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EC事業立ち上げに必要な4つの要素とは?注目のD2Cモデルも解説

EC事業なら、今まで培ったスキルや経験をもとに自分自身のブランドを展開することも可能です。そこで独立・起業を検討中なら、EC事業を立ち上げる際の実務やブランドの信用醸成につながる展開手法などを押さえておきましょう。

本記事では、EC事業の成功率を高める3つの要素や購入型クラウドファンディングなどD2Cブランドの展開手法をご紹介します。EC事業の立ち上げを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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EC事業の立ち上げは大きく3つのパートに分かれる

紙に書かれたIDEAS

EC事業の立ち上げは、3つのパートに大別できます。ここではパートごとに、着手すべきことを見ていきましょう。

  1. 売れる商品の開発
  2. 競合他社のリサーチとビジネスプランの作成
  3. EC事業のローンチ

1. 売れる商品の開発

EC事業の立ち上げにあたって最初に着手すべきは、オンラインストア(ECサイト)で販売する商品を決めることです。とりあえずEC通販を始めたい人は、仕入れであればハードルが低く取り組みやすいでしょう。しかし自分の専門領域で思うような商品が見つからなければ、OEMへの挑戦も検討してみましょう。

一定のノウハウがあれば、OEM委託で売れるオリジナル商品を開発します。OEMとは委託者側が商品企画やサンプルチェックを担い、受託者側が製造する形態のことです。仕入れ・OEMのいずれの場合でも、概ね以下の流れで販売する商品を決定します。

  • 個性を打ち出すためにECサイトのコンセプトを決定
  • 競合他社をリサーチしアイデアを検証する
  • 販売する商品を入手する

ここでは、仕入れとOEM委託のメリットとデメリットをご紹介します。

メリットデメリット
仕入れ・商品の品質を担保しやすい
・リサーチ次第では、隠れたニーズを掘り起こせる商品に出会える
・商品を補充しやすい
・低資金・低リスクでEC事業を立ち上げたいなら、ドロップシッピング(無在庫直送販売)という手法もある
・競合他社が同じ仕入れサイトから仕入れる可能性が高い
・競合他社との差別化が難しい
・価格競争に巻き込まれやすい
OEM委託・小資本で自社オリジナルブランドを実現可能
・ハードルの高い商品開発に、OEM委託を利用すれば参入しやすくなる
・多品種・小ロット生産に対応できる委託先が見つかればできれば、不良在庫が残るリスクを軽減できる
・設備投資や人員確保の心配がないので、マーケティングに専念できる
・ノウハウの蓄積ができず自社で生産技術が育たない
・委託先に大部分を任せるケースだと、製造・生産工程を把握しづらい
・生産量が委託先次第となることがある
・自社の技術やノウハウが委託先に流れライバル化することがある

2. 競合他社のリサーチとビジネスプランの作成

販売する商品を決めサプライヤーをおさえたら、次に具体的にEC事業の戦略を立てていきます。ビジネスプランを策定する前に、競合他社について調査することが大切です。ここではEC事業の立ち上げに関する2つ目のパートの流れを見ていきましょう。

手順EC事業の戦略立案の手順手順の詳細
1競合他社に関するリサーチを行う・今後想定されるビジネス障壁を明らかにする
・自社EC事業を差別化する戦略を立てておく
2自社ECサイト構築かECモールへの出品・出店か決定する・それぞれのメリット・デメリットを明らかにし、自社に合った出店方法を選ぶ
・自社ECサイトを構築できるShopifyと楽天市場の販売チャネル連携が簡単にできるので、同時に出店することも検討する
3ビジネスプランを書き出す・売上とコストを柱に、収益の見込みを立てる
・売上目標を達成するためのKPI(重要業績評価指標)を設定する(アクセス数・客単価・成約率・リピート率など)
・実施すべき施策の優先順位を明らかにする

3. EC事業のローンチ

ビジネスプランを作成したら、いよいよEC事業のローンチです。ここでは、EC事業の立ち上げに関する3つ目のパートの流れを見ていきましょう。

手順EC事業のローンチの手順手順の詳細
1ブランド名を決める・ドメイン取得ができるかどうかチェックしながら、ビジネス名やブランド名を決める
・良いアイデアが浮かばないのであれば、フリーランスに相談しネーミングを募集する
2ブランドロゴを作成する・ECサイトのコンセプトをビジュアルで表現する
・覚えやすく永続性のあるデザインを選ぶ
・サイトデザインにも影響するため、プロのフリーランスや制作会社に依頼するのがおすすめ
3SEOライティングに注力しコンテンツを制作する・「ささげ業務(撮影・採寸・原稿)」を行いコンテンツ制作に必要な素材を準備する
・自社商材と関連性の高いキーワードを選定し、Googleなどの検索エンジンで上位表示されやすいSEOライティングを心がけながら商品紹介ページなどのコンテンツを制作する
・ささげ業務を外注すると結果として手間やコストの軽減になるため、自社リソースが少ないケースでは外注を検討する
4ECサイトを構築する・低予算でECサイトを構築したいなら、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)の利用を検討する
・OEM委託で自社オリジナル商品を開発するなら、ECサイト構築を外注した方が商品開発・マーケティングに注力できる

EC事業の成功率を高めるために必要な4つの要素

ノートにENTREPRENEURの略図を書く

ここでは競争の激しいEC市場で生き残るためにも、EC事業の成功率を高める以下の4つの要素についてご紹介します。

  1. リソースを考慮した実行可能なEC事業戦略の立案
  2. 資金調達時にも役立つ事業計画書の作成
  3. 小さな規模のテストマーケティングの実施
  4. 中長期の目標をたてる

では、それぞれの要素について見ていきましょう。

1.リソースを考慮した実行可能なEC事業戦略の立案

中長期的な観点から、自社EC事業の戦略と展開シナリオを描きます。綿密なリサーチを実施し、市場動向や競合について理解したうえでEC事業の方針を固めましょう。インターネット上のリサーチは、慣れていないと時間がかかるため、何を知りたいのかを明確にして外注するのがおすすめです。

リサーチ結果を把握したら、以下の点を明確にしてから戦略立案と展開シナリオの作成にとりかかります。

  • どのようなユーザー層をターゲットとして想定するのか?
  • どのような商品・サービスを提供するのか?
  • どのようにして新規顧客を獲得するのか?

ここで描く戦略は、理想論ではありません。収益見込みの根拠について、自社の実情リソースを考慮した上で実行可能なシナリオを描くことが大切です。

2.資金調達時にも役立つ事業計画書の作成

スキルやノウハウのあるフリーランスに多くの業務を外注してでも、自社で最も注力すべきなのが事業計画書の作成です。事業を展開するプロセスを可視化した事業計画書は、EC事業のロードマップに相当するため自社でしか作成できません。EC事業について説明をする相手先と目的を意識しながら、作成するようにしましょう。

事業計画書に含むべき主な項目は、次のとおりです。

  • 想定顧客
  • 商品・サービスの概要やその提供価値
  • ニーズ検証の結果
  • 市場規模
  • ビジネスモデル
  • 競争優位性、経営戦略
  • マーケティング戦略・販売戦略
  • 数値計画
  • ECビジネス事業体の概要
  • ミッション・ビジョンやコンセプト

事業計画書を作成すると、次のような効果を得られます。

  • 投資家や金融機関が事業の成長性などを予測し、出資や融資を決定する際の判断材料になる
  • 事業の曖昧な部分が明らかになり、何を準備すべきか具体的に見える

戦略や事業計画書なしにEC事業を立ち上げると、目標を達成する前に予算が尽きて撤退にもなりかねないからです。時間をかけて計画を練ることで弱点を克服でき、資金調達やEC事業の成功率を高めることにつながります。

3.小さな規模のテストマーケティングの実施

いくら緻密にエクセルシート上で事業計画を練ったとしても、完全に将来の見通しを予測するのは不可能だと言えるでしょう。そこで小さな規模のテストマーケティングを実施し、市場の反響をみるのがおすすめです。

例えば、以下のような手法が考えられます。

  • 一部のユーザーにサンプル商品を配布しフィードバックを集める
  • 限定ユーザーを対象に先行販売し広告への反応や1件のコンバージョンにかかった広告費用(CPA)を確認する

テストマーケティングは、後述しますがクラウドファンディングを利用すれば実施できます。自社の強みを再確認するためにも、可能であれば実施するようにしましょう。

4.中長期の目標をたてる

EC事業の立ち上げから、少なくとも3年分の売上や利益をシミュレーションできる「分析シート」の作成もおすすめです。各KPIを設定すると、自動的に売上や利益をシミュレーションできるようにします。このような分析シートの作成は簡単ではありませんが、投資の効果を分析する際にも役立つので挑戦してみると良いでしょう。

日本のEC市場で注目される最新ビジネスモデル「D2Cブランド」

ノートPCの前で衣服をデザインする

商品・サービスを消費者に自社チャネルで販売するD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)が、EC事業のビジネスモデルの中でも特に注目を集めています。メッセージをダイレクトに伝えられることから、ブランディングしやすいためです。

近年では様々な分野でデジタル化が進み、資本力のない小規模なEC事業でもブランドを発信できます。実際に「2021年ヒット予測ランキング」で「マイクロD2C」が10位に選ばれました(日経トレンディと日経クロストレンド発表)。

小売店などが展開する、価格が安くコストパフォーマンスが高いプライベートブランドとは異なり、EC事業のD2Cでは顧客体験を提供して購買意欲を刺激するのが特徴です。

商品のスペックはもちろん、商品が誕生した背景やコンセプト、ブランドの社会的意義に価値があります。日本では古くから伝統工芸品の素晴らしさが知られていることから、こだわり商品にファンが集まりやすいのです。

ユーザーは広告やSNSでのクチコミなどで商品を見つけ、ブランドのコンセプトや世界観に共感すると商品を購入します。そのためサイトの写真・見栄え・商品説明の文体などに、ブランドの世界観が一貫して反映されていることが重要です。

EC事業を立ち上げる前に知っておきたいD2Cブランドの展開手法

スマホを見て喜びを示す人

ここでは、EC事業を立ち上げる際に注目したいD2Cビジネスモデルの展開手法について見ていきましょう。

  • パーソナライズ商品をECサイトで販売する
  • 購入型クラウドファンディングの活用
  • ストーリーコマースを可能にするECサイトづくり

1. パーソナライズ商品をECサイトで販売する

パーソナライズされた商品・サービスを届けるD2Cブランドが注目されています。ECサイトから提案される「自分専用の商品」をオンラインで取り寄せることに満足感を感じるユーザーが増えているというわけです。
パーソナライズ商品へのニーズが高まっている背景には、次のような理由が考えられます。

  • データ分析による商品の最適化が当たり前の時代になった
  • 自分のライフスタイルに合っているかを消費者が商品選定の際に重視している
  • 消費の無駄に気づき、価格より質を重視する価値観が広がっている

以下のジャンルで、パーソナライズ商品を扱うD2Cブランドが続々と登場しているのでチェックしてみましょう。

  • 美容
  • 食品能
  • ファッション
  • ペット
  • 家具・インテリア・雑貨

2. 購入型クラウドファンディングの活用

商品の企画・試作段階を経て購入型クラウドファンディングを活用すると、D2Cブランドの展開が一気に加速します。その理由は量産製造に入る前に、以下の点を一度に達成できるからです。

  • テストマーケティング
  • PR・初期顧客の獲得
  • 実績作り
  • 在庫リスクの軽減
  • 必要な資金を集める

ここでは、購入型クラウドファンディングを利用するメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリットデメリット
・話題になりやすく地方メディアに掲載される可能性がある
・自社商材の広報・宣伝につながる
・ブランドコンセプトに共感してくれるファンが増え、ブランドの信頼醸成につながる
・製品を本格デビューさせたら反響なしというリスクを事前に軽減できる
・ファンディングプロジェクト情報を拡散して認知を拡大するため、SNSを利用するなど発信スキルが必要になる
・受け取った支援金は、前受金として売上に計上されるため税金が発生する

3. ストーリーコマースを可能にするECサイトづくり

ストーリーコマースとは、読むほどに引き込まれるライブ感のあるブランドストーリーを発信し他社との差別化を図る手法です。スタッフの実名・顔出しによる商品紹介や商品開発時の苦労や工夫といったエピソードを語ることで、ユーザーとのより良い関係構築を目指します。

「自分により合っている商品」を見つけたいユーザーが増えているため、自由にコミュニケーションできる仕組みづくりが必要です。そこで次のような施策が必要となります。

  • 自社スタッフがおすすめ商品を紹介する
  • 商品紹介に熱量を込める
  • ユーザーとかかわる時間を増やす
  • ユーザーに商品提案に参加してもらう

上述の施策を通じて、自社D2Cブランドの何が特別なのかを発信しましょう。そのためにもSNSや自社が運営するメディアから、自社ECサイトへとユーザーを誘導する流れなどを構築します。

注目ビジネスモデルも考慮しながらEC事業計画を立てよう

EC事業を立ち上げる際には、ユーザーをファン化させ優良顧客として維持する施策も検討しておくことが大切です。自社でブランドづくりをしたいなら、迷わずD2Cビジネスモデルを選びましょう。

外注できる業務はプロのフリーランスに依頼し、自社のノウハウがつまった事業計画書を念入りに作成することが重要です。当記事を参考にEC事業の成功率を高めて、売れるECサイトを目指しましょう。

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