
海外展開の「何から始める?」を完全解決!プロが明かす、市場開拓から顧客獲得までのステップ。
いま、多くのBtoB企業が新たな市場を求めて“海外展開”に注目しています。国内市場の縮小を見据え、“グローバル市場での販路拡大は重要な経営課題”です。
しかし、
・海外市場のニーズがわからず、何から手をつければいいかわからない
・社内に対応できる人材がおらず、計画が思うように進まない
・コストやリスクを考えると、最初の一歩が踏み出せない
といった悩みを抱えている企業担当者は少なくありません。
今回は海外展開マーケティングのプロであるヴァンゲンド 亜季さん(株式会社Southern Links代表)を講師に迎え、BtoB企業が海外展開を成功させるための具体的なステップと、フリーランス活用の秘訣について語っていただきました。
本記事では海外展開に課題を感じている企業に向けて、以下のような再現性の高い成功プロセスや実践的なアプローチをご紹介します。
☑️ BtoB企業の海外展開における具体的な3ステップ(ロードマップ)がわかる
☑️ 各ステップで陥りがちな落とし穴とその回避法がわかる
☑️ コストを抑え、スピーディーに進めるためのフリーランス活用術がわかる
☑️ 海外展開に活用できる補助金情報など、実践的なノウハウが得られる
<所要読書時間:15分>
海外展開を成功させたい皆さんに、いますぐ役立つ情報が詰まったウェビナーレポートです。ぜひ、貴社のグローバル戦略にお役立てください!

目次
登壇者紹介
ヴァンゲンド 亜季 さん/ 株式会社Southern Links代表取締役
日英バイリンガルマーケターとして、日本企業の海外展開マーケティングと多言語コンテンツ制作を支援。海外在住10年の経験と言語の専門性を活かし、言語とマーケティングを組み合わせた独自のサービスを提供。ランサーズでは「認定ランサー」としても活躍中。
なぜ今「海外展開」なのか?
海外展開を検討している方は、課題の解決や目標を達成するといった目的をお持ちの方が多いのではないでしょうか。今回のウェビナーでは、“海外展開を目指すためのロードマップ”を3つのステップで解説します。
グローバル戦略で企業価値をさらに飛躍させる

ご存じのとおり、国内市場は少子高齢化や需要の伸び悩みに直面しています。そのため、海外に活路を求める企業が増加中です。ニッチな市場で高い国内シェアを誇る企業が、将来の人口減少を見据えて海外への販路拡大を目指すケースなどがよくある例です。
ほかにも円安対策や企業価値を向上させたいといった理由で、海外展開にチャレンジするケースもあります。
BtoB企業の海外展開ロードマップの全体像

海外展開の戦略は、主に上の図のような3つのステップで構成されます。
ステップ1:情報収集・調査
ステップ2:戦略策定
ステップ3:プロモーション
“上記の順番で進めること“が、海外展開において大変重要です。
そこで今回は、各ステップで陥りがちな落とし穴や日本と海外の違いについて触れていきます。
効果的なフリーランスの活用法や、海外展開に活用できる補助金情報についてもお伝えしますのでぜひお役立てください。
ステップ1:情報収集・調査|“早く、小さく”める
海外展開を目指す際、最初のステップである“情報収集とリサーチ“が成功の鍵を握ります。なぜなら、海外では日本とは全く異なる市場、規制、文化に直面するためです。
公的サービスの活用がポイント
とはいえ、情報収集やリサーチに最初から多額の資金を投じるのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
まずは、“無料または安価で利用できる公的サービスの活用“をおすすめします。
海外展開の情報収集やリサーチには、以下の公的サービスが役立ちます。
“JETRO(日本貿易振興機構)”
国別の最新レポートや展示会の情報が充実しています。
時期によっては、ビジネスマッチングや支援サポートの募集を行っている場合もあります。
“在外公館(大使館・領事館)、商工会議所”
現地でのネットワーク構築や手続きなどの相談ができます。
ただし、大使館・領事館のサポート体制は国によって異なるため要注意です。
商工会議所では、海外販路開拓に関する無料セミナーなどが開催されています。
“地方自治体、自治体系の海外駐在員事務所”
中小企業に特化した支援やビジネスマッチングを行っている場合が多いです。
これらの公的サービスは、“市場全体の大きな流れ(マクロ情報)“を掴むのに役立ちます。
自社の商材に合わせた情報収集法
提供する商品やサービスによっても、効果的な情報収集の方法は異なります。
“ハードウェア系(機械、部品など)”

ハードウェア系の業界は、産業別の展示会や業界団体の活用が有効です。オフラインでの接点が重視される業界のため、実際に製品を見てスペックや価格帯をチェックしたりしましょう。自社の優位性や、業界の方向性が把握しやすくなります。
“ソフトウェア・ITサービス系商材”

ソフトウェア・ITサービス系商材の場合は、オンラインでの情報収集がメインです。海外の業界メディアや、アナリストレポートなどが参考になります。海外在住のフリーランスに、同様のサービスが現地にあるかリサーチしてもらうのも効果的です。
“コンサル・専門サービス(無形商材)”

このカテゴリの海外展開は、現地の規制や文化の違いが大きなハードルになり得ます。現地の弁護士や会計士などの専門家と連携して情報を集めましょう。海外法人設立を検討している場合は、必要な免許や税制についても押さえておく必要があります。
フリーランス活用で“リアルな情報”をスピーディーに入手
この段階で重要なのは、“時間をかけた大規模な調査ではなく「早く、小さく」情報収集を進めること“です。スピード感が、次のステップの成功率を高めます。
現地のフリーランスに依頼すれば、リアルな情報を効率的に得られます。株式会社Southern Linksのような、海外展開の支援企業に問い合わせるのもよいでしょう。
ステップ2:戦略策定|自社の価値を海外に“伝える”
情報が集まったら、次は戦略を立てるステップです。
海外展開の精度を高める4つの項目

戦略策定の段階では、これから説明する4つの項目を明確に言語化していきます。
“ターゲットの明確化:誰に届けるのか”
ステップ1の情報をもとに「どこで、誰に売るのか」を明確にしましょう。国によって規制や競合の状況は大きく異なります。また、業種や企業規模などを絞らなければ、効果的なプロモーションができません。
“提供価値の検証:何が求められているのか”
価格や品質、アフターサポートといった自社の強みが、現地で本当に求められているかを検証します。顧客目線で、競合と比較して自社が独自に優れている点を明らかにするのが重要です。
“USPの言語化:なぜ選ばれるのか”
日本国内では当然だと思っていた強みが、現地でどのように評価されるかは全くの別問題です。そのため海外展開では、現地の言葉やビジネス文化に合わせ、伝わる形に落とし込むことが不可欠です。第三者の客観的な視点を取り入れ、自社のUSPをクリアにするのをおすすめします。
“商品サービスのローカライズ:文化や言語に合わせる”
日本の商品やサービスをそのまま売るだけでは不十分です。海外展開の際は、現地の文化や言語に合わせた最適化(ローカライズ)を行いましょう。
事例で学ぶローカライズ
ここで、ローカライズの面白い事例をご紹介します。
事例1:カルピス
英語圏で「カウピス(牛の尿)」という音に聞こえるため「カルピコ」という商品名で販売されています。
事例2:コマツ
機器を販売する際に、各国の排ガス規制や安全基準に合わせて製品の仕様を変更しています。
事例3:スターバックス
国ごとにウェブサイトやアプリのデザイン、色使いなどを現地の文化に合わせて調整しています。
英語資料の制作案件
最後に、英語の資料作成を支援した事例をご紹介します。

まず、上のスライドをご覧ください。皆さんもビジネスの現場で、同じような資料を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
日本のビジネス資料は文字が多く、専門用語や独特の表現が多用されがちです。このようなスライドをそのまま翻訳しただけでは、海外のビジネスシーンでは伝わりにくいことがあります。

次の資料は、ターゲットに合わせて株式会社Southern Linksがローカライズしたスライドです。ビジュアルや具体的な数値を多用し、相手の文化に合わせて伝わりやすい資料になっています。
このように、“単に言語を翻訳するだけでなく、あらゆる側面でローカライズを検討する“必要があります。
文化背景に合わせたコミュニケーションも重要
国によるコミュニケーションスタイルの違いも理解しましょう。日本は「空気を読む」ことを重視する「ハイコンテクスト文化」です。
一方でアメリカやドイツなど「ローコンテクスト文化」では、明確な言語表現を重視します。暗黙の了解が成り立ちやすい日本と異なり、曖昧な表現は誤解を招きます。
“海外展開ではターゲットの文化背景に合わせ、情報の伝え方を柔軟に調整すること“が不可欠です。
海外市場は“オンライン発信”が肝となる

ハーバード・ビジネス・レビュー誌に“BtoBの購買プロセスの57%は、営業に会う前に終わっている”というデータがあります。
これは、顧客がウェブサイトやSNSなどで、事前に情報収集を済ませていることを意味します。
つまり、海外市場では、あなたの会社の“オンライン情報が戦略上きわめて重要“になるのです。
“現地のリアル”に詳しいフリーランスを戦略策定に活かす
戦略策定の段階では、“コンサルタントやマーケターなど、現地事情や市場に詳しいフリーランスを巻き込む“のが有効です。
ニーズの把握や競合との差別化を検討する際に、フリーランス人材が大きな力になります。ネイティブレベルの言語サポートで、ローカライズの精度を高めてもらうのにも活用できます。
ランサーズには海外在住のフリーランスも多いため、現地の顧客に直接ヒアリングしてもらうことも可能です。
ステップ3:プロモーション|“穴の開いたバケツ”にしないための準備
戦略が決まったら、いよいよプロモーションの段階になります。
BtoBの購買プロセスに合わせた施策設計


BtoBの購買プロセスは“認知→興味→検討→購入(成約)”という流れが一般的です。各段階で指標を設定すれば、施策の効果を測定しやすくなります。
先ほどの「57%」のデータからもわかるように、“オンラインでの情報発信やリード獲得”が重要です。オンラインでの情報発信やリード獲得の最適な方法は、業界や商材によって異なります。
なぜ多くの企業がプロモーションで失敗するのか
海外展開で重要なのは、“ステップ1(情報収集)とステップ2(戦略策定)を飛ばして、いきなりプロモーションから始めないこと”です。
この2つのステップが不十分なままプロモーションに注力しても、ターゲットには響きません。
まるで“「穴の開いたバケツに水を注ぐ」”ような結果になってしまうでしょう。必ず3つのステップを順番に進めてください。
フリーランスの活用で“市場の変化”に素早く対応
海外の情報収集や戦略策定は、慣れないと時間がかかりがちです。しかし、変化の早い現代では、時間をかけすぎると状況が変わってしまいます。
そのため、“フリーランスや支援会社”をうまく活用し、素早くPDCAを回すのが重要です。
海外展開に補助金を活用してリスクを最小化
海外展開を考えていても、費用の面で一歩踏み出せないとお悩みではありませんか?補助金を活用すれば、金銭的な負担を軽減できる場合があります。
海外展開に活用できる補助金
海外展開に活用できる主な補助金は、以下になります。
全国:小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金(グローバル枠)、事業再構築補助金など
その他:各自治体が実施する助成金・補助金、日本政策金融公庫(海外展開・事業再編資金)
“自治体の補助金は、全国規模のものより競争率が低く狙い目”です。補助金の情報収集には、経済産業省やミラサポplus、地域の商工会などのサイトが役立ちます。
補助金のメリットとデメリットを理解した活用を
補助金の活用にはメリットとデメリットが存在します。補助金を海外展開に活用する、主なメリットとデメリットをご紹介します。
メリット:リスクを抑えた挑戦が可能に
補助金は費用面以外にも、“事業計画書を作成する過程で自社の課題や戦略がクリアになる”メリットもあります。具体的なメリットは以下になります。
☑️ 費用負担を軽減し、リスクを最小化しながら海外挑戦できる
☑️ 国や自治体からの紹介やバックアップが得やすく、信頼性向上につながる
☑️ 事業計画の策定と内部改善に繋がる
補助金をうまく活用すれば、初期費用を大幅に抑えられる可能性があります。タイミングに応じて、検討する価値は十分にあるでしょう。
デメリット:手続きや支給タイミングに注意
一方で補助金の申請は煩雑であり、思うように採択されないといったデメリットもあります。具体的なデメリットは以下のとおりです。
☑️ 申請書類が煩雑な場合が多く、手続きに時間がかかる
☑️ 競争率が高い
☑️ 用途が限定されている場合がある
☑️ 制度変更が頻繁にあり、常に最新情報の確認が必要
☑️ 事後の精算払いがほとんど
補助金の活用を前提で進めると、採択されず何もできなかったということになりかねません。
また、“補助金・助成金は、当面の資金繰り手段としては不向き”という点にも注意しましょう。
海外展開を成功させる4つのポイント

失敗しない海外展開のためには、4つのポイントを押さえるのが大切です。
“ポイント1:「情報収集→戦略策定→プロモーション」の順番で進める”
繰り返しになりますが、この順番が成功の鉄則です。ステップ1と2を飛ばすと、ステップ3で失敗する可能性が非常に高くなります。
“ポイント 2:フリーランスなど多様な人材の専門知識を活用する”
必要なタイミングで、フリーランスの専門知識を活用するのをおすすめします。自社で人材を雇用するコストやリスクを抑えながら、成功確率を高められます。
“ポイント3:小さく始めて、素早く検証し、成功パターンを拡大する”
海外展開は正解のない道のりです。だからこそ、小さな試行錯誤を繰り返すのが大切になります。大きな計画を練るよりも小さく試しながら状況を判断し、素早く改善するのがポイントです。
“ポイント4:海外展開を「やり切る」コミットメントを持つ”
「うまくいけばいいな」というスタンスでは不十分です。会社として「やり切る」と決め、体制を整えて臨みましょう。補助金や融資の活用も検討すれば、よりスムーズに進められます。
本日の内容を踏まえ、自社が現在ステップ1〜3のどの段階にいるかを考えてみてください。どの段階にいるのかがわかれば、次に何をすべきかが明確になります。
海外展開の“リアルな疑問”にプロが回答!Q&Aで学ぶ実践のコツ
ここからは、いただいた質問をもとに、海外展開を実践するコツをQ&A形式で解説します。
Q1:海外展開のテストマーケティングは、どのように進めればよいですか?
A:テストマーケティングは、本格投資の前に市場の反応をみる重要なプロセスです。ステップ2「戦略策定」の段階で、小規模に実施してみるのがよいでしょう。
例えば、ハードウェアや食品などの有形商材なら、現地の展示会への出展が有効な方法です。最近はクラウドファンディングを活用して商品を先行販売し、需要や反応を確かめるケースが増えています。
テストマーケティングは、少ない投資で市場の反応を測れるのが大きなメリットです。ぜひ何らかの形で実施されるのをおすすめします。
Q2:腸活食品(ジャムやマヨネーズなど)を海外展開したいのですが、アドバイスはありますか?
A:大きくわけて2つの方法があります。一つはECサイトなどで個人消費者に直接販売する(ToC)、もう一つは現地の卸売業者や商社に販売する(ToB)です。どちらの方法がよいかは、社内のリソースによります。食品の場合、もっとも注意すべきなのは現地の規制です。日本では問題ない原料や添加物が、ターゲット国では輸入禁止というケースがあります。まずターゲット国を定め、その国の規制を調べてみてください。ほかにも「腸活」といったコンセプトが現地でどう受け入れられるかなど、文化的なローカライズも必要になります。
Q3:海外展開の解像度を高めるために、まず何をしたらいいでしょうか?
A:市場や顧客、文化、規制の違いを深く理解するためには、ステップ1の「情報収集」がもっとも重要です。公的機関の情報や現地フリーランスなどを活用し、できるだけ多くの一次情報に触れるのをおすすめします。情報を集める中で、当初の想定とは違う事実がみえてくるケースも多々あります。まずはスピード感を持って情報収集を進めるのが、解像度を高めるのに効果的です。
まとめ|海外展開の成功は“取り組むステップ”と“外部人材の力”で決まる
海外展開は多くの企業が興味を持つ一方、現実には壁が高くて一歩を踏み出せないケースも少なくありません。本日ご紹介したステップで着実に進め、必要に応じて支援企業やフリーランスの専門知識を活用すれば、海外展開は決して不可能な挑戦ではありません。
日本の素晴らしい商品やサービスが、海外へ広まっていくことを心から応援しております。このウェビナーが、皆様の次の一歩を踏み出すヒントになれば幸いです。
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