Shopify(ショッピファイ)のネットショップとあわせて、実店舗でも商品を販売していると、管理の煩雑さに悩まれる方は少なくありません。Shopifyの提供するShopify POS(ショッピファイ ポス)を活用すれば、販売管理や顧客管理の効率化を実現できます。
本記事では、Shopify POSの概要から主なメリットと注意点、利用開始・初期設定の方法、2種類のプランの相違点などについて解説します。

目次
Shopify POSとは?
Shopifyが提供する販売管理システム「Shopify POS」の概要を説明します。
オンラインとオフラインの販売をひとつのアプリで管理
Shopify POSは、Shopifyが提供している独自のPOSアプリケーションです。Shopifyストアと連携することで、Shopifyで運営しているネットショップの販売に加えて、実店舗やポップアップストアといったオフラインでの販売も、Shopify POSで一元管理できます。
スマートフォン・タブレットをPOSシステム端末として利用
Shopify POSは、iOSとAndroidの両デバイスに対応しているので、利用しているスマートフォンやタブレットをPOSシステムの端末としてそのまま利用可能です。そのため、新たにPOSシステム用の端末を導入する必要がありません。また、端末さえあれば、どこにいても最新の販売状況をチェックできます。
比較的小規模なECサイトの販売管理や期間限定のショップ営業では、Shopify POSはおすすめのアプリです。
Shopify POSを利用する3つのメリット
Shopify POSアプリを導入する3つのメリットについて説明します。
メリット1. オンラインとオフラインを問わずに情報を一括管理できる
Shopifyでは、ECサイトの販売情報や在庫に関する情報、顧客情報などのデータが自動的に集計できます。Shopify POSを導入すれば、ネットショップのデータと実店舗のデータをひとつの画面に表示してオンラインとオフラインの販売データを連携させた一括管理が可能です。
ネットショップと実店舗で、販売情報や在庫情報などを別々に管理する必要がなく、販売管理業務が効率化できます。データの集計・表示に加えて分析もできるため、販売戦略を立案する際にも役立ちます。
また、ネットショップと実店舗、それぞれの顧客情報を連携させると、オンラインとオフラインいずれかひとつに限定せず顧客に対してさまざまなアプローチができます。
メリット2. 顧客が商品を購入する機会を増やす
Shopify POSは、ショップを運用する側だけでなく、ネットショップや実店舗を利用する顧客にとっても大きなメリットがあります。実店舗で商品を購入した顧客に、ネットショップの情報をメールなどで紹介すれば、実店舗に限らず、都合の良い時間にどこにいてもネットショップで商品を販売できるようになります。
ショップの販売機会が拡大すると同時に、顧客にとっても場所や時間を問わずに商品を購入できるというメリットが生まれます。決済方法もカスタマイズでき、現金やクレジットカード、コード支払いといった複数の決済方法を受け付けることができます。
また、機能を向上させた有料版のShopify POS Proでは、オンラインで購入した商品が実店舗で受け取り・返品・交換できる機能も備えられています。
メリット3. アプリをインストールするだけですぐに利用できる
Shopify POSは、Shopifyのいずれのプランでも、アプリをインストールするだけで導入できます。インストール後の初期設定も簡単で、画面の指示に従って設定項目を選択・入力するだけです。追加契約なども必要ありません。
Shopify POSを利用する際に知っておきたい2つの注意点
Shopify POSアプリを導入する際に、事前に知っておきたい2つの注意点について説明します。
注意点1. クレジットカード決済をするには外部端末が必要
Shopify POSには、直接連携しているクレジットカードリーダーがないため、クレジット決済を受け付ける際には、外部決済端末を使う必要があります。
Shopify POSアプリでクレジットカード決済を受け付ける手順は、下記の通りです。
- Shopify POSで商品を選択する
- 合計価格を確認して、外部端末上でクレジットカード決済を行う
- Shopify POSに戻り、決済方法のカスタム決済タイプで決済を受け付ける
- 決済データがオンラインの管理画面と同期する
Shopify POSの決済設定にあるカスタム決済タイプにクレジットカードを追加すると、外部端末での決済とShopify POSのデータが連携できます。
同様に、クレジットカード以外のキャッシュレス決済もカスタム決済タイプに追加することで利用できます。現金決済とギフトカード決済については、デフォルト設定で利用可能です。
注意点2. Shopify POSの利用開始前にShopifyへの登録が必要
Shopify POSアプリを利用するには、Shopifyに登録しておく必要があります。Shopifyに登録していない場合は、まずShopifyのアカウントを作成しなければ、Shopify POSが利用できません。
実店舗の販売をメインに考えてShopify POSの利用を検討する際には、この利用条件を踏まえておくべきです。
Shopify POSの2種類のプラン
Shopify POSには、Shopify利用者が追加費用なしで導入できる「Shopify POS Lite」と、より高性能な有料版の「Shopify POS Pro」の2つがあります。両者の相違点を見てみましょう。
1. 導入無料の「Shopify POS Lite」
Shopify POS Liteのアプリは、Shopifyのいずれかの月額プランに登録していれば、追加料金不要で利用開始できます。既存のサイトにShopifyの機能を追加するShopify Liteプランの利用者も、他のShopifyプランと同様にShopify POS Liteを追加費用なしで導入できます。
2. 機能を拡充した有料版の「Shopify POS Pro」
Shopify POS LiteはShopify自体の月額料金を払っていれば無料で導入できるアプリですが、さらに機能を充実させた有料版のShopify POS Proも提供されています。Shopify POS Proの機能や料金を、無料版のShopify POSと比較したのが、下の表です。
Shopify POS Lite | Shopify POS PRO | |
料金 | ・追加費用なし | ・Shopifyプランの月額料金+1ロケーションあたり月額89ドル |
利用できる機能 | ・Shopify POSアプリ ・注文と商品管理 ・お客様プロフィール | ・Shopify POSアプリ ・注文と商品管理 ・お客様プロフィール ・無制限のストアスタッフ ・登録数は無制限 ・スマートな在庫管理 ・オムニチャネル型販売機能 ・スタッフの役割と権限 ・実店舗の分析データ |
ちなみに、Shopify Plusのプランには、初期状態でShopify POS Proが含まれています。
Shopify POSの導入・初期設定方法
Shopify POSの利用開始時に必要な手順は下記の6ステップです。
- Shopify POSアプリを使用する端末にダウンロード
- ストアに商品を追加
- 税金の設定
- 決済方法の設定
- POSハードウェアの設定
- 6テスト注文を実施
それぞれの手順の詳細を確認してみましょう。
1. Shopify POSアプリを使用する端末にダウンロード
Shopifyの管理画面で初期設定を完了させた後に、使用する端末にShopify POSをダウンロードします。iOSとAndroidのそれぞれのデバイスに対応しており、それぞれのダウンロードサービスであるApp Store、Google Playのサイトからダウンロードできます。
Shopify POSアプリが対応しているデバイス別の要件は、以下の通りです。
デバイス | 要件 |
iPhone | iOS 12.2以降を搭載したiPhone 5s以降 |
iPad Air | iOS 12.2以降を搭載した第2世代以降 |
iPad | iOS 12.2以降を搭載した第5世代以降 |
iPad mini | iOS 12.2以降を搭載した第2世代以降 |
iPad Pro | iOS 12.2以降を搭載したiPad Proのすべてのモデル |
Android | バージョン7.0以上を搭載したAndroidデバイス |
インストール完了後にShopify POSアプリの各画面を確認し、画面上の説明にしたがってアプリの基本設定を行います。
2. ストアに商品を追加
Shopify POSで販売する商品を追加設定します。追加した商品をカテゴリーに分類する場合は、Shopifyの管理画面での操作と同様に、コレクションを作成します。
3. 税金の設定
Shopify POSで販売を行うオンラインストアの所在地と配送先の国を設定し、税金の設定を行います。実店舗で販売する場合は、店舗のロケーションにもとづいて初期設定のPOS税率が計算されます。また、デジタル商品を販売する際には、販売するアイテムに適用される税の設定が必要です。
4. 決済方法の設定
Shopify POSで使用する決済方法を選択し、有効にします。購入者は設定された決済方法のいずれかで支払いを行います。
5. POSハードウェアの設定
POSチェックアウト用のハードウェアとしてカードリーダーなどを使用する際は、そのハードウェアをShopify POSがサポートしていることを確認する必要があります。
Shopify POSでサポートされているカードリーダーは、下記の6つです。
- タップ&チップリーダー
- チップ&スワイプリーダー
- スワイプカードリーダー
- タップ、チップ、スワイプカードリーダー
- WisePad 3端末
- Chipper 2X BTカードリーダー
上記のカードリーダーは、Shopify POSと統合されています。Shopify POSで顧客からの支払いを受けた後に、取引詳細がShopifyに記録され、管理画面に表示されます。
6. テスト注文を実施
設定が完了したらテスト注文を実施し、Shopify POSでの販売、管理画面での販売情報の表示に問題がないことを確認します。
Shopify POSを活用したECサイト運営の課題は、Shopifyの専門家に相談
Shopify POSアプリの導入や利用方法など、Shopifyに関する疑問や悩みが生じた際は、豊富なShopifyの構築・運用経験と専門スキルを持つ制作会社やフリーランスへの相談を検討してみましょう。
Shopifyに関する相談に対応するプロの条件
Shopifyに精通した制作会社やフリーランスのWebエンジニア、クリエイターは、ネットショップの現状に即した有益なサポートを実施してくれます。
Shopifyに関する知識やノウハウ、構築・運用の実績を持つShopify公認のプロが、Shopifyエキスパートです。ネットショップ構築や運用などを支援するShopifyパートナーシップ登録者のうち、一定以上の実績があり、厳しい審査を通過した事業者だけが、Shopifyエキスパートに認定されます。
ランサーズではShopifyに精通した多くのフリーランスが活動中
ランサーズではShopifyジャパンが主催するShopifyの専門技術とノウハウを学べるプログラム「Shopify Partner Boot Camp: Japan」を修了したフリーランスが100名以上在籍中です。
経験豊富なフリーランスにネットショップの運用改善などについて相談・依頼するメリットは、主に下記の3つです。
- 課題に合ったプロに相談できる
インターネット上で公開されている実績や経歴を比較した上で、自社の課題解消に適したプロを選ぶことができます。 - 判断や対応が迅速
費用やスケジューリングを全てフリーランス自身が判断するため、担当者が上司などに確認して対応することの多い制作会社と比べ、迅速な対応が期待できます。 - 高いコストパフォーマンス
直接フリーランスに発注するため中間マージンが発生せず、コストパフォーマンスが高くなります。
Shopify POSの活用法など、ネットショップの運用に関する課題は、ぜひランサーズのフリーランスにご相談ください。
Shopify POSの機能を活用してECサイトの運用改善を実現
この記事では下記の5つのポイントからShopify POSについて説明しました。
- スマートフォンやタブレットをPOSシステム端末として利用して販売管理を実施できる
- ECサイトと実店舗の販売を一元管理できるなどのメリットがある反面、クレジットカード決済を受け付けるには外部決済端末の利用が必要といった注意点もある
- Shopifyの月額料金だけで利用できるShopify POS Liteと、より高機能な有料版Shopify POS Proの2種類がある
- Shopify POSの導入・初期設定は画面の指示に従うだけで簡単にできる
- Shopify POSに関する疑問や課題はShopifyのプロに相談
販売や在庫、顧客などの情報を効率よく管理することは、ネットショップの運用を円滑にする必須条件のひとつです。
ここで紹介したShopify POSのサービス概要や機能などの情報を参考にして、ECサイトの運用改善を成功させてください。ショップの管理業務などに関する課題が生じた際は、Shopifyのサイト構築・運用のプロとして活動するランサーズのフリーランスへの相談を検討しましょう。
