資金が足りないときの対策方法や開業資金を減らせる方法を解説しました。
ネットショップの構築や必要な設備、機材の購入など開業資金は多岐にわたります。開業資金が足りないときの調達方法とともに、減らせる部分を減らす対策をするのも有効です。ネットショップの経営を成功させるために、ネットショップの開業資金の目安や必要となる費用を把握しましょう。
