
2024年2月、丸井グループはランサーズと資本業務提携を締結※1。フリーランスがさらに活躍できる取り組みの一環として、2025年3月には「ランサーズカードVisa」が誕生しました※2。
そのPR動画の制作を担当したのが、フリーランスの動画クリエイター・森田さん。打合せから納品まで、わずか2週間というタイトなスケジュールのなかで、どのようにプロジェクトを進めていったのか?その舞台裏に迫ります。
※1.https://www.lancers.co.jp/news/pr/23043/
※2.https://info.lancers.jp/33782
今回制作した動画を先にご紹介します。
発注者の視点/短納期でのPR動画制作:丸井グループがフリーランスを選んだ理由

不安を抱えながら始まった、はじめてのフリーランス探し
株式会社丸井グループ チーフリーダー 瀬田さん
──Q.ランサーズのクリエイターに動画制作を依頼した経緯を教えてください。
瀬田さん
「ランサーズが主催するランサー・オブ・ザ・イヤー2025 ※3の協賛が決まり、その場で『ランサーズカードVisa』を動画で発表することになりました。発表まで約1〜2カ月。実質的に数週間で動画を制作し、1週間で確認しないと間に合わないスケジュールでした。
当初は他の制作会社にも声をかけていましたが、「スケジュール」と「予算」の面で折り合いがつきませんでした。そんな折に、ランサーズから数名のクリエイターをご紹介いただいた、という経緯になります」。
※3.https://www.lancers.jp/award/
──Q.これまでフリーランスの方と一緒に仕事をしたことはありますか?
名和さん
「まったく縁のないフリーランスの方に仕事を依頼するのは初めてでした。付き合いのある制作会社のクリエイターが独立してフリーランスになった、というケースはあったんですが。そのため、最初は依頼の仕方やクリエイターの選び方も手探りでした」。
──Q.候補に挙げた動画クリエイターさん達の印象はいかがでしたか?
瀬田さん
「10名弱の候補者の方々のポートフォリオを拝見しました。それぞれに得意な作風や領域がある中で、今回の私たちの意図と完全に合致する方を見つけ出す必要がありました。その点で、最適なパートナーと出会えるか、多少の不安はありました」。
豊富なポートフォリオから見えてきた、
動画クリエイターたちの確かなスキル
──Q.今回発注した 森田さん を選んだ決め手を教えてください
瀬田さん
「森田さんのポートフォリオを拝見して感じたのは『伝える力がある動画』だということ。クオリティが高く、プロモーションの意図がしっかり伝わってきました。正直、ポートフォリオと同じレベルのものが本当に仕上がるのか?と心配な気持ちもありましたが、結果的に第一印象を超えるものを納品してくれました」。
名和さん
「短い動画のなかで複雑なことはしたくありませんでした。想定しているターゲットにむけてポイントを絞り、伝えたいことを伝える。それには森田さんが適任だと感じました」。
──Q.クリエイターを選定する上で、特に重視したポイントは何ですか?
瀬田さん
「当時はCM放映も視野に入れていたので、それに近い水準のクオリティを求めていました。一方で、YouTube的なアプローチをする方もいて、それは私たちの意図とは違うかなと感じました」。
クリエイターの視点/動画クリエイター森田氏の短納期対応術
コミュニケーションコストがないように、
日ごろのメッセージから気を配る
MOVING MOTION 森田さん
▼森田さんのプロフィール
https://www.lancers.jp/profile/movingmotion220108
森田さんが手がけているのは、企業向けのサービス紹介動画やプロモーション動画のアニメーション映像の制作。企画からシナリオ構成、絵コンテ、デザイン・アニメーション制作、ナレーションの手配まで一貫した制作体制が特徴の動画クリエイターです。
また映像の大会やコンペで選ばれただけではなく、公的機関のプロモーションの実績があるほど。自ら積極的に働きかけることで、「丁寧なヒアリングをしてもらった」「コミュニケーションコストが低い」「提案力」など…、数々のクライアントから高い評価を得ています。
──Q.今回の案件はどういった経緯でお受けしたのですか?
森田さん
「今回はまず丸井さんからご連絡をいただいて「このスケジュールで動画制作は可能でしょうか。お見積もりをお願いします」というところからスタートしました。見積もりを算出するための情報を伺い、金額のご提示と私のポートフォリオをご確認いただいた結果、ご依頼いただきました」。
──Q.丸井様は制作期間が短いので不安、と仰っていましたがその点はどう考えていましたか?
森田さん
「この仕事に限った話ではなく、どんな仕事でもスケジュール管理は大事だと考えています。特に今回の案件は納期が決まっていたのでスケジュール管理をしっかり行う必要がありました。
私は各作業時間を把握しておくことで適切なスケジュール管理を行なっているため、お話を伺ったときに「これならご提示いただいた期間でもできる」と判断し、すぐにご依頼をお受けしました。
また、丸井様からシナリオとラフコンテの原型を用意していただきましたので、実質的な作業はデザインのブラッシュアップとアニメーション制作、これらで2〜3週間程度ですね」。
──Q.案件を獲得するために、アピールした点はありますか?
森田さん
「今回に限らず、メッセージのやりとりでは『返信を早くする』『読みやすい文章』を心がけています。例えば、漢字が多すぎると読みにくくなります。平仮名とカタカナの比率を調整したり、「」や箇条書きで記載したりと、相手がすぐに理解できるような文体にしています」。
想像を超えたスピード感。発注者側が感じた驚き
株式会社丸井グループ 課長 名和さん(左)、チーフリーダー 瀬田さん(右)
──Q.初回の打合せにむけて、準備したことはありますか?
瀬田さん
「はじめに、私たちが描いているイメージを森田さんに正しく伝える必要があります。初回の打合せまでにシナリオ入りの簡単なサンプル資料を作成し、前もって森田さんに見てもらいました」。
──Q.打合せ時の森田さんの印象はいかがでしたか?
瀬田さん
「誠実な方でしたね。こちらの要望を細部まで聞いてくれました。とても丁寧な対応でむしろ引っ張ってもらった感じです。社内での確認時間も考慮にいれてもらい、先々を見据えて現実的なラインでスケジュールを組んでいただきました」。
──Q.森田さんの対応で印象に残っている点はありますか?
瀬田さん
「特に印象的だったのは、常に予定より前倒しで進行してくださったスピード感です。初回の打合せの4日後にはサンプル動画が届いていました。さらにイメージしていたものより、いいものがあがってきていました」。
名和さん
「社内では『もう初稿が上がってきたのか』と驚きの声が上がったほどです(笑)」。
瀬田さん
「『打合せの数日でもうできてる!』。そんな印象でした」。
──Q.修正のやりとりはいかがでしたか?
瀬田さん
「修正点は文字の色など細かい部分だけでしたが、非常にスムーズでした。ただ言われた箇所を変更するだけではなく、森田さんからも『ここをこうするともっと良くなる』といったアイディアをいただけたことも大変ありがたく感じました」。
クライアントの不安を解消することも、私たちの大切な役割のひとつ
MOVING MOTION 森田さん
──Q.短納期での制作でしたが、初回の打合せまでに用意したことはありますか?
森田さん
「まず参考資料がないかを事前に確認し、ご提供いただきました。そして今回のご依頼は ” 30秒ぴったり ” の動画制作だったためBGMを先に決めることが必要でした。
そのため事前にご提供いただいたラフコンテを元に、3つのBGMで(紙芝居のような)動画コンテを作成し、カット割まで決めたものを初回打ち合わせの前に提出させていただきました。
このことによりBGMはすぐに決めることができ、スムーズに制作をスタートすることができました
また、シナリオの調整も必要でした。初回打合せで『これぐらいの文字数、この尺間で文字を当てはめてください』という具体的な提示ができました。事前に準備をしていたおかげで、その場でポンポンポンと決まり、初回の打合せはかなり濃い時間になったと思います」。
──Q.丸井様は森田さんのやりとり(制作)の早さに驚いていました。その辺は意識していますか?
森田さん
「お伝えする納期は、大体1〜2日余裕を持って設定しています。体調不良など非常事態はどうしてもあり得ます。早く納品できれば相手の期待に応えられるし、予定通りでも問題ないという調整をしています」。
──Q.丸井様との信頼関係を構築するために気を付けた点はありますか?
森田さん
「スケジュールは、制作側がリードするものだと考えています。今回は動画の発表日が決まっていたため、遅らせることができません。ご依頼する立場であれば『本当に間に合うのか』という不安があったと思います。
そのため、スケジュールを綿密に設計しました。単に納品タイミングを伝えるのではなく、『デザイン初稿』や『アニメーション初稿』を提出するタイミング、そして『丸井さんの確認や修正期間』を加味した進行をご提案しました。
もう一つはお互いの認識のズレをなくすこと。ヒアリングシートを活用し、イメージのすり合わせを早めに行いました。そうやってクライアント様が抱える不安を一つひとつ解消することも私たちの役割です」。
二人三脚で生み出した動画の評価とは?
短納期を感じさせないクオリティ。
丸井グループ経営陣から高い評価も
株式会社丸井グループ 課長 名和さん
──Q.これまでお願いしてきた制作会社さんとランサーズを比較していかがでしたか?
名和さん
「動画制作はコンテづくりから始まりラフを見るまで、少なくとも1カ月ほどかかると思っていました。しかし打合せから試写まで4〜5日で上がってきたので、とても驚きました」。
──Q.完成した動画について、どのような感想をお持ちでしたか?
名和さん
「危機管理の面からもチェックしましたが、丸井グループが世に出す動画として、ふさわしいと感じました。経営層に動画を見てもらったときにも『すごくいいね』と高評価だったことを覚えています」。
制作環境が時代とともに急変するなか
技術を駆使して、「今」をつくる
──Q.動画内のナレーションは、AI音声合成の技術を搭載したソフトを活用したと伺いました。どのような感想を持たれましたか?
瀬田さん
「あまりにも自然で驚きました。当社のイメージにも合っていて、とてもよかったです」。
名和さん
「例えば、AIでの画像処理や動画編集でいうと今現在の技術では気になる部分も沢山でてきます。しかし、今回のナレーションについては全く違和感がありませんでした。『技術を駆使して、今をつくる』という姿勢は、とてもいいと感じています。
もともと私は今でこそフィンテックの部門にいますが、以前はクリエイティブの制作に携わっていました。ここ5年10年で技術的にあっという間に変わりました。以前なら数人がかりだったり、高級な機材がないとできなかったことも、いまでは各々で対応できるようになりました。そんな個人の力の高まりを感じています」。
──Q.今回の案件を通して、ネガティブな感想はありますか?
名和さん
「ないです。動画制作はもちろんですが、その他の制作物も『ランサーズに依頼する』という選択肢が増えました」。
──Q. もし従来の制作会社に依頼していたら、どうなっていたと思われますか?
名和さん
「まず、この納期では受けてもらえなかった可能性が高いでしょう。仮に受けられたとしても、担当ディレクター、デザイナー、アニメーターと複数の人間が介在し、コミュニケーションコストも時間も、そして費用も今回以上にかかっていたはずです。森田さんのように、ビジネスの意図を汲んでワンストップで動けるプロフェッショナルに直接依頼できるスピード感とコストメリットは、フリーランスならではの価値だと再認識しました。」
──Q.今回の仕事を通して、よかった点や感想を教えてください
瀬田さん
「限られた時間のなかで、期待していた以上の動画をつくってもらいました」。
名和さん
「直接やりとりができてスムーズな対応をしてくれたこと、そして費用を抑えられたこと。とても満足しています」。
動画はあくまでもツールでしかない。
本当の意味でクライアントに貢献したい
MOVING MOTION 森田さん
──Q.丸井グループ様とのやりとりで印象的だったことはありますか?
森田さん
「返信がめちゃくちゃ早かったです。修正指示も箇条書きでまとめてくれたり、重要な部分を太字にしてくれたり、『何秒の部分』と分かりやすく、意思疎通がかなり取りやすかったです。大きな会社だと上に確認するなど時間がかかるイメージがありました。かなり前倒しで動いていたのですが、そんな心配をする必要はありませんでしたね」。
──Q.クライアントによる返信の早さや丁寧さは、制作物にどういう影響がでるのでしょうか?
森田さん
「先方の返信がスムーズだと、こちらの待つ時間が少なくなりますよね。そのぶん動画と向き合う時間が増えます。ちゃんと見直すことでミスが減ったり、提案も出せるのでクオリティのブラッシュアップができます。その結果、より良いものを作ることができると考えています」。
──Q.今回のナレーションにはAI音声合成技術を搭載したソフトを活用したと伺いました。どのような判断だったのでしょうか?
森田さん
「大前提として、私がまずクライアント様にお勧めするのは、プロのナレーターによる人間の声です。『感情を込めたい』『親近感を演出したい』といった、動画のクオリティを最大限に高めたい場合には、人間の声が持つ表現力に勝るものはありません。
その上で、今回の丸井様のようなケース、つまり『タイトな納期』や『限られた予算』という明確な制約がある場合に、選択肢としてAIナレーションをご提案します。
もちろん、AIにはコストを抑え、制作時間を大幅に短縮できるという大きなメリットがあります。その一方で、どうしても機械的な印象が残る可能性があるというデメリットも存在します。私は、こうしたメリットとデメリットを事前に事細かにご説明し、クライアント様に最終的な判断を委ねるようにしています。」
──Q.動画制作クリエイターとして、これからの目標を教えてください。
森田さん
「動画はあくまでも、お客様の商品やサービスをより分かりやすく伝えるツールだと考えています。クライアント様のことを徹底的に理解し、どのように伝えていくか?お客様と一緒に考えて作り上げていきたいです。
私はクライアント様の売上に貢献できるよう、これまでセールスライティングやデザインを学んできました。これからは広告運用も学び、動画の効果測定ができるようになりたいですね。
『この動画をホームページに載せたことで資料ダウンロード率が上がった』『サービス申し込みが増えた』という計測を行うことで、継続的な関係性を築いていきたいです」。
SNSでは可視化されない。
ランサーズを活用する価値とは?
──Q.フリーランスとクライアントが良い関係を築くコツはありますか?
森田さん
「コミュニケーションが一番大切だと思います。納期までのスケジュールは修正が発生することを前提に動いた方がいいですね。また『クリエイターの実際の作業時間』と『修正や先方の確認時間を含めた制作期間』は一緒ではありません。これらの認識をすり合わせておかないと、お互いに苦しむ状態になってしまいます。そういった認識のずれを減らすために、細やかなコミュニケーションのやり取りは必須です」。
──Q.副業のフリーランスだからできることはありますか?
森田さん
「副業としてランサーズを活用している方は、会社員経験の長い方が多いので、高いコミュニケーション能力を持つ方が多いと思います。チャットやメールでのコミュニケーションがうまい方もいらっしゃいます。
副業だから片手間にやっているのではなく、むしろ会社員だからこそ持っているコミュニケーションスキルはクライアント様にとってもプラスに働くと思っています」。
──Q.動画制作を検討している企業へのアドバイスをお願いします。
森田さん
「フリーランスによって、クオリティに差があるのは事実です。そこで重要になるのが、制作実績を見ること。ランサーズのプロフィールにあるポートフォリオで、『自分が作りたいイメージのもの』があるかどうかを確認してください。
次に制作実績数や評価などを参考にしてください。星の数が5に近い方は信頼できるフリーランスです。このような評価や数値はSNSでは分かりません。ランサーズというプラットフォームにおいて、客観的な評価を依頼前に確認できることは大きなメリットです」。
改めて丸井グループ様と森田様で手がけた動画がこちらです。
「人」で選ぶ、という確信。
短納期、高い要求水準、そして初めてのフリーランスへの依頼という不安。丸井グループが直面した課題は、多くの企業が抱えるものと同じでした。その答えは、森田氏という「個」の力の中にありました。
ポートフォリオの質の高さ。ビジネスの意図を汲み取る提案力。そして、クライアントを不安にさせない徹底したプロジェクトマネジメント。これらは、単なる作業者ではなく、事業の成功というゴールを共有する「ビジネスパートナー」の姿そのものです。
ランサーズは、単なるスキルのマッチングプラットフォームではありません。貴社のプロジェクトを成功に導く「この人だ」という確信と出会う場所です。
