ネットショップでは注文から商品到着までの各プロセスで、メールが重要な役割を担っています。お客様からのアクションがあったらすぐに対応できるように、場面ごとのテンプレートを用意し、業務の効率化を図りましょう。
ネットショップではお客様との信頼関係構築が何よりも重要です。お客様に「このショップで買って良かった」「次もまたここで買おう」と思ってもらうためには、メールのタイミングや文面にも注意が必要です。
本記事では、メールを送付するタイミングと注意事項、場面ごとのメールの文例を紹介します。テンプレート作成にぜひお役立てください。

目次
ネットショップでのメールの役割
物理的な店舗も持たず、顔も合わせることのないインターネット取引は、顧客からの信頼が大切です。後に残るメールは信頼構築のための重要なツールとなります。
最初に、ネットショッピングにおけるメールの役割を整理しておきましょう。
購入プロセスで送信するメール
ネットショップでは、購入受付から商品到着までのプロセスで、以下の4種類のメールを送信します。
- 発注
発注後、すぐに確認のメールを送ります。商品の内容を確認し、合計金額や支払い情報などを伝えます。確認メールと入金依頼を分ける場合もあります。 - 入金
顧客の入金を確認したら、入金のお礼をします。さらに商品発送・到着の目安などを伝えます。 - 発送
商品の発送と到着の目安を伝えます。 - フォロー
顧客が受け取ったことを確認したら、購入のお礼と次回購入に向けたインセンティブ(割引クーポンなど)の提供や、メンバーシップへの登録などを呼びかけます。
上記4種類のメールは、顧客との取引のステップごとに双方で確認しあうという意味を持ち、後に何らかのトラブルになった場合にも法的な証拠となるものです。そのため顧客一人ひとりに必ず送付しなければならず、書くべき内容も決まっています。
そこで多くのネットショップでは、あらかじめメールを用意し、発送のタイミングを決定して自動配信するようにしています。
個別対応が必要なメール
顧客との取引の中で、何らかのトラブルが起こった場合や、顧客からリクエストがあった場合は、個別対応が必要になります。個別対応のメールが必要なのは、主に以下の場合です。
- 顧客からの問い合わせ
- 顧客が商品をカートに入れたまま決済まで進まない(カゴ落ち)
- 顧客からの注文の変更の希望
- ショップに注文品の在庫がない
- 顧客からの入金がない
- 商品の料金・送料が変更になった
- 発送・配送が遅延する
- 顧客が代金引換受取を拒否した
- 顧客からのクレーム対応
上記のような通常の取引外に対しては、メールの文面が顧客との今後の関係に大きく影響します。
仮に、何らかの不都合があって顧客からクレームが寄せられた場合でも、メールの誠実な対応で、顧客をファンにすることもできます。個別対応のメールは、より良い顧客体験を提供することによって、他のショップとの差異化を図れるチャンスです。
また、未入金や受取拒否などの顧客側に責任のあるトラブルが起こった場合でも、メールはショップ側が間違いのない手続きを取っている証拠となります。いずれの場合も早急な対応ができるよう、あらかじめテンプレートを用意しておきましょう。
良好な顧客体験を提供するメール作成のポイント
最初にメールの形式面に焦点を当ててメールを見ていきましょう。
メールはテキスト形式にする
メールでは、画像や色・文字サイズの変化をつけられるHTMLメールとテキストメールがあります。
HTMLの方が見栄えの良いメールが作成できますが、セキュリティ上の問題などからテキストメールのみを受信できるように設定している人も多くいます。そのためメルマガなどではHTMLメールを使用しても、連絡用のメールはテキストメールを使いましょう。
自社らしさが伝わる書式を設定しよう
メールの書式はメールソフトによって違いはありますが、基本的にはヘッダーとテキストエリアの2つで構成されています。
次に、各項目の書き込み方法を説明します。
- ヘッダー
ヘッダー部分には宛先と件名を入れます。件名欄ではメールの内容を伝えます。 - テキスト部分
テキスト部分には本文を書きます。本文欄の冒頭では、挨拶や購入のお礼を簡潔に伝えましょう。続いて、伝えなければならない情報を、箇条書きなどを使って一目で把握できるようにします。 - フッター
フッター部分にはショップ情報を入れ、顧客が好きな方法でショップに連絡できるようにしておきます。ここからがフッターだとわかるように枠で囲んだり、飾り線をつけたりします。
画像が入れられないテキストメールでは、他ショップとの差異化も難しいのですが、飾り線などを工夫して自社らしさを伝えましょう。
読みやすいメール作成のコツ
読みやすいメールを作成するために、以下3点に気を付けます。
- 文字幅は20~25文字にする
スマートフォンで確認する人も多くいます。予期しないところでの折り返しを防ぐため、短めの文字幅で改行しましょう。 - 機種依存文字を使わない
〇付きの数字やローマ数字などの機種依存文字、半角カタカナなどは文字化けの原因になるため、使用を避けます。 - ブラウザで確認する
全体に文字が詰まっていたり漢字が多かったりすると、読みにくくなります。パソコンやスマートフォンなど、さまざまなブラウザで見え方を確認しましょう。
テンプレートに使える場面別のメール文例
場面に合わせてテンプレートを用意しましょう。テンプレートで使える文例を場面ごとに紹介します。
注文確認メールの文例
注文確認メールで必ず入れなければならないのは以下の5点です。
- 注文のお礼
- 〇月〇日に注文を受け取ったこと
- 注文の品と金額
- 納品の予定日時
- 支払方法
注文確認メールと入金依頼メールを分ける場合は、注文確認メールで上記の1〜4を伝え、入金依頼で3〜5を伝えます。ここでは分けない場合の文例を紹介します。
件名【ショップ名】ご注文ありがとうございます 〇〇 〇〇様 このたびは当社の【商品名】をお買い上げいただきまして、誠にありがとうございました。 フォームでのご注文を〇月〇日、確かに承りました。 ご注文いただきました商品は下記の通りとなります。 ---------------- ご注文番号:〇〇〇〇-〇〇 価格 :〇〇円 ご注文金額合計 〇〇(円) ———————————————— 上記の請求金額をご注文日から10営業日以内に 振込先:〇〇銀行 〇〇支店 支店番号 〇〇 [ご注意] ---------------- 発送の準備が整いましたところで、 ※内容をご確認いただき、間違いがございましたら 今後とも【ショップ名】をご愛顧いただきますようよろしくお願いいたします。 |
入金確認メールの文例
入金が確認できたら、入金確認メールを送ります。このメールでは以下の2点を盛り込みます。
- 入金が確認できたこと
- ただちに商品の発送準備に入ること
件名【ショップ名】ご入金ありがとうございました 〇〇 〇〇様 このたびは【ショップ名】をご利用いただき、誠にありがとうございます。 本日〇月〇日、【商品名】のご入金を確認いたしましたので、ご連絡申し上げます。 商品発送の手続きが完了いたしましたら、あらためてご連絡申し上げます。 引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。 |
発送完了メールの文例
発送が完了したら、そのことを顧客に伝えます。発送完了メールは以下の内容を含みます。
- 発送が完了したこと
- 到着見込み
- 追跡確認
- 予定通り到着しない可能性があることこと
- 商品購入のお礼
件名【ショップ名】商品は発送いたしました 〇〇 〇〇様 このたびは当社の【商品名】をお買い上げいただき、誠にありがとうございました。 本日【商品名】を発送いたしました。 配送会社の伝票番号が発行されましたので、ご案内いたします。 お荷物伝票番号:〇〇 商品の到着まで今しばらくお待ちください。 このたびは【ショップ名】をご利用くださいまして厚く御礼申し上げます。 |
フォローメールの文例
フォローメールは商品到着後、次の購入をすすめたり、購入した商品のレビューの投稿を促したりすることを目的としたメールです。レビューは顧客の購入を後押ししてくれるため、インセンティブ(クーポンなど)を提供し、レビューしてもらいます。
フォローメールには以下の内容を盛り込みます。
- 商品の感想を聞く
- 商品レビューのお願い
- メルマガや会員登録を促す
件名【ショップ名】商品はいかがでしたか?ご感想をお聞かせください 〇〇 〇〇様 先日は【商品名】のお買い上げ、誠にありがとうございました。 【商品名】は無事届きましたでしょうか? もしも、商品や配送スタッフの対応などで気になる点がおありでしたら お客様に安心して、ご納得のいくお買い物をして頂けるよう、 また【ショップ名】ではお客様にショッピングを楽しんでいただけるよう、 お寄せいただいたご意見はこれからお買い物される方や これからもっとお客様に喜んで頂けるお店にできるよう、 レビューを投稿いただけましたら、〇〇クーポンをお送りいたします。 ★★ 特典満載の【ショップ名】クラブへの会員登録を ★★ 【ショップ名】クラブでは会員様限定で、お得なセール情報や 会員登録はこちらから:URL 【ショップ名】ではお客様に満足していただける商品を取り揃え、 |
個別対応が必要な場合のメールの文例
個別対応が必要な場合は、通常取引では必要ありませんが、いざとなっても慌てないようにテンプレートを作成しておきましょう。以下の2つの場面の文例を紹介します。
- 料金未納に対応するメール
- クレームに対応するメール
料金未納に対応するメール
料金が振り込まれない場合に代表される、顧客側に問題がある場合のメールの文例を紹介します。顧客側に問題がある場合は、以下の2点に気を付けます。
- 顧客の感情を害さないよう配慮する
- 負担感や圧迫感を抱かせない
件名:【商品名】のお支払いに関しまして 〇〇 〇〇様 このたびは【ショップ名】にてご注文いただきまして、誠にありがとうございます。 恐れ入りますが、〇月〇日にご注文いただいた【商品名】につきまして、商品代金のご入金が確認できておりません。 ご多忙中につき、何かの手違いかと存じますが、お約束の期日より、2週間を過ぎておりますので、お調べの上、ご送金くださいますようお願いいたします。 なお、行き違いでご入金いただいておりましたら、ご無礼のほどを悪しからずお許しください。 |
クレームに対応するメールの文例
こちらの落ち度やミスに対するクレームに対しては、以下の内容を盛り込みます。誠実にお詫びし、十分な補償をすることで、顧客が抱いた不信感を信頼感に転換することができます。
クレーム対応のメールには以下の内容を盛り込みます。
- 非を認めて謝罪する
- 原因を伝える
- 顧客への補償を伝える
件名:【商品名】破損のお詫び 〇〇 〇〇様 平素よりご愛顧いただきありがとうございます。 このたびは弊社の検品不備により、お届けした商品に破損があったことを お取り替えの品は本日発送いたしましたので、 なにとぞ今しばらくご猶予賜りますようお願いいたします。 今後はこのようなご迷惑をおかけすることのないよう、 どうか今後も変わらぬお引き立てのほどを |
メール業務効率化に役立つツールやWebサービス
ショップ運用には大量のメール配信が必要になります。ツールなどを利用して効率化を図りましょう。
「自動配信機能」を活用する
ECショッピングモールやShopify、ネットショップ作成サービスなどでは、メールの自動返信機能が用意されています。デフォルトの文面を変更することもできるので、自社に合ったカスタマイズを行いましょう。
「ブラウザ」での見え方を確認できるWindow Resizer
メールがPCやスマホでどのように見えるか、自分宛てに送って確認するのは大変です。Window Resizerを利用すれば、さまざまなサイズのブラウザでどのように見えるかを確認することができます。
「機種依存文字チェッカー」を利用する
機種依存文字はメールの文字化けの原因になります。気づかないまま使用している場合もありますので、機種依存文字チェッカーを活用し、うっかり使用していないか確認してください。
適切なタイミングでメールを送信し、気持ちの良い購買体験を提供しよう
ネットショッピングが一般的になった今でも、初めてネットショップを利用するお客様は不安な気持ちを抱えています。メールを利用した悪質な犯罪などのニュースも数多く報道されており、お客様の不安を払拭することは、ショップ側にとって重要な課題です。
お客様の不安を取り去り、気持ちの良いショッピングをしていただくためにも、迅速丁寧なメールは重要です。テンプレートを活用しながらメール業務の効率化を図りつつ、同時に事務的にならないように、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
