外出自粛などの影響で、外食産業からの野菜のニーズが減るなどの事情で、野菜がなかなか売れないと悩んでいる農家は多いです。農家から直接ネット販売してみたいと思っても、どうやって始めればいいのかわからないのではないでしょうか。
本記事では、農家がネット販売で野菜や果物を売る方法をご紹介します。野菜や果物のネット販売について検討したことがあるなら、ぜひ参考にしてください。

目次
野菜をネット販売する6つのメリット
野菜がなかなか売れないと悩んでいるなら、自分でネット販売を始めましょう。卸を通さず農家自身でネット販売することで、さまざまなメリットがあります。
ここでは、農家が野菜のネット販売を始めるメリットを見ていきましょう。
- 規規格外の野菜でも販売できる
- セット販売もできる
- 高額な初期費用をかけずにできる
- 価格設定が自由
- ブランディングしやすい
- 卸しの企業を通さないから利益が大きい
1. 規格外の野菜でも販売できる
一般に流通している野菜には規格が定められていて、大きさや形状、傷の有無や鮮度など、さまざまな条件があります。野菜の中には外側に傷があって規格外になってしまった野菜でも、味や鮮度には問題がなくても、規格外であることを理由に市場に出せないことも多いです。
農家がネット販売を行えば、規格に適合する野菜だけでなく、規格外の野菜でも「わけあり」「傷あり」などとして販売できます。市場に流通させられない規格外の野菜も廃棄せず流通させられて利益を増やせますし、フードロスの軽減も可能です。
2. セット販売もできる
1種類の野菜をたくさんセットにして販売しても、家庭用には分量が多いと判断されてしまい、購入につながりにくいことがあります。業務用として販路を拡大できれば売れますが、他の農家と競争になることも多いです。
じゃがいもや玉ねぎ、にんじんなど、少量をセットにしたものであれば、家庭用として購入されやすくなります。「サラダセット」「カレーセット」など、特定のメニューで使えるようにして野菜をセット販売するのもいいでしょう。
野菜セット売りすることでまとまった量を一度に販売できますし、販売単価も上がって利益を獲得しやすくなります。また、野菜をまとめ売りすることは少量ずつ販売するのに比べて、配送の手間が軽減可能です。
3. 高額な初期費用をかけずにできる
自分でECサイトを作成するのはコストがかかりそうなイメージを持っている人は多いです。しかし、野菜をネット販売するためのECプラットフォームの中には、BASEやフリマアプリなど、初期費用や月額費用が無料のサービスもあります。
このような無料のサービスや手数料を抑えられるサービスをうまく活用することで、販売時のコストを軽減可能です。費用をかけずに野菜を販売する選択肢が増えています。
自分の状況に合っていて、使いやすいECプラットフォームを探して、活用してください。
4. 価格設定が自由
市場に流通している野菜の価格は、中央卸売市場で「せり」によって決められます。自分で価格をコントロールできませんので、市場価格によっては赤字になってしまうこともあるでしょう。
農家自身が野菜をネット販売するなら、自分で価格を決められます。販売する野菜に無農薬や有機栽培など付加価値をつけることで、価格を下げすぎずとも販売可能です。
ECプラットフォームに支払う販売手数料や月額費用などの経費を考慮して、利益を十分確保できる価格に設定して野菜を販売するといいでしょう。
5. ブランディングしやすい
ブランド野菜とは、農林水産省が制定している制度で産品登録されている野菜のことです。
ブランド野菜とは別に、国の制度を利用せずにブランド化されている野菜もあります。例えば自治体が主体となって産地をブランド化した野菜や、生産者自身が発信してファンを獲得する方法などです。
生産者のこだわりや生産した野菜の特徴などをECサイトに掲載すると、ブランディングにつながります。農家自身がネット販売するなら、生産者のファンになってもらえるような戦略で販売すると、繰り返し購入されやすくなるでしょう。
6. 卸しの企業を通さないから利益が大きい
市場に流通している野菜は、卸や商社など中間に卸しの企業を通して販売しますので、マージンや手数料などが発生します。まとめて買い取ってくれる点ではメリットは大きいですが、利益が大きく削られてしまう点は悩みの種です。
農家がネット販売するなら、間に卸しの企業を挟まずに直接購入者に野菜を届けられます。個人への販売だけでなく、飲食店へ直接販売する方法などもあり、やり方次第でたくさんの野菜を販売可能です。
これまで負担していたマージンの負担がなくなって、自分の利益にできます。
野菜をネット販売する際の7つの注意点
野菜をネット販売する際に、いくつか気をつけておくべき点があります。ネット販売を始めるのに必要なことや、野菜を扱うために必要なことなどがありますので、あらかじめ理解しておきましょう。
ここでは、野菜をネット販売する上で理解しておくべき注意点を紹介します。
- 開業届が必要なこともある
- PCがある方が望ましい
- 加工食品も販売するなら許可が必要
- 特定商取引法に基づく表記が必要
- 目を引くような画像が必要
- 野菜のいい点・悪い点両方がわかるように掲載する
- 梱包をしっかり行う
1. 開業届が必要なこともある
「開業届」の正式名称は「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」で、個人事業主として働く際に、税務署に提出する書類です。これから責任者となって野菜のネット販売を始める人で、これまでに開業届を税務署に提出したことがないなら、提出しましょう。手数料はかかりません。
ただし、すでに提出していて自身で確定申告をしているのであれば、再提出は不要です。
書式は国税庁の公式サイトからダウンロードできます。必要事項を記入して、納税地を所轄する税務署に提出してください。
2. PCがある方が望ましい
できるだけ初期費用を抑えるために、スマートフォンでネット販売できないかを検討する方もいるでしょう。フリマアプリや一部のECプラットフォームなら、スマートフォンでも対応可能です。
しかし、商品説明文の入力や画像の編集などを行うなら、スマートフォンの小さい画面では負担になることが多いです。PCや大きめのタブレットがある方が、入力や編集は効率よくできます。
商品登録や受注対応などの日常的な業務においては、専門的な知識がなくても操作できるプラットフォームも多いです。PCやタブレットの操作に不慣れな人でも続けるうちに慣れますので、これから野菜のネット販売を続けるなら、PCやタブレットを準備しましょう。
3. 加工食品も販売するなら許可が必要
野菜をそのまま販売したり、皮むきなど簡易処理しただけの状態で販売したりするなら、基本的には許可は必要ありません。しかし、カット野菜や漬物など野菜を加工した状態で販売する場合には、食品衛生法に基づく許可や届出が必要です。
ただし干し野菜は、農家自身が生産した農産物を原材料として使用する時には、許可や届出が必要ないこともあります。対象の野菜や加工物によって細かく分類されていますので、よく確認しておきましょう。
また、容器で包装された加工食品なら、卵や乳、そばなどアレルギー物質の表示義務がある点にも注意してください。
4. 特定商取引法に基づく表記が必要
野菜を自社ECでネット販売するなら、特定商取引法に基づく表記が必要です。特定商取引法に基づく表示をしていないと、罰則の対象となることがあります。
特定商取引法で下記の例で示したように表示すべき点が定められているのは、遠隔地で行う商取引における購入者保護のためです。
- 事業者の名称(氏名)・住所・電話番号(バーチャルオフィスでも可)
- 商品の引き渡し時期
- 送料
- 事業者の電子メールアドレス
表示する点は意外と多く大変ですが、ECプラットフォーム側でテンプレートが準備されていることも多いので、活用するといいでしょう。
5. 目を引くような画像が必要
野菜をネット販売する時には、消費者が商品を直接確認できない分、画像で商品を選びます。魅力的で目を引く画像を用いることで、商品を選んでもらいやすくなります。
よく売れている野菜のサイトを参考にしながら、魅力的な画像を撮影しましょう。最近はスマートフォンに搭載されているカメラでも、十分な画質で写真を撮影できます。ネット販売する写真は、スマートフォンでの撮影でも問題ありません。ただし加工はPCやタブレットのアプリを活用する方がスムーズです。
少しでも野菜を販売できるよう、消費者が「おいしそう」「調理に使ってみたい」と感じられるような、魅力的な画像を掲載しましょう。
6. 野菜のいい点・悪い点両方がわかるように掲載する
ネット販売したい野菜のいい点ばかりを掲載したあまり、消費者に届いた時にがっかりされてしまうこともあります。いい点を強調しすぎた結果、悪いレビューや悪評にもつながりやすいです。
野菜をネット販売するなら、いい点だけでなく悪い点もサイトに掲載しましょう。顔を合わせていない相手だからこそ信頼してもらえるように正直に掲載するように努めましょう。結果的に顧客満足度が上がって、クレーム対策にもなります。
7. 梱包をしっかり行う
販売コストを抑えようと強度が弱いダンボール箱を使ったり、梱包が十分でなかったりすると、商品が傷んでしまうことがあります。消費者に悪い印象を与えてしまい、今後の販売に悪影響を及ぼすこともありますので、梱包は念入りに行いましょう。
農家によっては、オリジナルデザインのダンボール箱を用意したり、専用梱包材を使ったりして、ブランディングにつながるよう工夫していることもあります。
扱っている商品の広告や農園のガイド、次回割引クーポンなどを同封して農家について知ってもらうと、リピーターにつながりやすいです。
野菜をネット販売する4つの方法
野菜をネット販売する方法には多くの方法があります。野菜をネット販売する方法を大きく分けるとECモール・野菜専用のプラットフォーム・自社ECサイト・フリマアプリの4種類です。
ここでは、野菜をネット販売する方法ごとの特徴を紹介します。
- ECモールで販売する
- 野菜を販売するプラットフォームを活用する
- 自分でECサイトを立ち上げる
- リマアプリを利用する
1. ECモールで販売する
ECモールとは、オンライン上のショッピングモールのことです。1つの大きなサイトの中に、複数のショップが出店または商品の出品をするECサイトを指します。代表的なECモールは、Amazonや楽天市場などです。
既存顧客が多いため、ECモールに訪問した人にアプローチできます。ただし、手数料が高い点や、出店審査がある点などは理解しておきましょう。
Amazonなど、野菜の販売に注力しているECモールも増えています。多くの人へアプローチして販売を伸ばしたい場合には、検討してみてください。
2. 野菜を販売するプラットフォームを活用する
野菜専門で販売するための販売プラットフォームも生まれており、活用する農家は増えています。野菜専門で販売するための代表的なプラットフォームとしては、食べチョクやポケットマルシェなどがあります。
野菜専門で販売するプラットフォームは、野菜を購入したい消費者に直接アプローチできる点や固定費無料である点は強みです。しかし、他の農家との競争になりやすい点や販売手数料は高額(食べチョクは19.7%)になってしまいます。
3. 自分でECサイトを立ち上げる
野菜をネット販売するなら、自分でネットショップを立ち上げ、販売する方法もあります。個人や小規模な農家が野菜をネット販売するなら、ネットショップ作成サービスであるASPを利用することが多いです。
ASPは法人化していなくても、問題なく利用できます。ASPには、Shopifyなど初期費用が無料のサービスや、BASEのように月額費用が無料のサービスがあるなど、固定費を抑えられる点が魅力です。商品が売れたら販売手数料はかかりますが、他の販売方法に比べると低価格に抑えられます。また、システムメンテナンスはASP側が行ってくれますので、自分で行う必要がありません。
ただし、ASPを選ぶとECモールのように既存顧客がいませんので、ネット広告などで宣伝が必要です。また、ASPによってはHTMLなどの知識が必要なこともあります。必要な部分は外注するのもいいでしょう。
4. フリマアプリを利用する
スマートフォンを使って手軽に野菜を販売したければ、フリマアプリを活用する方法もおすすめです。フリマアプリでの販売には固定費がかからないものがほとんどです。
メルカリShopsなど、フリマアプリ内にショップを開設するサービスも登場していますので、事業としての野菜販売に活用できます。
フリマアプリを使って野菜をネット販売するのは、操作が簡単で初心者でも簡単にできるのが強みです。ただし、自社ECサイトを立ち上げるのに比べると、販売手数料は高い(メルカリShopsは10%)点や、出品者が多く埋もれやすい点は理解しておきましょう。
野菜のネット販売にお困りならフリーランスに依頼しよう
野菜をネット販売する方法としていくつかの方法があります。野菜のネット販売方法には慣れると難しくありませんが、うまく立ち上げられるか、魅力的な写真を自分で撮れるのかなど、不安に思う人も多いでしょう。
ランサーズには、ECサイトの作成経験が豊富なフリーランスが多数所属しています。
得意分野に強いフリーランスが全国各地にいますので、撮影やECサイト制作、TOPページ飲みの作成などを、事業者を挟まずに直接依頼可能です。オンライン軽油で、最短即日で依頼できますので、お困りでしたら問い合わせてみてください。
野菜のネット販売は難しくない!自信に合う方法で始めてみましょう
今回の記事では野菜をネット通販で販売する方法についてお話ししました。再度、ポイントをまとめます。
- 野菜のネット販売なら規格外の野菜でも販売しやすい
- 高額な初期費用はかけずに始められる
- 自由に価格設定できる
- 卸業者を通さないから利益が大きい
- 届出や許可が必要なこともある
- 魅力的な画像の掲載が必要
- 野菜のいい点・悪い点両方がわかるように掲載する
- 梱包をしっかり行う
- 小規模な農家が自社ECを作成するならASPを使うのがおすすめ
フリマアプリや野菜販売専用プラットフォーム・ECモールなどでもネット販売できる
野菜をネット販売する方法は、どんどん増えています。野菜をネット販売することは売上を伸ばすチャンスにもなり得ますので、ぜひ挑戦してみてください。
