1)色数をおさえながらも、華やかさを失わない縮緬の藍型。
古典柄のようでありながら、更紗風の雰囲気を持ち、着るひとを一段上のお洒落さんに見せてくれる不思議な小紋です。
浦野氏の着物は、これ以上柄が大きくても小さくてもいけない、というような、絶妙な大きさとバランスでデザインされているように感じます。
浦野風にすっきりとした無地の帯も素敵ですが、小さめの格子の帯なら藍型の大胆さをそこまで邪魔しません。
お太鼓を少し高めに小さめに結びあげて、あでやかに軽快に、浦野氏の作品だからこそ許されるモダンな着こなしを楽しめたら、素敵ですね。
2)深い紺色の絽縮緬には群青に波、縦に細く有職文をかたどった帯が走り、作り手のモダンな感性が垣間見えます。
海辺を思うなら、やはり貝がら。形が面白く種類が豊富なことから、江戸時代から意匠にされてきました。
貝の帯で思い出すのが、上村松園の「蜃気楼」という絵。蛤から立ち昇ったゆらぎに浮かび上がる美女の図です。
白珊瑚のかんざしにきものの裾には波模様、貝尽くしの美しい丸帯が、無造作に華やかに結ばれています。
美しい海の精が纏う貝の帯が、とても新鮮にうつりました。
都会できものに海を見ていたら、本当の海に出掛けたくなってきました。
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2024年11月17日
わかりやすく的確な表現、情緒的な美しさの表現が得意です
着物と帯の商品紹介や、リクルート活動においての企業アピール記事などを書いてきました。着付師免許あり。ランサーの個人事業では駆け出しでわからないことだらけですが、誠実に責任をもってつとめて参りますので、よろしくお願いいたします。