海外に販路拡大するためには、国内外の越境ECに対応しているサイトに出店する方法があります。国内ではYahoo!ショッピングやAmazon、海外だとAmazonの各国法人や天猫国際(テンマオグローバル)などが代表的です。国によって越境ECに強いサイトは異なりますので、どう対応すべきか迷う人も多いでしょう。
本記事では、日本・アメリカ・中国を中心に、国内外の越境ECに対応しているサイトをご紹介します。ぜひ参考にしてください。

目次
越境ECで販路拡大するための5つの方法とは?
海外旅行客のインバウンド需要で、海外に住んでいる人に日本製品は多く購入されていました。しかし、2020年頃、世界的な渡航自粛の影響もあり、実店舗ではなく越境ECでの販売が伸びています。
越境ECを通じて販路を拡大したい事業者が選ぶべき方法は、大きく分けて下記の5種類です。
- 自社ECサイトを越境ECに対応させる
- 海外対応している日本国内のECモールサイトへ出店
- 海外ECモールに出店
- 保税区を活用した越境EC
- 代行販売型越境EC
それぞれの特徴について見ていきましょう。
1. 自社ECサイトを越境ECに対応させる
自社で運営しているECサイトを越境EC対応にすることで、多言語・複数通貨での買い物に対応できます。今まで社でECサイトを構築すると、数百万円ほどの費用が発生し導入にコストも手間もかかっていました。
しかしASPカートなど、費用を抑えて利用できるシステムが登場し、手軽に自社ECサイトを越境ECに対応できるようになっています。
ただし国によっては、自社ECサイトでの売り上げが伸びにくい場合もあります。販売したい国に合わせることが必要です。
2. 海外対応している日本国内のECモールサイトへ出店
日本国内のECモールの中には、海外への販売に対応しているサイトもあります。Amazon、Yahoo!ショッピングなども越境ECに対応していて、海外への販売が可能です。
商品説明の翻訳機能をもつECモールもあり、海外の言語に詳しくない企業でも出店が難しくありません。
3. 海外ECモールに出店
海外にも日本と同じようなECモールがあります。海外企業の出店が可能な海外ECモールであれば、日本からも出店可能です。
自社ECサイトのようにサイトを最初から構築する必要はありません。しかし競合他社がいる点や手数料がかかってしまう点などは理解しておきましょう。
4. 保税区を活用した越境EC
保税区とは、各国の政府が行っている規制緩和の地区のことを指します。
中国政府が実験区にしている地区は上海や杭州などです。輸送コストを抑えるためにコンテナ船で商品をまとめ、日本から中国に輸送します。その後中国にある倉庫で商品を保管し、売れたら中国の倉庫から商品を発送しますので、時間がかかりません。また、送付先や問い合わせ先も中国になり、ユーザーへの安心感を与えられる点も魅力です。
物流コストや時間を抑えられることから、海外ECモールへの出店と組み合わせて活用する企業は増えています。
5. 代行販売型越境EC
海外への代行販売を行う企業に商品を買い取ってもらい、代行業者を経由して間接的に越境ECで販売するのが、代行販売型越境ECです。
自社サイトを越境ECサイトにしたり海外のモールへ出店したりするのに比べて、手間やコストがかかりません。しかし、代行業者は手数料・配送料などを上乗せして顧客に販売しますので、商品の価格が上がります。顧客情報は代行業者が手に入れますので、自社のマーケティングには役立てにくいです。
アメリカの越境ECサイト・ECモール2選
アメリカから越境ECを利用して日本製品を利用する人は年々増えています。アメリカには、日本の企業でも出店できるECモールがいくつかあり、代表的なのは下記のサイトです。
- Amazon.com
- eBay
モールごとの特徴を見ていきましょう。
1. 「Amazon.com」
「Amazon.com」はワシントン州シアトルに本拠地があるECモールです。アメリカだけでなく、アメリカ大陸・ヨーロッパ・アジア太平洋・中東エリアの世界37か国で利用されています。
2020年、アメリカ国内のEC市場では、Amazon.comは約4割のシェアがあり、最も利用者が多いサービスです。登録料も月額数千円と、そう高額ではありません。
たくさんの人の目に触れることが期待できるサービスを望む企業におすすめです。
2. 「eBay」
eBayもアメリカでの利用者が多いECモールで、法人・個人商店ともに出店可能です。越境ECにも対応していて、無料で始められるプランもありますが、販売手数料はやや高額に設定されています。
どの程度の売り上げが期待できるのか検討できず、様子見で出店したい企業にとってメリットが大きいです。
中国の越境ECサイト・ECモール3選
日本からの越境ECは、アメリカだけでなく中国からも多いです。中国は自社ECを通じてよりECモールでの販売が多いため、中国向けにはECモールでの販売は欠かせません。代表的なECモールは下記の通りです。
- 天猫(テンマオ)国際
- 京東商城(ジンドンショウジョウ)
- 拼多多(ピンドゥオドゥオ)
サイトごとの特徴を見ていきましょう。
1. 「天猫(テンマオ)国際」
アリババグループの「天猫(T-mall、テンマオ)」は、中国最大のECモールとしてよく知られています。中国の国内法人向けECサイトが「天猫」で、海外法人向けのECサイトは「天猫国際(Tmall Global)」です。同じアリババグループのECモールには、CtoCの「淘宝網(タオバオワン)」もあります。
ターゲットは高所得者層で、本物の日本製品に対する需要が高いです。日本からよく購入されているのは食品が最も多く、衣類や家電もよく購入されています。
2. 「京東商城(ジンドンショウジョウ)」
「京東商城(JD.com)」は、京東集団が運営している、BtoCサイトとしては中国で2番目に大きい直販型越境ECです(2020年時点)。海外企業向けのBtoCオンラインショッピングサイト「京東国際(JD Worldwide)」は日本企業の誘致に力を入れています。化粧品メーカーや生活雑貨など、日本の大手メーカーでも出店している企業があるECモールです。
日本企業が出店や出品する際のサポートもあり、出店しやすい環境が整っています。
3. 「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」
「拼多多」は、低価格を売りにして成長を続けている中国のECモールです。2020年末には中国EC最大手と言われるアリババグループのユーザー数を初めて上回りました。日本のクーポンサイトのような、共同購入で安く手に入れられる仕組みです。
2019年に越境ECの「拼多多国際」が登場し、出店する日本企業も増えています。
アメリカ・中国以外の代表的な越境ECサイト・ECモールは?
アメリカや中国以外の国にも、日本企業が出店できるECモールはあります。日本企業がよく出店している代表的なECモールは下記の通りです。
- 韓国「Gmarket」
- シンガポール「Lazada」
- タイ「Lazada Thailand」
- 台湾「PChome商店街」
- インド「Amazon.india」
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 韓国「Gmarket」
「Gmarket」は韓国最大級の規模を誇る、オンラインオークション・ECモールです。もともとはGmarket社が運営していましたが、2009年にeBayの子会社となり、eBay Korea社が運営しています。
基本的にはモール型ECですが、オークション形式での購入も可能です。化粧品などの購入だけでなくWi-Fiレンタルなど、幅広い商品を扱っています。
知名度が高く規模が大きいECサイトで越境ECにも対応していますが、審査が厳しいのがネックです。対応可能言語は韓国語、英語、中国語のみで、日本語には対応していませんので、外国語での対応が求められます。
2. シンガポール「Lazada」
「Lazada」はシンガポールに本拠地を置く、ECモールです。もともとドイツ系のRocket Internet社が設立しましたが、2016年に中国のアリババが買収しました。シンガポールだけでなく、東南アジアの主要国でサービスを展開しています。
物流サービスなど越境EC出店者向けのサポートが充実していて、海外への発送もスムーズです。
3. タイ「Lazada Thailand」
「Lazada Thailand」はタイのAmazonと言われることもある、知名度の高い越境ECサイトです。コスメや生活雑貨、家電、ファッション、不動産など幅広いアイテムを扱っています。
法規制の確認や市場調査、出店手続き、顧客対応やオンラインマーケティングなどサポート体制も充実している越境ECサイト。越境ECに不慣れでも、参入しやすいのが魅力です。
4. 台湾「PChome商店街」
「PChome」は、日本の隣・台湾最大のECサイトで、下記のようなECサイトを展開しています。
- BtoCの「PChome購物中心」
- 自社倉庫から24時間以内に配送するBtoC型ECサイト「PChome24h購物」
- モール型のBtoBtoC型ECサイト「PChome商店街」
「PChome商店街」は発送も行ってくれますので、売れた後の手間がかかりません。ただし現地法人や現地の銀行アカウントなどが必要です。日本製品は食品がよく売れています。
5. インド「Amazon.india」
アメリカのAmazon.comはインドにも「Amazon.india」として越境ECを展開しています。インドは世界2位の人口を誇りますので、無視できない市場規模です。スマートフォンの普及によってインターネットも普及が広がり、越境EC利用者の増加も見込まれています。
個人でも出店できますが、英語サイトで販売するのは慣れていないとトラブルが起こることもありますので、代行業者の利用も検討してみましょう。
越境ECに対応している国内サイトとは?
日本の国内ECモールにも、越境ECに対応しているサイトはいくつかあります。ここでは、日本を代表する下記の2つのECモールを例に、越境対応の状況を見ていきましょう。
- Amazon
- Yahoo!ショッピング
- 楽天市場(2020年に越境ECサービス終了)
1. 「Amazon」
日本の「Amazon」(以下、アマゾンジャパン)に出店している場合も、越境ECへの出品が可能です。出品するには出品する地域によって、いくつかの要件があります。
- 出品する地域へ登録できるアカウントである
- 大口出品者である
- 対象地域で禁止商品でない
- 出品アカウントに問題がない
販売できる国を増やせばその分マーケットが広がりますが、その分手数料もかかります。アメリカなどたくさんの国で販売したい企業におすすめです。
2. 「Yahoo!ショッピング」
Yahoo!ショッピングは、ソフトバンクグループが運営するECモールで、越境ECにも対応しています。海外への直接発送ができるかどうかはお店によって異なり、すべての店から発送できるわけではありません。
お店から直接海外発送できなくても、Buyeeなど提携している代理購入サイトを通じてであれば、海外へ発送できます。
3. 「楽天市場」(2020年に越境ECサービス終了)
「楽天市場」は越境ECサービスとして「Rakuten Global Market」を展開していましたが、2020年6月に終了しました。
しかし、越境ECサービスが全く終わっていないわけではなく、海外の大手ECモールへ楽天市場として出店中です。例えば台湾の大手「PChome」や中国の大手「京東国際」「コアラ」などに店舗があります。
中国・台湾への越境ECでの販売に力を入れたいなら、楽天市場も検討してみてください。
自社サイトを越境EC対応させる会社は増えている
ECモールへの出店は集客力が高い分、外国語での会員登録が大変な場合や、手数料が意外と高額になる場合もあり、続けていくのが大変です。そのようなデメリットを避けるために、自社ECサイトを越境EC対応にする企業も増えています。
自社の思い通りのデザインでECサイトを構築できますし、ECモールへ出店するほどの手数料はかかりません。ただしECモールに比べると集客力は劣りますので、宣伝のコストや手間はかかってしまうことが多いです。
SNSと組み合わせるなど、さまざまな方法で工夫していきましょう。
越境EC対応サイトの作成も可能!ECサイト作成に強いフリーランス
自社で越境ECモールへ登録を行う自信がない場合や、自社で登録する時間がない状況では、製作会社などへの依頼を検討することもあります。しかし、専門の会社だと、想像以上にコストや時間がかかることも多く、発注しようか決めかねてしまうものです。
そこで、越境ECに関する経験が豊富なフリーランスが在籍している、ランサーズへの依頼を検討してみましょう。オンラインで手続きでき、最短即日でお仕事を依頼できます。また、大規模な会社のように中間に複数の会社を挟むことがないので、コストパフォーマンスが高いです。
自社サイトを越境ECに対応させて売り上げ拡大を目指しましょう
今回の記事では越境ECに対応しているECモールについてお話ししました。再度、ポイントをまとめます。
- 海外のECモールにはアメリカのAmazon.comや中国の天猫などがある
- アメリカや中国以外にも各国にECモールはある
- 海外ECモールの登録には現地での法人化が必要な場合もある
- 日本国内のECモールでも海外への販売が可能なサイトもある
- 自社サイトを越境EC対応させる会社も増えている
- ECモールなどの外部サイトに登録すると自社サイトを越境対応させるより費用はかさむが宣伝力はある
各社の状況によって、自社サイトを越境ECに対応させるほうがいいのか、ECモールに登録すればいいのかは異なります。どちらを選ぶにせよ外国語での説明など、さまざまな作業が必要です。
ランサーズ経由でフリーランスに依頼するなど他の人の力も借りながら、越境ECに対応させて売り上げを伸ばしていきましょう。
