やっとECサイトが完成したと思っても、想定通りに売上が伸びないことがあります。ECサイトを改善しようにも知識・経験が不足していて、改善策を行なうための分析やアクセス解析方法がよく分からない担当者様もいるのではないでしょうか。
そこで、ECサイト担当者なら押さえておきたい、ECサイトの分析方法やアクセス解析方法、役立つ手法やツールなどを紹介します。さらに、ECサイト分析やアクセス解析に経験豊富なフリーランスもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次
ECサイトの改善するために重要な3つの手順
ECサイトの集客や売上が伸び悩んでいるなら、ECサイトを分析して売上につながるような施策を打ちましょう。効果的な施策を検討する際ためには、下記の手順を踏むことが重要です。
- ゴールを設定する
- ECサイトの解析データを分析する
- 分析結果から施策を決定し実行する
このようにデータに基づいてゴールを設定し、データに基づいて施策を決めていきましょう。アクセス数などの数字から課題を読み取ると自社サイトに合う対策ができ、改善につなげることができます。それぞれの手順について詳しく紹介します。
手順1. ゴールを設定する
まずはECサイト改善の目的地となる、ゴールを設定しましょう。施策の目標となるゴールゴールを決めず、やみくもにキャンペーンなどを行うだけでは、なかなか結果は出ないからです。
例えば「2021年11月のECサイトで売上300万円」「2021年11月のアクセス数10万人」など、具体的な数値目標を設定しましょう。適切にゴールを設定することで、具体的な道筋も見えてくることで目標を達成できる可能性が高まります。
手順2. ECサイトの分析データを細かく調べる
ゴールを設定した後は、ECサイトを分析していきましょう。分析とは複雑な事柄を細かい要素に分け、その構成などを明らかにすることです。
分析の基本フローは下記の通りです。
- まずは仮説を立てる
- 検討する
- 該当するデータを見る
- 分析する
- 改善策を考える
何となくデータを眺めるだけではECサイトの改善にはつながりにくいので、必ず仮説を立ててからデータを分析しましょう。また、該当するデータを読む際、トレンドとセグメントを意識しましょう。トレンドとは時系列の変化のことで、セグメントとは商品ジャンルの分類などの区分されたデータです。
全体の売上など大きな数値を眺めるより、上記の手順で数字を分解して精査することで対策しやすくなります。また、自社サイトだけでなく競合サイトの分析データも取得して比較分析すると、より対策を立てやすくなります。
手順3. 分析結果から施策を決定し実行する
ECサイトを分析したら、取るべき施策を決めて実行に移しましょう。施策には悪いところを改善する方法と良い部分をもっと延ばす方法とがあります。また、その時々のトレンド(顧客のニース)を取り込める機能を追加したり、購入動線やカゴ落ちなどの成約の障害となっている部分を探ったりするのも良いでしょう。
アクセス数に問題があるならWeb広告を検討したり、クーポンやキャンペーンを計画したりなどの施策を行えます。すぐに改善できることもあれば、改善に時間がかかることもありますので、複数の方法を試して結果を見ながら施策を変えていきましょう。
ECサイト分析の前に!まずはゴールとKPI(重要業績評価指標)を設定しよう
ECサイトの改善が必要なことは分かっていても、具体的な目標が定まっていないとどう改善すればいいのかが判断しにくいものです。まずはゴールと、重要業績評価指標であるKPI(Key Performance Indicator)を設定しましょう。
例えばゴールが「売上4割増」であれば、売上の改善につながるフローの変化を計測する指標がKPIです。重点的に分析すべき点を見極めて、ゴールとKPIを決めていきましょう。
ゴール設定の基準は「期間」「尺度」「数値」
ECサイト改善のゴール設定が適切でないと、データをうまく活用できません。ゴールを設定する際には「期間」「尺度」「数値」の3つの要素が必要です。これらのどれかが欠けてしまうと適切なゴールにはなりえませんので、ゴールの設定時には意識してください。
いつまでにゴールを達成するのかを決める「期間」
ゴールを決める際には、達成期限となる期間を必ず設定しておきましょう。設定した売上やアクセス数などの値を、いつまでに達成すべきなのかが決まっていないと、対策を取りにくいものです。
一般的には、年や月、4半期などを区切りに期間が設定されます。可能であれば週や日ごとの目標設定も行い、ECサイトの分析・改善に役立てていきましょう。
ゴールをはっきりさせる「尺度」
ゴールを定める際に、何の数値を尺度とするのかも定めることが必要です。ECサイトでは売上高が尺度に設定されるのが一般的です。ただし状況によっては、会員登録者数の上昇やアクセス数など、売上高以外が尺度に設定されることもあります。
値を明確にする「数値」
ゴールとなる期間や尺度を決めたら、その値も決めなければ適切なゴールとはいえません。例えば「いつか売上高を上げたい」という大まかな目標だと、対策しにくいものです。「1ヶ月後に売上高を1.5倍にする」といった、具体的な数値をゴールに決めてください。
ゴールを決めたらKPI(重要業績評価指標)へ売上高やアクセス数などの数値を落とし込む
ECサイトのゴールがはっきりしたら、KPIへ落とし込みましょう。KPIはゴールまでの地図のような役割を果たしてくれるものです。プロセスごとの目標となる数値を細かく決めていくことで、全体の業務の中のどのフローに課題があるかがわかりやすくなります。
KPIには図を使って落とし込む方法もあり、一目で把握でき分かりやすいのでおすすめです。結果に至るまでの過程を俯瞰できるように工夫することで、改善すべき点を洗い出しやすくなります。
KPI作成時には、下記のようなポイントに注意しましょう。
- あらかじめゴールを明確にしておく
- 大枠を図示する
- 売上高の目標など具体的な数値を書き加えていく
- 改善すべきポイントを選定する
ただし、現実的でないゴールを設定すると、施策を決めることができなくなるので注意が必要です。
ECサイトの分析時に見ておきたいKPI指標・項目とは
Webサイトの分析を改善につなげるためには、適切な指標を設定しておくことが重要です。ECサイトを分析する際には、下記のような指標を設定しておくと役立ちます。
- 売上高
- アクセス数・セッション数
- CVR・直帰率
- 顧客単価
- リピート率・障害顧客単価
- CPA・ROAS
これらの指標がなぜ必要なのか、具体的に見ていきましょう。
1. 最も重要な指標「売上高」
ECサイトで最も重要なのが、売上高や利益などの、業績に直結する数値です。売上高は1日や1週間、1ヶ月、4半期、1年、セール期間中など、複数の単位で分析できます。さらに売上高は、下記の要素で算出されている点も忘れてはいけません。
売上高 = アクセス数 × CVR(購入率) × 顧客単価
このように1つの指標を分解して考えることも、分析において効果的です。この式はKPIにおいてもとても重要なので、頭に入れておきましょう。
2. 集客効果を判断できる「アクセス数・セッション数(訪問者数)」
ECサイトを作成しても、サイトへの訪問者数が少なければ売上増は望めません。どの程度の人がECサイトにアクセスしているかを確認しましょう。訪問者数は「アクセス数」「セッション数」などということもあります。
例えば月別や日別、週間別、セール前後、時間帯別など、細かく訪問者数を比較するとアクセスが多い時間や期間の傾向が見えてきます。分析結果が出たら、訪問者数が多い時間帯や期間のタイムセール、少ない時間帯や期間にはクーポンを配布するなど、強化施策を行う目安になります。
3. 購入ページ作成後に確認したい「CV率・CVR(購入率)」や「直帰率」
「CVR」とは「Conversion Rate」の省略で、「CV率」「コンバージョン率」と呼ばれることもあり、KPIによく用いられます。ECサイトの訪問数のうち商品やサービスを購入した人の率で、計算方法は下記の通りです。
CVR = 購入者数 ÷ 訪問者数
CVRが高い場合は魅力的なサイトを作れていますので、アクセス数を伸ばす施策を取りましょう。アクセス数は多くてもCVRが低いなら、施策としてはサイトの改善が必要です。
4. 売上アップの施策を行うのに重要な「顧客単価」
「顧客単価」とは、ECサイトで商品やサービスを1回の購入あたりで支払った金額を示す数値です。顧客単価は下記の計算式で表します。
顧客単価 = 売上高 ÷ 売上件数
顧客単価の低さは、売上高の低迷や利益率の低さにつながるために見逃せません。顧客単価が低いのであれば、クーポン配布やセット商品販売などを活用するなどの施策で、売上アップにつなげていきましょう。
5. リピーターの獲得状況が判断できる「リピート率」「生涯顧客単価(LTV)」
リピート率とは、これまでに商品・サービスの購入歴がある顧客のうち、複数回購入した顧客の割合のことです。リピート率が高いと、顧客が商品に定着したことが分かります。
「生涯顧客単価(LTV:Life Time Value)」は、顧客1人がその生涯を通じてECサイトに与える利益を示す数値です。下記の計算式で表せます。
生涯顧客単価 = 平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間
生涯顧客単価が高い顧客ほど、リピーターが多い傾向にあります。
リピーターは1回限りの購入者に比べて購買単価が高く、新規顧客を呼び込んでくれることもある優良顧客です。ECサイトが安定的な売上を上げるためには、リピーターは重要な存在です。リピート率や生涯顧客単価をKPIに設定し、リピーターを増やすための施策も行いましょう。
6. 適切なコストをかけるために知っておきたい「CPA」「ROAS」
どんなに売上高を上げられても、コストがかかりすぎると利益は得られません。そこで、CPA(顧客獲得単価)やROAS(広告の費用対効果)などの指標も設定しましょう。コストをかけすぎていないかなどを確認でき、コスト削減対策を行いやすくなります。
CPA(Cost per Acquisition)とは1件の購入にかかるコストのことで、顧客獲得単価ともいいます。ROAS(Return On Advertising Spend)とは広告の費用対効果のことです。
売上に対するコストをかけ過ぎている場合は、コストを抑えるか売上を増やす必要があります。売上に対するコストが少なければもう少し広告などの費用をかけると売上を上げられる可能性があるでしょう。
このようにKPIにCPAやROASを設定して、コストがどの程度かかっているかを知ることでも、売上アップにつなげられます。
ECサイトの分析でよく使われる5つのツール
ECサイトを分析する際に、効果的に分析できるツールを知らない人も多いでしょう。多くのECサイト運営者はサイト分析で下記のツールを使用しています。
- アクセス解析ツール「Googleアナリティクス」
- 「Google Search Console」
- 「顧客情報管理ツール」
- 「Web接客ツール」
- ECプラットフォームの独自ツール
それぞれの使い方を紹介します。
1. アクセス解析ツール「Google Analytics」
「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」とは、Googleが提供するECサイトだけでなくWebサイトの運営でも必須のツールです。一部の機能は有料ですが、無料で利用できる機能だけでも有用な下記のような機能を提供するツールです。
- ユーザー情報(訪問者数、PV数、デバイス)
- 流入経路
- 行動パターン
2. 「Google Search Console」
「Google Search Console」も、Googleが提供する無料ツールです。うまく活用するとGoogleでの検索パフォーマンスが上げられます。検索キーワードからの流入数を調べられますので、SEO対策やWeb広告の出稿を検討しているなら、ぜひ活用してください。
3. 「顧客情報管理ツール」
自社でECサイトを運営すると顧客情報の管理が大変です。顧客情報管理ツールを活用すると、連絡先や顧客情報を専用ツールで管理できます。わざわざ表計算ソフトなどで台帳をつくって管理する手間がかかりません。既存顧客やメルマガへ登録した顧客へもアプローチしやすくなり、売上アップにもつなげやすいです。
4. 「Web接客ツール」
顧客から問い合わせがあっても、営業時間外などタイミングが良くないと、すぐに返事ができないことがあります。返事をした頃には顧客がすでに興味を失っていることも考えられ、機会損失につながることも多いです。
そのような時に活用したいのが「Web接客ツール」です。AIを活用したツールも多く、チャットボットなどの機能で、サイト訪問者にオンライン接客できます。データの蓄積にも対応していますので、ログでユーザーの興味や疑問を分析すると、改善施策立案にも効果的です。
5. ECプラットフォームの独自ツール
中小企業や小さなネットショップは大手企業と違って、最初から自社のシステムでECサイトを構築していないこともよくあります。ECプラットフォームを利用してECサイトを構築しているなら、独自の分析ツールが搭載されていることもありますので、確認してみましょう。
例えばShopifyの「Shopifyストア分析」やBASEの「データページ」、EC-CUBEのプラグイン機能などがありますし、楽天市場やAmazonなどにも独自ツールはあります。外部ツールとうまく組み合わせながら、ECサイトの分析に役立ててください。
ECサイト分析に自信がないなら依頼するのもおすすめ
ECサイト分析を自分で行う自信がなかったり、自社で行う時間がなかったりすると、外部委託を検討することもあります。しかしマーケティング会社など専門の会社へ依頼すると、思った以上に時間や費用がかさんでしまい躊躇することもあるでしょう。
そこで、ECサイト分析の経験が豊富なフリーランスがたくさん在籍しているランサーズへの依頼も検討してみましょう。オンラインでやり取りできるうえ、最短即日で仕事を依頼できますし、制作会社を挟まないのでコストパフォーマンスが高いです。
ECサイトの運営にはサイト分析・アクセス解析は必須!売上向上のために役立てましょう
ECサイトをやっと作成できたと安心していても、思うように売上高が伸びないことはよくあることです。ECサイトの分析やアクセス解析を繰り返すことで、サイトがいい状態になっていき、売上改善が期待できます。
ECサイトの改善では、ゴールの設定・解析データの分析・施策の決定と実行を行わなければなりません。さらに分析時、KPI指標に何を設定するのかも、サイト改善の施策の成功に影響します。売上高を設定するのはもちろん、アクセス数やコストに関する指標も分析するのが大切です。
効果的にECサイトの分析・改善を行って、売上アップにつなげていきましょう。
