クラウド型ECサイト構築サービスのShopify(ショッピファイ)は、ごく簡単な項目を入力しただけですぐにECサイトが構築できます。できるだけコストを抑えて利用したいという方に便利ですが、月額費用や手数料はどのくらいかかるか気になる方も多いでしょう。
本記事では、Shopifyのプランごとの月額費用、決済や取引にかかる費用、手数料やランニングコストをできるだけ抑えるための注意点や方法を解説します。

目次
Shopifyでかならず発生する3つの費用
Shopifyでは利用するうえで必ず発生する費用と、利用方法や状況に応じて発生する費用があります。
- 月額(または年額)プラン利用料
- クレジットカード手数料
- ほかの決済サービスを利用した場合の手数料
それぞれどのくらいの費用が発生するかを解説します。
月額または年額のプラン利用料
Shopifyの料金体系は、月額(または年額)のプラン制です。プランの内容、または契約期間によって料金が異なります。また、いずれのプランでも初期費用はかかりません。
月額のプラン利用料は以下の通りです。
プラン名 | 月額利用料金 |
ベーシック | $29 |
スタンダード | $79 |
プレミアム | $299 |
Shopify plus | $2,000 |
Shopify ライト | $9 |
いずれもプラン利用料金を1年間まとめて支払った場合10%、2年間まとめて支払った場合は20%のディスカウント(割引)が適用されます。
クレジットカード手数料
Shopifyで構築したECサイトのクレジットカード決済1件ごとに、手数料がかかります。すべてのクレジットカード決済に手数料がかかるわけではありません。しかし日本での決済、または主要なクレジットカードブランドでの決済の場合は手数料が必要です。利用プランのグレードが高いほど、クレジットカード手数料が少なくなります。
決済の種類 | ベーシックプランの手数料 | スタンダードプランの手数料 | プレミアムプランの手数料 |
日本のオンラインクレジットカード手数料 | 3.4% | 3.30% | 3.25% |
海外/AMEXのオンラインクレジットカード手数料 | 3.85% | 3.85% | 3.8% |
JCBのオンラインクレジットカード手数料 | 4.15% | 4.1% | 4.05% |
請求時は、クレジットカード手数料+消費税が請求されます。
ほかの決済サービスを利用した場合の手数料
Shopifyは各種の外部決済にも対応しています。日本での支払いの場合、対応している決済サービスは以下の通りです。
- 2Checkout
- Alipay国際決済-SBペイメント
- All popular payment methods | Paysera
- Amazon Pay
- Asiabill
- Atome – 3 easy payments, 0% interest
- auかんたん決済-SBペイメント
- BitPay
- Checkout.com
- China Payments
- CyberSource
- GMO後払い決済(GMOイプシロン)
- JCB クレジットカード決済 – KOMOJU
- KOMOJU・コンビニ/その他
- NihaoPay
- Pay-easy決済-SBペイメント
- Paymentwall
- PayPal Express Checkout
- PayPay(オンライン決済)-SBペイメント
- Pinwheel
- PUT IT ON LAY-BUY
- Shopify Payments
- Skrill
- あと払い (ペイディ)
- キャリア決済 – ドコモデジタル
- クレジットカード決済 – KOMOJU
- クレジットカード決済 – SBペイメント
- クレジットカード決済(3Dセキュア) – SBペイメント
- クレジットカード決済(GMOイプシロン)
- コンビニ決済 – KOMOJU
- コンビニ決済-SBペイメント
- コンビニ決済(GMOイプシロン)
- スマホ決済 – KOMOJU
- スマートフォンキャリア決済(GMOイプシロン)
- ソフトバンクまとめて支払い-SBペイメント
- ドコモ払い-SBペイメント
- 楽天ペイ-SBペイメント
- 銀行振込 – KOMOJU
- 엑심베이(Eximbay)
上記の決済サービスを使用した場合、以下の取引手数料が追加料金として請求されます。取引手数料は、利用した決済サービスによって異なります。例えば、Amazon Payで決済をした場合、決済金額の4%(デジタルコンテンツ以外)、または4.5%(デジタルコンテンツ)の取引手数料が発生します。
Shopifyのプラン名 | 外部の支払い方法を選択した場合の取引手数料 |
ベーシック | 2.0%~ |
スタンダード | 1.0%~ |
プレミアム | 0.5%~ |
Shopifyで発生する可能性のあるその他の費用
Shopifyを利用すると、必要に応じて以下の費用が発生する場合があります。
- 有料のテーマを利用した場合
- 有料のアプリを導入した場合
- ドメイン登録をした場合
- 配送ラベルを発行した場合
- Shopifyメールを2,501通以上送る場合
- サイト構築やデザインを依頼した場合
以下でそれぞれについて解説します。
1. 有料のテーマを利用した場合
Shopifyには様々なデザインテーマが用意されているのも魅力のひとつです。テーマは無料で利用できるものもあれば、有料のものもあります。有料のテーマを利用した場合には、テーマの購入費用が発生します。
2. 有料のアプリを導入した場合
Shopifyには、ECサイトの運営やマーケティングに役立ついろいろなアプリを追加できます。アプリの例として、以下のようなものがあります。
- 海外の商品情報を日本語に一括変換するアプリ
- PDF請求書を発行できるアプリ
- 商品情報をSNSで配信できるアプリ
- SNSで配信する広告動画を作成できるアプリ
- 受発注データをワードやエクセルなどに変換できるアプリ
- マーケティングメールの作成や管理ができるアプリ
Shopifyのアプリは、テーマと同様に無料のものから有料のものまであります。有料のアプリを利用した場合には、アプリの購入費用がかかります。
3. ドメイン登録をした場合
Shopifyでストアを作成すると、「○○.myshopify.com」というデフォルトのドメインが利用できます。ブランディングの観点でオリジナリティを出したい場合、独自ドメインの購入も可能です。独自ドメインを登録すると、ドメインに応じた登録料が年額で請求されます。
4. 配送ラベルを発行した場合
アメリカ、カナダ、オーストラリアからの配送に限り(2021/5/9現在)Shopify Shippingを利用して主要な輸送サービスの配送ラベルの発行が可能です。配送ラベル発行を利用した場合、配送ラベル手数料がまとめて請求されます。
5. Shopifyメールを2,501通以上送る場合
売上増加のために、顧客へのメール配信も有効です。Shopifyのすべての有料プランには、2,500通の無料送信メールが付属しています。送信するメールが2,501通を超えると、1通当たり0.001USドルが費用として発生します。
6. サイト構築やデザインを依頼した場合
Shopifyは登録すれば簡単にストアの作成ができます。一方、オリジナリティを出したい場合や、顧客のユーザビリティ向上のためには複雑なサイト構築やデザインが必要になる場合があります。社内でデザインするのが難しい場合、外注費用が発生します。
Shopifyでストアを作成、運営するには月額プラン利用料や決済・取引手数料以外にもいろいろな費用がかかります。できるだけコストを抑えてECサイトを運営するためのポイントを次に解説します。
取引手数料が無料になる「Shopifyペイメント」の4つのメリット
「Shopifyペイメント」とは、Shopifyが独自展開する決済サービスです。利用するとすべての決済がShopifyを通じて行われるようになり、外部決済サービスを利用した場合の取引手数料が無料になります。その他にも以下のようなメリットがあります。
- 取引手数料が無料になる
- 面倒な手続きなしですぐに決済できる
- いろいろな決済方法を設定できる
- 支払いをリアルタイムで確認できる
それぞれ解説していきます。
1. 取引手数料が無料になる
Shopifyペイメントを通じた決済の場合、取引手数料が無料になります。クレジットカード決済の場合は、取引手数料がかからず、決済手数料のみが請求されるようになります。
2. 面倒な手続きなしですぐに決済できる
外部の決済サービスを決済方法として導入する場合、決済サービスごとの申し込みが必要です。手続きや設定などが面倒なのに加えて、実際にECサイトの決済方法として使えるまでにタイムラグが生じる場合もあります。一方で、Shopifyペイメントはワンクリックで設定でき、すぐにECサイトの決済に利用できます。
3. いろいろな決済方法を設定できる
Shopifyペイメントで提携している外部の決済サービスは、以下のものがあります。
決済サービス名 | 対応する国際ブランド |
Apple Pay | Mastercard、American Express、JCB ※Visaはオンラインでは使えないが対面店舗では使える |
Google Pay | Visa、Mastercard、American Express |
Shop Pay | Visa、Mastercard、American Express、JCB |
PayPal | Visa、MasterCard、American Express、JCB、銀聯など |
Amazon Pay | Visa、MasterCard、American Express、JCBなど |
iOSユーザーやGoogleユーザーの取り込みや、外貨設定も可能です。支払方法が多様化できるので、コンバージョンの増加が期待できます。
4. 支払いをリアルタイムで確認できる
Shopifyペイメントは、管理画面でステータスを随時確認できます。支払いや配送状況と一緒に、キャッシュフローの管理も可能です。
Shopifyの適切なプランを選んでコストカット
Shopifyには、5つのプランが用意されています。適切なプランを選ぶのも、ランニングコストを抑えるために重要です。プラン利用料の面から費用を抑えるポイントを解説します。
- Shopifyのプランと月額利用料
- 解約や変更は手数料なしでできる
- 年額支払いならディスカウントあり
1. Shopifyのプランと月額利用料
Shopifyのプランによって、利用できる機能は異なります。一方で、ECサイトの規模に合わないプランを利用していると、使わない機能が出てきて無駄になってしまう場合があります。ECサイトの規模や売上、販売形態に合った利用プランにすれば、機能を無駄なく使えてランニングコストを減らせます。
Shopifyの各プランの特徴、月額金額と、どのくらいの規模に合っているかは以下の通りです。
プラン名 | 月額利用料 | 利用できる機能 | 適した販売形態や規模 |
ベーシック | $29 | ネットショップ(ECサイトとブログ) 無制限の商品登録数 日本語のメールサポートとSNSサポート 販売チャネル追加機能 手動で注文作成 クーポンコード 無料SSL証明書 カゴ落ち対策メール ギフトカード 133の通貨で販売 Shopifyペイメントの不正解析 スタッフアカウント数2 | はじめてのネットショップ運営に |
スタンダード | $79 | ベーシックの機能 プロフェッショナルレポート 海外ドメイン 国際価格 スタッフアカウント数5 | 成長中のネットショップに |
プレミアム | $299 | スタンダードの機能 カスタムレポートビルダー 外部サービスの計算済み配送料 国際価格の商品ごとのバリエーション化 スタッフアカウント数15 | ネットショップからビジネスへの成長過程に |
Shopify plus | $2,000 | 一元管理 スタッフアカウント追加数無限 9つまでストア追加可能 100までテーマ追加可能 個別レポートのエクスポート パスワード保護による卸売チャンネル設定 | 企業向けプラン 大企業や取引量の多いストア |
Shopify ライト | $9 | ダッシュボード 財務レポート 顧客プロフィール 注文管理 商品管理 モバイル版POS メールカート 商品詳細のQRコード 実店舗在庫 ギフトカード ディスカウントとクーポンコード | 既存サイトやSNS、ブログへのカート機能追加 対面販売 |
プランのランクが高くなると、クレジットカード決済手数料や取引手数料が低くなる特徴があります。そのため、機能とECサイトの規模を考えてプランを選びましょう。ECサイトは構築せず、既存のサイトやSNSなどでのスモールビジネスで利用するならShopify ライトを選ぶ選択肢もあります。
2. 解約や変更は手数料なしでできる
ECサイトの規模が大きくなった、または縮小したい場合は、状況に応じてShopifyのプラン変更も手数料なしで可能です。ECサイトの運営をしながら、適度にプランを見直しましょう。Shopifyの解約時は未払い分だけ支払いが発生しますが、手数料はかかりません。
3. 年額支払いならディスカウントあり
プラン利用料金の支払いを月額ではなく、年間契約ならディスカウントがあるため費用を抑えられます。ディスカウント率は1年契約で10%、2年契約で20%です。長期間のECサイト構築が決定している場合は、年額支払いも検討してみましょう。
よりShopifyの手数料や費用を抑える3つのポイント
Shopifyのプラン見直しやShopifyペイメント導入は、ECサイト運営のコストカットにつながることが分かりました。その他、Shopifyの手数料や費用を抑えるためのポイントを3つご紹介します。
- プラン+オプションまたはアプリ利用を検討してみる
- 外部決済サービスの可能性を考える
- ECサイト構築やデザインをフリーランスに外注する
1. プラン+オプションまたはアプリ利用を検討してみる
機能を追加したい時、Shopifyのプランをアップグレードする以外にも、現在のプランに特定のオプションを付けたり、アプリを導入するだけで解決する場合があります。
ストアの規模が大きくなると、プランの変更が必要になることもありますが、まずはオプションやアプリの追加を検討してみましょう。プランの変更よりもコストを抑えられる可能性があります。
2. 外部決済サービスの可能性を考える
Shopifyペイメントを利用すると取引手数料がかからなくなるメリットがありますが、外部決済サービスが提携しているものしか利用できないデメリットがあります。ECサイトのユーザー層によっては、コンビニ決済や代引きなどShopifyペイメント以外の決済サービスを利用したい、という場合もあるでしょう。
決済方法は手数料のみを考えるのではなく、ユーザーの利便性を考えて選択することが重要です。取引手数料以上の売上が見込める場合は、Shopifyペイメントの提携外サービスでの決済方法も検討してみましょう。
3. ECサイト構築やデザインをフリーランスに外注する
社内にデザインやコーディングの知見がない場合、フリーランスに外注するという選択肢もあります。
Shopifyはデフォルトの機能ではできることが限られているため、カスタマイズは専門知識のある人に相談するのがおすすめです。また、ルーティン化した業務を積極的に外注することで、サイト運営や商品の仕入れなどのコア業務に注力できるようになります。
Shopifyの手数料や費用は工夫でカットできる
ShopifyでECサイトを運営する場合、月々の費用は工夫すれば抑えられることがあります。ECサイトの商材や売上、運営方法など状況にあった決済方法やプランに見直しをしてみましょう。また、構築や運用の業務を全て自社で行うのでなく、うまく外注先を活用してECサイトの運営を軌道に乗せましょう。
