ECサイトの開設について検討を進めるうちに、多くの疑問が生じて混乱してしまった、という声を聞くことは少なくありません。ECサイトは類似用語や関連用語が多く、構築方法なども多種多様です。そこでECサイトへの理解を深めるには、自社の目的に合った情報収集が必要だといえます。
本記事ではECサイトの定義、種類、開設までの手順、構築・運用の注意点などについて、具体的に詳しく解説します。ECサイト作りを検討する際の参考にしていただければ幸いです。

目次
ECサイトとは
ECサイトの定義を確認し、ECサイトを取り巻く状況について説明します。
ECサイトの定義
ECサイトとは、インターネット上で製品やサービスを販売するためのWebサイトの総称です。ECは「Electronic Commerce」の略称で、日本語では「電子商取引」と呼びます。「ネットショップ」や「オンラインショップ」とも呼ばれます。
本来、ECサイトという用語は通販サイトだけでなく、オークションサイトやオンライントレードサイトなど、インターネット上で取引を行うあらゆるサイトを指すものです。一般的には「オンラインで買い物をするサイト」の意味で使われることが多くなっています。
ECサイトを取り巻く状況
近年「ECは急速に拡大している」と言われることが非常に多くなっていますが、実際のECの市場規模はどのように変化しているのでしょうか?
2021年7月に経済産業省が発表した報告書にある最新データを確認してみましょう。日本におけるEC市場の過去8年間の推移を示したのが、以下のグラフです。
2020年の消費者向けEC全体の市場規模は約19.3兆円で、前年の約19.4兆円からやや減少しています。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外出自粛によるEC利用が急増した結果、物販系のEC市場は急激に成長しています。その一方で、旅行や観光などに関連するニーズが大幅に低下したため、サービス分野の市場規模は縮小しました。
8年間を通した推移を見ると、ECの市場規模は8.1兆円以上拡大していることがわかります。
ECサイトのメリットとデメリット
ECサイトにはどのようなメリットとデメリットがあるのかを、実店舗と比較しながら説明します。
ECサイトと実店舗の比較
ECサイトには、実店舗と異なる特徴が数多くあります。販売エリアや集客方法などの主な相違点を以下にまとめました。
実店舗 | ECサイト | |
販売エリア | 店舗にアクセス可能な地域 | 基本的に日本全国・全世界での販売が可能 |
購入時の商品確認 | 直接商品を確認して購入するので、購入後にギャップや不満を感じることが少ない | 直接商品を見ていないため、商品画像と実物が違うといった不満が生じるケースがある |
集客方法 | 店の前を通って看板を見た、自宅や職場が近いので入ってみた、といった自然集客が期待できる | 自然集客が見込めないため、サイトにアクセスしてもらうための集客対策が不可欠 |
商品の配送 | 基本的に不要 | 商品に合わせた梱包・配送が必要 |
営業時間 | 開店時のみ販売が可能 | 基本的に年中無休・24時間営業 |
購入の判断材料 | 顧客自身が実際に手にとって判断でき、店員が声をかけて説明することも可能 | 商品写真や商品説明文、購入者レビューなどから判断する |
商品に関する質問 | 店員に直接質問できる | メールやチャット、電話で問い合わせをする |
開業費用 | 外装・内装費、店舗賃貸時の初期費用などまとまった資金が必要 | サイトの構築方法によっては、低コストで開業することが可能 |
ECサイトのメリット
実店舗ではなくECサイトで商品を販売する主なメリットは、下記の4点です。
メリット | 詳細 |
365日・24時間営業できる | 基本的に休業する時間や曜日を設ける必要はありません。 |
国内外問わず、どこにいる顧客にも販売できる | 物理的な立地に関係なく商品を販売できます。 |
開業コストを抑えられる | 実店舗とは比較にならないほどの低コストで開業が可能です。 |
取り扱う商品数を簡単に増やせる | 実店舗のように商品の陳列スペースを考慮する必要がなく、サイトに商品情報を追加するだけで商品が増やせる。 |
ECサイトのデメリット
実店舗との比較で、ECサイトのデメリットになりやすいのは、主に下記の3点です。
デメリット | 詳細 |
顧客との接点作りやコミュニケーション方法に工夫が必要 | ECサイトでは、顧客と直接対面して商品を販売するわけではありません。商品画像や説明文によって顧客の疑問を解消し、購入意欲を高める必要があります。チャットやメールでの問い合わせ対応をする際も、顧客の立場に立ったさまざまな配慮が必要です。 |
価格競争が起こりやすい | ECサイトでは、競合する他店舗と価格が容易に比較できるため、価格競争が生じやすくなります。 |
集客活動が必要 | 競合が多数存在するため、ショップを認知してもらう集客活動が不可欠です。 |
ECサイトの取引形態の種類
ECサイトの取引形態には、以下の3つの種類があります。
- 企業対消費者のBtoC
- 企業対企業のBtoB
- 消費者対消費者のCtoC
以下で各々の特徴をご紹介します。
1. 企業対消費者のBtoC
BtoCとは、企業対消費者のビジネスを意味する言葉です。BtoCのECサイトは、消費者向けに商品を販売しているサイトを指します。主要ECモールや企業の通販サイトなどがBtoCの代表例です。BtoCのECサイト市場は年々増加傾向にあります。
「インターネットに接続できる環境とデバイスさえあれば、時間や場所を問わず商品を購入できる」という利便性は、消費者にとって大きな魅力です。同じ商品や類似商品が複数のECサイトで販売されているケースも多く、価格やサービスを比較した上で購入できます。
多くの消費者から利用されるBtoCサイトにするには、集客対策や販売促進活動に取り組み、競合サイトとの差別化を図る必要があります。
2. 企業対企業のBtoB
BtoBは、企業対企業の取引を指す言葉です。
BtoBのECサイトでは、企業が他の企業向けに商品やサービスを販売します。オフィス用品から各種コミュニケーションツール、マーケティングや人材採用関連のサービスまで、多様な商品やサービスが提供されています。
消費向けのECサイトと比べ、BtoBのサイトは商品単価の高さ、注文数の多さが特徴です。商品やサービスの増加や質の向上によって、BtoB専用のECサイトのニーズは急速に高まっています。
3. 消費者対消費者のCtoC
CtoCとは、消費者と消費者が取引をするビジネス形態を指す言葉です。
代表的なCtoCのECサイトには、フリマサイトやオークションサイトがあります。CtoCのECサイトでは、消費者が不要になった物品や販売したい商品やサービスをサイトに掲載し、それを他の消費者が購入します。新品や未使用品、中古品、各種サービスなど多様な商品が取引されています。
CtoCのサイト運営会社は、消費者間の取引を仲介し、実際に取引が発生した際に手数料を徴収します。
ECサイトの構築方法の種類
ECサイトの構築方法は、主に以下の4種類に分けられます。
- ECプラットフォーム
- ECパッケージ
- フルスクラッチ
- ECモール
以下でそれぞれの特徴と代表的なECサイトについてご紹介します。
1. ECプラットフォーム
ECサイトの構築・運営に必要な受注管理やショッピングカートなどの機能を提供するサービスを、ECプラットフォーム(レンタルショッピングカート、ASP)と呼びます。ECプラットフォームを利用することで、レンタルサーバーを使用することなく、ECサイトを構築できます。初期費用や月額費用が無料のサービスも多く、手軽に低コストでECサイトを構築する方法として人気を集めています。
主要ECモールと比べて、ある程度の制限はあるものの、サイトの機能やデザインを柔軟にカスタマイズできることも、ECプラットフォームの大きな特徴です。
主要ECプラットフォームに共通する特徴を、以下の表にまとめました。
項目 | 概要 |
費用 | ・初期費用:無料~数万円 ・月額費用:無料~数万円 ・売上手数料:3~5% |
構築期間 | 1日~数週間 |
メリット | ・初期費用を抑えられる ・短期間で構築可能 |
デメリット | ・カスタマイズにある程度の制限あり ・自社開発のシステムとの連携が困難 |
多くの企業が利用している、5つのECプラットフォームの概要を紹介します。
- Shopify
- BASE
- カラーミーショップ
- MakeShop
- STORES
Shopify
Shopifyは、世界175か国で170万のネットショップが利用する世界の中でも最大級のECプラットフォームです。初期費用が不要で、サイトのカスタマイズや機能拡張に活用できる6,000以上(2021年4月現在)ものShopifyアプリが提供されていることなどが、主な特徴です。
商品を海外に向けて販売する越境EC向け機能の充実度にも定評があります。電話とチャットでのサポートが日本語に対応していない(メールでのサポートは日本語に対応)点には注意が必要です。
BASE
BASEは、ECサイト初心者をメインターゲットとするECプラットフォームです。初期費用・月額費用ともに無料で利用を開始できます。必要な費用は、商品販売時に販売額に応じて発生する手数料だけです。
クレジットカード決済の導入を素早く簡単に実施できる「BASEかんたん決済」、BASE独自のショッピングアプリにネットショップの商品を出品できる点などが主な特徴です。
カラーミーショップ
2005年にサービスを開始したカラーミーショップは、日本におけるECプラットフォームの草分け的な存在として知られています。
ECサイトの構築・運用に役立つ豊富な機能が提供されていること、サイト運営のサポート体制が充実していることが主な特徴です。無料プランに加え、月額3,300円と7,945円の有料プランが用意されています。
MakeShop
MakeShopの大きな特徴は、取引手数料が無料であることです。ECサイトの売上が増加しても、必要なコストは月額利用料のみで、利益を出しやすい料金システムとなっています。
カード決済手数料が3.14%からと割安なことや集客用の独自サービスの豊富さも、MakeShopの特徴です。利用プランには、月額11,000円と55,000円の2種類があり、別途初期費用が発生します。
STORES
STORESは、パソコンやスマートフォンで簡単にECサイトを作成できる、シンプルな操作性が特徴のECプラットフォームです。サイト運営に必要な基本機能が無料で利用できます。
利用プランは、月額2,178円の有料プランと無料プランの2種類です。基本的な機能やサービスはいずれのプランでも利用できますが、決済手数料が有料プランは3.6%、無料プランでは5%となっています。
2. ECパッケージ
ECパッケージとは、ECサイト構築に必要な機能をパッケージとして提供するサービスです。代表的なECパッケージは、通販サイトや家電量販店などで購入できます。またECパッケージには、プログラムのソースコードがインターネット上で無料公開されている、オープンソースと呼ばれるサービスもあります。
主なECパッケージに共通する特徴をまとめたのが、以下の表です。
項目 | 概要 |
費用 | ・開発費用は数百万程度が目安 ・運用コストが必要 |
構築期間 | 数か月程度が目安 |
メリット | ・基本機能が用意されている ・カスタマイズの自由度が高い ・開発後のサポートあり |
デメリット | 初期費用や運用コストが高い |
機能やサービスを高く評価されている、4つのECパッケージの概要を以下に紹介します。
- ecbeing
- EC-ORANGE
- EC-CUBE
- Welcart
ecbeing
ecbeingは、多様な業態の企業が利用するECパッケージです。導入実績は1,400社以上に上ります。サイトの構築・運用支援だけでなく、集客用サポートの充実ぶりも高く評価されています。
ECサイトのシステムを自動的にバージョンアップして最新の状態を保つ「マイクロサービス」や、安心してECサイトを運営できる強固なセキュリティ対策などが、ecbeingの主な特徴です。
EC-ORANGE
EC-ORANGEは、発表以来15年のサービス提供実績を持つECパッケージの代表格です。自由度の高いシステムによって、ECサイトの自社開発をサポートします。
EC-CUBE
EC-CUBEは、カスタマイズの自由度の高さに定評があるオープンソースです。セキュリティ対策や集客用のサービスと連携できます。
Welcart
Welcartは、日本初のWordPress専用オープンソースです。WordPressのサイトにWelcartプラグインを追加し、ECサイトを作成します。WordPressと同じ管理画面で操作するため、運用業務の負担を軽減できます。
3. フルスクラッチ
フルスクラッチとは、既存のソースコードを使わずゼロからECサイトを構築する方法です。自社の希望や条件に合ったECサイトを構築できます。
フルスクラッチの主な特徴を、以下の表にまとめました。
項目 | 概要 |
費用 | 莫大な開発費用が必要 |
構築期間 | 半年~数年程度が目安 |
メリット | ・どのような要件にも対応可能 ・自由なデザイン |
デメリット | ・初期投資が莫大 ・開発期間が長い ・定期的なリニューアルが必要 |
4. ECモール
ECモールは、多くのECサイトを集めた大規模通販サイトです。ショップ数や商品の種類が豊富で、アクセスするユーザーが非常に多いという特徴があります。サイトの開設や運用に必要な機能を提供しています。
主要ECモールに共通する特徴を、以下の表にまとめました。
項目 | 概要 |
費用 | ・初期費用:0~数万円 ・月額費用・0~数万円 ・売上手数料:売上の0~15% |
構築期間 | 構築不要ですぐに利用できる ※1週間程度の審査が必要なケースあり |
メリット | ・集客しやすい ・専門知識が不要 |
デメリット | ・価格競争が起こりやすい ・競合との差別化が図りにくい |
ECモールの代表格として知られる、3つのサービスの概要を紹介します。
- 楽天市場
- Yahoo!ショッピング
- Amazonジャパン
楽天市場
楽天市場は、約1億1,980万(2021年7月現在)の会員ID数を誇る、集客力抜群のECモールです。2020年の国内流通総額は、約4兆5,000億円に上ります。初期費用や月額費用は、他の主要ECモールよりも割高となっています。ある程度のコストをかけて早めに成果を出したい、というショップには最適です。
Yahoo!ショッピング
Yahoo!ショッピングは、低コストでECを始めたいというショップにおすすめのECモールです。初期費用、月額利用料、取引手数料がすべて無料で出店できます。クーポン発行や無料のメルマガ配信、ショップの運用状況が一目でわかる分析ツールなど、新規顧客の獲得やリピート購入促進に役立つ機能を備えています。
Amazonジャパン
Amazonジャパンは、国際的な知名度を持つ大規模ECモールです。他の主要ECモールと異なり、出店するのではなく、商品を出品するという仕組みになっています。販売開始までの手続きは非常にシンプルです。初期費用は無料で、月額利用料や取引手数料は商品カテゴリーと出品数によって異なります。
ECサイト開設までの基本手順
ECサイトを開設する手順を、8つの項目別に説明します。
- ECサイトで取り扱う商品・サービスを決定
- Cサイトのコンセプト策定
- 商品の仕入れ・制作方法を決定
- ECサイトに必要な機能を選定
- ECサイトの構築開始
- 決済・配送方法を選定
- 集客など運用方法を決定
- 運用サポートの外部委託を検討
1. ECサイトで取り扱う商品・サービスを決定
ネットショップを開設する際に最初に決めるのは、販売する商品です。取り扱う商品・サービスによって当然、仕入れや制作の方法や集客方法も変わります。商品を決めることは、ネットショップ開設の出発点となる重要項目です。
2. ECサイトのコンセプト策定
販売する商品を決定したら、次にネットショップのコンセプトを明確にします。コンセプトとは、誰に対して何を売り、どんな価値を提供するショップなのかということです。ターゲット層や販売手法などを決定して、それに沿って構築を進めます。コンセプトを決めることで、ターゲットとする顧客にアピールしやすいサイトを構築しやすくなります。
ECサイトのデザインや機能、運用方法などについても、策定したコンセプトに即して検討すれば、統一感のあるサイト運営を実施できます。
コンセプトを決めた上で、ECサイトの名称を決めます。顧客がサイトのコンセプトを理解しやすい名称で、覚えやすいシンプルで短いサイト名がおすすめです。
3. 商品の仕入れ・制作方法を決定
仕入れ販売をするのか、オリジナルの商品を作成するのかを決め、準備を進めます。商品の仕入れ方法には、仕入れ用サイトや展示会などを利用した買い付けのほか、メーカーや卸売会社から購入する方法もあります。
オリジナル商品を制作する場合は、全ての作業を自社で行うのか、外部委託が必要な作業があるのかを検討します。商品カテゴリーによっては、OEMと呼ばれる他社ブランドの製品製造を行う会社に、商品の企画から製造までを委託する方法もあります。
4. ECサイトに必要な機能を選定
自社のサイトで使用する機能を選定します。ECサイトに必要な機能の詳細については、本記事の「ECサイトに必要な6つの機能」をご覧ください。
5. ECサイトの構築開始
ECサイトの構築方法と利用する構築支援サービスを決め、実際のサイト構築作業を開始します。ショップ構築では、デザイン作成や販売に関する各種設定などの作業が必要です。
ECプラットフォームやECパッケージなどのサイト構築支援サービスでは、構築に必要な作業を簡単に行う機能やサポートを提供しています。サイトに適したものを選択するだけで基本的なデザインが完了する、テンプレートを用意しているサービスも数多くあります。
6. 決済・配送方法を選定
決済方法の選択も重要な項目です。クレジットカードやコンビニ支払い、代金引換、銀行振り込みなどから受け付ける決済方法を決めます。複数の決済方法を一括して提供してくれる決済サービスを利用する方法もあります。
同時に、商品販売に向けて以下の項目を決定します。
- 商品撮影
- 商品登録・説明文の作成
- 価格設定
- 梱包
- 配送
- 在庫管理
ECサイトの訪問者に商品を購入してもらうには、商品の特徴を伝える魅力的な写真と、わかりやすく正確な説明文を用意する必要があります。
商品価格も重要なアピール材料です。市場相場を調べた上で、競争力のある価格を設定すべきです。梱包や配送、在庫管理などについても、顧客が不満を感じることのないよう十分に検討し、最適な方法を選択します。
7. 集客など運用方法を決定
ネットショップの開業時に特に重要となるのが、集客対策です。集客には多種多様な手法がありますが、まず低コストで実施できるSNSを活用した情報発信と、基本的なSEO対策から取り組むことをおすすめします。
8. 運用サポートの外部委託を検討
ネットショップの規模や運営方法によっては、ショップ構築や運用の外部委託が必要かどうかを検討します。Web制作会社などにサポートを依頼する際は、インターネットで有力な候補となる制作会社をピックアップし、メールや電話で見積もりやスケジュールなどについて問い合わせをします。
複数の候補に提案書や見積もりを出してもらい、比較検討した上で委託先を選定することも可能です。
ECサイトに必要な6つの機能
ECサイトに必要な6つの基本機能の概要について説明します。
- 商品・在庫管理機能
- 顧客管理機能
- 販売・配送管理機能
- デザイン機能
- プロモーション機能
- 分析機能
1. 商品・在庫管理機能
商品情報を登録・編集したりする機能です。この機能を使って、ECサイトに表示する商品の名称や画像、価格、説明文などの追加や変更を行います。販売可能な商品の数量を管理し、商品を販売した際や仕入れを行った際に在庫の数量を正しく把握するための機能です。
2. 顧客管理機能
ECサイトで商品を購入した顧客や、会員登録を行った顧客の情報を管理する機能です。サイト内の問い合わせフォームやチャット、電話などでの問い合わせ対応や、顧客に注文完了、受注完了、発送完了などの通知やメールマガジンを届けるメール配信といったカスタマーサポート機能も、顧客管理に関連する重要な機能です。
3. 販売・配送管理機能
商品の販売から購入者に商品が配達されるまでのプロセスの管理は、ECサイトの信頼性や安全性を確保するために不可欠なものです。
販売や配送に関する主な機能には、以下の3つがあります。
- 注文された商品や金額、数量などを管理する注文管理機能
- 顧客が商品購入時に選択した決済方法の情報を管理機能
- 商品の出荷から配送までに必要な情報を管理する出荷・配送機能
4. デザイン機能
ECサイト全体のデザインや、ページの追加や変更を行う機能です。テンプレートを選択するだけで基本的なデザインを作成できる機能や、専門スキル不要で簡単にデザインやコンテンツを管理・更新できるCMS(コンテンツマネジメントシステム)などが、代表的なデザイン機能です。
5. プロモーション機能
商品の販売促進を行う機能です。各種キャンペーンの実施やクーポンの発行、SNSやメルマガでの新商品の情報提供なども、プロモーション関連の重要な機能です。顧客の購入実績などに応じて、おすすめ商品を表示するレコメンド機能も、プロモーション機能のひとつです。
6. 分析機能
ユーザーがどんなデバイスでどこから来てどんな商品を購入したのか、どんな商品が売れていてどのページが一番見られているか、などがわかる機能です。サイトの運用状況を自社で分析するには、ある程度の知識や手間が必要となります。サイト作りに利用するサービスが提供している分析機能の内容を、事前に確認することをおすすめします。
ECサイトの構築・運用に関する5つの注意点
順調に売上を伸ばしてるネットショップに共通する、成功のための5つの条件について解説します。
- コンセプトに即した構築・運営
- 利用しやすいサイト作り
- 自社サイトに合った集客方法の実施
- 顧客情報を活用した販売促進
- 定期的な運用状況の分析と改善
1. コンセプトに即した構築・運営
ECサイトのコンセプトは、そのサイトのデザインや運用方法などを決めるベースになるものです。サイト上で発信するメッセージやデザインに一貫性を持たせることで、競合との差別化が図りやすくなります。どのような人がターゲットであるかが明確に伝わるサイトには、ターゲットとなる利用者が集まりやすく、アクセス数や売上の向上につながります。
2. 利用しやすいサイト作り
商品を購入する操作を簡単でわかりやすくすることは、売上向上やリピーター獲得のための重要項目です。購入を促進する商品情報の紹介方法、すぐに目にとまるショッピングカートボタン、選択や入力が必要な項目に迷うことのない表示などに注意しましょう。
また、アクセスした利用者に商品を購入してもらうためには、サイトの信頼性を伝える情報を掲載することが大切です。
利用者からの信頼を得るために提供すべき情報には、主に以下の3点があります。
提示すべき情報 | 提示するメリット |
電話番号 | 商品に関する不明点などをすぐに尋ねられる手段があれば、訪問者は安心して商品を購入できます。電話での問い合わせをできるだけ減らしたい場合は、FAQ(よくある質問)ページやチャットボットの利用をおすすめします。 |
ショッピングの利用ガイド(規約の要約) | トップページや商品ページに、ショッピング時の利用ガイド(規約の要約情報)を表示することも重要です。梱包や配送などの情報をわかりやすく伝えることで、顧客の商品購入を促進できます。 |
決済方法の表示 | 利用できる決済方法を見やすく表示することで、商品に興味を持った顧客が購入しやすくなります。 |
3. 自社サイトに合った集客方法の実施
基本的な集客対策であるSEO対策やSNSの活用には、開業直後から取り組みましょう。ショップのターゲットを明確にし、検索上位表示に向けたSEO対策や、商品情報を伝えるSNS投稿を続けることが成功につながります。
主要ECプラットフォームには、自社のECサイトの集客力を高める機能やサービスが用意されています。サイト構築に利用する支援サービスを選定する際には、利用できるSEO対策や広告配信機能、各種SNSとの連携機能などの概要を確認しまましょう。
4. 顧客情報を活用した販売促進
商品を購入した顧客に対してリピート購入を促す取り組みは、売上や利益の向上につながる重要な活動です。数多くの競合ショップがある中で、一度購入した顧客に対して何もアクションを取らなければ、再購入をしないまま忘れられる結果になってしまいます。商品を購入した顧客へのサンクスメールやメルマガの送信、購入回数や購入額に応じた特典やクーポンの付与といった、リピーター獲得のための施策を積極的に実施すべきです。
5. 定期的な運用状況の分析と改善
アクセス数や売上の推移、顧客の購入行動の変化といったデータを収集して、定期的な分析を実施します。運用状況に関する各種データは、自社サイトの運用改善やマーケティング戦略立案のベースとなるものです。集客や販売促進を目的とした施策を実施するには、サイトの現状や顧客情報を詳細に分析する必要があります。分析したデータを蓄積していくことで、課題の早期解決や将来ビジョンに即した取り組みを実施しやすくなります。
ECサイトに関する課題はECに精通したプロへの相談がおすすめ
ECサイトの構築・運用に関する課題を外部に相談・委託する上で、重視すべきポイントについて説明します。
ECサイトの構築・運用でサポートが必要となる主な業務
自社のECサイトを開設する上で、専門家への相談や委託が必要となるケースの多い項目は、以下の通りです。
- 販売する商品やショップのコンセプト決め
- 構築方法・利用する構築支援サービスの選定
- サイト構築に関する業務
- 販売、商品管理、カスタマーサポートなどの運用業務
- SEOやSNS活用をはじめとする集客対策
サイトの開設準備を進める中で、自社での対応が難しい課題が生じた場合は、ECサイトに関する専門知識やスキル、経験を持つエキスパートへの相談を検討しましょう。
フリーランスにECサイトの課題を相談するメリット
経験豊富なフリーランスにECサイトの構築・運用について相談・依頼する主なメリットは、以下の3つです。
メリット | メリットの詳細 |
自社の課題に合ったプロに相談できる | インターネット上で公開されている実績や経歴を比較した上で、自社の課題解消に適したプロが選べます。 |
迅速な判断や対応 | フリーランスは、相談への対応や見積もり作成などをすべて自身の判断で行います。担当者が上司などに確認した上で対応することの多い制作会社と比べ、迅速な対応が期待できます。 |
コストパフォーマンスの高さ | フリーランスに直接依頼できるために、Web制作会社のように諸経費や中間マージンが発生せず、コストパフォーマンスに優れます。 |
ECサイトの開設準備や構築・運用に関する課題は、ランサーズで活動する経験豊富なフリーランスにご相談ください。
ECサイトの特徴や開設方法などを確認し、自社に合ったサイト作りを実現しましょう
本記事で取り上げた、ECサイトに関する重要点は以下の通りです。
- 集客や販売の方法など、ECサイトには実店舗と異なる特徴がある
- ECサイトの取引形態には、BtoC、BtoB、CtoCの3つの種類がある
- ECサイトの構築方法は、ECプラットフォームやECパッケージなどの種類に分けられる
- 適切な手順を踏まえ、自社の業態や目的に合ったサイト作りを実施すべき
- サイト開設を検討する際には、必要な機能や注意点の確認が必要となる
- ECサイトに関する課題は、ECサイト構築・運用に精通したプロに相談すべき
以上のようなポイントを再確認した上で、自社のECサイトのコンセプトや目的を具体的に検討しましょう。ECサイトの運用を成功させるには、多くの課題に取り組む必要があります。課題解決のためのサポートが生じた際は、ECサイトの構築・運用の経験豊富なランサーズのフリーランスへの相談を検討してください。
