ネットショップの開設を検討する際に有力な候補となるのが、ECプラットフォームの代表格であるShopify(ショッピファイ)を利用する方法です。Shopifyの使い方のポイントを十分に理解した上で、サイト構築・運用の準備を進めることは、ECを成功させる条件のひとつになります。
この記事では、Shopifyの利用開始前に踏まえておきたい使い方の重要点について、経験のない方でもわかりやすく解説します。

目次
Shopifyの特徴と主なサービス
Shopifyは2021年11月時点で世界175か国、170万以上のネットショップが使用中の世界シェアNo.1のECプラットフォームです。導入や運用が簡単なことや機能の豊富さ、コストの安さなどが高く評価されています。日本向けのサービス開始は2017年で、日本でも利用者が急増しています。
Shopifyを利用する3つのメリット
Shopifyを利用することで期待できる主なメリットは下記の3つです。
- 高いカスタマイズ性
- 導入コストの安さ
- 越境ECを成功させるソリューション
それぞれのメリットの詳細を確認してみましょう。
メリット1. 高いカスタマイズ性
Shopifyでは、カスタマイズによってストアに合ったデザインや機能を持たせることが可能です。配送や集客などさまざまな面で、最適なストア運用が実施できます。
メリット2. 導入コストの安さ
Shopifyは初期費用不要です。他のECプラットフォームでは、プランごとに異なる月額料金が設定も世界的に普及していることも多く安価に導入が可能です。
14日間の無料体験があり、実際の機能や操作性を試した上で導入を検討できます。登録できる商品数や容量が無制限のため、ECサイトの規模を拡大する際に追加費用が生じることもありません。
メリット3. 越境ECを成功させるソリューション
Shopifyは2021年9月、越境EC向けの新たなソリューション、Shopify Marketsをリリースしました。Shopify Marketsを利用すれば、越境ECに必要な機能が一元管理できます。
Shopify Marketsの目的は、通貨の変換や言語の翻訳、地域に適した支払い方法の提供といった越境ECの課題解決をより簡単にすることです。ShopifyでECサイトを運営する事業者は、追加費用なしでShopify Marketsが導入できます。
Shopifyを利用する2つのデメリット
Shopifyを使う際に注意すべき2つのデメリットは下記の2つです。
- チャットや電話でのサポートが日本語未対応
- 問い合わせへの回答やサポート対応に時間がかかるケースがある
デメリット1. チャットや電話でのサポートが日本語未対応
電話とチャットでのサポートが日本語に対応していない点が、日本でShopifyを利用する際のデメリットです。
メールでの対応は日本語で実施されており、管理画面などの機能や操作説明などの大半は日本語で表示されます。ただし、外部の企業が提供するアプリやデザインテンプレートには説明が英語だけのものが少なくありません。Shopify公式サイトにも、英語で表示されるページがあります。
Shopifyを利用する上で英語に不安がある場合は、Shopifyに関する知識と英語のスキルとを兼ね備えたエキスパートに相談することをおすすめします。
デメリット2. 問い合わせへの回答やサポート対応に時間がかかるケースがある
カスタマーサポートからの質問や相談への対応に時間がかかるケースがあることも、Shopifyを利用するデメリットです。
カスタマーサポートでは24時間365日体制で、日本語のメールでの問い合わせに対応しています。日本でのサービス開始以来、日本語での問い合わせメールに対するサポート体制は改善されていますが、利用者が不十分と感じるケースも残されています。
トラブルや疑問を迅速に解消するために、すぐに相談できるパートナーを選定しておくことも検討すべきです。
Shopifyが提供する5種類のプラン
Shopifyの利用プランには3つの主要プランに加え、既存のWebサイトに購入ボタンを追加するLite、最上位プランのPlusで合計5プランが提供されています。
まず、各プランの概要と月額料金、手数料の比較図を見てみましょう。
Lite | ベーシック | スタンダード | プレミアム | Plus | |
概要 | ECサイトを構築せずに、既存のWebサイトなどにShopifyの機能を追加する | 個人・小規模事業者向けプラン | 中規模事業者、売上が増加してきたショップ向けプラン | 大規模なネットビジネスを行う事業者向けプラン | 大企業や取引量の多いストア向けの最上位プラン |
月額料金 (1ドル=113.6円で計算) | 9ドル (約1,022円) | 29ドル (約3,294円) | 79ドル (約8,974円) | 299ドル (約33,966円) | 2,000ドル (約227,200円) |
取引手数料 ※Shopify Payment利用では無料 | 2% | 2% | 1% | 0.5% | 0.15% |
VISA、 Master Card 決済手数料 | 3.4% | 3.4% | 3.3% | 3.25% | 3.15% |
American Express 決済手数料 | 3.9% | 3.9% | 3.85% | 3.8% | 3.75% |
JCB 決済手数料 | 4.15% | 4.15% | 4.10% | 4.05% | 3.75% |
月額料金が高い上位プランになるほど、手数料が割安になることがわかります。
次に、個々のプランに適した会社や主な特徴を説明します。
1.ベーシック
ベーシックプランは、初めてショップを運営する会社に適したプランです。
上位プランと大きく異なるのは、レポート機能が限定されている点です。プラン変更はいつでも可能となっているので、売上が上がってきた段階で上位プランへの変更の検討もできます。
機能 | 個数 |
スタッフアカウント数 | 2 |
在庫のロケーション | 最大4 |
2.スタンダード
スタンダードプランは、EC事業が軌道に乗ってきた会社、開業当初からある程度の取引量が見込まれる会社に適したプランです。
ECサイト運営に関わるスタッフが増えてもスムーズに運用できます。レポート機能が標準装備されており、さまざまなデータを分析して販売戦略を立案することも可能です。
機能 | 個数 |
スタッフアカウント数 | 5 |
在庫のロケーション | 最大5 |
3.プレミアム
プレミアムプランは、大規模ECサイト向けのプランです。
多くの拠点を持つ会社でも十分に対応できます。レポート機能もスタンダードプランよりも充実しています。
機能 | 個数 |
スタッフアカウント数 | 15 |
在庫のロケーション | 最大8 |
4.Shopify Lite
Shopify Liteは、既存のウェブサイトやブログ、SNSにShopifyの基本機能を追加するプランです。
新たにECサイトやネットショップを構築する手間と費用を省いて、手軽にECを始めたいと考えている人に適しています。
機能 | 個数 |
スタッフアカウント数 | 1 |
在庫のロケーション | 最大3 |
5.Shopify Plus
Shopify Plusは、プレミアムプランよりも大規模な取引に適した最上位プランです。
他のプランにはないさまざまな機能を利用できます。
機能 | 個数 |
スタッフアカウント数 | 無制限 |
在庫のロケーション | 最大20 |
Shopifyの利用を開始する8つの手順
初めてShopifyを使う際の8つの手順を説明します。
1. 14日間の無料体験に登録
初めてShopifyを利用する際には、14日間の無料トライアルが設けられています。Shopifyが自社に適しているかどうかをじっくり検討できます。無料期間中にストアで行った作業は有料プランへの切り替え後も全て保存されます。また、トライアル中に有料プランを選択した場合、無料期間終了まで請求は発生しません。
2. 販売する商品を追加
無料体験開始の手続きを完了させると、ホーム画面に各種設定用のボタンが表示されます。「商品を追加する」ボタンを選択し、表示された商品の編集画面で商品名や商品説明、商品の画像、販売価格などを入力します。商品の詳細が未定の場合はこの作業をいったんスキップすることも可能です。
3. 詳細な商品情報の入力
サイズやカラーバリエーションがある商品は、「バリエーション登録」を選択して詳細な商品情報が入力できます。バリエーション欄に記された「この商品には異なるサイズや色など複数のオプションがあります」にチェックを入れ、サイズや色などを入力します。
4. 商品のカテゴリ分け
Shopifyには「コレクション」というカテゴリの設定機能があります。コレクションを使えば、登録した商品をジャンルやブランドといったカテゴリに分類できます。また、コレクションには一定の条件に基づいて商品を自動的に分類する機能もあります。
5. お問い合わせページの作成
Shopifyでは、管理画面の「オンラインストア」内の「ページ」を選択し、ネットショップに必要なお問い合わせページなどを簡単に作成できます。
6. デザインテンプレートの選択
Shopify管理画面のメニュー一覧から「テーマ」をタップ・クリックし、ストアのイメージに適したデザインテンプレートを選択します。選んだテンプレートをカスタマイズも可能です。
7. 送料・決済方法の設定
「配送設定を行う」ボタンを選択し、配送料、地域限定で顧客の自宅に商品を配送するローカルデリバリー、店舗受取などを設定します。「決済方法の設定」ボタンを選択し、ストアの決済方法を選ぶと、初期設定が完了です。
8. テスト注文の実施
初期設定の完了後に、テストモードを使って顧客が注文に対して支払いを実行する方法、スタッフが注文を処理する方法をテストします。テストモード中は、実際の支払い受け付けが停止されるので注意が必要です。
Shopifyと他のECプラットフォーム・ECモールの相違点
Shopifyと他のECプラットフォームやECモールを比較し、主な違いを確認しましょう。
1. BASE(ベース)と比較
Shopify | BASE | |
費用 (1ドル=113.6円で計算) | ・月額9ドル(約1,022円)~2,000ドル(約227,200円) ※プランごとに異なる | ・基本無料 ・1回の買い物につき3.6%+40円 ・売上を引き出す際に手数料500円(2万円以上で無料) ・振込手数料250円 |
決済方法 | ・クレジットカード、Amazon Pay、BitPay、KOMOJU、PayPal、Shopify Payment ・ほか100種類以上 | ・クレジットカード、キャリア決済、コンビニ、銀行振込、後払い(審査あり) |
SNS連携 | ・Pinterest、Instagram、Facebook、Twitter、LinkedIn | ・Twitter、Facebook、Ameba、Instagram |
サポート体制 | ・24時間のメール、チャット、電話対応(英語) | ・メール(平日:10時~19時) ・チャット(平日:13時〜18時) |
BASEは基本料金が無料で、注文ごとに決済手数料とサービス手数料が発生する点が最大の特徴です。
決済方法やサポート体制は、Shopifyのほうが充実しています。
2. STORES(ストアーズ)と比較
Shopify | STORES | |
費用 | 月額9USドル(約1,022円)~2,000USドル(約227,200円) ※プランごとに異なる ※1USドル=113.6円で計算 | 無料と月額2,178円の 2種類 |
決済方法 | クレジットカード、Amazon Pay/BitPay、KOMOJU、PayPal、Shopify Payments ほか100種類以上 | クレジットカード、コンビニ、PayPal、銀行振込、キャリア決済、後払い、楽天ペイ、代金引換(月額プランのみ)、Amazon Pay(月額プランのみ) |
SNS連携 | Pinterest、Instagram、Facebook、Twitter、LinkedIn | LINE(運営専用)、Instagram |
サポート体制 | 24時間メール、チャット、電話対応(英語) | お問い合わせフォーム、電話対応(平日10:00-18:00) |
STORESの最大の特徴は利用プランに無料と有料があることです。無料プランは利用できる機能や決済方法が有料プランに比べると少ないですが、基本的な機能やサービスに違いはありません。
3. 主要ECモールと比較
ECモール(モール型EC)とは、複数のショップがWeb上に集まり、大規模なショッピングモールを形成しているECサイトを指します。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングが代表的なECモールです。この3つの概要と利用状況をまとめたのが、下記の表です。
Amazon | 楽天市場 | Yahoo!ショッピング | |
概要 | ・商品単位での出品が可能で気軽にショップを開始できる ・月間利用者数日本トップ | ・日本のモール型ECの先駆者 ・充実したサポート体制 | ・出店料と月額利用料が無料 |
月間利用者数 | 5,253万人 | 5,138万人 | 2,946万人 |
出店店舗数 | 40.3万店舗 (2021年7月) | 5.5万店舗 (2021年3月) | 117万店舗 (2020年3月) |
著名なECモールが高い集客力を持っていることが上の表からもわかります。
これら大規模ECモールと、ShopifyやBASEなどのECプラットフォーム(自社EC)の出店する主なメリット・デメリットをまとめたのが次の表です。
ECプラットフォーム | ECモール | |
主なサイト | Shopify、BASE、STORESなど | Amazon、楽天市場、Yahoo! ショッピングなど |
出店するメリット | ・利益率の高さ ・ショップの差別化が可能 ・リピート率を向上させやすい | ・モール自体に集客力がある ・モールの知名度がショップの信頼につながる ・出店が簡単にできる |
出店するデメリット | ・自力で集客をする必要あり ・成果が出るまでに時間がかかる ・主体的な運営が必要 | ・出店料などコストの高さ ・店舗間で価格競争が起きやすい ・ショップの差別化が困難 |
上記のメリット・デメリットを参考にして、ECプラットフォームとECモールのどちらが自社に適しているのかを検討した上で、利用するサイトを絞り込みましょう。
Shopifyでのショップ構築・運用はShopifyのプロに相談
Shopifyの使い方や構築・運用に関する課題に直面した際には、Shopifyの機能や活用法に精通したプロに相談することをおすすめします。
Shopifyについての相談先を決める際に留意する点
ECサイトの構築スキルや実績が豊富で、Shopifyの知識やノウハウを有した制作会社やフリーランスに課題を相談すれば、適切なサポートを受けることができます。
Shopifyの構築・運用実績を持つプロの呼称には、ShopifyエキスパートとShopifyパートナーがあります。ShopifyパートナーはShopifyが提供するパートナー制度に登録している会社やフリーランスで、その中で一定以上の実績があり、厳しい審査を通過した事業者がShopifyエキスパートに認定されます。
フリーランスにShopifyに関する相談・依頼をする主なメリット
ランサーズではShopifyに関する専門技術とノウハウを学ぶ6週間のプログラム「Shopify Partner Boot Camp: Japan」を修了し、Shopifyの豊富な実績を持つフリーランスが100名以上も活動中です。
Shopifyに精通したフリーランスは、個々のECサイトの状況に即したソリューションを提供してくれます。ECサイトの構築・運用やShopifyの活用法などの課題は、ぜひランサーズのフリーランスにご相談ください。
Shopifyの使い方を理解してECへの挑戦を成功させましょう
この記事では、Shopifyの使い方を理解する上で参考となる下記のポイントを解説しました。
- Shopifyのメリットはカスタマイズ性の高さなどで、デメリットは電話サポートが日本語未対応など
- ショップの規模などに即した5種類のプランがある
- Shopifyは比較的簡単な手順で利用を開始できる
- 他のサービスと比較しても、Shopifyは初めてECに取り組む人に適している
- Shopifyに関する疑問や課題は、Shopifyに精通したプロへの相談がおすすめ
ネットショップの開設前にShopifyの特徴を把握することで、ショップに適したプラン選びや利用開始時の設定を、スムーズに進めることができます。
ShopifyでのECサイト立ち上げを準備する際に、ここで紹介した情報を参考にしてください。また、ネットショップ開設に関する疑問点などは、Shopifyに精通したランサーズのフリーランスへの相談をおすすめします。
