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無人ジムの月間問い合わせが1〜2件から19件に。HPをLINEに振り替えた話

大分県臼杵市で無人ジムとダンススクールを運営するシノ氏が、1年半の赤字を経て、HP中心の集客動線をLINE中心に組み直した事例。月間問い合わせは月1〜2件から19件、LINE登録者数は約5〜6倍、会員数は約4倍に増えた。

問い合わせ対応の時間が減ったことで、本業の映像制作と並行できる体制も整ってきている。

この記事で分かること
  • HPに情報を詰めるほど、申込フォームの直前で離脱が起きる構造
  • 著名店のLINEをそのまま真似すると逆に反応が落ちる理由
  • LINE公式アカウント標準機能だけで一次応答を自動化する設計
こんな方にオススメ
  • HPを作ったが問い合わせが来ない実店舗オーナー
  • アクセスはあるが入力フォームで離脱されている方
  • 動画・HP・LINEの組み合わせ方を決めかねている方

目次

1年半の赤字、問い合わせは月1〜2件

大分県臼杵市。少子高齢化が進む地方都市で、シノ氏は15年空き家だった築35年のビルを再生し、2階にダンススクール、3階に無人ジムを開業した。

経営者になるつもりは元々なかった。映像とWeb制作が本業で、依頼を通じて関わっていたダンススクールがコロナ禍で運営困難になり、引き継ぐ形でオーナーになった経緯がある。物件探しに2年半かかった末に見つけたのが、雨が換気扇から吹き込むほど朽ちていたこのビルだった。修繕費は制作の収入を全てつぎ込む規模になった。

ダンススクールだけでは固定費が回らないと判断し、上階も借りて無人ジムを併設。レッスンを見守る親世代が運動やダイエットの話をしていたのが発端で、「ランニングマシンを置いてみよう」という現場の発想から始めた事業だった。

しかし開業から1年半、問い合わせは月1〜2件にとどまった。


「制作のプロ」が陥った設計ミス

シノ氏は映像制作歴17年、500本以上の作品を手がけてきた。トレーニングジムのHPやショート動画の制作実績もあり、その知見を活かして自店のHPを作り込んだ。動画を組み込み、長い説明文と多数のトランジションを盛り込んだ、見た目に豪華なサイトだった。

このHPで問い合わせが来なかった理由を、シノ氏は本人の言葉でこう整理している。
「制作のプロかもしれないんですけれども、商売のプロではなかった」。

クライアントワークでは「綺麗でかっこいいもの」を喜ばれるが、自店の集客では別の評価軸が必要だった、ということだ。加えて地域特性とのズレもあった。臼杵市は高齢層が多く、ITに不慣れな層の比率が高い。制作者にとって「分かりやすい」と感じる導線が、実際の利用者にとっては難しいケースがあった。

離脱はトップではなく、申込フォームの直前で起きていた

アナリティクスを確認すると、離脱は2層に分かれていた。

・トップで離脱:そもそも情報過多で意図が読み取れず引き返す層
・申込ページ直前で離脱:運動したい意思はあるが、入会フォームで止まる層

特に問題だったのは後者だった。フォームには氏名・住所のほか、トレーニングジムという業態上、持病の有無まで含めた詳細な入力欄を設置していた。制作者の感覚では普通の設計だが、見込み顧客にとっては入会判断より前のハードルが高すぎた。シノ氏自身が「自分が普段行かないおしゃれなバーに入ろうとして勇気が出なかった」体験と重ね合わせ、構造を理解したという。

最初のLINE移行は失敗した

LINEへの切り替えを決めた段階で、シノ氏はまず認知度の高いトレーニングジムの公式LINEを参考にした。問い合わせ・入会・料金プランの3つに絞った簡素な構成をそのまま真似たが、反応はほぼゼロだった。

原因は明確だった。著名チェーンのLINEは、すでに名前で検索される前提で設計されている。利用者は店舗を知った上で次の行動をするためにLINEを開く。一方、無名の小規模ジムでは、LINEを開いた人はまだ警戒心の中にいる。「これは何の店なのか」「中はどうなっているのか」を解消するステップを挟まないと、入会・問い合わせまで進まない。

つまり、参考にすべき設計が違っていた。同じ「公式LINEを作る」でも、認知度フェーズによって組み立て方が逆になる。

「ホームページは名刺、接客はLINE」という役割分担

ここから方針を逆にした。HPに集客機能を持たせるのをやめ、接客はLINEに集約した。

①HPの役割を「名刺」に限定する
情報を最低限まで削った。料金、立地、最低限の業態説明、そして公式LINEへの導線。それ以上は載せない。「お店をやっていると我が子のように可愛くなり、全部載せたくなる」というのが本人の言葉だが、それを意識的に削った結果、HPからの離脱率が下がった。

②映像を「中が見える」役割に絞る
従来は演出重視の豪華な映像だったが、これを短くシンプルな構成に変えた。冒頭3秒で店内全景とマシン構成が分かる内容に差し替えたところ、映像途中での離脱が減った。無人ジムは「中で何が起きているか分からない」ことが入会の心理的ハードルになる業態で、その不安に映像であらかじめ答える設計。

③LINEを接客窓口にする
HPの複雑な入力フォームを廃止。LINE公式アカウント標準の応答メッセージで、よくある質問への一次応答を分岐式に自動化した。Lステップなどの有料ツールは使わず、無料プランの標準機能だけで構築している。

導入オペレーションも具体だった。

・HPの下部に公式LINEへ繋がる大きなバナーを配置
・店舗外観に貼っていたQRコードをHP用からLINE用に差し替え
・配布チラシのQRコードもLINEのみに統一

問い合わせ窓口を一本に絞ったことで、どの経路から入ってもLINEに集約される設計になった。

LINE側の作り込み

LINEの中身は無人ジム特有の不安に応える内容で組んでいる。

  • 「よくある質問」を会員/非会員/食事/マシン使い方で分岐
  • マシン使い方動画のQR:店内にも貼っているが、自宅でも見られるようLINE側にも格納
  • 施設利用状況の確認機能:無人ジムは「今何人いるか分からない」「混んでいたら入りづらい」が継続率にも効くので、現在の利用人数を見られる機能をノーコードで自作し、LINEから飛ばせるようにした
  • ドリンク冷蔵庫の利用方法:自販機が置けない物件事情から、冷蔵庫+金庫で運用しているため、「これ飲んでいいのか」が確認できるフローを用意
  • 「助けて」ボタン:無人ジムは「運動が続かない」「食事制限がきつい」といった感情面で離脱しやすい。LINEで言葉が返ってくる仕組みを置くことで、有人ジムのコミュニケーション機能を最小限カバーした

LINEは応答メッセージを分岐させて分岐させていけるため、最初の作り込みに時間はかかるが、運用後の手間は大きく減る。今回のボリュームの構築期間は1週間〜10日が目安、というのがシノ氏の見立てだ。

結果

  • LINE登録者数:約5〜6倍
  • 会員数:約4倍
  • 月間問い合わせ:1〜2件 → 19件

LINEで一次応答が完結するため、問い合わせ対応の時間が削減された。その分を本業の映像制作・HP制作に充てつつ、店舗側の運営にも時間を回せる体制になった。配布チラシの範囲を広げる、店内ポップを作るといった、これまで手が回らなかった現場作業も並行できるようになっている。

加えて、LINEは個人間で簡単に共有できるため、口コミの伝達経路としても機能している。「あそこのジム気になる」と言う知人にLINEのリンクを送る、というやり取りが新規流入の一部を構成しているという。

制作を別々の業者に発注すると失敗する理由

シノ氏が経営者と制作者の両方を経験して整理したのが、発注の単位を分けない方がいい、という指摘だった。

HPはWeb制作会社、LINEはLINE構築業者、映像は別のクリエイター、というように個別に発注すると、それぞれに要件を説明する手間が発生し、出来上がりに一貫性が出にくい。後でアップデートが必要になった時も、修正が各所に分散してコストが膨らむ。

加えて発注前に「作った後の地図」を描いておくことの重要性も指摘していた。HPを作ること自体がゴールではなく、その後に何人来てほしいのか、月に何件問い合わせがほしいのか、までを含めて発注時に共有しておくと、後の修正範囲が小さくなる。

あなたの街のプロに、まずは相談から始めてみませんか?

今回の事例のように、事業の停滞を打ち破るきっかけは、ほんの少しの「外部視点」と「プロの技術」にあることが少なくありません。

ランサーズには、シノ氏のような映像・Webの専門家はもちろん、戦略立案やLINE構築のスペシャリストなど、各分野の「認定プロ」が多数在籍しています。

自社だけで悩み、時間を浪費してしまう前に、まずは経験豊富なプロに今の課題を話してみることから始めてみませんか?パズルの最後のピースを埋める助っ人が、あなたからの相談を待っています。

この事例のランサープロフィール

オカモト シノ 氏(Bright Wall 代表)
映像制作歴17年、500本以上の作品を手掛ける制作のプロ。自ら築35年の空きビルを再生し、無人ジムとダンススクールを経営する現役オーナー。ランサーズでは「認定ランサー」として、経営者視点に立った実利的なWeb戦略を提供し、多くの小規模事業者をV字回復に導いている。

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