ECサイトを運営する際にAmazonを利用すべきか悩む方は多いのではないでしょうか。販売拡大や収益アップを目指すには、自社サイト以外のECサイトも有効活用することがおすすめです。
本記事では、AmazonにECサイトを出店する方法やAmazonを活用する5つのメリット、楽天市場とのプラン比較をまとめてご紹介します。
最後まで読めばAmazonへ出店した方がいいのかを判断できるので、参考にしてみてください。

目次
AmazonにECサイトを出店する方法
AmazonにECサイトの商品を販売するには、Amazonマーケットプレイスを利用します。Amazonマーケットプレイスとは、Amazon社が提供するマーケットプレイス型のECプラットフォームのことです。
Amazonマーケットプレイスを利用すれば個人、法人問わずECサイトの商品をAmazon経由で販売できます。Amazonマーケットプレイスは店舗ごとのカウントではなく、1商品ごとのカウントで料金設定をしているところが特徴です。
そのため、「Amazonへの出店」とはいわずに、「Amazonに出品する」といいます。Amazonへの出品は、下記の2つのプランがあります。
プラン | 小口プラン | 大口プラン |
月額出品料 | 1商品100円(税込) | 月額4,900円(税込) |
システム利用料 | 売上高の8~15% (カテゴリーにより異なる) | |
概要 | ・1商品~49商品の販売に対応 ・オプションの利用ができない | ・49商品以上の販売に対応 ・広告や在庫管理などのオプションが利用できる |
小口プランは、1商品あたり100円の手数料で出品が可能です。ランニングコストを抑え、手軽にAmazonに出品できるところが大きな魅力でしょう。
大口プランは、49商品以上をまとめて出品したい人向けのプランです。毎月固定費がかかりますが、在庫管理や広告利用などのオプションが活用できます。
また、どちらのプランも商品が売れるごとに手数料が発生することは覚えておきたいポイントです。手数料は商品のカテゴリーにより異なり、売上の8〜15%を支払う必要があります。
ECサイト運営にAmazonを活用する5つのメリット
ECサイトの商品をAmazonに出品するメリットとしては、下記の5つが挙げられます。
- ほかのECサイトより利用者数が多い
- 全世界に2億人のプライム会員がいる
- 日本国外に向けて商品を販売できる
- 商品を1点から出品できる
- Amazon独自のフルフィルメントサービスが利用できる
Amazonを有効活用し、収益や認知度アップにつなげるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1. ほかのECサイトより利用者数が多い
Amazonは認知度が高く、利用者が多いECサイトです。MMD研究所が実施した「2020年5月総合EC・ネットスーパー利用動向調査」では、現在利用している総合ECサイトとしてAmazonが1位という結果が出ました。

参考:MMD研究所「2020年5月総合EC・ネットスーパー利用動向調査」より
Amazonはすでに多くの利用者を抱えているため、商品が多くの人の目に触れます。ECサイトで扱う商品の認知度や売上アップにつながるでしょう。
また、同調査ではAmazonの認知度は97.1%と非常に高いことも明らかになりました。認知度の低いECサイトに出店をしても、集客やネームバリューにはつながりません。誰もが知っているECサイトだからこそ、出品する価値を高めることができます。
2. 全世界に2億人のプライム会員がいる
Amazonは会員登録をすれば誰でも無料で利用できますが、ワンランク上のサービスが受けられる有料プランも用意されています。
Amazonの有料プランは「Amazonプライム」と呼ばれており、税込みで年間4,900円または月額500円で利用可能です。プライム会員になるとお急ぎ便や日時指定が無料で利用できるため、Amazonを頻繁に利用する顧客にとって魅力的なサービスとなっています。
Amazonは2021年春時点で、全世界に2億人以上ものプライム会員を抱えています。有料会員数からみても、Amazonの持つ集客力は非常に高いと考えられるでしょう。
3. 日本国外に向けて商品を販売できる
Amazonは国内販売だけでなく、海外販売(グローバルセリング)にも対応しています。
地域を決定し、海外のAmazonマーケットプレイスに出品をするだけで、海外に向けて商品を販売することが可能です。日本語でのサポートやグローバル出品用のツールも用意されているため、海外販売のハードルが低く手軽に挑戦できます。
Amazon経由で商品販売ができる主な地域は、下記のとおりです。
販売可能エリア | 販売国名 |
アメリカ大陸エリア | アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル |
ヨーロッパエリア | ドイツ、英国、フランス、イタリア、スペイン、オランダ |
新興国や急成長エリア | オーストラリア、インド、シンガポール |
ECサイトで扱っている商品によっては、海外の顧客にアプローチすることで集客アップが見込めます。国内だけでなくグローバルな視野で商品販売ができる点もAmazonならではのメリットだといえるでしょう。
4. 商品を1点から出品できる
Amazonマーケットプレイスには、小口プランと大口プランの2種類があります。小口プランでは1商品から出品できるため、ECサイトの商品数が少ないケースや試しに利用してみたいケースでも活用が可能です。
ほかの大型ECサイトは、商品数問わず1店舗ごとに月額費がかかるケースが多いです。商品数が少ない場合はコストがかさみ、収益が低くなるデメリットがあります。
Amazonなら1商品100円(税込)の手数料で出品できるため、少ない商品数でもコストをかけずに新たな販路を作ることができます。
5. Amazon独自のフルフィルメントサービスが利用できる
Amazonは、独自のフルフィルメントサービスを用意しています。ECサイトの商品をAmazonの倉庫に送ると、保管や注文処理、出荷などの物流業務を代行してくれるサービスです。
これだけでなく、ECサイト運営時の手間となるカスタマーサポートや返品対応なども一括して任せることができます。つまり、フルフィルメント サービスを使えば販路が増えても手間や労力がかかることはなく、ECサイト運営に注力できるのです。
フルフィルメントサービスを利用するには、商品のサイズやカテゴリーに応じた保管料と発送手数料がかかります。しかし、商品数が多いECサイトや海外発送が多いECサイトでは物流業務の負担が大きいため、充分に有効活用できるサービスだといえるでしょう。
ECサイト運営にAmazonを活用する2つのデメリット
ECサイトの運用にAmazonを活用するメリットが把握できたところで、気になるのがデメリットです。AmazonをECサイトの運用に活用するデメリットは、下記の2つが挙げられます。
- 商品画面のデザインや表示方法を変更できない
- 販売手数料が高い
いずれもAmazonの活用を検討するときに知っておきたいデメリットなので、ぜひチェックしてみてください。
1. デザインや表示方法が変更できない
Amazonは自社ECサイトやほかの大型ECサイトのように、自由なデザイン設定や商品表示ができません。商品データのみを登録し、Amazon独自のデザインに当てはめて表記するスタイルだからです。
そのため、ECサイトのようにデザインやコンセプトでの差別化ができません。運営者や運営企業からの直接的なアプローチも難しく、商品力や価格のみでの競争となりやすいです。
Amazonでは、ECサイト全体の雰囲気や導線で購入を促進することができないので、魅力的な商品を出品し目に留めてもらうことが重要でしょう。
2. 商品が売れたときの手数料が高い
Amazonの出品料は安価ですが、商品が売れた際にはその都度販売手数料が発生します。販売手数料はカテゴリーにより異なり、売上から8~15%が引かれます。主なカテゴリーの販売手数料は、下記のとおりです。
カテゴリー | 販売手数料 |
本・DVD・CD | 15% |
パソコン・周辺機器 | 8% |
スポーツ&アウトドア用品 | 10% |
おもちゃ&ホビー用品 | 10% |
文房具・オフィス用品 | 15%(最低販売手数料:30円) |
インテリア・キッチン用品 | 15%(最低販売手数料:30円) |
大型家電用品 | 8%(最低販売手数料:30円) |
例えば、3,000円のインテリア用品が売れた場合は、450円が販売手数料として引かれます。1ヶ月に同じ商品を10個販売したら、4,500円の販売手数料がかかることになるのです。
このように、Amazonでは売れれば売れるほど販売手数料の負担が大きくなるため、あらかじめ価格を調整するなどの対策が必要でしょう。
Amazonと楽天市場のECサイトプランを比較
Amazonとよく比較される大型ECモールに、楽天市場があります。楽天市場は法人個人を問わず、ECサイト出店ができるECサイトモールです。両者の料金を比較すると、下記のようになります。
プラン | Amazon 大口プラン | 楽天市場 (スタンダードプラン) |
月額出店料 | 4,900円(税込) | 50,000円(税別) |
システム利用料 | 売上高の8~15% (カテゴリーにより変化) | 月間売上高の2.0~4.5% |
店舗数 | 約16万社 (2020年時点 中小企業事業のみの数値) | 5万5,232店舗 (2021年度第2四半期時点) |
会員登録者数 | 2億人 (2021年春時点) | 1億2,380万人 (2021年度第2四半期時点) |
それぞれ料金プランや出店にどのような違いがあるのか、くわしく解説していきます。
システム使用料を抑えたいならAmazon
楽天市場内にECサイトを出店するプランには、下記の3つがあります。
プラン | がんばれ!プラン | スタンダードプラン | メガショッププラン |
月額出店料 | 19,500円(税別) | 50,000円(税別) | 100,000円(税別) |
システム利用料 | 月間売上高の3.5~7.0% | 月間売上高の2.0~4.5% | 月間売上高の2.0~4.5% |
登録可能商品数 | 5,000商品 | 20,000商品 | 無制限 |
画像容量 | 500MBまで | 5GBまで | 無制限 |
もっとも月額出店料が低いがんばれ!プランでも、毎月19,500円(税別)が必要です。Amazonの月額出品料は、大口プランであっても4,900円(税込)で済みます。その差は14,600円なので、いかにAmazonの月額出品料が低コストであるか把握できるでしょう。
料金内容 | 小口プラン | 大口プラン |
月額出品料 | 1商品100円(税込) | 月額4,900円(税込) |
システム利用料 | 売上高の8~15% (カテゴリーにより異なる) |
月額費は商品が売れても売れなくても、毎月必ず必要な固定費です。少しでもランニングコストを抑えたい場合には、Amazonを検討してみてください。
ECサイトのカスタマイズ性を重視したいなら楽天市場
Amazonは商品データのみを登録し、Amazon独自のデザインに当てはめるスタイルです。自社のECサイトのように好みのデザインにしたり多くの画像を使用したりして、訴求力を高めることはできません。
一方で楽天市場はHTMLファイルやJavaScriptなどを使い、自由度の高いページレイアウトができます。ECサイトのコンセプトやターゲット層に合わせた雰囲気に仕上がるため、ページ全体を使った戦略的な集客が可能です。
商品の魅力だけでなく、ECサイト全体のイメージや導線を駆使して商品を販売したい場合は、楽天市場のほうが向いているでしょう。
販売商品数が少ないならAmazon
商品数が少ないときやまずは1商品のみをほかのECサイトで販売してみたいときは、Amazonがおすすめです。Amazonなら1商品100円(税込)の出品手数料で、手軽に商品の出品ができます。
楽天市場はもっとも低コストの、がんばれ!プランでも月額19,500円(税別)で、登録可能商品数は5,000商品までが対象です。商品数が少ないECサイトには、月額手数料の負担が大きいプランしか用意されていません。
商品数が少ない中でコスト負担が増えると収益が上げにくいため、1商品あたりの出品料が安いAmazonにまずは出品してみるといいでしょう。
Amazonへの出品で売上アップさせる3つの方法
最後に、Amazonへの出品で収益アップを図るために、知っておきたいポイントをご紹介します。Amazonへの商品出品を有効活用するためにも、参考にしてみてください。
1. Amazonの広告を活用する
Amazonで商品を購入してもらうためには、顧客の目に留まることが重要です。多くの商品と差別化し目立たせるには、Amazonの有料広告を活用するといいでしょう。
Amazonの広告には、下記の3種類があります。
広告の種類 | 概要 |
スポンサープロダクト広告 | ・検索結果に合わせて検索結果と商品詳細ページに商品を表示させる ・上位表示されることで、商品をPRできる ※大口プランであることなどの利用条件有り |
スポンサーブランド広告 | ・検索結果に合わせて最大3つの商品を検索結果と商品詳細ページに商品を表示させる ・ブランドロゴや見出しとともに掲載でき、ブランドの周知ができる ※ブランド登録などの利用条件有り |
スポンサーディスプレイ広告 | ・検索結果に合わせてカートボックスの近くと商品仕様の下に商品を表示させる ※大口プランであることなどの利用条件有り |
どの広告も、ほかの商品よりも目立つ位置に表示されるところが特徴です。例えば、スマートフォンホルダーを探しておりAmazonで検索をしたときに、顧客の目に留まるところに自社商品が表示されます。
ほかの商品よりも先に目に留まるため、購入してもらえる可能性が高くなるでしょう。ただし、Amazonの広告は有料となり利用するための条件も用意されているので、あらかじめ確認をして利用を検討してみてください。
2. Amazonプライム対象商品の認証を受ける
Amazonの商品には、Amazonプライム対象商品と非対象商品があります。Amazonプライム対象商品になると、プライム会員に対しお急ぎ便や日時指定の無料、返品無料など手厚いサービスが提供できるようになります。
プライム会員はプライム対象商品を購入したほうがお得なので、世界に2億人以上いるプライム会員に選ばれやすくなるのです。
プライム会員対象商品になるには、下記の2つの方法があります。
- Amazonのフルフィルメントサービスを利用する
- Amazonのマケプレプログラムに参加し、一定の条件を満たす
Amazonのフルフィルメントサービスを利用すると、自動的にプライム対象商品となります。フルフィルメントサービスを利用しない場合は、出荷前キャンセル率が1%未満や期日内配送率が96%以上などのマケプレプログラム参加条件をクリアしなければなりません。
3. Amazonで売れている商品を分析する
Amazonは出品されている商品数が多いため、売れている商品や同カテゴリー商品の分析が欠かせません。ただ商品を出品しているだけでは、ほかの商品に埋もれてしまい収益を確保できないでしょう。
商品を分析するときには、下記の情報に着目してみてください。
- 商品名
- 価格
- 商品の特徴
- 商品の説明
Amazonは検索エンジンからの購入が多いため、ほかの商品をみながら目に留まるキーワードを設定する必要があるでしょう。
また、商品の特徴や説明はほかの商品と差別化できるポイントです。自社にはない強みを把握するためにも、他社の商品を確認してみてください。
ECサイト運営にAmazonを活用しよう
ECサイトで扱っている商品をAmazonに出品することで、認知度アップや収益向上が見込めます。Amazonは1商品あたりの出品手数料が安いため、手軽に挑戦できるところも大きな魅力でしょう。
また、Amazonは利用者が多く誰もが知っているECプラットフォームだからこそ、マーケティング戦略にも最適です。ぜひ、Amazonを販路のひとつとしてプラスし、ECサイトの発展に役立ててください。
