ネットショップを運営していると、集客が思うようにいかないと悩むことはよくあります。ネット上にはすでに多くの競合ショップがあり、ネットショップを開設するだけでは顧客からなかなか選んではもらえません。ネットショップの運営では、集客を増やしていくための対策が必要です。
そこで本記事では、ネットショップの集客に役立つ無料・有料の10の方法とコツ、また成功事例を紹介します。

目次
ネットショップの集客方法は大きく分けて3つある
ネット上には、広告を始めとしたさまざまな集客方法があります。
中でもネットショップと相性のよい集客方法は、目的別に大きく3つに分かれます。
集客方法 | 施策の概要 |
ナーチャリング(顧客の育成) | ユーザーを潜在的な顧客にする、リピーター獲得のための施策 |
SEO(検索エンジン最適化) | ネットショップや自社ブログを、検索エンジンで上位表示させるための施策 |
広告 | 商品やブランドを広く周知するための直接的な施策 |
これらの具体的な集客方法や費用目安は、以下の通りです。
集客方法 | 効果が得られるまでの期間 | 目安の費用/月 | 集客方法の概要 |
ナーチャリング(顧客の育成) | 短期(~4か月) | 無料 | 無料ブログの運営 |
無料~15万円 | メールマーケティング | ||
ナーチャリング(顧客の育成) | 中長期(4か月~1年) | 無料 | SNSアカウントの運用 |
SEO(検索エンジン最適化) | 中長期(4か月~1年) | 無料 | SEO対策(自然流入の強化) |
ナーチャリング+SEO | 中長期(4か月~1年) | 無料~5,000円 ※レンタルサーバー利用料が発生する場合 | 自社ブログの構築 |
広告 | 短期(~4か月) | 20万円~50万円 | リスティング広告 ディスプレイ広告 |
※単価×成約数によって変動 | アフィリエイト広告 | ||
中長期(4か月~1年) | 10万円~上限なし ※YouTube広告基準 | 動画広告 | |
1万円~50万円 | SNS広告 |
実際には、自社の業態や扱う商材、予算によって集客方法は異なります。ネットショップへの流入から成約に至るまでの流れを想定して、効率的な集客方法を選びましょう。
ネットショップの無料の集客方法5選
まずは、無料でできるネットショップの集客方法を紹介します。特にブランディングやリピーター育成に役立つ施策をピックアップしました。ぜひ参考にしてください。
無料ブログの運営(短期施策)
外部サービスを利用した無料ブログは、ネットショップのファン作りに役立ちます。無料ブログは、知名度が高く閲覧数が安定しているため、自社ブログよりも早く読者を獲得できるメリットがあります。代表的なサービスは「Ameba」や「はてなブログ」です。
無料ブログは、商品紹介やキャンペーン情報などを掲載して読者をショップに誘導しやすいです。また、TwitterなどSNS連動機能で拡散もされやすいため、短期間でも流入が期待できます。
特にAmebaは、月間2,200万人が利用している日本最大のブログメディアで、利用者の約7割が女性です。商材やターゲット層を考慮しながら、適切な無料ブログサービスを選択しましょう。
メールマーケティング(短期施策)
メールマーケティングは、メールマガジンやステップメールなどのメール配信を行って、ユーザーにショップの再訪問やリピート購入を促す集客方法です。
メールマガジンやステップメールの概要は、以下の通りです。
メールマーケティングの手法 | 施策の概要 |
メールマガジン | ・定期的に一斉配信 ・キャンペーン情報、新製品紹介 |
ステップメール(シナリオ配信) | ・成約後(会員登録、購入など)、ユーザー別に配信 ・ショップ紹介、購入のお礼、特典紹介など |
メール配信は、メールソフトで一斉送信したり、無料の配信ツールを活用したりする方法があります。
ただし、大量のメールアドレスとユーザー属性ごとの配信管理が必要になると、膨大な業務処理に忙殺されかねません。その場合は、有料のメール配信ツールを利用することも良策です。
自社ブログの構築(中長期施策)
ネットショップへの集客を長い目線で強化するには、自社ブログの構築が役立ちます。無料ブログとの違いは、独自のドメインでサイトを構築しなければならないことと、集客に期間がかかることです。
継続的に記事コンテンツを制作する前提でも、自然流入数を増やすには、最低4か月は要します。しかし、自社ブログを構築して長期的に運営するメリットは大きいです。新商品の紹介など販促目的のコンテンツだけでなく、ユーザーに役立つ情報を発信し続ければ、ファンやリピーターを得ることができます。
SEO対策(中長期施策)
ネットで展開するネットショップにとって、検索エンジンにサイトを高評価してもらうSEO対策も大切な集客方法です。検索結果の上位にネットショップが表示されるほどクリック率が高まり、ユーザーによるサイト訪問が増えるためです。
SEO対策はネットショップに限らず、Webメディアの集客には必要不可欠です。SEO対策は無料ですが、すぐに集客効果が現れることはまずありません。多くの自然流入を獲得するには、キーワード分析を行い、検索ニーズに即したコンテンツ制作が必要です。
SNSアカウントの運用(中長期施策)
自社商品のターゲット層が多く利用しているSNSを選び、自社アカウントを運用することも集客に有効です。ネットショップと親和性の高い3つのSNSをまとめてみました。
SNSの種類 | ターゲットの年齢層 | 概要 |
20代~40代 | 写真や映像でイメージを伝える ※相性のよい商材:化粧品、アパレル、など | |
10代~40代 | リアルタイム情報の発信と拡散に優れている ※相性のよい商材:食品、観光、家電、など | |
LINE | 10代~60代 | カスタマーサービス、相談業務に強い |
一概にSNSと言っても、それぞれ特徴があります。例えばアパレルなら、Instagramでコーディネート例を載せることで、ユーザーは商品を具体的にイメージしやすくなります。
Twitterなら、ショップのセール情報などをリアルタイムでユーザーに共有できます。また幅広い年齢層が使っているLINEは、相談してから購入したい心理に即して、きめの細かいカスタマーサービスを展開することが可能です。
ネットショップの有料の集客方法5選
続いて、有料で実施できるネットショップの集客方法を紹介します。
リスティング広告(短期施策)
リスティング広告は、Yahoo!やGoogleなどの検索結果ページに、広告でネットショップを表示させる方法です。キーワード広告や検索連動型広告とも呼ばれます。
SEO対策では最低4か月はかかる上位表示ですが、リスティング広告を使えば開設直後でも上位表示できます。時間をかけずに効果的な集客が可能です。広告費用は、ユーザーが広告をクリックするたびに発生します。
ディスプレイ広告(短期施策)
ディスプレイ広告は、アプリやWebサイトの広告枠に画像や動画、テキスト形式でネットショップを表示させる方法です。バナー形式で表示されるものは「バナー広告」とも呼ばれます。
広告クリエイティブやキャッチコピーを工夫することで、潜在層へアプローチすることが可能です。ユーザーの嗜好に合わせて広告が表示される仕組みですが、リスティング広告に比べるとターゲット層は広くなります。
アフィリエイト広告(中長期施策)
アフィリエイト広告は、比較サイトや大手メディア、個人ブログなどのコンテンツを介して商品を売る方法です。会員登録や購入などが行われた場合のみに支払われる、成果報酬型の広告です。
キャンペーン価格や期間限定販売などの販売促進戦略を実施しやすく、時間をかけない集客とコンバージョン効果が見込めます。
具体的には自社が広告主となって、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)やアフィリエイター、企業に商品販売の案件依頼を行います。その後、制作された広告記事に貼られたリンクを経由してネットショップに集客する流れです。
動画広告(中長期施策)
動画広告は、ネット上やSNS媒体などで配信する動画を使用した広告です。動画は視覚と聴覚に訴えかけやすく、ネットユーザーの目に留まりやすいメリットがあります。また、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームとの親和性も高いです。
再生されることで幅広い層にアプローチできるため、動画広告はネットショップの集客にも有効なツールと言えるでしょう。
SNS広告(中長期施策)
SNS広告は、FacebookやInstagram、TwitterなどのSNS媒体に表示されます。年齢や好きなジャンルなどの情報から、広告を表示させるターゲット層を絞るため、商品に関心が高い顕在層からそうでもない潜在層まで、広くアプローチすることが可能です。
テキストだけでなく画像や動画で配信できるため、それぞれを駆使して自社ブランドの認知に役立てることもできます。なお、ネットショップがSNS広告に取り組む際には、ユーザーに適したSNSのアカウント運用と同時進行することが多いです。
集客でネットショップの売上がアップ!成功事例3選
無料有料のネットショップの集客方法をみてきましたが「実際どうなの?」と思った方もいることでしょう。ここでは、上記で紹介した集客方法で成功を収めたネットショップ事例を紹介します。
PAJAMAYA IZUMM(パジャマ屋イズム)
パジャマのデザインから製造、販売まで行う有限会社フレックスのネットショップ「PAJAMAYA IZUMM」は、2020年4月にサイトリニューアルを行いました。その際に、顧客のニーズを掘り下げ、コンテンツ制作に力を入れる取り組みを行った結果、売上を2倍に伸ばすことに成功しています。
特にパジャマのギフト販売に力を入れ、こだわりの画像クリエイティブやキャッチコピーを制作しました。サイトは、ユーザーに商品を「贈る気持ち」を購入体験として伝えられる作りになっています。
LOWYA(ロウヤ)
家具の設計、制作から販売までを行う「LOWYA(ロウヤ)」は、ECモール依存型の販売から自社のネットショップ販売に移行しました。サイトのSEO対策やコンテンツ制作の強化、SNSの活用を実施してきた結果、2016年から2020年の間に売上を18倍に向上させています。
集客対策で特筆すべきことは、Instagramを駆使したSNSアカウントの運用です。商品画像や部屋のインテリアコーディネートなどを質の高い画像で多く投稿し、自社ショップに誘導が可能です。また、ユーザーとの接点を大切にしており、定期的にインスタライブを実施してユーザーと交流を図っています。
購入相談や質問などにもSNSで対応できるため、実物を見ないで家具を購入するユーザーの心理的不安を取りはらうことに成功しました。
卒塔婆屋さん(そとうばやさん)
お墓にたてる卒塔婆や墓標などの販売を行う有限会社谷治新太郎商店は、2013年にネットショップ「卒塔婆屋さん(そとうばやさん)」を開始しました。以降、広告やSEO、SNSなどを駆使しながら平均月商600万円を超える成果を得ています。
自社のネットショップ構築当初は、画像付きのリスティング広告(別名Googleショッピング広告)で集客し、その後、ブログやSNS運用まで絶え間なく改善を行いました。
SEOに関しては、卒塔婆というニッチな商材であることに着目しています。ショップ名を「卒塔婆屋さん」とし、検索結果の1ページ目をジャックできるほどに成長させました。
ネットショップ開業後に苦戦しないための3つの集客のコツ
せっかくネットショップを開設してもうまく集客できていないと、アクセス数を効率的に伸ばすことは難しいです。そこでここからは、ネットショップの集客で押さえておきたい3つのコツを紹介します。
1. 認知度の向上・ブランディング施策を実施する
ネットショップを開設して間もない頃には、ネットショップの存在を知っている人は限られています。よほどよく知られたメーカーやブランドの商品でなければ、商品名やショップ名で検索されることは少ないです。
つまり検索結果からユーザーがネットショップへ自然流入することはなく、成約どころか集客すら難しい状況に陥りがちです。そこで、まずは自社商品の認知度の向上や差別化を意識したブランディング施策を実施する必要があります。将来顧客となりうる人に知ってもらうためにも、無料有料のブログやサイトのSEO対策などを実施して集客やブランディングの対策を行いましょう。
2. リピーターを獲得する対策を練る
ユーザーは1度購入しても、2度、3度目のリピート購入につながらないケースは少なくありません。リピーターになってもらうための対策がうまくいっていないことが原因です。以前の購入商品に満足できていないことや、繰り返し使いたいと思ってもらえないこと、価格に対する不満などが考えられます。
しかし逆にみれば、顧客が購入した商品に満足してファンになってもらえると、同一商品や類似商品をリピート購入してくれることは多いです。そのようなリピート購入を増やすには、購入の前と後でミスマッチを防ぎ、自社商品のファンを獲得する対策が必要です。できるだけ実物に近い商品画像を増やし、購入に満足してもらいましょう。そのうえで、メールマガジンやステップメールを活用したメールマーケティングを活用し、リピーターやファンの獲得を目指します。
3. 商品の説明やクリエイティブを改善する
ネットショップで取り扱っている商品に興味はあっても、ネットショップを閲覧するだけで購入には至らないケースも多くあります。商品ページ内の商品説明や画像、価格など、顧客が購入に至らない理由は必ずあります。まずは、アクセス解析ツールを参考にしながら、購入されず「かご落ち」状態の商品をピックアップして、購入に至らなかった原因を探りましょう。そして、購入に結びつくような対策を行ってください。
例えば、商品説明や画像が今ひとつな場合、ターゲット層向けに商品コンセプトを考えて商品の説明を詳しくしたり、キャッチコピーを添えたりする対策がとれます。また、イメージに合った画像クリエイティブを作ることもおすすめです。
ネットショップの集客で広告が重要な5つの理由
ネットショップでよりたくさん集客して売り上げにつなげるには、広告が重要な役割を果たします。ネットショップの集客を行う際に広告にコストをかける必要性を理解しておくと、納得して広告を出せますし、より効果的な内容の広告を出せることにつながりやすくなります。
ここでは、ネットショップの集客で広告が重要な5つの理由を紹介します。
1. 競合が多い
ネットショップでの商売は、実店舗と違って少なくとも日本中の人を対象に商売できますし、お店によっては海外にも販売網を広げられます。しかし、他のネットショップにも同じことがいえますので、競合相手は多いでしょう。
広告で店舗名や商品情報、セール情報などを露出することで、自社ネットショップに目を向けてもらうきっかけになります。
少しでも店舗名や商品情報など、自社ネットショップや販売商品について知ってもらうために、ぜひ広告を活用してください。
2. ターゲットを絞れる
インターネット広告は、年齢・表示時間帯・興味の傾向などを絞って表示させられるものが多くなっています。商品ターゲットに合う属性に表示条件をうまく絞ることで、出稿する広告の集客効果を高めましょう。
3. 自社商品やサービスを知らない層にも露出できる
自社で扱っている商品やサービスの知名度が低いと、実店舗では集客に苦労することも多いです。ネットショップの場合、顧客の興味に合わせて表示される広告などを活用すると、これまで自社について知らなかったユーザーにも商品を知ってもらう機会をつくれます。
顧客が実店舗に足を運ぶことがなくても、ネットショップでうまくPRすることで、集客につなげられます。
4. 自社で扱う商品を探しているユーザーに訴求できる
インターネットには、自社の商品やサービスを過去に検索したことがあるユーザーに絞って表示させられる広告もあります。
自社サイトで扱っている商品に近い商品を探している、または比較検討中であるユーザーに、商品選定に役立つ情報を提供できます。
興味があるユーザーに対して広告を表示させることで、集客につなげていきましょう。
5. リアルな広告に比べて費用対効果が高い
実店舗で紙媒体の広告を出す場合には、広告を出す対象を限定することは困難です。ネットショップの広告をインターネット上に掲載するなら、表示させるユーザーの属性や興味の有無をある程度絞ることもできます。また、広告をクリックしたらその場で購入につながることもあり、すぐに効果のほどが分かるのも特長です。
表示させるユーザーを絞って広告を表示させられるうえ、リアルタイムに改善もできます。このため、費用対効果は高いです。
集客ができているかはどう確認する?アクセス数を確認するのにおすすめの3つの方法
ネットショップで広告などによる集客数を確認するには、アクセス数を確認してください。アクセス数を確認するにはいくつかの方法がありますが、ここから紹介する代表的な方法はぜひ把握しておきましょう。
1. GoogleアナリティクスとGoogleサーチコンソールを活用する
Googleアナリティクスは、Google社が無料提供するアクセス解析ツールのことです。Google検索結果でのサイト掲載順位を管理・確認できる無料サービス「Googleサーチコンソール」とあわせてよく使われます。
Googleアナリティクスを利用するには解析に必要な情報を登録後、トラッキングコードを自社ネットショップのソースコードに貼り付けることが必要です。
Web関連の知識に自信がなければ、ランサーズに所属している経験豊富なフリーランスへ依頼することも検討してみてください。
2. ASPカートなどのアクセス解析ツールを使う
ネットショップを構築するにあたっては、ASPカートのShopifyなど、ECプラットフォームを利用しているお店も多く存在します。ネットショップを作成するためのプラットフォームには、アクセス解析ツールを最初から搭載しているものも多く、管理画面などから簡単に確認できます。
専用ツールが搭載されているのであれば、ぜひ活用していきましょう。
3. 競合サイトのアクセス数も確認する
自社の集客目標を立てるために参考にしたいのが、競合他社の集客です。下記のような外部ツールを活用することで確認できます。
外部ツール | 外部ツールの特徴 |
SimilarWeb | ・有料/無料あり ・アクセス数や滞在時間を確認できる |
Ahrefs | ・有料 ・ドメイン単位やURL単位で対象サイトのSEO調査ができる |
eMark+ | ・有料/無料あり ・属性や流入元などを確認できる |
料金プランなどによって、内容が異なります。予算や分析したい内容に合わせて、取り入れていきましょう。
ネットショップの集客を上げるために複数の対策を並行して行いましょう
今回の記事ではネットショップの集客についてお話ししました。再度、ポイントをまとめます。
- ネットショップの集客とは、ネットショップへのアクセス数を増やすこと
- 「売上=アクセス数×転換率×客単価」なので、アクセス数を増やすことは売上増につながる
- 集客が伸びない場合には認知不足など何らかの原因がある
- 集客を増やすためには短期・中長期の対策を取るのがおすすめ
- ネットショップの集客には広告が重要な役割を果たす
ネットショップを開設しても集客に悩むお店は多いのが実情です。本記事で紹介した内容を参考に、効率よく集客を行いましょう。
