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ウェビナーレポート|生活者の心に届くコミュニケーションを実現するコンセプト開発のプロセス~プロジェクトを成功に導く企画の作り方~

商品・サービスの魅力を最大限に引き出す、人々の心を動かすコンセプト開発4ステップ!

ビジネスの現場では、良い商品やサービスなのに魅力がユーザーに浸透しないという課題を抱える企業が多く存在します。その根本原因は、プロジェクトの核となる「コンセプト」が不在、あるいは曖昧なまま進めていることにあります。

しかし、

・「そもそもコンセプトって、どのように作ればいいのかわからない」

・「関係者間で意見がまとまらず、企画の方向性が定まらない」

・「感覚的に進めてしまい、ディレクションの指示が出しづらい」

といった悩みを抱え、最初の一歩でつまずいている担当者の方は少なくありません。

今回はコンセプト設計・メッセージ開発に精通し、数々のプロジェクトを成功に導いてきたクリエイティブディレクターの飯島 悠貴氏を講師に迎え“コンセプト開発の具体的なプロセス”などについて語っていただきました。

本記事では、ブランディングや新規事業開発に課題を感じている企業担当者に向けて、以下のような“想いが伝わる”コンセプト開発プロセスや実践的なアプローチ方法をご紹介します。

☑️ なぜコンセプトがビジネスの成否をわけるのか、その本質がわかる

☑️ 本質を見つけるコンセプト開発4ステップがわかる

☑️ 実際の成功事例から、フレームワークの実践方法が学べる

☑️ 企画の精度を高め、チームを動かすための具体的なヒントが得られる

企画の方向性に自信が持てず悩んでいる方に、今すぐ役立つ情報が詰まったウェビナーレポートです。ぜひ、貴社のプロジェクト推進にお役立てください!

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登壇者紹介

飯島 悠貴さん/クリエイティブディレクター 合同会社No.6 代表

リクルートで約15年間、住宅や教育など幅広い領域で広告ディレクションや新規サービス立ち上げなどに従事。チームの年間売上を10億から20億に引き上げた実績で全社賞を受賞するなど、現場と経営の両視点からプロジェクトを成功に導く。独立後は幅広い領域で“想いを伝わる形に整える”伴走型の支援を展開。ランサーズでも「認定ランサー」として活躍中。

そもそも「コンセプト」とは何か?

まず、本日のゴールについてお伝えします。

コンセプトが不在だと、次のような状況に陥りがちです。

・方向性に自信が持てない

・メッセージが散らかる

・施策が断片的になる

・ディレクションの指示が出しづらい

そこで今回は「コンセプトとは何か」を理解したうえで、皆様がご自身でビジネスをブラッシュアップできて、自信をもって業務に取り組めるようになることをゴールとして目指します。

コンセプトとは“哲学・価値観・主義主張”である

最初に、コンセプトとは“ある対象(商品・サービス・組織など)が持つ哲学、価値観、主義主張”と考えています。言い換えれば、その対象が持つ「正義」や「人格」のようなものです。

あなたにはどんな主張があるのか?といった、エッジの立った部分こそが大切になります。

主張が魅力的であればあるほど人々の心に届き、やがてはブランドへと成長します。そのためコンセプトは、ビジネスの根幹をなす非常に重要な概念です。

スターバックスの“サードプレイス”の事例

コンセプトの好例として必ず挙げられるのが、“スターバックスのサードプレイス”です。

スターバックスは「我々が勝負するのはコーヒーやフードではなく、心地よい空間なのだ」という優れた主張を打ち出しました。

先日、スターバックスの世界的な業績低迷が報じられましたが、一因としてアナリストからサードプレイスという考え方が浸透しなくなってきているという点が指摘されています。

一方で、日本の業績は非常に好調です。創業者のハワード・シュルツ氏が「日本はサードプレイスを実践できているから参考にすべきだ」と発言したほどです。このことからも、コンセプトがいかにビジネスの成否を左右するかがわかります。

なぜ今、コンセプトが重要なのか?

コンセプトの影響範囲は組織のビジョンやミッション、商品開発、個人の人生のテーマまで多岐にわたります。そこで今回は“商品ができた後、それを伝えるためのコンセプト”に絞ってお話しします。

ただし、ここで紹介するフレームワークは他の領域にも応用可能です。あなたの立場やプロジェクトに置き換えながら読み進めてみてください。

心を動かすコンセプト開発のための4ステップ

それでは、コンセプト開発の4ステップを結論からお伝えします。

・商品の魅力点の発見(矢の発見)

・カスタマー具体化(的を作る)

・文脈との接続(弓にセット)

・コンセプト言語化(射抜く)

イメージとしては、まず「矢(魅力)」を発見し、次に「的(カスタマー)」を作ります。「的」に向けて「弓」に「矢を」しっかりとセットし(文脈との接続)、力強く射抜く(言語化)という流れです。

ステップ1:矢の発見|商品の魅力点の発見

昨今あらゆる商品やサービスはコモディティ化が進み、明確な魅力を見出すのが難しくなっています。

重要なスタンス:情報を待つのではなく、自ら探り当てる

しかし、魅力は待っていても見つかりません。自ら汗をかき主体的に探り当てる”というスタンスが何よりも重要です。

発想のヒント:仮説と行動

主体的に魅力を探り当てるためには、まず「ここが魅力ではないか」「ここを探れば何かあるのではないか」という仮説を持つのが第一歩です。頭の中だけで考えるのではなく、実際に行動して仮説を証明し、矢を発見していくことも大切になります。

ステップ2:的を作る|カスタマーの具体化

魅力的な「矢」が見つかったら、次にその矢が刺さる「的」を考えます。

重要なスタンス:魅力点(矢)を糸口に、手触り感のある具体化を進める

重要なのは、何もない状態からターゲットを考えるのではなく、ステップ1で発見した「矢(魅力点)」を糸口にすることです。

「この魅力を良いと思ってくれるのはどのような人だろう?」という順序で考えましょう。

発想のヒント:リアルとデータ

手触り感のある具体化は大切ですが、コストをかけてデータ収集やインタビューを行うだけが方法とは限りません。

むしろ、パートナーや子ども、知人といった身近なリアルな人をイメージするのが効果的です。

ここで一つ、大好きな事例を紹介します。これは「ときここち」という、卵かけご飯専用の調理器具です。

トネ製作所の社長が、妻から「卵の白身がうまく溶けない」という悩みを聞きました。この悩みをきっかけに、妻ただ一人をターゲットとして開発されたのが「ときここち」です。

マーケティングはそれだけでしたが、商品は大ヒットしました。この事例は、隣にいる人のリアルな感覚がいかに重要かを示す好例といえます。

ステップ3:弓にセット|文脈との接続

カスタマー像を可視化するだけで満足せず、“その人になりきるのも重要なポイント”です。

重要なスタンス:具体化したカスタマーになりきる

カスタマーになりきって考えると、色々なことが見えてきます。これが、発見した矢を弓にセットする、というステップです。

発想のヒント:ルールとムード

ヒントは、その人が生きる世界のルールや、社会全体のムードを考えることです。

例えば、「その人が働く業界にはどんなルールがあり、何に不満を感じているか」「世の中にはどんなムードが漂っていて、何が好きで、何に生きづらさを感じているか」などが挙げられます。

先ほどの「ときここち」でいえば、世の中にはTKG(卵かけご飯)が流行しているというムードもありました。社会文脈と商品を接続させることで、卵かけご飯専用というユニークなコミュニケーションが生まれたのかもしれません。

ステップ4:射抜く|コンセプトの言語化

最後のステップは、これまでのステップで得た要素を統合し、コンセプトとして言語化することです。

重要なスタンス:カスタマーに届く哲学主張になるよう、粘り強く磨き込む

冒頭で述べた「哲学・主張・正義」を、なりきったカスタマーに届く言葉へと、粘り強く磨き込んでいくスタンスが不可欠です。書いては消し、書いては消しを繰り返す地道な作業であり、魔法のような近道はありません。

発想のヒント:仮想敵

言語化のヒントは、“仮想敵を考えること”です。カスタマーが嫌だと感じている業界のルールや、世の中の好ましくないムードを仮想敵として設定します。それを払拭するような言語化をすると、独自のポジションが明確になります。

ときここち」であれば、仮想敵は「うまく混ざらない箸」かもしれません。あるいは「万能調理器具」という風潮に対して「万能なくせに、卵一つ満足に混ぜられないのか」というカウンターかもしれません。

仮想敵を設定すると、コンセプトはよりユニークな立ち位置を取りやすくなります。

事例で学ぶ!コンセプト開発4ステップの実践プロセス

ここからは先ほど解説した4ステップのフレームワークを、2つの事例をもとに解説します。

事例①北大阪急行電鉄|新駅エリア活性化

2024年3月、大阪に新駅「箕面船場阪大前駅」が開業しました。このエリアは図書館やホールなどの文化施設や大学のキャンパスがあり、アカデミックな雰囲気が特徴です。

このタイミングで多くの人に訪れてもらい、一過性でなく、継続的に街の魅力を高める仕掛けが求められました。

結論:「国境のない1日」のコンセプトでイベントを開催

このプロジェクトで提案したコンセプトは「国境のない1日」です。ステップごとの実践プロセスを見ていきましょう。

ステップ1:矢の発見(商品の魅力点の発見)

実際に現地を訪れ、大学が街の中心であると感じました。そこで大学に連携できないか相談したところ、あるセクションを紹介されました。

そこでは「日本トップクラスの留学生の受け入れ数を誇っている」「留学生たちは地域住民とのつながりを求めている」という貴重な情報を得ます。ここに魅力の「矢」があるかもしれない、と仮説を立てました。

ステップ2:的を作る(カスタマー具体化)

国際性という矢を糸口に、周囲の親たちが「子どもに国際性や多様性に触れ価値観を磨いてほしい」と願っているのをイメージしました。そこで、教育感度の高いファミリー層を「的」として設定しています。

ステップ3:弓にセット(文脈との接続)

さらにターゲットになりきって考えると、当時はテレビをつければ戦争の話題ばかりという社会的なムードもありました。親として子どもへの影響を心配しているのではないか、と考えました。

ステップ4:射抜く(コンセプト言語化)

このような不安なムードを吹き飛ばすような、

“国境のない、平和な1日をこの町で提供できないか”

“様々な文化と気兼ねなく触れ合える場は、今の世の中にこそ価値があるのではないか”

と考え「国境のない1日」というコンセプトに至っています。

このコンセプトのもと、「ノーボーダーフェス」と題したイベントを開催しました。留学生たちと協力し、世界の音楽やファッション、言語を体験できる場を提供しています。

結果、目標の1,000人を大きく超える方々にご来場いただき、新聞にも取り上げられました。さらに、この取り組みは大学の体験型プログラムとなり、毎年継続される地域の文化へと発展しています。

事例②南青山|超高額新築マンションプロジェクト

次にご紹介するのが、大手が開発する都心の超高額マンションのプロジェクトです。人気は間違いないものの、高級物件のコモディティ化が進む中で明確な差別化が難しい状況でした。カスタマーの購入決定を強く後押しするコミュニケーションが求められたプロジェクトです。

結論:付加価値よりも本質価値「住み心地を徹底的に思いいたるマンション」のコンセプトでサービス開発

そこで「付加価値より本質価値」という考え方を打ち出し「住み心地を徹底的に思いいたるマンション」のコンセプトでサービスを開発しました。

この案件の難しさは、最初のステップである魅力の「矢」がなかなか見つからなかった点にあります。当初は安易に一流ホテルのようなコンシェルジュサービスを導入しようと考えました。

決定的とはいえないまま調査データを読み漁り、「人と人の心の通い合い・ホスピタリティ」といったキーワードを発見します。

さらに、富裕層になりきってヒアリングを重ねました。流行りのホテルライクなサービスは消えていく一方、生活に根ざした本質的なサービスは長く求められる、という本質が見えてきました。

そこで、“次々とサービスを付け加える「付加価値」ではなく、住まいの「本質価値」に立ち返ろう”という考えに至ります。

コンセプトから逆算する形で優れた管理会社と提携し、人間味あふれるサービスを提供するという新たな「矢」を自ら作り出したのです。最終的に「ヒューマンシェルジュ」と名付けた独自のサービスを開発しました。

「ヒューマンシェルジュ」は記念日のサプライズ協力や、お子様の一時的な見守りなど、マニュアル的ではない温かみのあるサービスです。このプロジェクトの販売は好調でサービスも高い評価を受け、メディアにも取り上げられました。

事例から学ぶコンセプト開発3つのポイント

これらの経験から得た学びは以下の3つです。

ディレクション側の我を出しすぎない

立てたコンセプトが商品やサービス、提供する会社や担当者らしいものであるか常に疑うことが重要です。

本当に“世の中のためになるか”を考える

哲学や主張は、仮想敵を設定することで鋭くなります。しかし、独りよがりになってはいけません。社会に広がり、受け入れられるものであるかを常に自問すべきです。

世の中の感覚と自分の“感覚のズレ”を正す

カスタマーになりきるためには世の中の感覚を正確に捉える必要があります。日経MJのデータ欄などを参考に、自分の感覚と世の中がズレていないか日々チューニングしています。

コンセプトを浸透させる施策設計とチーム作り

最後に、コンセプトを浸透させる施策設計とチーム作りについてお話しします。

施策検討

“コンセプト × カスタマージャーニーで考える”とアイデアを出しやすいです。認知、興味、検討といった各段階でこのコンセプトにどうすれば触れてもらえるかを考えます。そのうえで、コストと効果を見極めてクリティカルなポイントに絞りましょう。

チーム作り

コンセプトがあると、スキルや経験といった条件だけでなく、このコンセプトに共感してくれるかという視点でチームメンバーを集められます。

振り返り

コンセプトが明確だと、KPI設計にも工夫が生まれます。例えば「ヒューマンシェルジュ」の事例なら来場客へのサービス案内率80%といった具体的なKPIを設定可能です。

プロが答える!コンセプト開発の“リアルな疑問” Q&A

ここからは、いただいた質問をもとに、コンセプト開発の疑問をQ&A形式で解説します。

Q1:ターゲットとして設定したペルソナと、実際の商品・サービスがうまくマッチしていないと感じます。どのように見直しや修正を進めるべきでしょうか?

A:マッチしていないのは、どこかでつながりが切れているということです。まずは商品・サービスの魅力点(矢)が何なのかを確実に可視化します。そのうえで「その魅力を良いと思ってくれる人は誰か(的)」という順で論理的に考えるのが大切です。

この順番で考えると「このターゲットなら魅力点を評価してくれそうだ」「このターゲットは設定した魅力点に興味がないかもしれない」と検証でき、ミスマッチを修正しやすくなります。

Q2:競合と差別化できるユニークな訴求をするためには、どうすれば良いですか?

A:ポイントは2つあると考えています。一つ目は最初の矢の発見です。その魅力がAIに聞いても出てくるようなありきたりなものなのか、それとも自分の足で汗をかいて見つけ出した独自のものなのか。出発点の深さが、ユニークさにつながります。

もう一つは、Step4の言語化の段階です。仮想敵を設定し、明確なポジションを取るように意識します。ある事象に対してA、B、Cという立ち位置があるとします。そこで「私はCの立場を取る。なぜなら仮想敵がそこにいるからだ」と考えると訴求がユニークになります。

Q3:関係者(営業・開発・現場スタッフなど)と商品やサービスの強みの認識がバラバラです。全員の意見をまとめる方法はありますか?

A:これは本当によくある話で、そうならないためにコンセプトが重要だという話につながります。バラバラな意見をまとめるには、調整役であるコーディネーターを置くのが有効です。

営業、開発、現場スタッフなど、それぞれの立場で見える景色は異なります。そのため、コンセプトやテーマがズレないように各工程を調整し、アウトプットを整える専門職が必要です。

調整役は社内で役割を作る場合もあれば、外部のクリエイティブディレクターなどに依頼することもあります。

Q4:世の中の感覚と自分の感覚のズレを修正する方法を教えてください。

A:私は日経MJなどのデータを参考に、感覚をチューニングしています。データを見ながら、「自分の感覚はズレていないか」と主体的に考えることが大切です。

また、さまざまな人と関わるのも重要です。苦手だと感じる人や普段行かない場所、知らない人が多いコミュニティに足を運んでみます。

「そういう感覚もあるのか」と気づかされることが多く、自分を疑いながら多様な視点を取り入れる良い訓練になります。

Q5:事例で紹介されていた新聞記事は、自らのPR活動の結果ですか?それともメディアからの取材依頼だったのでしょうか?

A:PRタイムズなどは利用しませんでした。地域のイベント情報を紹介するSNSがあり、それを見たメディアの方が取材してくださったのだと思います。また、大学関係者のつながりから、ラジオなどでも紹介していただきました。

うまく社会の文脈に乗れればメディアの方から注目していただけるのだと、私自身も勉強になった事例です。

Q6:チーム内で、指摘しにくい相手(プライドが高い、指摘に弱いなど)に修正をお願いしたいとき、どのように伝えていますか?

A:重要なのは、具体的に伝えることです。違うと思う理由を、コンセプトに関連させて丁寧に説明します。論理的に伝えれば、相手も納得しやすくなります。「この部分は良いと思ったのですが」といった前置きをするなどの配慮は必要ですが、理由を明確に伝えるのが大切です。

まとめ|「伝わらない」を解決するには“本質を見つけるコンセプト開発” から

改めて、“コンセプトとはある対象が持つ哲学・価値観・主義主張”を指します。コンセプト開発は、「矢の発見・的を作る・弓にセット・射抜く」の4ステップで進めます。

「企画の方向性に自信が持てない」「メッセージが散らかってしまう」と感じたときこそ、コンセプト開発の原点に立ち返ってみてください。

もし、自社だけでのコンセプト開発に難しさを感じたり、客観的な視点が必要だと感じたりした際は、フリーランスの力を借りるのも有効な選択肢です。このウェビナーレポートが、皆様のビジネスが前進するきっかけになれば幸いです。

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