外国人のお客様や海外からの利用機会が多くなる場合、または当初から外国人をターゲットにした商材やサービスを取り扱い場合、ECサイトの多言語化や越境ECサイトの構築が視野に入ります。ECサイトプラットフォームサービスの中でも、Shopifyは多言語化や越境EC向けの特徴を多く持っています。
本記事ではShopifyでECサイトの多言語化や越境ECを目指したい人のために、Shopifyの多言語化の2つの方法と準備、手順について解説しています。

目次
Shopifyが多言語化や越境ECに向いている5つの理由
多言語化ページや越境ECサイトを構築する上で、ECサイトプラットフォーム選びは重要なポイントです。Shopifyは以下の点で、多言語化や越境EC構築に向いています。
- 多言語に対応した環境
- 複数の通貨や決済方法や課税に対応
- 海外の配送方法に対応
- 海外での閲覧も最適化できる
- 複数の販売チャネルと連携
それぞれの理由について解説します。
1. 多言語に対応した環境
Shopifyはカナダに本社のある、グローバルECサイトプラットフォームです。日本語をはじめ、各言語に翻訳された公式サイトがあるのと同じく、以下のようにECサイトが多言語に対応できる環境が整っています。
- ベーシックプラン以上はECサイトページの多言語翻訳に対応
- テンプレートが多言語に対応しているものが多く実装済み
- ページの翻訳ができる翻訳アプリも多数実装済み
2. 複数の通貨や決済方法や課税に対応
Shopifyは言語だけでなく、決済もグローバルな対応が可能です。
- 複数の通貨に対応
- 複数の決済方法に対応
- 国ごとの課税ルールに適用
決済方法はECサイト運営者の居住地によって異なります。日本の場合は以下の決済方法が選べます。
- 2Checkout
- 2Checkout Convert Plus
- Alipay国際決済-SBペイメント
- All popular payment methods | Paysera
- Amazon Pay
- Asiabill
- Atome – 3 easy payments, 0% interest
- auかんたん決済-SBペイメント
- BitPay
- Checkout.com
- China Payments
- CyberSource
- Eximbay
- FasterPay
- GMO後払い決済(GMOイプシロン)
- JCB クレジットカード決済 – KOMOJU
- KOMOJU・コンビニ/その他
- NihaoPay
- Oceanpayment
- Pay-easy決済-SBペイメント
- Paymentwall
- PayPal Express Checkout
- PayPay(オンライン決済)-SBペイメント
- Pinwheel
- PUT IT ON LAY-BUY
- Shopify Payments
- Skrill
- あと払い (ペイディ)
- キャリア決済 – ドコモデジタル
- クレジットカード決済 – KOMOJU
- クレジットカード決済 – SBペイメント
- クレジットカード決済(3Dセキュア) – SBペイメント
- クレジットカード決済(GMOイプシロン)
- コンビニ決済 – KOMOJU
- コンビニ決済-SBペイメント
- コンビニ決済(GMOイプシロン)
- スマホ決済 – KOMOJU
- スマートフォンキャリア決済(GMOイプシロン)
- ソフトバンクまとめて支払い-SBペイメント
- ドコモ払い-SBペイメント
- 楽天ペイ-SBペイメント
- 銀行振込 – KOMOJU
Shopifyは日本国内はもちろん、海外で多く活用されている決済方法にも対応しています。
3. 海外の発送方法に対応
Shopifyでは海外配送のできるUPSとFedExなどが配送業者として利用できます。また、Shopifyアプリのなかには、海外配送時の配送料金を算出できるものもそろっています。
4. 海外での閲覧も最適化できる
Shopifyは世界各国にサーバーを分散しているため、アクセスが集中してもサイトが重くなる、閲覧できなくなるということがありません。海外でもECサイトを最適な環境で閲覧できます。
5. 複数の販売チャネルと連携
ECサイトはただ構築しただけでは集客は望めません。外国人の顧客や海外からの顧客を集めるために有効な、以下の複数の販売チャネルとShopifyは連携しています。
- オンラインストア
- Shopアプリ
- Facebookへ直接ストアタブから商品投稿可能
- 購入ボタンの埋め込み機能
- Messengerで対話しながらの販売
- Instagramでタグ付けによる販売
- 卸売チャネル(Shopify Plusプランでのみ利用可能)
- HandshakeでのECサイトと商品一覧表示
Shopifyで多言語化する2つの方法とメリット・デメリット
Shopifyのページを多言語化する方法には以下の2つがあります。
- 翻訳アプリを使って自分で翻訳する方法
- 翻訳ページの作成をアウトソーシングする方法
翻訳アプリで自力翻訳するメリット・デメリット
Shopifyアプリのなかには、多言語化ができる翻訳アプリも多くリリースされています。翻訳アプリを利用するメリットは以下の通りです。
- スピーディに多言語化できる
- コストがかからない
翻訳アプリはShopifyのページを多言語化するプロセスで使用できます。運営者の任意のタイミングでECサイトの翻訳ができるため、スピーディな多言語化が可能です。すぐに多言語化したページを公開したいときなどにも向いています。また、既存ページの多言語化を外注依頼するよりもコストがかかりません。
翻訳アプリを利用するデメリットは以下の通りです。
- サイト内検索ができない場合がある
- SEO対策ができていない
- ほかの対応は自分で行う
ECサイト内にサイト内検索機能を設けた日本語ベースのページを翻訳アプリで翻訳後、他言語でサイト内検索機能がうまく機能しない場合があります。また、自動翻訳をしただけではページのSEO対策ができていない状態です。検索による集客が望めないため、言語に対応したSEO対策は別途行う必要があるのを覚えておきましょう。
また多言語化をアウトソーシングする方法にも共通しますが、翻訳以外も通貨や課税、決済方法、配送方法の変更などの対応を別途行う必要があります。
多言語化をアウトソーシングするメリット・デメリット
ShopifyでのECサイトの多言語化を、フリーランスエンジニアや翻訳者、ホームページ制作会社に依頼する方法です。以下のメリットがあります。
- 自分で対応する手間が省ける
- ECサイトの内容に応じた翻訳を希望できる
- ほかの対応も依頼できる
多言語化にともなう作業をアウトソーシングすれば、ECサイト運営者が自分で多言語化をする手間が省けます。ECサイト運営に注視できるでしょう。翻訳を依頼する場合には、商材やECサイト、ターゲットに応じた翻訳内容を希望することも可能です。SEO対策をはじめ、ほかに行わなければいけない対応も外注できます。制作会社の場合は、まとめて依頼することも可能です。
デメリットは、翻訳アプリよりも多言語化にともなうコストがかかることです。
Shopifyを多言語化するための準備と手順
Shopifyの既存ECサイトを多言語化するために必要なものと手順を解説します。
まずは多言語化を自力で行うか依頼するか決める
ShopifyのECサイトを多言語化する方法は、翻訳アプリを使用して自力で行う方法と、ページ作成をアウトソーシングして翻訳済みページを作成してもらう方法があります。どちらにするかで手順が異なるため、方法を決めておきましょう。
Shopifyで多言語化するための準備
Shopifyでの多言語化に必要な準備は以下の通りです。
- プランをベーシック以上にする
- 多言語に対応したデザインプレートを利用する
- 言語セレクタの有無を確認
- 翻訳アプリを利用する場合は翻訳アプリのインストール
- 依頼する場合にはCSVファイルのエクスポート
Shopifyのプランのなかで、Shopifyライトは多言語化に対応していません。多言語化にはベーシック以上のプランへの契約が必要になります。なお、ベーシック、スタンダード、プレミアムは最多5か国語、Shopify Plusでは最多20か国語に対応しています。
デザインテンプレートのなかには、多言語に対応していないものがあります。多言語化で利用したい言語に対応しているデザインテンプレートを選びましょう。同時にデザインテンプレートの言語セレクタの有無も確認します。言語セレクタがない場合には、Geolocationアプリを追加して対応しましょう。
ページやコンテンツの翻訳を自力で行う場合は翻訳アプリをインストールします。多言語化を依頼する場合には既存ページのCSVファイルをエクスポートしておきましょう。
翻訳アプリを使ってShopifyで多言語化する手順
翻訳アプリを使ってShopifyを多言語化するときは、Shopifyの管理画面から行います。ECサイトを他言語対応にするための手順は以下の通りです。
- 管理画面から「設定」に移動
- 「ストアの言語」をクリック
- 「翻訳された言語」で、「言語を追加する」をクリック
- ドロップダウンメニューから言語を選択し、「追加」をクリック
- 「Shopify アプリストアにアクセスする」をクリック
- 手順に従って翻訳アプリをインストールする
- アプリの手順に従ってコンテンツを翻訳する
- プレビューで確認する
外注後Shopifyで多言語化する手順
既存のECサイトをアウトソーシングして多言語化した場合の手順は以下の通りです。
- 翻訳アプリを使う手順1~4と同じ方法で言語を追加する
- CSVファイルをエクスポートする
- 翻訳箇所に変更を加えて保存
- CSVファイルをインポートする
CSVファイルをエクスポート~編集する手順は以下の通りです。
- 管理画面から「設定」に移動
- 「ストアの言語」をクリック
- 「すべての言語」を選択し、サポートしているすべての言語の翻訳をエクスポートする
- すべての翻訳をエクスポートするには、「すべてのコンテンツ」を選択する
- メタフィールドを使用している場合、「メタフィールド」を選択する
- 現在翻訳されていないコンテンツのみをエクスポートするには「翻訳されていないコンテンツ」を選択する
- 上記オプション選択後「エクスポート」 をクリック
- エクスポートされたCSVファイルがメールで届く
- エクスポートされたCSVファイルの「翻訳されたコンテンツ」 列に翻訳を直接追加し、変更を保存する
編集したCSVファイルをインポートする手順は以下の通りです。
- 管理画面から 「設定」に移動
- 「ストアの言語」をクリック
- 「インポート」をクリック
- 「ファイルを追加」をクリックし、編集後のCSVファイルに移動
- 既存の翻訳を置き換える場合は、「既存の翻訳を上書きする」にチェックを入れる。このとき新しく翻訳されたコンテンツのみをインポートし、既存の翻訳を置き換えない場合は、「既存の翻訳を上書きする」のチェックを外す
- 「アップロードして続行する」をクリック
- 「CSVで言語をインポートする」情報を確認後「インポート」をクリック
なおCSVファイルにエラーが含まれている場合、インポートは停止されます。エラー内容は「CSVで言語をインポートする」ページに表示されます。
Shopifyの多言語化を効率よく進めるには
翻訳アプリを使って多言語化する方法はスピーディかつコストもかからない方法です。ただし、SEO対策や配送方法、通貨や決済方法の設定など、ほかの対応しなければいけなりません。
ただし、ページの多言語化を外注する場合にはコストがかかります。コスト面を考慮しつつ、Shopifyの多言語化を外注したいときのおすすめの方法が、フリーランスへの依頼です。
フリーランスは、重視したいポイントに応じてスポット依頼もできます。例えばページの多言語化を依頼する場合、翻訳はサイト運営者が行い、SEO対策をフリーランスに依頼する、などです。トータルの多言語化のコストを低く抑えたいときにも、フリーランスへの依頼を検討してみましょう。
Shopifyで多言語化や越境EC構築を目指そう
Shopifyが多言語化や越境ECサイト構築に向いているポイントや、Shopifyで多言語化をする2つの方法のメリット・デメリット、手順を解説しました。
Shopifyは多言語や越境ECサイトの構築に向いている多くのメリットがあります。翻訳アプリを使えばスピーディ、かつ手軽なページの多言語化も可能です。まずは翻訳アプリでのページ多言語化を行ってから反応を見て、APIや拡張機能での多言語化を目指すのもよいでしょう。
