自社で取り扱っている商品をインターネット経由で販売するネットショップの構築には手間や費用がかかります。WordPressで構築した自社のWebサイトがすでにあるなら、それを活かしたいと考える会社は多いでしょう。
そこで活用したいのが、Webサイトにカート機能を追加できるShopifyの機能です。本記事では、ShopifyとWordPressの連携方法や料金などを解説します。

目次
WordPressで構築したWebサイトにShopifyでカート機能を追加できる
Shopifyと契約すると、WordPressで構築したWebサイトにカート機能を追加することが可能です。
つまり、WordPressで運営中の自社サイトに、Shopifyに登録した商品やコレクションの情報を追加することで、WordPressで構築済みのWebサイトで商品を販売することが可能になるのです。
WordPressにカート機能を設置するには、Shopifyへの登録が必要です。その上で、Shopifyに商品を登録をして、購入ボタン機能をインストールしてください。Shopifyの購入ボタン用を表示させるためのコードをWordPressで構築したWebサイトに貼り付けるだけですので、簡単にできます。
すべてのShopifyプランでWordPressにカート機能を実装できる
WordPressに購入ボタンを設置するための機能は、Shopifyのプランに実装されています。購入ボタンを設置するための機能はShopify Liteにも実装されていますので、ShopifyでECサイトを運営していなくても実装可能です。
ここでは、WordPressにカート機能を実装できるShopifyのプランについて紹介します。
- Shopify Liteで使える機能
- Shopifyの料金プランと機能
Shopify Liteで使える機能
Shopify Liteとは、実店舗でPOS Liteを使える機能や既存のWebサイトへ購入ボタンを追加する機能などがついたShopifyの簡易的なプランです。Shopify Liteは月額9ドルで使えます。
Shopify Liteの主な機能は下記の通りです。
- 実店舗でのPOS Liteの使用
- 既存のWebサイトへ購入ボタンを追加
- 商品管理
- 実店舗在庫管理
- ギフトカード
- 注文管理
- 顧客管理
- 割引
- クーポンコード
Shopify LiteにはECサイトを構築する機能はついていません。しかし、Shopify LiteにはWebサイトや実店舗で商品を販売するために必要最低限の機能がついています。
プラン | Shopify Lite |
毎月の手数料 | 9ドル |
Shopifyの料金プランと機能
Shopifyの通常プランでも、WordPressにカート機能を実装する機能がついています。Shopifyの通常プランとはECサイトを構築するためのプランで、自社ECサイトを構築して商品販売が可能です。
Shopifyの通常プランはShopify Liteに比べて多機能で、下記のような機能がついています。
- ECサイトの構築
- 商品登録数無制限
- SNSでの販売
- クーポンコード
- ギフトカード
- カゴ落ち対策メール
- 複数の言語・通貨で販売
- Shopify POSへの対応
Shopifyの通常プランは3種類あり、プランによって機能や手数料が異なります。Shopifyのプランごとに発生する手数料は下記の通りです。
手数料 | ベーシック | スタンダード | プレミアム |
毎月の手数料 | 29ドル | 79ドル | 299ドル |
クレジットカード手数料(Shopifyペイメント) | 3.4〜4.15% | 3.3〜4.1% | 3.25〜4.05% |
Shopifyペイメントを利用しない場合の取引手数料 | 2.0% | 1.0% | 0.5% |
振込手数料 | 無料 |
WordPressにShopifyのカートを追加する前に必要な初期設定
WordPressにShopifyのカート機能を実装するには、Shopifyで初期設定が必要です。ここでは、WordPressにShopifyのカートを追加する前に行うべき初期設定を順番に紹介します。
- Shopify へ登録
- 決済設定
- 配送設定
- 商品をShopifyに追加する
1. Shopify へ登録
まだShopifyへ登録していないなら、プランを選んで申し込みましょう。Shopify Lite・ベーシック・スタンダード・プレミアム、どのプランを選んでも14日間は無料体験できます。
「無料体験を始める」メニューからショップ情報など必要事項を入力すると、Shopifyの無料体験に必要なショップ情報をすぐに登録できます。
Shopifyで販売を開始するために必要な設定や申請がいくつかありますので、無料期間を利用して進めていきましょう。
2. 決済設定
まずは顧客が購入後にクレジットカード決済を選択できるよう、決済の設定を進めていきましょう。Shopify管理画面で「設定」を選んだら、「決済設定」に進んでください。選択可能な決済方法が表示されますので、設定していきましょう。
Shopifyペイメントを選ぶなら、Shopifyペイメントセクションで「アカウントの設定を完了する」をクリックしてください。Amazon Payやキャリア決済など他の支払い方法を追加したければ、必要に応じて追加していきましょう。
Amazon Payは個別の設定が必要
ShopifyにAmazon Payを登録できるのは、日本に拠点がある登記されている法人です。Amazon Payで支払いできるようにすることで、ユーザーは支払い情報を登録せずともAmazonアカウントで支払えますので、ユーザーにとっての利便性が高くなります。
ただしShopifyでAmazon Payでの支払いができるよう設定したと思っても、うまくいかないことがあります。ShopifyでAmazon Payによる支払いがうまくできなければ、下記の設定を見直しましょう。
リダイレクトURL(Webサイトのドメイン)が元のURL(ShopifyのURL)と異なると、Amazon Payは決済途中でエラー画面が表示されます。エラーを防ぐには、独自ドメインで登録している「リダイレクトURL」と「JavaScriptの種類」に、Shopifyの管理ドメインのURLを追加してください。
3. 配送設定
Shopifyのカート機能を実装する前に、購入後の配送方法も設定しておきましょう。
Shopify管理画面で「設定」を選んだら、「配送」に移動しましょう。配送料を追加する配送プロファイルの横に表示されている「送料を管理する」をクリックしてから、エリアごとの送料を入力してください。
Shopifyの送料には、重量ベースの条件を追加することも可能です。送料の入力が終わったら、「完了」をクリックして「保存」をクリックすると設定できます。
4. 商品をShopifyに追加する
Shopifyで支払いと配送設定が終わったら、WordPressで販売したい商品を登録していきましょう。
Shopifyの管理画面の「商品」から「すべての商品」を選んでください。「商品を追加する」ボタンをクリックして、商品情報を登録していきます。タイトルや価格、商品画像や商品説明など必要な情報を入力したら、「保存」をクリックしてください。
同じ手順を繰り返して、商品登録を進めていきましょう。類似商品を登録する場合は、商品の複製機能を使うと商品登録がスムーズです。
Shopifyで購入ボタンを制作してWordPressに貼る手順
Shopifyに商品登録したら、WordPressに貼るための購入ボタンを作成しましょう。ここでは、Shopifyで購入ボタンを作成して、WordPressに貼り付ける手順を紹介します。
- 購入ボタンを作成
- WordPressダッシュボードに移動
- WordPressのバージョンに応じて埋め込みコードを追加する
1. 購入ボタンを作成
Shopifyで購入ボタンを作成するには、管理画面で購入ボタン販売チャネルを追加します。
Shopifyの管理画面内の販売チャネルの見出しの横にある「+」アイコンをクリックしてください。「購入ボタン」を選択すると、購入ボタン(Buy Button)を販売チャネルとして追加できます。
次に「購入ボタンを作成する」をクリックして、「商品購入ボタン」をクリックし、WordPressで販売したい商品を選び、デザインなどを設定して購入ボタンを作成しましょう。表示された埋め込み用のコードをコピーして、WordPressに貼り付けていきます。
2. WordPressダッシュボードに移動
商品購入ボタンの埋め込み用のコードをコピーしたら、WordPressの編集画面に移動します。WordPressのダッシュボードで、商品購入ボタンを設置したい場所の編集画面を表示させてください。
3. 埋め込みコードを追加する
商品購入ボタンを設置する場所によって、設置方法が異なる点を押さえておきましょう。商品購入ボタンの設置場所別に、追加方法を紹介します。
- WordPressの投稿に埋め込みコードを追加
- WordPressのメニューに埋め込みコードを追加
WordPressの投稿に埋め込みコードを追加
WordPressの投稿にコピーした埋め込みコードを追加するには、下記の手順で行います。
- ブロックエディタで「+」 ボタンをクリックして「カスタムHTML」を選択する
- テキストフィールドに、埋め込みコードを貼り付ける
- 「公開」をクリックする
この手順を済ませると、WordPressの投稿にShopifyの商品購入ボタンが表示されます。
WordPressのメニューに埋め込みコードを追加
WordPressのメニューに商品購入ボタンを表示させたいなら、下記の手順で設置していきます。
- WordPressのダッシュボードで「外観」をクリックする
- 「編集」をクリックした後「ウィジェット」をクリックする
- 「テキスト」ウィジェットを開くか、「ウィジェットを追加」して「テキスト」をクリックする
- テキストフィールドにコピーした埋め込みコードを貼り付ける
- 変更を保存する
この手順を終えると、メニューに商品購入ボタンが表示されるようになります。
ShopifyとWordPressを連携させる際の4つの注意点
Shopifyのカート機能をWordPressに設置する際、下記のような点に注意してください。
- 「WordPress.com」には対応していない
- 無料プランはない
- 売れたら手数料が発生する
- 商品の売れ行きによっては通常プランへの変更を検討する
1. 「WordPress.com」には対応していない
WordPressと呼ばれるものには「WordPress.org」と「WordPress.com」の2種類があります。
「WordPress.org」はサーバーにソフトをインストールして使う方式です。レンタルサーバーの多くが提供しているWordPressのワンクリックインストールは「WordPress.org」に対応しています。
「WordPress.com」はWordPressが使えるブログサービスです。サーバーをレンタルしなくてもブログを構築できますが、毎月の利用料金が発生します。
Shopifyのカート機能を設置できるのは「WordPress.org」で、「WordPress.com」には対応していませんので注意してください。
2. 無料プランはない
Shopifyの機能を使ってWordPressにカート機能を実装させようとすると、Shopifyとの契約が必要です。ShopifyにはSTORESなど他社のサービスのような無料プランがありません。一番低コストで済むShopify Liteを選んでも月額9ドルの料金が発生します。
商品が売れなかった月であっても、料金の支払いが必要な点は理解して申し込みましょう。
3. 売れたら手数料が発生する
WordPressからShopifyのカート機能経由で商品が売れたら、売れた金額に対して手数料が発生します。手数料率はShopifyのプランによって異なり、毎月の料金が高額なプランほど手数料率は低いです。また、手数料は支払い方法によって異なります。
商品代金がまるまる手に入る訳ではなく、手数料が引かれる点を認識しておきましょう。
4. 商品の売れ行きによっては通常プランへの変更を検討する
WordPressにカート機能を実装するために、最初はShopify Liteなどコストが低いプランを選択することがよくあります。しかし、毎月の料金が低コストで済むプランはクレジットカードの手数料率などが高水準です。売れ行きが良くなると、固定の手数料が低料金なプランを選ぶ方が割高になることもあります。
Shopify LiteからShopifyの通常プランに変えると、毎月の料金は上がりますが、ECサイトの構築にも対応しているなど利用できるサービスも多いです。
売上が伸びてきたら本格的なネットショップの構築も視野に入れて、Shopifyのプランを変更することを検討してみてください。
ShopifyとWordPressの連携には設定や商品登録が必要
Shopifyのカート機能をWordPressと連携させて実装させるには、設定や商品登録が必要です。なかでも商品登録は、商品の数が増えれば増えるほど、手間がかかります。
自社でShopifyとWordPressの連携がなかなか進まないなら、Shopifyの商品登録などの経験豊富なプロの手を借りるのもおすすめです。
フリーランスへの依頼も検討してみよう
ShopifyとWordPressの連携を自社以外に依頼するなら、経験豊富なフリーランスへの依頼も検討してみましょう。ランサーズにはShopifyの専門知識があって経験豊富なフリーランスが在籍しています。
ShopifyとWordPressの連携を自社以外へ依頼することを検討しているなら、一度問い合わせてみてください。
ShopifyとWordPressは月額9ドルのプランで連携できる!
今回の記事ではShopifyとWordPressの連携方法についてお話ししました。再度、ポイントをまとめます。
- Shopifyで購入ボタンを作成するとWordPressのサイトに貼付可能
- Shopifyの購入ボタンのコードをWordPressに貼り付けることで購入ボタンを追加できる
- 月額9ドルのShopify Liteでも通常プランでも購入ボタンを作成できる
- Shopifyの購入ボタンを追加できるのは「WordPress.org」で、「WordPress.com」には対応していない
- 購入ボタンを作成する前にShopifyで商品登録が必要
WordPressとShopifyの連携は簡単にできますが、商品登録には意外と手間がかかります。フリーランスなど専門家への部分的な依頼も検討しながら、連携を進めていきましょう。
