システム開発を外注するケースは多くありますが、その際にどの会社を選ぶべきなのかは悩むもの。さまざまな手段で連絡がとれる現在は、東京なら東京の会社、というように、自社から近い会社を選ぶ必要性は昔ほど大きくはありません。システム開発会社のおすすめランキングの一覧を掲載しているサイトもありますが、そういった情報だけで選ぶのは早計といえます。
システム開発を外注する際に注意しておきたいポイントについてご紹介します。

目次
システム開発の外注先となる会社は大きく分けて2種類ある
一口にシステム開発会社といっても、その形態は2種類に大きく分かれます。システム開発会社を選ぶ際には、この違いについても知っておきましょう。
SIer
SIerはシステムインテグレーション(SI)を行う人(er)という造語で、エスアイアーと呼ばれます。システムインテグレーションとは、システム構築において企画や構築、運用サポートなどの業務をすべて請け負うことなので、SIerはシステム開発の構築から導入までのすべてを請け負う事業者ということになります。
日本の大手企業では、日立製作所やNEC、富士通、野村総研といった企業がSIerの立ち位置にあります。
デベロッパー
デベロッパーは、開発者という意味を持ちます。文字通りシステム開発を行う人ですが、SIerとは違ってシステム開発におけるすべての業務を請け負うわけではなく、設計された仕様に基づいて開発を行うのが仕事です。そのため、基本的にはSIerから業務を請け負うという形となっています。
システム開発を外注する際に注意すべきポイント
システム開発を依頼する際には、いくつか決めておかなければいけないことがあります。以下に紹介する事柄を明確にしておかなければ、満足のいくシステム開発は実現できません。
システムを作る目的や課題
システム開発を決定したのには、何らかの理由があるはずです。自社の課題やシステムを作る目的を明確にしておかなければ、システム開発会社への要求も曖昧なものになり、求めるシステムが手に入らない可能性があります。
どういったシステムが作りたいのか、どのような課題を解決したいのかなどをシステム開発会社に伝える手段としては、RFP(提案依頼書)があります。RFPをしっかりとまとめることで、自社とシステム開発会社との間の認識のズレを少なくすることができます。
予算と納期
予算と納期は、システム開発に限らずさまざまな取引で重要な要素です。高機能なシステムが開発できても、予算内に収まらなければ支払えないという事態に陥ることもあります。また、納期をしっかりと伝えておかなければ、いつまで経ってもシステムが完成しません。外注先を決める際の大きなファクターにもなるので、予算と納期はしっかりと決めておきましょう。
システム開発を外注した際の失敗事例
システム開発の外注では、失敗事例も多く報告されています。同じ失敗をしないためにも、どういった失敗があったのかは知っておく必要があるでしょう。
金額面での失敗としては、当初の見積もり金額よりもかなり高い費用がかかってしまった、というものがあります。これは、見積もりの内容が不明瞭であることが多くの原因です。項目を細かく分けるのではなく、ひとまとめにしている見積もりでは、どこまでが見積もりに含まれているのかがわかりません。そのため、途中で追加費用がどんどん加算されていき、見積もり金額とはかけはなれた金額になってしまうケースがあるのです。
上記の例はシステム開発会社側の問題ですが、依頼する側の問題で失敗するケースもあります。例えば、依頼する側が無理難題を突きつけるケース。システム開発会社は顧客の要望を最大限取り入れて開発を行いますが、できるものとできないものがあります。実装する機能ならまだしも、予算や納期に関して無理を言われると、完成しない、あるいは完成しても要求には程遠いものとなります。
これらはあくまでも一例ではありますが、同じ失敗をしないように注意しておきましょう。
外注を失敗しないためには?おすすめしたいシステム開発会社の選び方
システム開発の外注が決まれば、どの会社に依頼するかを選ばなければいけません。このとき、しっかりと見極めずに選んでしまうと、上述したようなシステム開発の失敗が発生する可能性があります。システム開発は決して安いものではないので、選ぶ際のポイントについては十分に注意しましょう。
自社開発実績と元請け実績の確認
これまでにどういった会社のシステムを開発してきたか、どれだけの歴史があるかなど、システム開発会社としての実績は判断材料のひとつとなります。このときに注意して確認しておきたいのが、元請けの実績と取引先との付き合いの長さです。
下請けが悪いというわけではありませんが、下請けは元請けの設計に合わせてシステム開発を行うので、設計の経験に乏しい可能性があります。そのため、元請けでどれだけの仕事をこなしてきたのかも注目すべきポイントとなるのです。
取引先との付き合いの長さは、信頼度に繋がります。多くの会社のシステムを開発していたとしても、すぐに取引が打ち切られていればクライアントからの支持が得られていない可能性があります。
自社の戦略や方向性をしっかりと理解してくれる
システム開発は、自社の戦略や方向性に合わせて行います。自社で開発を行うならそういった戦略や方向性を理解して開発できますが、外部の会社に依頼する場合は自社について詳しく知らないことがほとんどです。そのため、自社の戦略や方向性への理解を示してくれる、理解しようと努力してくれる会社に依頼するべきです。
見積書の内容が明瞭
システム開発を外部に依頼するということは、その分野に詳しい人間がいない場合がほとんどです。そのため、見積書の内容が不明瞭であっても、そういうものかと納得してしまう可能性があります。しかし、見積書をあえて不明瞭にし、本来かかる以上のコストを提示している可能性もあります。見積書の内容が明瞭になっている、または質問にしっかりと答えてくれる会社を選びましょう。
提案力があるか
自社の要求を満たすことは最低限の条件といえますが、それに+αで提案してくれる会社は優れているといえるでしょう。開発予定のシステムで発生しうる問題やその解決策まで提案してくれる会社であれば、信頼が置けます。
営業担当がシステムのことを理解している
システム開発を専門としている会社といえども、営業担当がシステムについて理解しているかといえば、その限りではありません。中にはシステムについての理解が浅い営業担当もいて、「できます」といった仕様が実は無理だった、というケースもあるのです。そのため、営業担当がシステムについて理解しているかにも注目しておきましょう。
まとめ
システム開発は外注することが多く、失敗してしまうケースも少なくありません。システム開発を成功させるためには、まずシステムを開発する目的やどういった機能が必要かを明確にしなければいけません。その上で今回ご紹介したようなポイントをしっかりと確認し、会社選びを慎重に進めることが大切です。
