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2021年のEC6大トレンドとは?市場動向や今後の展望も解説

ECサイトの構築や改善時に、重要となるEC市場の最新トレンド。EC市場は流れが早いからこそ、最新のトレンドを掴み戦略に活かしたいポイントです。

この記事では、EC市場の現状や2021年の最新トレンド、そして今後の動向をまとめてご紹介します。最後まで読めば取り入れたい最新のECトレンドが把握でき、他社と差別化を図れるはずです。ECの最新事情を知りたい人は、ぜひチェックしてみてください。

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EC業界の市場規模

人とチャート

まずは、経済産業省が公表している「令和2年度産業経済研究委託事業報告書」をもとに、現在のEC市場について詳しく見ていきましょう。

物販分野のBtoCのEC市場規模は、2019年~2020年の1年間で21.71%もの伸長率がありました。背景には新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う、巣ごもり需要があったと考えられます。

期間を広げて2013年~2020年で見ても、下図のように物販分野のBtoC EC市場規模は年々拡大を続けている状態です。

経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」

参考:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」

デジタル系BtoCのEC市場規模も同様に、2019年~2020年で14.9%の伸長率がありました。こちらも下図のように2013年~2020年まで年々市場規模が拡大しています。

経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」

参考:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」

一方、2019年~2020年の1年間で、伸長率が低下したのはサービス系BtoCのEC市場規模です。

サービス系のBtoCには旅行業界やチケット販売など新型コロナウイルスの影響を受けた業種が含まれており、1年間で36.05%の大幅な低下が見られました。

経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」

参考:経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」

最後に、BtoBのEC市場の全体規模を見てみると、2020年は334兆9,106億円の取引がありEC化率は年々増加しています。

このようにEC市場規模は「BtoC」「BtoB」を問わず、年々拡大しており今後も更なる拡大が期待できます。EC市場はビジネスチャンスに満ちた活発なマーケットだと言えるでしょう。

2021年EC業界の6大トレンド

カートとお金

ここからは、見逃せない2021年の6大ECトレンドをまとめてご紹介します。EC市場の現状が把握できるキーワードばかりなので、ぜひチェックしてみてください。

越境ECで世界中に販路を広げる

越境ECとは、インターネットを活用し国内から海外に向けて商品やサービスを販売するECを指します。

新型コロナウイルス拡大により自由な海外渡航が難しくなった昨今、海外の商品をECサイトで手軽に購入できる需要が高まっています。海外在住の日本の商品やサービスに魅力を感じている顧客に対しビジネス拡大や顧客獲得が見込めます。

越境ECに取り組みやすくなった背景には、Shopify(ショッピファイ)などクラウド型のマルチチャネルコマースのプラットフォームの登場があります。

Shopifyは多様な言語・通貨に対応しているため、多言語知識や専門的なECサイトを持っていなくても、すぐに越境ECに参入が可能です。このような手軽に利用できるプラットフォームの登場も、越境ECでの販路拡大を後押ししています。

経済産業省が公表している「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、2020年の越境ECの市場規模は中国消費者による日本事業者からの購入額は1兆9,499億円、アメリカ消費者による日本事業者から購入額は9,727億円でした。

前年と比較すると、中国消費者による購入額は17.8%、アメリカ消費者による購入額は7.7%増加しています。このことから、越境ECが市場として成長していることが伺えます。

とは言え、越境ECはまだまだ発展途上であり、言語や決済方法の壁や法整備などの課題を抱えています。だからこそ伸びしろがあり、今後の展開に目が離せないECトレンドです。

DtoCで新たな顧客体験価値を提供

DtoCまたはD2C(Direct to Consumer)とは、メーカーやブランドが商品やサービスの企画や製造、販売を一貫して行う仕組みです。仲介業者や小売店、販売代理店を経由することなく、自社のECサイトを使用して直接消費者に商品を販売します。

DtoCがトレンドとなった背景には、顧客体験価値(CX:Customer Experience)の変化があります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実店舗での商品購入が難しくなり、デリバリーやECサイトを用いて商品を購入する顧客が増えました。

ECサイトにアクセスしての商品購入が一般化する中で「ECサイトの中から自分の価値観に合う商品を探す」「ECサイトでも商品の魅力を把握して購入したい」など、顧客が新たな体験価値を求めるようになったのです。

DtoCはメーカーやブランドが直営販売するからこそ顧客との距離が近く、ECサイトであっても顧客の要望や意見を取り入れながら満足度の高い商品、サービス提供ができます。その結果、ファンやリピーターを作りやすく、顧客と長期的に良好な関係を築くことができます。

また、仲介会社や代理店を経由しないことで、競合他社に差をつける価格設定や自由な商品開発ができるでしょう。

このようにDtoCはアイデアや活用方法次第では、大きく飛躍する可能性を秘めており、今後のEC市場を担うビジネスモデルとして注目されています。

サブスクリプションサービスで消費者の心理に寄り添う

サブスクリプションサービスとは、定額の料金を支払うことで一定期間サービスや商品の提供が受けられるビジネスモデルです。定額で音楽が聞き放題の「Spotify」や定額で映画やドラマなどの映像作品見放題の「Netflix」などが当てはまります。

矢野経済研究所が実施した「サブスクリプションサービス市場に関する調査」によると、2020年度の国内市場規模は8,759億6,000万円であることが分かりました。2019年度と比較すると28.3%も増加しており、市場が拡大しているのが一目瞭然です。

その背景には、ライフスタイルの価値観の変化があります。以前は物を購入し、所有する物質的な豊かさが求められていましたが、昨今ではできるだけ物を持たないシンプルな暮らしや必要な物を共有する暮らしが支持を集めています。

サブスクリプションサービスは、まさに今の消費者心理を捉えています。必要なときにだけ必要なものを利用する、使いたいときに最新のサービスを利用するなど、一人ひとりのニーズに寄り添うことで需要が高まっているのです。

サブスクリプションサービスが注目され始めた当初は、音楽や映像などデジタル系サービスが中心でした。ですが今では、ファッションや小物、飲食や自動車など、多様な業種にまで広がりを見せており、今後もその勢いが衰えることはないでしょう。

決済方法の多様化

従来のECサイトは決済方法の種類が少なく、顧客の支払時の選択肢を限定してしまうことがネックになっていました。銀行振込や代金引換など顧客に手間や負担のかかる決済方法しか用意できない場合は、顧客が決済画面まで進み購入を辞めてしまう「カゴ落ち」が発生するケースも少なくありませんでした。

しかし、昨今はキャッシュレス化やECサイト上のセキュリティ強化により、顧客にとって安心・便利で利便性の高い決済方法が利用できるようになったのです。その結果、ECサイトで購入をするハードルが低くなり、EC市場の拡大へとつながっています。

実際にShopifyでは下記のような決済方法が利用でき、顧客が好みの決済方法を自由に選択できます。

  • クレジットカード
  • Apple Pay
  • Google Pay
  • PayPal
  • キャリア決済
  • コンビニ払い

この他にも、Shopify以外のECサイトによっては銀行振込や代金引換、電子マネーなどの決済方法を利用することも可能です。

ECサイトで商品やサービスを購入するプロセスのハードルが高いと、利用できる顧客が限られてしまいます。

オムニチャネルの普及で複数チャネルを併用

近年は実店舗のみ、ECサイトのみとチャネル(顧客との接点)を限定せず、複数のチャネルを組み合わせて販売促進するオムニチャネルがトレンドです。

オムニチャネルでは下記のようなチャネルを併用し、顧客と複数の接点を持つようにしています。

  • 実店舗
  • ECサイト
  • アプリ
  • SNS
  • ポップアップショップ

例えばアパレルショップの場合には、実際に商品に触れて質感やサイズを確認したい顧客は実店舗に、店舗に足を運ぶ時間や手間を省きたい顧客はECサイトへと誘導します。オムニチャネルを導入することで、ひとつのチャネルではカバーしきれなかった顧客を囲い込むことが可能となり、販売促進が見込めるのです。

また、顧客のライフスタイルが多様化し、時間や場所に縛られない商品やサービスの提供が求められるようになったことも、オムニチャネルが普及した背景のひとつです。

オムニチャネルは導入しやすいものの、顧客が複数のチャネルを把握し、自由に活用できる購入導線を作ることが課題となっています。

SNSを有効活用したプロモーション

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)とは、登録者同士で情報発信や交流ができるコニュニティーサービスの総称です。LINEやTwitter、Facebookなどが当てはまり、どのSNSも多くの人が利用しています。

総務省が公表している「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全世代でLINEの利用率が90%を上回っていることが分かりました。

今や情報交換や発信の場としてSNSが無視できない存在です。そのため、SNSを用いたプロモーションが活発化しています。

SNSを用いたプロモーションには、下記のようなメリットがあります。

  • 拡散力がある
  • リアルタイムで情報発信できる
  • 国内だけでなく海外にも情報発信できる
  • 情報発信にかかるコストが安い
  • 目的に誘導する導線が作れる

例えば、インスタグラムやTwitterは情報の拡散力があるので、自社の商品やサービスを広める効果が期待できます。また、SNSを有効活用すればECサイトに誘導する導線を作れるので、集客効果も見込めるでしょう。

このように、利用者の多いSNSを活用することで戦略的なアプローチをしていくのもECトレンドです。

知っておきたいEC業界の今後の展望とは

街と地球儀

最後に、EC市場の今後の動向や予測についてご紹介します。拡大が見込まれるEC市場にはどのような動向や課題があるのか把握できるので、ぜひ参考にしてみてください。

物流の強化

EC市場はインターネットを介して商品を販売するために、顧客の手元に商品を届ける物流が必要不可欠です。顧客が商品を購入して手元に届くまでには、在庫の管理や梱包、配送の手配とさまざまな工程があります。

EC市場が拡大すると物流量が増えるので、一定量以上の配送ができない、配送に時間を要するなどの問題が懸念されています。顧客の手元に商品が届くまでに時間を要すると顧客離脱につながるため、どのようにEC市場全体の物流改善をしていくのかが課題となっています。

配送ルートの最適化や配送までの工程フローの見直しなど、テクノロジーとの融合で新たなEC市場の物流の形を模索している最中です。

EC市場が活発化するにつれて、物流業界の生産性の向上や技術改革が求められていることは把握しておくといいでしょう。

AIの活用

今後のEC市場を予測するうえで、欠かせないのがAIの活用です。AIとは人工知能のことで、ECサイトでは分析や学習、判断に使用されます。

例えば、ECサイトで活用できるAI自体の機能としては下記のようなものがあります。

  • 簡単な質問に対する回答を顧客に提示する
  • 購入を迷っている人にリコメンド(商品推奨)する

ECサイトとAIは相性がよく、戦略的に活用すれば人件費や対応時間を減らしながらも購入率やリピート率を高めることができるでしょう。EC市場でのAI活用はまだ始まったばかりなので、今後の動向に目が離せません。

2025年の壁の解消

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく中で、古くなった基幹システムがトラブルを起こすのが2025年だと言われています。これが2025年の壁です。

具体的な懸念されるのは、セキュリティ問題やソフトウェアの破損などが挙げられています。2025年問題を引き起こすのは、導入から長い期間を経てカスタマイズを繰り返しているレガシーシステムだと言われています。レガシーシステムを使用している場合は、2025年を迎えるまでにシステムを変更する必要があります。

EC市場のトレンドを掴み販促や集客の場を増やしましょう

EC市場は時代の流れや顧客のライフスタイルの変化にマッチし、順調に成長を続けてきました。6大トレンドを見て分かるように、EC市場を取り巻く環境は整いつつあり、顧客が手軽に商品・サービスを購入できるようになってきています。

物流の強化やAIの活用など今後の課題もありますが、年々市場が拡大しており今後もますます目が離せません。EC市場に参入することで新規開拓や海外進出も叶うので、ぜひEC市場への参入を検討してみてください。

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