ネットショップの在庫管理は、売上がアップすればするほど負担の大きくなる業務のひとつです。在庫管理が行き届かず、欠品による販売機会損失や過剰在庫にお悩みではないでしょうか。
本記事では、在庫管理を行う方法および管理をスムーズに進めるために重要となるポイントを紹介し、現状の在庫管理を見直すきっかけを提示します。また、在庫管理を自動化するエクセルマクロの導入メリットと、マクロ作成を依頼できるフリーランスもご紹介します。在庫管理を効率化し、適正在庫を目指したいという方は、ぜひ参考にしてください。

目次
ネットショップの在庫管理を行う5つの方法
ネットショップで在庫管理を行う方法には、いくつかのパターンがあります。ここからは、ネットショップで在庫管理を行う5種類の方法を紹介します。
在庫管理方法 | メリット | デメリット |
自分でエクセルを利用して在庫管理 | ・新しいツールの使い方を覚えずに済みます。 ・新しいソフトウェアを購入する必要がありません。 | ・データ数が多すぎると操作が重くなります。 ・マクロを利用したい場合プログラミングの知識が必要です。 |
自分で利用プラットフォームのサービスを利用して在庫管理 | ・必要となるツールが事前に用意されているため、手軽に導入/運用できます。 | ・在庫管理機能やアプリによっては、別途料金が必要です。 |
在庫管理業務を外部委託 | ・在庫管理業務がなくなり、リソースを本業に集中できます。 | ・自社で在庫管理のノウハウを蓄積できません。 ・独自の在庫管理では対応できないサービスもあります。 |
在庫管理システムの導入 | ・在庫管理業務の多くを自動化できます。 ・社内の既存システムと連携できれば、自動化範囲は広くなります。 ・自社にあわせてカスタマイズできます。 | ・社内にシステム環境を構築する場合は、導入コストや運用コスト、運用の負担がかかります。 |
ドロップシッピングなど「無在庫販売」への切り替え | ・在庫管理が不要になり、発送業務もなくなります。 ・商品が売れ残る心配がありません。 | ・商品が手元にないため、商品知識が身に付かないまま販売することもあります。 ・参入障壁が低く競合が多くなる傾向があり、価格競争になるケースも少なくありません |
1. 自分でエクセルを利用して在庫管理
もっとも手軽な在庫管理の方法は、エクセルなどの表計算ソフトを活用して自己管理する方法です。エクセルに標準で備わっている関数やマクロを利用すると、在庫管理の自動化を実現でき、業務の効率化も実現できます。
取り扱う商品数が少なく、まだネットショップの月商規模も少ない場合は、誰でも扱いやすいエクセルでの管理が便利です。エクセルマクロの作成はプログラミングの知識が必要ですが、フリーランスへ開発を委託することもできます。
2. 自分で利用プラットフォームのサービスを利用して在庫管理
ネットショップで利用しているプラットフォーム自体の在庫管理機能や拡張機能用のアプリを利用して、在庫管理を行う方法です。以下は、主なASPカートで提供されている在庫管理機能や連携アプリです。
ASPカート名 | 在庫管理機能・アプリ | 公式サイトリンク |
BASE | 在庫管理画面 | 公式サイトで詳細を確認する |
スマレジ在庫連携 App | 公式サイトで詳細を確認する | |
商品コード App | 公式サイトで詳細を確認する | |
CSV商品管理 App | 公式サイトで詳細を確認する | |
注文データダウンロード App | 公式サイトで詳細を確認する | |
LogiMoPro App | 公式サイトで詳細を確認する | |
STORES | 倉庫サービス | 公式サイトで詳細を確認する |
Shopify | 「在庫」タブ | 公式サイトで詳細を確認する |
mylogi | 公式サイトで詳細を確認する | |
ロジクラ | 公式サイトで詳細を確認する | |
Zaico | 公式サイトで詳細を確認する |
これらのプラットフォームを使用している場合は、提供されている在庫管理機能や提携サービス・アプリによって在庫管理業務の効率化を図れます。
3. 在庫管理を外部委託
在庫管理自体を外部委託する方法です。委託倉庫に商品を送り、在庫管理および発送業務を代行してもらえます。例えば、「openLogi」は、従量課金制で入庫・在庫・出庫・請求情報などの管理をアウトソーシングできます。倉庫利用料は商品1点当たり0.2円~、配送料金は1個口当たり370円~です。
在庫管理を外部委託すると、在庫管理および配送業務は不要となり、本業にリソースを集中できます。その一方在庫管理および配送業務のノウハウを蓄積できない点や、料金体系によっては月額料金の負担が大きくなる点には要注意です。
4. 在庫管理システムの導入
ネットショップの年商が1億円以上あったり取り扱う商品数が多かったりする場合は、在庫管理システム導入も選択肢に入ります。社内の既存業務システム(販売管理システムなど)と連携することで、在庫管理の自動化も可能です。導入コストや運用の負担はかかりますが、自社にあわせたカスタマイズの自由度は高く、費用対効果が期待できます。
関連記事:ECサイトの在庫管理を効率化できるシステム10選!選び方も徹底解説
5. ドロップシッピングなど「無在庫販売」への切り替え
在庫管理が負担となっている場合、無在庫販売という手もあります。例えば、BASEは、月額500円で中国のECモールから商品を仕入れる「タオバオ新幹線」と連携することで、ドロップシッピングが利用可能です。ドロップシッピングとは、注文情報を商品の取り扱い事業者に連携して、事業者から直接注文したお客様に発送する販売方法です。ただし、自社製品の販売には利用できません。
ネットショップの在庫管理における重要ポイント5点
ネットショップの在庫管理での重要ポイントを整理すると、主に以下の5点です。
- 最適な在庫管理方法のメリット・デメリットを把握
- 発注方法の確認および実行
- 在庫数の正確な把握
- 季節やイベントを踏まえた販売数の予測
- 在庫回転率の把握と調整
各ポイントの内容について、順番に説明します。
1. 最適な在庫管理方法のメリット・デメリットを把握
商品の現物を保管している倉庫内の在庫管理方法は数多くありますが、主に採用されている方法は以下の5種類です。各方法の特徴および、メリットとデメリットは以下の通りです。
在庫管理方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
先入れ先出し | 先に入庫したものから順番に出庫する方法で、在庫管理の基本です。 | 消費期限切れや長期保管による商品の劣化を防止できます。 食品など商品に消費期限のある商品の管理には特に向いています。 | 先に入庫したものから順番に仕入時期や消費期限が分かるよう、倉庫内の整理が必要です。 |
5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ) | 5Sを守って在庫管理を行う方法です。 | 5Sを意識することで、自然と効率のよい在庫管理ができるようになります。どのような商品の在庫 | 具体的な在庫管理の手順については、別途運用ルールを決める必要があります。 |
仕入れ時期別 | 仕入れ時期別に棚や空間を分けて整理する方法です。 | 誰が見ても仕入時期が判別できます。 | 仕入時期が分かるようにするため、整理ルールを決めて従業員全員が守る必要があります。 |
カラー・サイズ別 | カラーやサイズ別に在庫管理する方法です。ブランド別・メーカー別などの分類が便利なケースもあります。 | ファッションアイテムのように、カラーやサイズのバリエーションが多い商品に便利な方法です。 | 1商品内で管理するべきバリエーションが多くなり管理が大変です。 |
商品番号別 | 商品番号範囲と棚をロケーションマップで結びつけて管理する方法です。 | 商品番号の採番ルールに年度や季節などの情報を入れ込むことにより、より効率的な在庫管理が行えます。 | 商品番号のルール化をしっかり決めなければなりません。 |
上記の在庫管理方法は、自社の取り扱う商品にあわせ、自由に組みあわせて運用します。従来の倉庫管理がうまくいっていない場合は、上記の方法からよりよい管理方法を採用することをご検討ください。
2. 発注方法の確認および実行
適正在庫を継続するためには、商品の発注方式をどうするかも重要なポイントです。以下は、主な発注方式の特徴とメリット・デメリットです。
発注方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
定量発注方式 | 残りの在庫が一定数以下になったら発注します。 | 安定した出荷量のある商品に向いています。 | 急な需要の増加には柔軟な対応がしにくい方式です。 |
定期発注方式 | 「毎月1日」など、発注タイミングを決める方式です。 | 発注タイミングで発注量を決めるため、急な需要の増加にも対応しやすい方法です。 | 発注量の決定に手間がかかるリスクがあります。 |
簡易発注方式 | 2個の「箱」を用意し、片方が空になったら発注するダブルビン方式と、一定量使用後、使用量分発注する補充方式があります。 | 視覚的に分かりやすく発注忘れを防止できます。あまり出荷数の多くない商品で、欠品を避けたい商品に向いています。 | 重要度の高い商品や出荷数の多い製品には不向きです。 |
不定量不定期発注方式 | 出荷対応日数や在庫日数などの数値を元に発注数を算出する方法です。 | 定量発注方式と定期発注方式のメリットを活かし、より適切な在庫管理を行えます。 | 発注タイミングや発注量を決めるために、正確な在庫管理を行う必要があります。 |
同期化発注方式 | 発注先より毎日一定数を納品してもらう発注方式です。 | 発注作業がなくなる分、作業負担が軽くなります。 | 急な需要増に対応しきれないため、欠品が発生するリスクはあります。 |
分納発注方式 | 在庫数と発注計画を定期的にチェックし、計画に沿って発注する方式です。 | より適切な在庫管理を行えます。 | 在庫数と発注計画を定期的にチェックし、必要に応じて計画を変更する手間がかかります。 |
商品の性質により、最適な発注方式は異なるため、ネットショップで販売している商品の特性により、最適な発注方式を採用します。
毎月一定数安定して売れる人気商品は、発注量の目安が立てやすいため、定量発注方式向きです。在庫切れや過剰在庫をできる限り発生させたくない商品は、在庫管理の手間はかかりますが、不定量不定期発注方式や分納発注方式が適しています。
3. 在庫数の正確な把握
在庫数を正確に把握するには、日々の売上数をチェックしなければなりません。在庫数を正確に管理することで、不定量不定期発注方式や分納発注方式など、より複雑で適正在庫を実現しやすい発注方式も採用できるようになります。
ネットショップの売上数は、毎日CSVファイルなどでダウンロードし、在庫管理のエクセルファイルや在庫管理システムに取り込む仕組みを自動化すると、効率よく正確に在庫数を管理できます。
4. 季節や天候などを踏まえた販売数の予測
通年販売している商品でも、季節や天候、気温、または季節イベント(バレンタインデーやクリスマス)などにより販売数に変化があるケースがあります。例えばバレンタインデーのチョコレートや、気温が上がると売れるビールなどは、販売数が変化する例です。
販売数の履歴を1年以上蓄積している場合は、発注数の参考にできるため活用をご検討ください。参考になる販売数データが手元にない場合は、「Google Trends」などのツールで過去に多く検索されたキーワードを調べるのもおすすめです。
5. 在庫回転率の把握と調整
在庫回転率の把握と調整も在庫管理には欠かせません。在庫回転率の高い商品は、よく売れており資金繰りにも貢献しています。利益率が高く在庫回転率の低い商品は、売れれば大きな儲けになるが、資金繰りの面では好ましくありません。在庫回転率の低い商品が増えると資金繰りも悪化するため要注意です。
在庫回転率を求める計算式は以下の通りです。
在庫回転率(回) = (年間売上高 ÷ (商品在庫数 × 商品売価))
中小企業の在庫回転率の一般的な適正水準の目安は、およそ12~24回と言われています。在庫回転率を適正に調整することで、適正なキャッシュㇽフローを保てます。
在庫管理とともに実施!ネットショップならではの機会損失防止策3つ
在庫管理を続けていくことで、適正在庫を保ち、過剰在庫や在庫切れを回避できるようになります。また、在庫管理とセットで、機械損失を防止する対策を実行することで、さらに売上アップを目指すことも可能です。そこで、ネットショップで実行しやすい機会損失防止策をご紹介します。
- 在庫数表示による購入促進
- 再入荷時期の表示
- 在庫切れ商品のリクエスト受付
1. 在庫数表示による購入促進
在庫数表示機能は、積極的に利用したい機能です。今利用しているプラットフォームに在庫表示機能があれば、ぜひオンにして活用することをご検討ください。商品一覧や商品詳細ページに在庫僅少であることを明示することで、「今購入しなければ変えないかもしれない」とお客様に購買を後押しする効果が生まれます。
在庫数の表示方法を「在庫数:1」とするか「在庫わずか」とするかは、両方のパターンを試して効果測定して決めることもご検討ください。また在庫数が多い場合は、お客様が安心して購入を後回しにするかもしれません。在庫数が一定以下になれば表示する、などきめ細かな設定ができるかどうかもご確認ください。
2. 再入荷時期の表示
在庫切れの商品を在庫切れのままで放置していると、お客様は競合ショップで購入しようと考え、販売機会の損失となりかねません。在庫切れの場合は、いつごろ再入荷があるかを明示することで、お客様の再訪を促せます。
さらに、入荷のお知らせリクエストを受け付ける機能があれば、併用するとより効果的です。入荷通知を受け取ると、お客様がネットショップに再訪して、目的の商品を購入する可能性が高まります。
3. 在庫切れ商品のリクエスト受付
入荷リクエストを受け付ける機能も、在庫切れ対策として有効な手段です。入荷リクエスト数を参考にして仕入数を調整することで、より効率的な在庫管理を行えます。また、入荷リクエストの多少で人気商品の把握も可能です。
また、入荷リクエストのあった商品を再入荷したら、ネットショップのトップページやTwitterなどのSNS上でも連絡します。入荷リクエストをしたお客様だけでなく、他のお客様にも売れ筋商品を知らせる効果があり、売上アップ施策としても有効です。
ネットショップの在庫管理を効率化!エクセルマクロの導入メリット3つ
ネットショップの在庫管理には、在庫管理システムの利用や外部委託の導入が有効です。ただし、これらの手段はどうしても費用がかかります。エクセルを使った在庫管理を続ける場合は、エクセルマクロを活用するのもおすすめです。そこで、エクセルマクロを活用して在庫管理業務を行うメリットをご紹介します。
- エクセルの操作性そのままで利用可能
- 入力情報を局所化して人的ミスを最小限に抑止
- マクロ作成部分を外部委託可能
1. エクセルの操作性そのままで利用可能
新しいツールを使いこなすには、機能と操作を覚える必要がありますが、エクセルなら学習のコストをかけずに在庫管理を継続できます。エクセルの操作性はそのままに、在庫管理を効率化したり一部自動化したり、といったことができるため、ITツールの操作経験の少ない人でも使いこなすことが可能です。
2. 入力情報を局所化して人的ミスを最小限に抑止
エクセルをそのまま利用していると、入荷数や出荷数の手入力が多くなり、人的ミスを誘発する可能性が高くなります。在庫数が狂ってしまうと、在庫数の再確認など不要な作業が発生し、在庫管理業務の効率低下を招きかねません。
エクセルマクロを利用して、入荷商品数やネットショップの在庫数をボタン1つで自動反映する仕組みを作ることで、手動作業を軽減し、人的ミスも最小限に抑えられます。
3. マクロ作成部分を外部委託可能
エクセルマクロを組むには、プログラミングの知識が必要です。ただし、マクロの作成を外部委託しやすく、ランサーズなどクラウドサービスを活用して在庫管理用のエクセルマクロを入手できます。エクセルマクロの外部委託費用の相場は、数千円から数万円程度です。
在庫管理機能のエクセルマクロ作成を外部委託する場合は、発注前にしっかり相談をして、必要な機能や納品後の対応を確認しましょう。
ネットショップの在庫管理用エクセルマクロ作成を依頼可能な出品サービス3選
ネットショップの在庫管理用にエクセルマクロ作成を依頼する手段のひとつとして、ランサーズの出品サービスもぜひご検討ください。価格や納期を明示してあり、開発者と直接やり取りできるため、スピーディな対応も期待できます。
在庫管理用のエクセルマクロ作成を依頼できる出品サービスを3サービスご紹介します。
- Excel簡易売上・在庫。仕入管理 (購入前に仕様をご相談頂ければ幸いです)
- ExcelのVBA、マクロ作成します!
- 【事務作業で苦しんでいる方へ】あなたの事務作業をExcelで自動化します
1. Excel簡易売上・在庫・仕入管理のExcelマクロ
Excel上にボタンを表示し、簡易の仕入・在庫・売上管理ツールを作成するサービスです。必要な機能は事前に相談できるため、自社の欲しい機能を搭載できます。ネットショップと実店舗など複数店舗の在庫管理や、セット商品の在庫管理にお悩みの場合も、対応可能か相談してみてはいかがでしょうか。
「Excel簡易売上・在庫・仕入管理のExcelマクロ」の出品パッケージの詳細を確認する
2. ExcelのVBA・マクロ作成
在庫管理だけでなく、タスク管理や経理業務など、バックオフィス業務を自動化できるエクセルマクロ作成を依頼できるサービスです。
事前に打ちあわせながら、欲しい機能の洗い出しを行っていくため、納得感のあるツールを入手できます。作者は生活雑貨商社在庫管理システムや製造業の工程別在庫管理表などの開発系経験があるため、業種業態が近い場合はぜひご相談ください。
「ExcelのVBA・マクロ作成」の出品パッケージの詳細を確認する
3. 事務作業をExcelで自動化
事前相談の内容によって、柔軟に対応してもらえるエクセルマクロ開発サービス。事前相談は無料です。在庫管理の内容を要望としてまとめ、相談をして納期や価格のすりあわせを行います。在庫管理を自動化し、業務効率化を進めるのに適した出品サービスです。
「事務作業をExcelで自動化」の出品パッケージの詳細を確認する
ネットショップの在庫管理は重要!フリーランスの活用で業務効率化を
ネットショップの在庫管理を的確に行うことで、欠品による販売機会損失や余剰在庫によるキャッシュフロー悪化を防止し、業務を効率化できます。在庫管理に問題のある場合は、現在の在庫管理手法を見直すことから始めてはいかがでしょうか。
在庫管理システム導入が難しい場合は、在庫管理を効率化するエクセルマクロ作成をフリーランスに依頼する方法がおすすめです。ランサーズでは、エクセルマクロを使った在庫管理を依頼できる出品サービスもありますので、ぜひご活用ください。
