ECサイトの運営には、コンテンツの制作、商品登録やプロモーションのほか、受注・配送など多岐にわたる業務があります。ECサイトの売上を伸ばし、効率よく運用していくためには、幅広いスキルやノウハウが必要です。
本記事では、ECサイト運営にまつわる業務の全体像や、アウトソーシングのメリット・デメリットをご紹介します。運用業務に関連する領域や作業量は膨大ですので、外注化も含めてぜひ参考にしてください。

目次
ECサイト運営とは?2つの業務フローを理解しよう
ECサイトの運営にまつわる業務は、「フロントエンド業務」と「バックエンド業務」に大別できます。フロントエンド業務は、集客力に大きく関わる業務です。一方、バックエンド業務は、顧客満足度をあげECビジネスの成長を支える業務といえます。さらに細分化すると、ECサイトの運営業務は6種類です。
業務区分 | 詳細業務 |
フロントエンド業務 | ページ・記事・動画などコンテンツ制作ページ |
商品画像の撮影や商品情報の登録 | |
広告入稿や効果の測定などプロモーション | |
バックエンド業務 | 受注の管理 |
在庫・配送・物流などの管理 | |
リピーター獲得を目指すアフターサービス |
ビジネスの核となる「商品開発」や「仕入れ」も、重要なフロントエンド業務です。ただし店舗運営でも発生する業務となるため、ここでは割愛します。
ECサイトを立ち上げたばかりで、取り扱い商品数や注文数が少ない状況なら、ある程度の知見を身につければ上述の6種類の業務を自社内で回すことが可能でしょう。しかしECサイトを構築して短期間で物量が増えることを想定しているなら、ミスを減らし迅速で正確な取り引きを行うためにも早い段階で外注化を視野に入れておくのがおすすめです。
集客を目指すフロントエンド業務の内容
フロントエンド業務では、ECサイトを構築する際に設計したコンセプトに則って、ブランディングやマーケティング活動に注力します。
ここでは、3つのフロントエンド業務について見ていきましょう。
- ページ・記事・動画などコンテンツ制作
- 商品画像の撮影や商品情報の登録
- 広告入稿や効果の測定などプロモーション
1. ページ・記事・動画などコンテンツ制作
ユーザーに向けてわかりやすく使い勝手の良いコンテンツを制作する業務はECサイト運営において重要です。
自社の商品とサイトデザインがミスマッチだったり、直感的に操作しづらいページデザインであったりすると、ユーザーがすぐに離脱してしまいます。ユーザビリティを高めるために、WebデザイナーやUIデザイナーに依頼するのもひとつの方法です。
ECサイトのファンやコミュニティを作るためにも、コンテンツを充実させましょう。販売する商品と関連性の高い記事や動画を制作し更新する業務は、外注しやすい業務です。商品の魅力をユーザー目線で伝えるコンテンツには、購入行動を促す効果があります。
季節やイベントごとに特設ページを追加したり新しい機能やサービスを追加したりして、顧客の購入体験を高めることも必要です。トータルな顧客体験を構築する場合には、UXデザイナーからアドバイスを得られます。
2. 商品画像の撮影や商品情報の登録
ECサイトの運営では、商品の情報を伝える「ささげ業務」が重要です。「ささげ業務」とは以下の頭文字をとったものです。
- 撮影(さつえい)
- 採寸(さいすん)
- 原稿(げんこう)
ECサイトでは、実店舗と異なり実際に商品を手に取れないため、鮮明でわかりやすい画像が購入の決め手になります。商品説明文も購入を左右するため、ユーザーの知りたい情報を盛り込むようにしましょう。
商品画像をアップロードに適したサイズなどに加工し商品説明の原稿が準備できたら、ECサイトの管理画面にアクセスして商品情報のほか在庫・カテゴリー登録を行います。フリーランスの方の中には「ささげ業務」や商品情報の登録を得意とするカメラマンやライターもいますので、必要に応じて相談してみてはいかがでしょうか。
3. 広告入稿や効果の測定などプロモーション
ECサイトでは、Webマーケティングの手法を駆使して集客を強化します。プロモーションなしでECサイトをオープンしただけでは、売上は伸びません。代表的なプロモーションの施策は、次のとおりです。
- リスティング広告
- バナー広告
- SEO
- アフィリエイト広告
- ソーシャルメディアを使った告知
- メールマガジン
- Facebook広告
いずれを選ぶにせよ、プロモーション計画と予算を立てたら、効果を測定する際に役立つKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。広告の出稿先の選定や、効果測定と施策の改善にはスキルやノウハウが必要です。自社では難しい場合には、マーケティング業務を手がけるマーケターに相談するのも良いでしょう。
ECビジネスの成長を支えるバックエンド業務の内容
プロモーションを打って商品を受注したら、ミスをできるだけ減らして迅速に出荷する必要があります。受注してからモタついてしまうと、顧客をガッカリさせてしまうかもしれません。
ここでは、バックエンドの3つの業務について見ていきましょう。
- 受注の管理
- 在庫・配送・物流などの管理
- リピーター獲得を目指すアフターサービス
受注の管理
受注管理業務に求められるのは「スピード」と「正確さ」です。ECサイトの管理画面における「受注内容の確認」「在庫の引き当て」「出荷指示」が主な業務です。場合によっては「返品」「キャンセル」「商品の問い合わせ」にも対応します。
受注管理の工数を減らし業務の効率化を検討するなら、受注管理業務を一元管理・自動化する受注管理システムなどを導入するのも有効なソリューションです。
受注管理業務を効率化できると、販売チャネルを増やすなど売上を増加させる施策に注力できるようになります。受注管理システムを導入するためには費用がかかり、顧客との直接的なコミュニケーションの機会が減るというデメリットがあることは知っておきましょう。
在庫・配送・物流などの管理
出荷指示を受けた担当者は、「ピッキング」「梱包」「出荷」の順で、受注商品を取り扱います。
ピッキング
ピッキングとは注文どおりに商品を倉庫から集める作業のことです。
梱包
梱包では無事に注文商品を届けられるように、梱包資材の選定に配慮します。企業イメージを高めるために、メッセージを添えたりリーフレットやノベルティを添えたりするのも良いでしょう。
出荷
欠品による売上の機会損失を防ぐため、ショッピングカートとリアルタイムで連携できる在庫管理システムを導入するのも1つの方法です。倉庫管理システム(WMS)と受注管理システムを連携させて、倉庫側へ自動的に出荷指示が流れる仕組みを作れば、配送リードタイムを短縮でき、高い顧客満足度へとつながります。
近年では「入荷」「検品」「保管」「ピッキング」「梱包」「出荷」という一連の流れを「EC物流」と呼ぶこともあります。業務効率化をねらい、EC物流を丸ごとアウトソーシングすることも可能です。
リピーター獲得を目指すアフターサービス
ECサイトの運営では、リピーターの獲得が売上を拡大させる鍵です。取り引きを無事に終えたら、リピーター獲得を目指してアフターサービス業務を行います。クレームや問い合わせへの対応のほか、商品到着後にレビュー投稿をお願いするといった業務のことです。レビュー投稿を増やすために、クーポン券を提示するなどの工夫も検討しましょう。
クレームが発生した場合の初動対応は、特に重要といえます。問題解決のために真摯で迅速な対応をすれば、自社のファン作りにつながる可能性もあるからです。問題解決に向けた努力も、リピーターを増やすために重要といえます。
ECサイトの運用に向いている人や必要なスキルとは?
ECサイトの運営に携わっている人には、どのような資質やスキルが必要とされるのでしょうか?ここでは、ECサイトの運営に必要な資質やスキルについて見ていきましょう。
全体の管理者と作業者が必要になるスキル
オンラインストアの運営では店長(管理者)のディレクションの元、スタッフが業務を担当します。
店長は全体の管理者として、予算や売上の管理、スタッフの配置、アウトソーシングの導入を検討しながらECサイトの舵取りを担う役割です。ECサイトの運営では、すぐに結果が出ないことも多いため、管理能力だけでなく簡単に心が折れないタフさも必要といえます。さらに変化の激しい業界であることから、常に進化することをいとわないチャレンジ精神も必要です。
ECサイトの運営スタッフは、サイト制作・商品登録・広告宣伝・顧客対応・物流など幅広い業務を担当します。ひとりでコツコツ行う作業も多いため、緻密な作業を正確にこなす資質が必要です。さらに膨大な作業量の陰に埋もれてしまわず、報連相の重要性を理解し、店長やほかのスタッフと連携して働くという意識の高さも求められます。
クリエイティブスキルやWebマーケティングスキルが必要
ECサイトの運営では、コンテンツの制作と集客の両輪で売上を伸ばします。コンテンツ制作にはクリエイティブスキル、集客にはWebマーケティングスキルが必要です。
クリエイティブスキルとは、商品の魅力をわかりやすく伝え、ユーザビリティの高いサイトを提供するスキルとも言い換えられます。具体的には、商品情報登録に必要な「ささげ業務(撮影・採寸・原稿)」を遂行するスキル、サイトを構築するWebデザインやHTMLやCSSコーディングなどのスキルのことです。
一方のWebマーケティングスキルは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供するなどして、多くのユーザーから自社のECサイトを見つけてアクセスしてもらうためのものです。Webマーケティングでは、SEO(検索エンジン最適化)に関する施策を中心に行います。SEOとは、検索エンジンにサイトの内容を適正に評価させるスキルのことです。
近年では若年層がSNSを利用して商品を検索する傾向にあることから、SNSを利用したマーケティングの重要性も高まっています。
ECサイト運営・運用業務を外注する方法も検討しよう
新規にECサイトの構築を検討していても、必要とされるスキルや知見が幅広いことから、運用自体にハードルの高さを感じる人も多いでしょう。ECサイトを運営しながら、徐々にスキルを身につけていくという方法もありえます。しかし競争も変化も激しいEC業界では、自社ですべてを担う考え方では遅れを取りがちなのも事実です。
ここでは専門性の高いフリーランスに、ECサイトの運営業務を外注(以下、アウトソーシング)するメリットやデメリットについて見ていきましょう。
ECサイト運営をアウトソーシングするメリット
ECサイトの運営をアウトソーシングするメリットは、次のとおり3つあります。
- 専門性の高いスキルを活かせるのでECサイトのクオリティが上がる
- 自社の業務負担を軽減できる
- 分析に基づいた施策を打てる
専門性の高いスキルを活かせるのでECサイトのクオリティが上がる
ECサイトの構築スキルや実績を重ねたフリーランスは、専門性が高くEC業界の実情やトレンドにも精通しています。フリーランスとは、ディレクター、デザイナー、エンジニア、カメラマン、マーケター、Webアナリスト、ライターといったプロフェッショナルのことです。
サイトの構築や運営に対応できるスキルや知見を持ちあわせているので、必要なときにスポット的に相談もできます。そのため、よりクオリティの高いECサイトを完成させられるというわけです。
自社の業務負担を軽減できる
「ささげ業務」や商品登録は、作業量も膨大で業務負担が大きいもの。アウトソーシングすれば、予算やタイムラインの管理もしやすくなります。
分析に基づいた施策を打てる
購買客の流入や購買傾向など、ECサイトのアクセス解析や解析に基づいた施策の立案は、専門性が高く自社の担当者には荷が重いことも多くみられます。フリーランスに相談することで、経験や実績に裏付けされたサポートを受けられるでしょう。
ECサイト運営をアウトソーシングするデメリット
長期的な観点で見ると、運営業務のアウトソーシングに頼りすぎると、自社内にECサイト運営のノウハウを蓄積しづらくなります。完全にアウトソーシングに頼りきってしまうと、リスク管理が難しくなる危険性があります。
ただしある程度のECサイト運営の知識を社内でも蓄積しつつ、運用マニュアルを作成してアウトソーシング事業者と密に情報を共有すれば、コントロール不能に陥るリスクを軽減できます。
自社内でまったくノウハウがないと、少しの修正でもアウトソーシング先とスケジュールを調整する必要があり、作業完了まで時間がかかることもあるでしょう。
ECビジネスのコアな部分にまつわるコンサルティングを受けると、商品情報登録など単純作業の外注と異なり、費用が高くなるので予算管理に注意が必要です。
アウトソーシングの活用も検討しながらECサイトの運用を始めよう
ECサイトを運営すると決めたら、スタートアップ時からアウトソーシングを上手に活用しながら、業務効率化を進めることが大切です。アウトソーシングが対応できる業務内容は幅広く、商品情報登録・ささげ業務・マーケティング業務のほか、EC物流を丸ごとアウトソーシングする方法もあります。
ヒューマンエラーは避けられませんが、できるだけミスを減らして「迅速」かつ「正確」に運営できる仕組みづくりをしましょう。専門性の高いフリーランスと協働することで、ECサイト運用のノウハウを身につけることも可能です。さまざまなスキル・知見を持つフリーランスを効率よく見つけたい方は、ランサーズをぜひお役立てください。
