CVR(コンバージョン率)を改善させることは、ECサイトを運営する上で非常に重要です。自社と同業他社のCVRにどのくらい差があるのかを知りたい人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ECサイトの平均CVRとCVRの改善方法を14個解説します。CVRの改善に役立つツールも解説しますので、ECサイトの売上をアップさせたい人はぜひ参考にしてください。

目次
ECサイトのCVRを計算する方法
ECサイトのCVRとは、Webサイトにアクセスしてきた人のうち、どのくらいの人がコンバージョン(成約)に至ったかを示す指標です。以下の計算式で算出できます。
CVR = コンバージョン数 ÷ アクション数(セッション数、アクセス数、クリック数など) × 100
例えば、1日10万のアクセスがあるECサイトで、1,000個の商品が売れた場合は1%がCVRとなります。
コンバージョン(CV)はビジネスの目的ごとにさまざまな数値を設定できます。ECサイトでは「商品の購入」をCVに設定することが一般的ですので、CVRのもつ意味は「ECサイトにアクセスした人のうち、商品購入に至った人の割合」になります。
ECサイトの平均CVRは1~3%
ECサイトの平均CVRは1~3%ほどです。基本的に優秀といわれるCVRは3%前後で、より売上やCVRが高いECサイトになると6%前後になることも珍しくありません。また検索からの流入の方が能動的にWebサイトにアクセスしている分、広告経由よりもCVRも高くなる傾向があります。
自社ECサイトのCVRが1%未満であれば、何らかの改善が必要です。平均並みの場合は、より上位に近づくための施策が必要になります。
ECサイトのジャンル別の平均CVR
ECサイトはジャンル別によっても、平均CVRは異なります。「Adobe Digital Index Consumer Electronics Report 2020」によると、ECサイトのジャンル別平均CVRは以下の通りです。
- ギフト:4.9%
- ヘルスケア:4.6%
- アパレル:4.2%
- スポーツ:3.1%
- ジュエリー・コスメ:2.9%
- 大手チェーン:2.3%
- インテリア:2.3%
- 自動車:2.2%
- ホームセンター:1.7%
- 家電:1.4%
- その他:3.4%
上記からもわかるように、ECサイトの平均CVRはジャンルによってまちまちです。ECサイトを運営する際は、自社ジャンルの平均CVRを確認したうえで目標値を決めましょう。
ECサイトのCVRが低くなる理由
ECサイトが平均CVRよりも低くなるのはなぜでしょうか。一般的な理由を解説します。
外部環境の変化による影響
ECサイトのCVRが低くなる理由として考えられるのが、物価変動などの外部環境の変化です。外部環境の変化には自社でコントロールできない要素が数多くありますので、予防するよりも発生のたびに柔軟な対応をする方が重要になります。
例えば市場が成長している場合は、競合企業も多く参入してきますので、既存顧客をリピーター化する施策が必要です。物価を下げて価格競争を仕掛けてくる企業がいる場合は、価格競争に追随したり、価格とは別の魅力をアピールしたりする必要があります。
ECサイトの構造がCVに特化していない
ECサイトの構造がユーザビリティに配慮していないのも原因のひとつです。問い合わせフォームの場所が分かりづらかったり、入力の項目が多すぎたりすると、ユーザーにストレスを与えてCVRも下がります。商品ページが見づらかったり、商品画像が魅力的でなかったりする場合も同様です。
ECサイトのCVRを上げるには、購入ボタンの配置場所や商品ページのレイアウトなどが、使いやすいように配慮する必要があります。
サイトページと広告の親和性が低い
ECサイトに広告経由で集客している場合は、サイトページと広告の親和性も重要です。広告とサイトページの内容に剥離があると、期待を裏切られたような気持ちになりCVRも低下します。広告経由後のランディングページで離脱率が高い場合は、サイトページと広告の内容が合っていない可能性が高いです。
広告は有効な集客手段ですが、比較的費用が高くなりやすく失敗したときのリスクも大きいです。特に純広告だと途中で内容を変更できませんので、運用方法を間違えるとコスト高になる可能性があります。
ECサイトでは、サイトページと広告の内容をしっかりとマッチングさせましょう。
ECサイトのCVRを改善する14の方法
ECサイトのCVRを改善する施策を14個解説します。
1. ターゲットを明確にする
ECサイトがどのようなユーザーをターゲットにしているのかを明確にしましょう。明確な顧客像ができると、商品を訴求する基準がはっきりして、より効率的に購買意欲の高いユーザーへアプローチできるようになります。
最近はインターネット上に情報が溢れすぎているため、不明瞭なターゲティングでは商品を認知してもらうことすらできません。
2. ECサイトとしての信頼性を上げる
ECサイトはクレジットカード番号や銀行口座などの個人情報を扱いますので、サイトとしての信頼性が重要です。顧客情報の漏洩が起こると、CVRが低下するのはもちろんのこと、事業活動を続けられなくなる可能性があります。ECサイトへの信頼性は、CVRに大きく影響することを覚えておきましょう。
そのほか、商品の質や配送日数、問い合わせ対応の方法なども、ECサイトの信頼性に大きく影響します。ユーザーに役立つ商品を適正価格で販売したり、アフターサポートを充実させたりするなどして、ECサイトとしてのブランド価値を高めましょう。
3. モバイル端末向けのページに最適化する
最近は多くのユーザーがスマートフォンなどのモバイル端末を利用していますので、ECサイトのページもモバイル端末向けに最適化しましょう。
パソコン用の画面をモバイル端末で表示すると、不必要に画面を拡大するなどの手間がかかり、ユーザーにストレスを与えてしまいます。ユーザビリティの低いECサイトは、サイトの途中離脱を招きやすく、 CVRも低くなる傾向があります。
ECサイトのモバイル端末向けのページは非常に重要ですが、パソコン向けのページを疎かにしてよいというわけではありません。パソコン向けのページはモバイルページより視認性が高く操作しやすいという特徴がありますので、モバイルページと同様に最適化する必要があります。
パソコンからのアクセスにはパソコン向けのページを表示し、モバイル端末からのアクセスにはレスポンシブWebデザインを表示するとよいでしょう。
4. ページの遷移や読み込み速度をあげる
ユーザーが最もストレスを抱えることのひとつが、ページ移動やページ読み込みで待たされることです。ページ移動やページ読み込みの速度は、サイトの利便性だけでなく検索順位にも影響します。
高性能なサーバーに切り替えたり、ECサイト内の商品の画像データを軽量化したりする方法が有効です。
5. 購入から支払いまでをスムーズにする
商品をショッピングカートに入れてから購入・支払いするまでの導線や時間をできるだけ少なくすることも重要です。
購入から支払いまでに手間がかかると、カゴ落ちが発生しやすくなり、当然CVRも低下します。会員登録しなくても購入できるようにしたり、入力項目を最小限にしたりするなどして、ストレスなく購入できるシステムを構築しましょう。送料などを含めたすべての商品代金を明確にすることも重要です。
6. 商品のカゴ落ちを防ぐ
「カゴ落ち」とはショッピングカートに入った商品が購入につながらないことです。購入ボタンを押すまでにストレスがかかったり、別の商品に興味が移ったりとさまざまな原因が考えられますが、CVRの改善のためにはできるだけ防止しなくてはなりません。
カゴ落ちを防止するには「この商品は送料無料です」のように、わかりやすい位置に購入メリットを表示したり、後日カート内に未購入の商品が残っている旨のお知らせメールを送信したりする方法が有効です。
7. 多様な配送方法と支払い方法を用意する
ユーザーはECサイトの配送方法や支払い方法にさまざまなニーズをもっています。特にインターネット上でモノを売るECサイトの業種形態では、配送がユーザーに与える印象は少なくありません。
配送が雑で荷物に傷がついたり、一週間経っても商品が届かなかったりすると、ECサイトの信頼性は大きく低下します。逆に即日配達や送料無料といった特典をつけると、顧客満足度が向上してCVRの改善につながります。
配送はECサイトにおける価値に直接影響しますので、価格や配達日数、受け取り方法などを工夫して他社と差別化しましょう。
ユーザーの中には特定の支払い方法でしか購入しない人もいます。希望する支払い手段がないと途中で離脱するユーザーも多いので、コンビニ払いや電子決済、後払い決済など、さまざまな決済手段を用意しましょう。
8. 購入までの道筋をつけてあげる
スムーズに購入まで進めるような導線設計も重要です。特に多くの商品を扱うECサイトは、視覚的に理解しやすくシンプルな構造にしないと、ユーザーは目的の商品を見つけられません。アクションを促すボタンを配置したり、トップページやライディングページを改善したりするなどして、コンバージョンに至りやすい構造にしましょう。
9. 魅力的な商品画像を掲載する
ECサイトでは商品を手にとって確認できませんので、商品画像が購入の決め手になることも多いです。
ユーザーは画像から商品をイメージしますので、全体のフォルムやサイズ、色合いなどが分かるように、いろいろな角度から撮影した写真を用意しましょう。実際に使用しているシーンを掲載するなどして、購入後のメリットをイメージしやすくすることが重要です。
まれに商品画像を実際の商品よりきれいに見せようとするECサイトもありますが、色合いや質感が到着した商品と異なると、購入後のクレームにつながる可能性がありますのでおすすめできません。商品画像は実際の商品と違和感をなくした上で、できるだけ魅力的な画像を掲載しましょう。
10. 高評価の口コミやレビューを掲載する
ECサイトでは実際に商品を手にとって検討できないために、購入者の口コミやレビューが見込み客の意思決定に大きく影響を与えます。商品に対するポジティブな意見が多くなるほどCVRにもよい影響を与えますので、商品ページ内に高評価の口コミやレビューを積極的に掲載しましょう。
ただし高評価の口コミやレビューを載せることだけを目的にしてはいけません。口コミやレビューはあくまで商品に対する疑問や不安を解消するものですので、ユーザーニーズをよく考えたうえで適切なものを掲載する必要があります。
11. 購入した商品の関連商品を掲載する
ユーザーの購買履歴をもとに関連商品を掲載することで、CVRの改善につながる可能性があります。購買意欲が上がっているタイミングで、ユーザーの興味関心のある商品を紹介できるためです。
例えばマスクを購入したユーザーに「こちらの商品もいかがですか?」とアルコール消毒液を紹介すると、あわせて購入してくれる可能性が高くなります。
12. カスタマーサポートを充実させる
ユーザーからの問い合わせにすぐ対応できるよう、カスタマーサポートを充実させましょう。ユーザーが困っているときに問題を解決できるECサイトは、顧客満足度はもちろんのこと、CVRも高くなる傾向があります。
問い合わせに丁寧に回答する以外にも、購入後の返品やクレームなどにもしっかり対応しましょう。カスタマーサポートによってユーザーとの信頼関係をうまく構築できれば、継続的なリピーターになってくれる可能性が高くなります。
13. キャンペーンを実施する
クーポンや割引セール、キャッシュバックなどのキャンペーンを実施することで、CVRの改善につながる可能性があります。ほとんどのユーザーは商品を安く買いたいという潜在ニーズがあるためです。
キャンペーンは無計画に実施すると赤字を誘発しますので、できるだけターゲットを絞ってからスポット的に行いましょう。
14. わかりやすい返品保証をつける
返品保証をつけるとショッピングに対する安心感が高まり、CVRの改善につながる可能性があります。ほとんどのユーザーは返品に関してコストをかけたくないのが本音です。できるだけ返品にかかる送料は無料にすることをおすすめします。
ECサイトのCVR改善に役立つツール3選
ECサイトのCVRを改善するには、定期的に自社サイトを分析して課題を把握する必要があります。しかし膨大なアクセス数を日々チェックして、ページごとの問題点を把握するのは簡単ではありません。そのため多くのECサイト運営者が、分析・解析ツールを利用しています。
ここからは、ECサイトのCVRを改善するのに役立つツールをご紹介します。
ECサイトの分析に役立つ解析ツール
ECサイトのCVRを上げるには、サイト分析ツールを活用して、ECサイトのどこに問題があるのか把握する必要があります。Googleの提供する「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」が有名なツールです。
Google Analyticsは、ページの流入元や滞在時間、アクセスページといったユーザーの行動履歴を一元管理できます。無料で高いレベルの分析機能を備えていますので、CVRの改善には必須といってもよいでしょう。
ほかにも、ユーザーが動かしたマウスの動きを色の濃淡で表現する「ヒートマップツール」も有効です。ユーザーが興味関心を持っている部分を視覚的に表示してくれますので、ページの離脱ポイントなどが明確になり、問題点も把握しやすくなります。
ECサイトのセールスに役立つ販売促進ツール
販売促進ツールは、適切なタイミングで商品やサービスのセールスをしたり、クーポンなどのキャンペーン情報を提供したりできるツールです。
「これが欲しい」というタイミングで商品を訴求できますので、ユーザーの興味関心を引きやすくCVRの改善にも役立ちます。顧客情報を管理できるCRM(Customer Relationship Management)や、顧客育成などがしやすくなるMA(Marketing Automation)などが人気です。
顧客満足度の改善に役立つWeb接客ツール
「Web接客ツール」は、ECサイトでも店舗のような接客できるツールです。商品を購入しようか迷っているユーザーに向けてクーポンを配布したり、 サイトから離脱しそうなユーザーに向けてキャンペーン情報を配信したりするなど、顧客との接点を増やす効果があります。
ユーザーの問い合わせに対して適切な答えを返してくれる「チャットボット(chatbot)」も有効です。24時間365日稼働させられますので、うまく顧客対応できるようにチューニングすればオペレータの負担も減らせます。
自然言語処理機能や自動学習機能がもっと発展すれば、より自然な対応が可能となり、顧客満足度にもよい影響を与えるでしょう。
ECサイトのCVR改善にはユーザー目線に立つことが大事
ユーザー目線に立ったECサイトほど、CVRも高くなる傾向があります。特にサイトの構造や商品ページ、支払いページなどは、CVRに大きく影響しますので、ユーザーの使いやすさを第一に考えたECサイトを目指しましょう。
ツールをうまく活用して、ECサイトのCVRを改善してください。
