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ECサイトのメディア化とは?メリット・デメリットと成功事例を紹介

ECサイトにメディアを構築すると、集客や売上アップに役立つことをご存知でしょうか。

経済産業省の「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年の日本のEC市場における物販分野規模は、12兆円を超えて前年比の約2割増加しました。

EC業界の競争が激化する中、広告運用だけでなく、ECメディアの構築で成功した企業もあります。ECメディアは、構築と運営の負担が大きいものの、自然流入が増えれば安定した経営が可能です。

本記事では、EC運営で収益アップを目指す方向けに、ECメディアのメリットとデメリット、方法や成功事例をご紹介します。

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そもそもECメディアとは

真上から見たノートPCと観葉植物

ECメディアとは、ECサイトにWebメディアを合わせた媒体です。インターネット上で商品を販売するECサイトに、記事や映像などのメディアコンテンツを連携させることで、顧客の購買意欲の向上が期待できます。

主に商品を紹介する記事や動画をメディアに掲載することで、まだ購入意思がない潜在顧客層の心にも届く手法として、ECメディアが注目されています。

実際、自社ECを始めたばかりの頃は、集客が安定せず売上が伸びないことが多いでしょう。リスティング広告やディスプレイ広告を打っても、アクセス数を伸ばすまでには時間がかかります。

物販部門のEC規模が拡大する中、競合他社との差別化はEC事業者にとっても大きな課題です。ECサイトに独自のメディアを構築し、単に物を売るだけではなくコンテンツを通して、ブランディングを目指す企業が増えています。

ECサイトのメディアを作る3つのメリット

アプリが並ぶ画面

ECサイトのメディア化で得られる3つのメリットをご紹介します。

  1. SEO効果でサイト訪問者が増える
  2. 顧客信頼度が上がりリピーター獲得につながる
  3. 顧客の商品知識や理解が深まる

1. SEO効果でサイト訪問者が増える

ECメディアを構築すると、Google検索でのSEO効果が高められます。SEOとは、「検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)」の略称です。

インターネットでは特定のキーワードが検索されたとき、Googleに評価された順に記事が表示されます。SEO専門の米SeoClarityの「2021年のCTR調査研究(2021 CTR Research Study)」によると、日本国内向けのGoogle検索で、第1位に表示されるサイトへのクリック率は13.94%、2位のサイトへのクリック率は7.52%でした。

このことから分かるように、Google検索エンジンで評価されると、サイトアクセス数を圧倒的に伸ばせます。つまり、メディアの閲覧数が増えて商品の購入率(コンバージョン)も上がるプラスの連鎖が期待できます。

2. 顧客信頼度が上がってリピーター獲得につながる

ECメディアに良質なコンテンツがあると、それを見た人がサイトに好感を持ち、リピート訪問につながります。

良質なコンテンツとは、販売商品の紹介や詳しい説明など購入判断を促す内容のほか、商品の関連分野の専門知識やノウハウなどが含まれます。読者にとって「買っても失敗しなさそう」という安心感と「知って得する情報」は、ECサイトに対する信頼感につながります。

実際のところ、よく知らないオンラインショップでの初購入は、顧客にとってハードルがとても高いです。商品代金の決済や配送面に不安を感じる人も多く、大手オンラインショッピングモールのように「みんなが使っている」といった安心感もありません。

ECメディアで有益な情報の発信を続けて信頼を得れば、顧客の心理的な購入障壁を低くすることが可能です。

3. 顧客の商品知識や理解が深まる

ECメディアでは、販売商品に関する基礎知識や特徴、使用方法などを発信することで顧客の商品理解が深まるメリットがあります。商品をあまり知らない状態で購入すると、「思ったものと違った」という理由で返品になることが少なくありません。

しかし、メディアで商品を実際に使っている体験談や詳細な商品画像、ビデオコンテンツがあれば、顧客が商品について十分に理解してから購入に踏み切れます。

また、商品の購入を検討して訪れた人以外にも、メディア内で商品の魅力を伝えることが可能です。潜在顧客が知りたい情報も掲載することで、サイトへ興味を持つ人が増えるでしょう。

ECメディアでは、大手ショッピングモールのように商品説明枠に制限が少ないため、カスタマイズ度も高く、デザイン面で他社との差別化がしやすくなります。

ECサイトをメディア化する2つのデメリット

薄暗い部屋でノートPCで作業

ECサイトのメディア化にはメリットだけではありません。2つのデメリットをご紹介します。

  1. SEO効果が現れるまでに時間がかかる
  2. メディア制作担当者の負担が大きい

1. SEO効果が現れるまでに時間がかかる

通常のWebメディアと同様に、ECメディアもGoogleに評価されるまでに時間がかかります。一概には言えませんが、特定のキーワードで上位表示されるまでに最低3か~6か月をみなければなりません。状況によっては検索順位が上位に上がらないこともあります。

ECメディアにSEOを意識したコンテンツを定期的に掲載し続けることが大切です。コンテンツの更新は忍耐のいる作業ではありますが、SEO効果が現れ始めれば、アクセス数を稼ぐ大きな武器となります。そのため、広告運用と並行しながら長期目線でECメディアに取り組むことをおすすめします。

広告運用の方法についてはこちらの記事で解説しています。

【ECサイトの広告8選】効率的に集客&売上アップの課題を解決!

2. メディア制作担当者の負担が大きい

ECメディアを本格的に始動する際には、制作担当者の負担も考慮しなければなりません。SEOが効果を得るには時間がかかりますが、それ以前にメディアを作り上げる工程は多いです。

商品の販売が一番の目的ではありますが、何を目標に誰に向けてどんなコンテンツを発信するのか枠組みを決めなければなりません。枠組みが決まったら、検索順位を意識したコンテンツ作りです。この際にもキーワード選定からコンテンツの構成および内容、作成まですることは多岐にわたります。

普段の業務とは別に、社員が片手間に取り組むことはかなり厳しいでしょう。可能であればメディアの運営には知識のある人を配置し、的確な方法で制作・運用する方針で計画を立てることをおすすめします。

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ECメディアの代表的な種類3つと成功事例を紹介

笑顔でメモを取る人

ECメディアを始めるにあたり、どのような種類があるか成功事例と共に以下の順でご紹介します。

  1. 商品に関する記事コンテンツメディア
  2. 幅広い知識やノウハウ記事を提供するメディア
  3. イーコマースビデオを掲載のメディア

1. 商品に関する記事コンテンツメディア

販売商品に関するグラフィックや知識を提供する記事コンテンツは、典型的なECメディアです。

記事コンテンツには、商品のサイズや素材、使用方法を解説し、顧客が実際に使う様子をイメージしやすくなるような記事コンテンツが多いです。例えば、店舗スタッフが商品を実際に使用したレポート記事があります。アパレルならコーディネイト例、家具や雑貨ならインテリアアレンジの紹介も一般的です。

記事コンテンツメディアの成功事例には、「北欧、暮らしの道具店」があります。雑貨やアパレルを販売する同店は、創業当初大型ECモールに出店していましたが、2011年末に撤退し、自社ECの強化へ大きく転換しました。

2014年頃からECのメディア化に力を入れるため、社内にコンテンツ制作を担う部署を作り、Webメディアとしても大きく成長を果たしています。

2. 幅広い知識やノウハウ記事を提供するメディア

読者が知りたい情報を伝えるコンテンツメディアも、物をネットで売るECとの相性が良いです。検索ニーズに寄り添った情報を掲載しながら、顧客の悩みや課題に応える便利グッズや、質の高い商品の購入へと導くことができるためです。

ノウハウ記事を提供するECメディアの成功事例としては、質の高い石けんの販売を行う「石けん百貨」があります。石けん百貨では、石けんに関する情報サイト「石鹼百科」を立ち上げ、オウンドメディアとして展開しています。

メディア・石鹸百科では、基礎的な知識から石けんの選び方、使い方など発信する情報の幅が広いです。例えば、家庭で「洗う」ことは日常ですが、石けんと洗剤の違いや成分の紹介、また「こんなときどうしたら?」という読者のお悩みにも応えるコンテンツがふんだんに掲載されています。

3. イーコマースビデオを掲載のメディア

ECのメディア展開は、記事コンテンツだけではありません。イーコマースビデオとは、ECサイトに埋め込んだ動画メディアです。販売商品を動画で紹介しながら、使い心地や特徴を簡単に伝えられるメリットがあります。絵や文章ではなかなか伝わりにくい着用感やサイズ感をビデオで解説することで、実物とのギャップを減らし、返品率を下げる効果が望めます。

イーコマースビデオ型の先駆け的存在は、アメリカのショッピングサイト「Zappos」です。もともとシューズのオンラインショップでしたが、試着しながら履き心地やサイズ感を伝えるイーコマースビデオを駆使して、売上を大きく伸ばしました。

手に取ってみないとなかなか購入されにくいシューズの販売において、実際に履いている人の声をビデオで届けることで不安を解消し、購入障壁を低くする効果を得ています。

ECサイトのメディアを構築して集客・売上アップを目指そう

ECメディアは、独自のオンライン販売サイトにおいて、集客と店舗のファンを増やす施策として有効です。
集客については、Google検索結果で上位表示されるかどうかによる部分が大きいため、ECメディアの構築後、効果が現れるまでに数か月を要します。

しかし、一度作っておけば徐々にアクセス数を伸ばし、Googleや読者から価値のあるコンテンツとみなされれば、リピーターを確保することも可能です。このようにECサイトのメディア活用は、集客に役立ち、売上アップにつながります。まだECのメディア化を始めてない方は検討してみてはいかがでしょうか。

ランサーズには、ECサイトの構築・運用やコンテンツマーケティング経験が豊富なフリーランスが登録しています。ECマーケティング施策にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。

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