ECプラットフォームを活用することで、フルスクラッチで構築するよりも短期間かつ低コストでECサイトを構築できます。そのなかでも人気を集めているサービスが、Shopify・BASE・STORESの3つです。
しかし、いざサービスを選ぼうとすると、「違いがよく分からない」「結局、どのサービスが自社に合っているか分からない」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、それぞれのサービスの機能や料金の違いを解説します。ECサイトの構築を検討中の方は、ぜひご覧ください。

目次
ECプラットフォームを選ぶ際に押さえておきたい3つのポイント
ECプラットフォームを選ぶ際に、押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
- 自社のECサイトに必要な機能を洗い出しておく
- 中長期的な目線でビジネスの規模に合ったサービスを選ぶ
- EC事業全体の運用コストから月額費用を考える
1. 自社のECサイトに必要な機能を洗い出しておく
一口にECプラットフォームと言っても、機能や使い勝手に違いがあります。多機能なプラットフォームから、機能を絞ったシンプルなものまでさまざまです。自社のニーズに合致しないプラットフォームを選択してしまうと、ECサイトを効率的に運営できなくなってしまう恐れもあります。
多機能なプラットフォームは幅広いニーズに対応できますが、必ずしも最適とは限りません。多機能なプラットフォームやプランを選択しても、使わない機能が多ければ無駄なコストが発生してしまいます。
このような失敗を避けるためには、あらかじめ必要な機能を洗い出して自社のECサイトに求める要件を整理しておくことが重要です。
2. 中長期的な目線でビジネスの規模に合ったサービスを選ぶ
取り扱い商品の種類が多くなるほど、商品管理や発送業務などのオペレーションも複雑化します。EC事業が軌道に乗り、顧客が増えてくると顧客管理も必要になります。将来的にどの程度の顧客数や売上が見込めるのかも考慮した上で、ECプラットフォームを選びましょう。
ビジネスの規模に応じて、やむを得ず別のプラットフォームへ乗り換える場合、商品情報を手動で登録しようとすると時間がかかり効率的ではありません。その時のことを考えると、CSVファイルのインポートに対応しているプラットフォームを選んでおいた方がよいでしょう。
3. EC事業全体の運用コストから月額費用を考える
売上に見合わない運用コストは、ECサイトの収益を圧迫してしまう恐れがあります。とりわけ新規のECサイトの場合、最初の売上が出るまでに時間がかかるケースも珍しくありません。ECプラットフォームの多くは、月額費用と決済手数料がかかります。
加えて、スタッフの人件費のほか、扱う商品によっては在庫の保管に必要なコストも考慮しなければなりません。ECサイトを立ち上げる際は、サイトの構築やプラットフォームの料金だけではなく、EC事業全体の運用コストを考慮することが重要です。
ECサイトの運営に必要なコストとして、以下の6つの費用が挙げられます。
- サーバー料金
- ECプラットフォーム月額費
- 決済手数料
- 人件費
- 在庫保管料
- 広告費
上記はあくまでも一例です。ECプラットフォームでショップを構築する場合、サーバー料金はかかりません。また、ソフトウェアなどのデジタル商品をダウンロード販売する場合、在庫保管料は不要となります。
どのような商品を扱うにせよ、事前に市場調査を実施し、どの程度の売上が見込めるのかを見積もっておく必要があります。売上予測が立てられれば、おのずと運用コストの上限も見えてくるはずです。
Shopify・BASE・STORESのプランや機能を6つの軸で徹底比較
ShopifyとBASE、STORESは、いずれも優れたECプラットフォームですが、機能や手数料はそれぞれ異なります。各プラットフォームの機能や料金を比較してみましょう。
- 各サービスのプランを比較
- 決済方法と手数料を比較
- 集客機能を比較
- 越境EC機能を比較
- セキュリティ対策を比較
- SNS連携機能を比較
1. 各サービスのプランを比較
まずは各サービスのプランを比較しましょう。いずれのプラットフォームも初期費用はかかりません。
Shopify | BASE | STORES | |
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
月額料金 | ・ベーシック:29ドル ・スタンダード:79ドル ・プレミアム:299ドル | 0円 | ・フリープラン:0円 ・スタンダードプラン:2,178円 |
Shopifyには3種類のプランが用意されています。個人や小規模なショップ向けのベーシック、大規模なショップ向けのプレミアムまで、ショップの規模に合わせて選ぶことができます。
BASEは初期費用と月額費用が無料です。
STORESには、フリープランとスタンダードプランの2種類が用意されています。高額なプランほど決済手数料が低くなるため、こちらも売上の規模に合わせたプランを選ぶことが大切です。
ECサイトを試験的に運用してみたい方には、月額料金が掛らないBASEがおすすめです。次に決済方法と手数料について確認していきます。
2. 決済方法と手数料を比較
ECプラットフォームの決済手数料は、おおむね3.5%前後に設定されているケースが多いです。
Shopify | BASE | STORES | |
決済方法 | ・Shopifyペイメント ・Apple Pay ・Google Pay ・Shop Pay ・PayPal ・Amazon Pay ・KOMOJU ・キャリア決済 ・Paidy ・GMOイプシロン ・SBペイメントサービス ・2Checkout ・CyberSource ・BitPay | ・クレジットカード ・キャリア決済 ・銀行振込 ・コンビニ決済 ・PayPal ・後払い ・Amazon Pay | ・クレジットカード ・銀行振込 ・コンビニ決済 ・PayPal ・Paidy ・楽天ペイ ・代引き(スタンダードプランのみ) ・Amazon Pay(スタンダードプランのみ) |
決済手数料 | 3.25~15% | 3.6%+40円 | ・フリープラン:5% ・スタンダードプラン:3.6% |
入金手数料 | Shopifyペイメント、Apple Pay、Google Pay、Shop Pay、PayPal、Amazon Payを利用している場合は0円 | ・振込手数料:250円 ・事務手数料(2万円未満):500円 | ・振込手数料:275円 |
決済方法がもっとも充実しているのはShopifyです。14種類の決済サービスに対応しているので、自社のニーズに合わせた決済方法を選択できます。
Shopifyペイメントであれば、国内発行のクレジットカードの決済手数料は最安で3.25%です。加えて、Shopifyペイメントでは入金手数料も掛かりません。クレジット決済を重視するのであれば、Shopifyがおすすめです。
売上別にコストを比較すると以下のようになります。
Shopify | BASE | STORES | |
売上 | ベーシック3,190円(1ドル110円換算)+決済手数料3.25% | 決済手数料5% | スタンダードプラン2,178円+決済手数料3.6% |
10万円 | 6,440円 | 5,000円 | 5,778円 |
20万円 | 9,690円 | 10,000円 | 9,378円 |
30万円 | 12,940円 | 15,000円 | 12,978円 |
売上が10万円以下の場合はBASEがおすすめです。ただし、20万円を超える場合は、STORESが最もコストが低くなり、30万円以上ではShopifyが最安です。30万円以上の売上を目指す場合は、はじめからShopifyでショップを構築すると良いでしょう。
3. 集客機能を比較
ECプラットフォームには集客機能も備わっています。各プラットフォームの集客機能を比較しましょう。
Shopify | BASE | STORES | |
集客機能 | ・ブログ ・SEOツール ・Shopifyメール ・Googleチャネル ・Facebook広告 ・instagram広告 | ・SEO設定 ・ブログ作成 ・お取り寄せサイトへの商品掲載 ・noteストア ・Instagram広告 ・Google商品連携 ・プレスリリース配信 ・メールマガジン ・AdSIST ・クーポン発行 | ・メールマガジン ・クーポン発行 ・ニュース作成 ・再入荷通知 ・Instagram販売連携 ・WEAR連携 ・note for shpping |
広告機能で選ぶならBASEがおすすめです。BASEでは、Yahoo!やGoogle、Instagramなど広告を一括管理できる「AdSIST」を利用できます。質問に回答するだけで、AIが最適な広告の配信戦略を設定。広告の配信や運用を自動化できます。特に広告代理店へ運用代行を依頼する予算がない場合におすすめです。
新規のECサイトを立ち上げた直後は、自然検索だけでは十分なアクセスを集めることが難しいため、Web広告を出稿するケースが多いです。プラットフォームごとに対応している媒体が異なるため、広告の出稿を検討している方は確認しておきましょう。
ECサイトの売上を増やす方法の1つに、新規顧客のリピーター化があります。メールマガジンは、リピートを促すためによく用いられる集客方法です。いずれのプラットフォームもメールマガジン機能が備わっていますが、使い勝手が異なります。
そこで送信する顧客を細かくセグメント化したい場合は、Shopifyがおすすめです。操作のわかりやすさを優先する場合は、BASEを選ぶとよいでしょう。
4. 越境EC機能を比較
各ECプラットフォームの越境EC関連の機能をご紹介します。
Shopify | BASE | STORES | |
越境EC機能 | ・外貨対応 ・複数言語対応 ・海外ドメイン ・国際価格 | ・英語・外貨対応 ・タオバオ新幹線 ・NEOlogi | ・英語対応 |
越境EC機能に関しては、Shopifyがもっとも充実しています。複数の言語に対応しており、最大5つの言語での販売に対応可能です。国ごとに異なる価格に設定できるほか、133種類の通貨に対応しています。海外向けのECサイトを構築する場合は、Shopifyを選ぶとよいでしょう。
5. セキュリティ対策を比較
ECサイトの運営において、個人情報の漏洩は大きなリスクです。ECプラットフォームのセキュリティ対策もしっかりチェックしておきましょう。
Shopify | BASE | STORES | |
セキュリティ対策 | ・SSL対応 ・不正解析 ・PCI DSSのレベル1認定 | ・不正決済保証 ・SSL対応 | ・SSL対応 |
SSL(Secure Sockets Layer)とは、通信データを暗号化する技術です。SSLを利用すると第三者が不正に通信を傍受したとしても、内容を解読することはできません。個人情報や決済情報をやり取りするECサイトにとって、SSL対応は必須と言ってよいでしょう。
Shopifyには、クレジットカードの不正利用の疑いがある取引を通知する機能が備わっています。上手く活用すれば、不正利用による被害を抑えられるでしょう。BASEには、不正利用による被害金額を保証する有料サービスが用意されています。高額な商品を扱う場合は、申し込んでおいた方が安心でしょう。
6. SNS連携機能を比較
ECプラットフォームには、SNS連携機能が備わっています。対応しているSNSは以下の通りです。
Shopify | BASE | STORES | |
連携可能なSNS | ・Instagram ・Tumblr | ・Instagram ・LINE ・Ameba | ・Facebook |
SNSは、新規顧客の獲得や顧客のファン化に活用できます。新商品のキャンペーンなどのプロモーション手段としても有効です。どのプラットフォームもInstagramとTwitter、Facebookに対応しているため、アパレルなどで商品を視覚的に訴求したい場合はInstagram、情報を拡散させたい場合はTwitterといった具合に、目的に合ったSNSを活用しましょう。
サービス別おすすめのポイント
各ECプラットフォームがどのような方に向いているのかを解説します。
本格的なEC事業参入を目指すならShopify
Shopifyのおすすめポイント
- 拡張性に優れている
- POSとの連携も可能
- 越境ECに向いている
本格的なEC事業参入を目指す方にはShopifyがおすすめです。Shopifyは拡張性に優れたECプラットフォームで、ショップにアプリをインストールすることでさまざま機能を追加できます。ショップの成長に合わせて柔軟に運用できる点が特徴です。Shopifyには、POSとの連携機能も備わっているため、ECサイトと実店舗の在庫や顧客情報の一元管理も可能です。
オプションの「Shopify POS Pro」を利用すると需要予測や実店舗の販売レポートも作成できます。すでに実店舗を運営している場合は、導入を検討してみるとよいでしょう。また、対応している言語や外貨の種類も多いため、越境ECにも向いています。
お試しでECサイトを立ち上げてみたい方にはBASE
BASEおすすめポイント
- 月額料金が不要
- 気軽にネットショップを構築できる
- ECサイトに必要な機能がひと通り揃っている
BASEの最大の特徴は、月額費用がかからない点です。ECサイトに必要な機能がひと通り備わっている上、気に入ったテンプレートを選ぶだけでショップを構築できます。そのため、ECサイトに興味があるものの、本格的にEC事業に参入すべきか迷っている方におすすめです。
試験的にECサイトを運用して自社商品への反応を確認し、EC事業への参入の可否を判断するのもよいでしょう。
ECサイトのランニングコストを抑えたい方はSTORES
STORESおすすめポイント
- ランニングコストを抑えられる
- 有料プランでも低価格
- 小規模なネットショップの構築に向いている
STORESは、ECサイトのランニングコストを抑えたい方におすすめです。ショップが軌道に乗り、ある程度売上がでてくると決済手数料も増加します。ECプラットフォームでは、月額費用が高いプランほど、決済手数料の割合が低く設定されるケースが多いです。
STORESの有料プランは、ECプラットフォームのなかでも月額料金が低価格に抑えられています。一例として、月の売上が20万円の場合のコストを比較してみましょう。
売上 | フリープラン | スタンダードプラン |
20万円 | 1万円(決済手数料5%) | 7,200円(決済手数料3.6%)+2,178円(月額料金)=9,378円 |
上記のように、月の売上が20万円を超えるとスタンダードプランの方がお得になることがわかります。小規模なECサイトの構築を検討している方は、候補に入れておくとよいでしょう。
自社のビジネスに合ったサービスを選びましょう!
ShopifyとBASE、STORESの機能と料金の違い、選び方のポイントについて解説しました。ECプラットフォームを選ぶ前に、まずは自社のECサイトに必要な機能を洗い出しておきましょう。加えて、プラットフォームのランニングコストだけではなく、EC事業全体の運用コストを考慮することも大切です。
本格的にECサイトに取り組む場合は、ショップの成長に対応できるプラットフォームを選択するようにしましょう。Shopifyのように拡張性の高いECプラットフォームを選んでおけば、将来的にサービスを乗り換える手間もなく安心です。
ランサーズでは、Shopifyの研修プログラムを修了した「Shopifyパートナー」が200名以上在籍しています。ShopifyでのECサイト構築を検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
