ECパッケージとは、ECサイト運営に必要な機能が揃ったショッピングカートシステムです。ECパッケージはカスタマイズ性が高い一方、費用が高いなどのデメリットもあります。
まずはECパッケージのメリット・デメリットやASPとの違いを踏まえたうえで、自社で導入するかどうか検討しなければいけません。そこで本記事では、ECパッケージの基礎知識を解説したのち、おすすめの製品7選の特徴比較をご紹介します。

ECパッケージとは
ECパッケージとは、ECサイトの構築と運営に必要となる様々な機能を備えた製品です。主な搭載機能は下記の5つがあります。
- 商品管理
- 在庫管理
- 売上管理
- 編集機能
- 外部システム連携
基本の管理機能が備わっているため、サーバーにECパッケージをインストールすると、システム構築なしでオリジナルネットショップの開設が可能です。
ECパッケージとASPの違い
ネットショップ運営でよく利用されるのが、ECパッケージもしくはASPです。ASPとは、インターネットを通してECプラットフォームをレンタルできるサービスです。ECパッケージとASP共にメリット・デメリットがあるため、自社に最適な構築方法を選択しなければいけません。
以下では、ECパッケージとASPのメリット・デメリットを解説します。下表は簡単にメリット・デメリットをまとめたものです。
メリット | デメリット | |
ECパッケージ | ・ECサイトに必要な機能が標準搭載 ・高い拡張性 ・強固なセキュリティ | ・初期費用とランニングコストがかかる ・定期的なシステム更新が必要 |
ASP | ・導入費用が安い ・システムが自動更新 | ・オリジナル性の高いサイトは作れない ・拡張性が低い |
ECパッケージのメリット・デメリット
まずECパッケージのメリット・デメリットをご紹介します。
ECパッケージのメリット
ECパッケージは、ECサイト運営に必要な機能が標準搭載されているほか、拡張性が高いのも大きな強みです。豊富な機能の中から、必要なものを自由に追加できるため、オリジナル性の高いECショップの構築や越境EC、オムニチャネルなども構築できます。
ECパッケージのデメリット
一方で、ECパッケージは初期費用が少なくとも500万円はかかるので、個人やEC売上高の低い中小企業には導入ハードルが高いでしょう。また、ECサイトのトレンドやニーズは移り変わりが早く、数年後にはシステムがニーズに対応できない可能性が十分にあります。導入後も定期的なシステム更新が必要であり、そのたびにコストがかかるのもデメリットです。
ASPのメリット・デメリット
ASPのメリット・デメリットをご紹介します。
ASPのメリット
ASPは標準機能を低価格で利用できるため、多くの個人や中小企業に選ばれています。また、ベンダーがシステムを自動更新をしてくれるメリットもあります。
ASPのデメリット
デメリットとしては、自由にカスタマイズできないことです。そのため、様々なニーズに対応したり、オリジナル性の高いECサイトを構築したりできません。
事業拡大を目指すならECパッケージがおすすめ
ECパッケージとASPのメリット・デメリットを踏まえると、ECパッケージが向いているのは、以下の条件を満たす企業だと言えます。
- ECサイトの年商が1億円以上
- 事業拡大を目指す
ECパッケージは、初期費用こそかかりますが、満足度の高いECサイトを構築できます。そのため、大きなリターンに期待可能です。資金に余裕があり、EC事業拡大を目指す企業はECパッケージがおすすめです。
一方、これからEC事業を開始する個人や中小企業は、ASPの利用やフリーランスにECサイトの構築を依頼する方がコストパフォーマンスが高いことが多いです。まずはASPで成果を出してから、ECパッケージに移行する手もあります。
最適なECパッケージを選ぶための4つのチェックポイント
数多くのベンダーがECパッケージを提供しています。数ある製品の中から、自社に最適なECパッケージを選ぶためには、下記4つのポイントをチェックする必要があります。
- コスト
- 機能性
- カスタマイズ性
- サポート制度
以下では、それぞれのポイントについて解説します。
1. コスト
ECパッケージの初期費用は、少なくとも500万円はかかります。費用はかけようと思えば、上限なくかけられるため、事前に予算を明確にしておく必要があります。また、初期費用だけではなく、機能の追加費用やシステム更新費用も確認しましょう。
費用がないながらも、ECパッケージを導入したい場合、無償のオープンソースを利用する手段もあります。しかし、オープンソースの場合はカスタマイズやメンテナンスは自社で行わなければいけません。社内にITに強い人材がいないなら、有料のECパッケージを選ぶことをおすすめします。
2. 機能性
ECパッケージ導入前には、制作したいECサイトを明確化しておく必要があります。理想のECサイト像が明確化されることで、必要な機能性が判明し、最適なECパッケージが明らかになるからです。
まずはデザイン面や管理機能などで必要なものを洗い出しましょう。そして、必要な機能を網羅できるECサイトパッケージを選定します。機能の具体的なイメージがつかない場合は、そのパッケージを利用した他社のECサイトを見たり、デモで確認したりすることがおすすめです。
3. カスタマイズ性
ECパッケージの魅力はカスタマイズ性の高さです。しかし、ベンダーの技術力次第では、独自機能の実装はできなかったり、実装までに時間がかかったりします。カスタマイズ性の高さを活かすためにも、事前に過去のカスタマイズ事例や進め方を確認しましょう。
4. サポート制度
ECパッケージを運用する中で、様々な疑問や悩みが生じるはずです。特にトラブルやメンテナンス事項に自社で対応できなければ、大きな損失へとつながるリスクがあります。自社のみでのECパッケージ運用に不安がある場合は、スムーズに運用を進めるためにも、サポート制度が手厚いベンダーを選ぶのがおすすめです。
おすすめのECパッケージ7選
数多くのベンダーがECパッケージを提供しているため、製品選びに迷う方も少なくありません。そこで以下では、おすすめのECパッケージ7選の特徴を解説します。ぜひ製品選定の参考にしてください。
- ecbeing
- EC-ORANGE
- ebisumart
- コマース21
- EC-CUBE
- SI Web Shopping
- HIT-MALL
1. ecbeing
ecbeingの特徴は以下の通りです。
- 1,400社以上のサイト構築実績
- 万全のセキュリティ
- 構築後も充実のサポート体制
ecbeingはサイト構築から売上アップ支援までワンストップで提供しています。これまで1,400社以上のECサイト構築を手がけており、実績と技術力は十分です。ecbeingは以下のパッケージを提供しています。
- BtoC向けECサイト
- クラウドECプラットフォーム
- BtoB向けECサイト
- 越境EC
- ショッピングモール
また、ECサイトを構築して終わりではなく、EC専門のマーケティング部隊が売上を支援してくれるのです。システムは自動アップデートされるため、陳腐化しないECサイトの構築ができます。
2. EC-ORANGE
EC-ORANGEの特徴は以下の通りです。
- 全てのソースコードを公開
- カスタマイズ性が高い
- 外部システムと容易に連携できる
EC-ORANGEは年商100億円以上向けのECサイト構築を支援します。カスタマイズ性を重視しており、様々なシステム要件に対応することが可能です。また、全てのソースコードが開示されているため、自社の運用チームでの内製化や他社のベンダーにカスタマイズ依頼もできます。
さらに、API連携をベースにシステム開発されており、数多くの外部システムと容易に連携できるのも特徴です。2007年の発表以来、15年超えるサービス提供で培った技術力も十分なので、カスタマイズ性を重視したECサイト構築をしたい方におすすめのパッケージです。
3. ebisumart
ebisumartの特徴は以下の通りです。
- 豊富な標準機能
- 大量データにも対応
- インフラとセキュリティは自動で最適化
ebisumartは、導入実績700社以上のクラウド型ECパッケージです。カート機能や在庫管理、物流連携などの豊富な標準機能に加えて独自機能の追加もできます。また、週に一度無料で自動アップデートされるため、常に最新システムを備えたECサイトの構築が可能です。
1分間当たりの最大受注件数は1,901件、1分間当たりの最大アクセス数は50,000アクセスと大量のデータや突然のトラフィック増加にもスムーズに対応できます。導入前から導入後まで万全なサポート体制があるため、安心してECサイトの構築・運用が可能です。
4. コマース21
コマース21の特徴は以下の通りです。
- 年間EC売上高100億円以上の企業のECシステム構築経験が多数
- プロジェクト進行における遅延やリスクが少ない
- オムニチャネルの実現が可能
コマース21は、年間売上高100億円以上の企業のECシステムを構築しています。開発から保守まで主要メンバーを固定して、システム構築プロジェクトが進められるのが特徴です。経験豊富なメンバーが揃っており、大規模ECサイトの構築でもスピーディーに進められます。
また、ソースコードが開示されており、Java技術者であれば社内SEでも対応可能です。CRMやMAツール、検索エンジンなどの外部ツールとの連携も柔軟にできるため、オムニチャネルの実現も可能です。
5. EC-CUBE
EC-CUBEの特徴は以下の通りです。
- 無料で利用できるECパッケージ
- 800種類以上の追加プラグ
- パートナーに制作依頼できる
EC-CUBEはオープンソース型のEC構築システムです。メンテナンスフリーですぐに利用できる「クラウド版」とサーバーに無料インストールする「ダウンロード版」の2種類があります。
無料でも、すぐにECサイトを開店できる基本機能が揃っています。また、追加プラグは800種類以上で、自由にカスタマイズが可能です。
Web制作の知識があれば、低コストでECサイトを構築できます。自社で制作できない場合は、全国150社以上のパートナーに依頼することで、理想のECサイトが作れます。
6. SI Web Shopping
SI Web Shoppingの特徴は以下の通りです。
- 複数のデジタルチャネルにコマース機能を実装
- 様々なマーケティングツールとの連携が可能
- ソースを公開
SI Web Shoppingは、ECで年商十億円以上を目指す中規模EC事業者向けのパッケージです。1,100サイトの制作実績をもとにシステムは開発されており、安定性と堅牢性を備えています。アプリやブランド、チャットなどのコマース機能が標準でAPI化されているため、多くのデジタルチャネルでショッピング体験の提供が可能です。また、オープンソースで開発言語はJavaのため、自社や他のベンダーにカスタマイズの依頼もできます。
7. HIT-MALL
HIT-MALLの特徴は以下の通りです。
- 売れるECサイトを構築できる
- 選べるクラウド版とパッケージ版
- ECサイトの運営までワンストップでサポート
HIT-MALLは、ECサイト構築から運営サポートまでワンストップで提供するサービスです。ECサイトに必要な機能は標準搭載されており、BtoBやBtoC、ギフト商材向けなど自社ビジネスに適したECサイトを構築してくれます。
HIT-MALLはクラウド版とパッケージ版の2種類が用意されています。初めは低価格のクラウドを利用し、利益が出たらカスタマイズできるパッケージ版に移行することも可能です。
ECサイト構築後も、ECサイト運用歴20年以上のチームがシステム運用やアクセス解析、物流代行などをサポートしてくれます。初めてECサイトの運用をする企業にこそおすすめのパッケージです。
メリット・デメリットを踏まえてECパッケージの導入を検討しましょう
ECパッケージは、ECサイトの開設に必要な機能が標準搭載済みで、カスタマイズ性も高いために、満足度の高いECサイトを構築できます。一方、初期費用が高額なため、個人や売上高の少ない中小企業のECサイト構築には向いていません。
まずはECパッケージのメリット・デメリットを踏まえ、自社に導入するのかどうか要検討しましょう。そのうえで導入が決まれば、記事内で紹介した選定ポイントやおすすめのパッケージを参考にしてください。
