自社ECサイトを立ち上げることが決まっても、これまでECサイトを運営した経験がないと、何から手をつけていいのかわからない人も多いでしょう。画像やページ作成が必要であろうことは何となく想像できるかもしれませんが、それ以外に準備すべきことや優先順位など、判断しにくいことは多いのではないでしょうか。
本記事では、ECサイトの立ち上げに必要な事項や、立ち上げに活用したいECカートの方式などを紹介します。これからECサイトの立ち上げに携わる方は、ぜひご一読ください。

目次
ECサイトを立ち上げる時に理解しておくべき制作手順
自社ECサイトを立ち上げることが決まったら、まずは制作手順を確認しておきましょう。制作手順を理解することで、必要なサービスや準備すべきものなどをピックアップしやすくなります。
ここでは着手すべき順番に則って、ECサイトの制作手順を見ていきます。
1. コンセプトを決める
ECサイトのコンセプトを決めることは、サイト制作を行う上で重要なポイントとなります。まずはECサイト作成の目的やどのようなサイトにしたいかなどのコンセプトを、明確にしましょう。
コンセプトがはっきりしていないと、その後の工程が遅れる原因になることもあります。また、ECサイトのコンセプトがはっきりしないと、当初のイメージとは異なるECサイトに仕上がる可能性がありますので、コンセプトははっきり決めておきましょう。
2. 必要な機能のピックアップ・サービスの契約
ECサイトのコンセプトが決定した後は、それをもとにデザインや機能などを決めていくとスムーズです。コンセプトをもとに、ECサイトに必要な機能をまとめましょう。
ECサイトに求める機能によってはプラットフォームの決定に影響することもあります。ECサイトに最低限必要な機能と、可能であれば搭載したい機能などを、費用を考慮に入れつつ検討してください。ECプラットフォームの選定が完了すれば、晴れて契約に進めます。
ECプラットフォームとは、ASPなどECサイトを構築するためのシステムのことです。
3. 開発に着手する
ECプラットフォームの契約後は、各ページの配置を図示したワイヤーフレームや、ECサイトの構造を示すコンテンツマップなどを作成しましょう。その後、各ページをデザインして、購入までの導線を決めていきます。
ECサイトの見た目のよさだけでなく、使いやすさや閲覧しやすさ、伝わりやすさなども考慮して作成しましょう。
自社でECサイトを作成する自信がない時には、Web制作会社やフリーランスへの依頼を検討することもおすすめです。ランサーズではECサイトの作成経験豊富なフリーランスを多数紹介しています。
4. 商品情報・ページ情報を登録する
ECサイトの構築が終了した後は、商品情報を登録していきます。
プラットフォームによっては、事前に商品画像や説明文などを作成しておくことで、CSVなどで一括登録も可能です。
5. 動作テスト
ECサイトが完成し商品登録が終了した際は、正式オープンする前に動作テストを行いましょう。実際にカートに入れて購入できるかを試します。
また、ECサイトを運営していくために、実店舗と同じようにスタッフの教育も予め行う必要があります。通常のECサイト運営業務に加えて、トラブル発生時の対応まで確認しておくことで、スムーズに対処できます。
6. 運用開始
ECサイトのテストを終えたら、正式に運用を始めます。
SNSやメール、公式サイトなどを通じてECサイトを開設したことを顧客に告知しましょう。ECサイトを立ち上げたことを、できるだけたくさんの人に伝えてください。
ECサイトの立ち上げに活用したいECプラットフォームの方式5種類
ECサイトの立ち上げ時にまず決めなければならないのが、どのようなECプラットフォームを選択するのかという点です。ECプラットフォームの方式は大きく分けると5種類あり、ECサイトの規模や予算などによって、選択すべき方式が異なります。
ここでは、以下のECプラットフォームごとの特徴を紹介します。
- ASPカート
- オープンソース
- クラウドEC
- パッケージ
- フルスクラッチ
- 番外編・ECモール内にショップを立ち上げる方法もある
1. ASPカート
独自のドメインでECサイトをオープンさせたくても、自社でシステム構築するのは費用がかさんでしまい、難しいという企業も多いのではないでしょうか。そのようなときに選択したいのが、ASPカート(ショッピングカート)方式です。
ASPカートでは、クラウド上にあるプラットフォームを利用してサイトを構築します。自社でサーバを用意しなくて済む上構築期間も短く、手軽にECサイトの立ち上げが可能です。
ただし、選ぶASPカートにもよりますが機能が限られており、希望通りにカスタマイズできないこともあります。ASPカートを選べば初期費用としては10万円程度が一般的ですが、無料で開設できるプランを持つASPカートもあります。
2. オープンソース
オープンソースとは一般公開されているプログラムを無料ダウンロードして、ECサイトを構築する手法です。オープンソースなら自社で全てのシステムを構築するのに比べて費用は抑えられますが、別途ドメイン費用やサーバ費用、決済手数料などがかかります。
また、オープンソースの場合カスタマイズや保守管理なども自社で行わなければならず、専門的な知識が必要です。外注する際には、Web制作会社などへ支払う費用も発生します。
3. クラウドEC
クラウドECとは、クラウド上にあるプラットフォームを使ったECサイト構築サービスです。クラウドECはプラットフォームを自社のサーバにインストールする必要がなく、クラウド上でECサイトを運営できます。
クラウドECだと初期費用は500万円程度と高額な費用がかかってしまいますし、導入に3カ月程度はかかりますが、カスタマイズしやすく長期的なコストパフォーマンスが高い方法です。
4. パッケージ
ECパッケージとは、ECサイトの運営に必要となるシステムや機能を備えている、ショッピングカートシステムです。プロバイダーからプログラムを購入して使うシステムで、必要に応じてカスタマイズできます。
ECパッケージ導入には3カ月程度、費用は最低でも500万円程度はかかる上、システムアップデートを数年に1度行わなければなりません。ECパッケージはランニングコストは高いですが、サポートやカスタマイズなどを販売会社に任せられ、知識がなくてもECサイトを立ち上げられるメリットがあります。
5. フルスクラッチ
フルスクラッチとは、自社でシステムを構築してECサイトを立ち上げる方法のことです。機能やデザインも自由にカスタマイズ可能なため、思いのままにECサイトを構築できます。
しかし、フルスクラッチの導入には1年以上かかりますし、予算は1億円を超えることもありますので、コストがかかる手法です。フルスクラッチは、大企業に用いられることがあります。
6. 番外編・ECモール内にショップを立ち上げる方法もある
自社でECサイトを立ち上げずに、ECモールへ出店する方法もあります。ECモールは、ひとつのドメインの中で複数のショップが商品を出品・出店する仕組みです。
Amazonなどマーケットプレイス型のECモールなら、商品登録だけで手軽に販売を始められます。
ECモール自体の知名度が高いと、集客力もある点が魅力です。ただし手数料の高さやECモール内での価格競争、顧客リストを作成できない点などデメリットもありますので理解して選びましょう。
ECサイトが完成するまでにかかる期間の目安
ECサイトの立ち上げが決まったら、できるだけ早く運用にこぎつけたいものです。しかし、ECサイトの立ち上げには、ある程度の期間がかかり、すぐには開けません。
そこで、うまくECサイト立ち上げの計画を進めるために、目安となる一般的な制作期間を確認していきましょう。
制作にかかる期間
ECサイトのデザインを制作会社に依頼して作ってもらう場合は、3〜4カ月かかることもあります。依頼してもすぐに構築することは難しいのが実情です。ECサイトの公開予定日から逆算し、スケジュールを立てましょう。
ランサーズではECサイト構築の経験が豊富なフリーランスをオンラインで紹介しています。経歴や地域などからオンライン経由で問い合わせできますので、ぜひ検討してください。
制作期間を短縮するには
ECサイトの制作期間を短縮するためには、事前準備の充実度がポイントとなります。
ECサイトの発注前には、コンセプトをしっかり考えておきましょう。具体的なイメージがあると、ECサイト作成依頼時の打ち合わせがスムーズに進みますし、制作期間や費用の見積もりも出しやすくなります。
ECサイト作成に関する打ち合わせの際は、作成したいイメージに近いWebサイトを提示することも有用な方法です。参考となるサイトを予め探しておきましょう。
また、ECサイトを一から開発することは膨大な時間が必要となります。オープンソースASPなどのECシステムを利用すれば、制作期間は短縮できます。
競合他社サイトを分析して制作に臨むとスムーズ
自社ECサイトの制作開始前の、競合サイトの分析は必須です。ターゲット層や必要となるコンテンツ、販促など、ECサイト開設時に考えるべき点は多くあります。
デザインを決める前に、ECサイトの根幹となる制作の目的や制作後の運用などを決めておきましょう。
ECサイトを立ち上げるために準備しておくべき5つのもの
ECサイトができあがってから運用を始めるまでには、必要となるデータを予め準備しておきましょう。
ここでは、ECサイトの立ち上げに必要となる、準備すべきデータについて紹介します。
1. 商品の写真・動画
ECサイトは、実店舗のように商品を手にとってみることはかないません。ECサイトへの訪問者が商品選定をする際に、重要な役割を果たすのが商品写真や動画です。
商品の外観・内側・裏側・大きさなどがわかる画像はもちろん、使用イメージや素材感がイメージできるような写真を、多く用意しましょう。
2. 商品紹介文
商品画像だけでは伝わりきらない情報もありますので、商品紹介文も準備しましょう。商品紹介文では販売者として伝えたいことよりも、素材や原料、使用感など、ユーザー目線で知りたい情報を意識して記載するのがポイントです。
商品紹介文に製品のメリット・デメリットともに記載することで、信頼度が高くなることが考えられます。
3. 特集ページ
商品画像や商品紹介文の準備が完了したら、商品ページを作成していくことはもちろんのこと、特集ページも準備していきましょう。特集ページはWeb広告のリンク先として使われることもあり、アクセスした人が最初に目にすることが多くなります。
特集ページで興味を持ってもらうことは、商品詳細ページへのアクセス増や購入につながる可能性があります。
4. オウンドメディア・ブログなどのコンテンツ
商品ページ以外には、取り扱う商品に関する情報ページがあると、ECサイトの認知が広がります。例えばアパレルならファッションコーディネートに関する特集ページ、食品ならレシピに関する特集ページなどが挙げられます。
自社サイト内で運用するブログやオウンドメディア、外部ブログや拡散を狙えるSNSなど、さまざまなコンテンツを運用し、情報量を増やしていくのがおすすめです。
コンテンツを通じて商品について知ってもらうための入り口が増えると、知ってもらうきっかけも増えていきます。
5. サーバが必要なこともある
中小企業が運営する多くのECサイトではASPを利用していますので、自社でサーバを用意する必要がありません。しかし、オープンソースなどを利用して自由度の高いECサイトを作成したい場合は、サーバの構築やレンタルサーバの契約などが必要です。
サーバが予算に合っているか検討するのはもちろんですが、ECサイト用のソフトをインストールできる機能を備えているか、セキュリティ対策がされているかなどを確認して選びましょう。
最初はASPカートでECサイトを立ち上げる会社が多い!おすすめのASPカート4選
中小企業がECサイトを立ち上げる際は、できるだけ初期費用を抑えられるECプラットフォームとしてASPカートを選ぶことが多くなっています。ASPカートを運営している会社は多数ありますが、その中でおすすめのASPカートを4つご紹介します。
1. Shopiy
Shopifyは、2017年に日本に上陸したASPカートで、世界トップクラスのECサイトの作成サービスです。世界175カ国で使用されており、世界各国の言語や決済方法に対応しているなど越境ECに強い点が最大の特徴です。
Shopifyには月額29米ドルから299米ドルまでの3種類のプランがあり、初期費用はかかりません。Shopifyなら自身のドメイン名を使用できますので、自社ECサイトを立ち上げたい企業や越境ECを検討している場合にもおすすめです。
ランサーズにはShopifyの構築に強いフリーランスが多数在籍しています。オンラインで問い合わせもできますので、検討してみてください。
2. BASE
BASEは無料で始められることで、一般的な知名度が高いASPカートです。月額・年間料金はかからず、商品が売れた際に手数料が発生します。BASEなら最初は売れるかどうか自信がないショップでも、コストを気にせずに始められるシステムです。
BASEはページの体裁を編集できる範囲が広いため、デザインにこだわりたい事業者におすすめです。BASEにはInstagramとの連携機能も搭載されていて、プロモーションに活用できます。
3. MakeShop
MakeShopは有料のASPカートとしてよく知られています。月額11,000円(税込)・55,000円(税込)のプランがあり、機能の違いは専用サーバを設置できるかどうかなどです。
MakeShopは他社のASPカートに比べて費用は高いですが、自由なデザイン編集に対応しているなど、機能は充実しています。
ランサーズにはMakeShopのECサイト構築、運用支援に強いフリーランスが多数在籍中です。オンラインから問い合わせもできますので、気軽に問い合わせてみてください。
4. STORES
STORESには、フリープランと月額2,178円(税込)がかかるスタンダードプランの2種類があります。決済手数料がフリープランは5%、スタンダードプランは3.6%です。売り上げが10万円の場合にかかる手数料は、フリープランの場合5,000円程度と他社より低水準に抑えられます。
STORESならフリープランでも商品登録数の制限はなく、テンプレートやデザインのカスタマイズも可能です。カスタマイズしつつも毎月の費用を抑えたいなら、 STORESをぜひ検討してみてください。
ECサイトの立ち上げに必要なものを把握してスムーズにショップを開設しましょう
今回の記事ではECサイトの立ち上げについてお話ししました。再度、6つのポイントをまとめます。
- ECサイトを立ち上げる際はコンセプトをしっかり決めておくことが重要となる
- コンセプトを決めてから必要な機能をピックアップして開発に着手する
- 商品情報・ページ情報はできるだけたくさん登録する
- ECサイト立ち上げ時の初期費用を抑えたいならECプラットフォームにASPカートを選ぶ
- 商品写真や説明文などを詳細に準備しておく
- オウンドメディアやブログ・SNSも活用する
ECサイト立ち上げ時にしなければならないことはたくさんあります。まずはECサイトのコンセプトをしっかり決めて、準備を進めていきましょう。また、必要に応じてWeb制作会社やフリーランスへの依頼も検討してみてください。
