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コンテンツマーケティングの振り返り指標を考える

広義のWebメディアが、次々と生まれては消えていく昨今。コンテンツマーケティングやオウンドメディアがバズワードとなり、多くの企業が取り入れました。まだまだ当分、ブームはつづきそうです。ところで、オウンドメディアの運営者たちは、その成否をどのように振り返っているのでしょうか。コンテンツ&SEO管理プラットフォーム『GinzaMetrics』を展開する Ginzamarkets の黒瀬淳一氏(カントリーマネージャー)と小松昇平氏に聞く、コンテンツマーケティングの振り返り方とその指標。あなたのそのオウンドメディア、成功してると言えますか?

Googleから高い評価を得られる記事・コンテンツの作り方について伺った 『Googleに評価されるコンテンツの作り方とは』 もご覧ください。

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2016年、コンテンツマーケティングは振り返りのタイミング

小松昇平氏(左)、黒瀬淳一氏(右)

コンテンツマーケティングやオウンドメディアが増えた理由

――近年、コンテンツマーケティングやオウンドメディアがブームとなっています。その背景と今後の展望についてお聞かせください。

小松:おっしゃるとおり、2〜3年前から増えてきました。その背景として、ひとつはGoogleのアルゴリズム変動があるかと思います。旧来の外部リンクを構築する施策が、2012年くらいまでは通用していました。そこからGoogleの検索エンジンが賢くなって、リンクの数に加え、良質なコンテンツを上位表示させるように進化したわけです。

これを契機に、サイトコンテンツを拡充させることで、オーガニック集客を増やそうという取り組みが増えました。本当に増えてきたなと、当社が開催する 『Found Conference』 というコンテンツマーケティングの大規模イベントでの変化からも感じます。

2014年と2015年、それぞれ1月に開催したんですね。初年度だと「何でコンテンツマーケティングをやるの?」「そもそも、コンテンツマーケティングってなに?」みたいな感じの人が多かった印象があります。ところが2015年になると、SEOとコンテンツマーケティングに取り組んでいる方がかなり増えてきたように感じました。

そして、この2015年末から年度末にかけて、多くの運営者が振り返りのタイミングを迎える時期かと思います。半年なり一年間運用して、一廻ししたところです。予算を取って始めた結果、良かったのか悪かったのか、今後もつづけるべきか止めるべきかみたいな、評価のタイミングがやってくるのではないでしょうか。

良いコンテンツの基準はここにある

――評価のタイミングになったときに、何を軸に判断するべきなのでしょうか。良いコンテンツって何? という部分にも正解を持てていない運営者が多いように思います。

黒瀬:コンテンツマーケティングとして取り組むのであれば、マーケティング上の目標があるかと思います。コンバージョンを上げたいとか、トラフィックを増やしたいとか。それぞれにKPI設計をして、それをクリアできるコンテンツが良いコンテンツといえるでしょう。

SEOの観点でいえば、Googleが求めている、つまり評価するコンテンツとは、ユーザーの役に立つもの。ユーザーのログデータなども使ってマッチングしてきているように感じますので、キーワードだけではなく、ユーザーの意図とコンテンツの整合性は重要になってきましたね。

Googleの考えに合わせてコンテンツをつくるのが目的ではないのですが、アルゴリズムが変わって優秀になっている以上、完全に無視したコンテンツというものは、そもそもKPIに合わなくなっているはずです。プラットフォーマーの考え方と、マーケティング担当者のコンテンツに対する考え方を合わせていく必要があると思います。

コンテンツマーケティング、振り返りの指標は何に置く?

オウンドメディア、コンテンツのKPIが変化

――マーケティングのKPIとGoogleアルゴリズムが合ってくるという前提で、KPIを何に設定しているところが多い印象ですか?

黒瀬:これまでは、とりあえずトラフィックが増えれば……と思ってやっている人が多かったと思います。それはコンテンツの数を増やせば、確かに増えていったと思うんですよね。ただ最終的にはトラフィックを増やすことが目的ではなく、やっぱり売上をあげたり収益を出していく必要がある。この経済活動の中で、どこまでをコンテンツに担わせるかというのは、それはもう、戦略で決めるべきことですよね。

ここまではコンテンツ、ここからは、営業がやりますとか、個別の施策やります、CRMやりますとか。施策によって違ってきますが、いずれにせよ「トラフィックを稼いだらOK」というのではなくなってきた印象があります。

だからこそ、一廻ししたところで、振り返るためのKPIを設計し直すタイミングがくるだろうと。場合によっては、一定期間運用したところで、設定した指標が正しかったのかを考え直すこともあるかもしれません。いずれにしろ、評価をする、評価をし直すタイミングにさしかかったのではないでしょうか。

コンテンツマーケティングの指標に、閲覧時間

――目的をどこに置くかで変わってくるとは思いますが、例えば貴社のカンファレンスで、閲覧時間を指標にしているメディアを紹介していましたよね。

小松:確かに、閲覧時間をみている会社は増えてきた印象があります。ただし、やはり目的やフェーズにもよるんですね。カンファレンスでご登壇いただいたメディアの場合は、立ち上げて2年以上が経過して、一通りユーザーへの情報提供ができていました。

次にどうしていこうかと考えたときに、サイトコンテンツ全体の見直しを行なったんです。結果、ユーザーの意図に応えられていないところ、もしくはSEOでトラフィックを稼げていない、順位の低いところを改善することを実施されていました。

そういったところの改善を全部できればいいんですけど、さすがに無理なので、滞在時間の短いところから直していこうという方向性もあったみたいですね。

コンテンツのボリュームが一緒だった場合に滞在時間が短かったら、途中で読むのをやめちゃったかな、導入部分に問題があったのかなとか。それともちょっと、ユーザーの期待と情報がマッチしなかったかな、ということが考えられます。それを把握する手段のひとつとして、滞在時間という指標があるんです。

実際に最近は、新規コンテンツの作成ではなく、リライトをするという作業が増えてきているように感じます。どの記事に対してリライトするかの判断材料として、滞在時間を見るというのがあるんでしょうね。

コンテンツマーケティング、効果検証をするその前に

マーケティングフェーズで変わる、コンテンツのKPI

――滞在時間を指標とするケースが、今後も増えていきそうですか?

小松:やっぱり、そこも目的によると思っています。新規ユーザーの獲得や認知拡大を目的とするのであれば、オーガニック流入の指標、もしくはSEOの順位に置くでしょう。滞在時間に現れるユーザーの属性は、新規ユーザーではない、リピートユーザーの可能性が多分にあります。

もしくは、他のページ見てから来た人もいると思うので、そうなると打ち手としては、リテンションとかロイヤルティ向上とか、リピーター向けの施策になるでしょう。マーケティングのフェーズで変わってくるのかなと思います。

マーケティングフェーズごとに、ミートするコンテンツは異なるべき

――リードの獲得なのかナーチャリング段階なのか、マーケティングのフェーズごとにKPIを設定できている運営者は多いのでしょうか。

黒瀬:目的設定を細かくしていないケースが、結構多いかなと思っていまして。Webマーケティングの全体像は、認知から始まって、顧客情報を入手して、購買をしていただいて、リピート購買していただく。さらに、ファンになってもらって、シェアとか、ほかの人に口コミで伝えてもらってという一連の流れがありますよね。

この全体像において、つくっているコンテンツをどこに合わせていくのか、みたいなのを決められている運営者は多くないと感じています。

コンテンツマーケティングをSEOの代替として捉えると、認知のところに目が行きがちです。トラフィックが集まらなかったからやめましょう、となるかと思うんですが、そもそも、何を目的にしたコンテンツなのかを最初に決めておくのが良いかと思います。

ここを決めておけば、『認知だとオーガニックの順位、オーガニックトラフィックだよね』とか、『購買だと、コンバージョンのあるページに遷移することだね』、『口コミとかシェアを誘導するのだったら、そのコンテンツのソーシャルメディア上でのポストの反応はどうだったかを見ていこう』と、コンテンツの目的に合わせて指標を設定できるようになるんです。

――マーケティングのどのフェーズを担うコンテンツなのかを決めて、目的によって指標を設定すると。指標に対する進捗や成果を確認するツール、順位とか流入、ソーシャルのシェアを見るときに使えるのが、GinzaMetrics ということですね。勝手に宣伝を入れさせてもらいましたけど。

つづいて、コンテンツのつくり方について伺いたいと思います。指標を設定できたところで、コンテンツはどのようにつくっていくのが正解か、上手くいっている事例などを交えて、見解をお聞かせください。

< つづく >

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