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ECビジネスモデルを把握しよう!種類や専門用語、必要な業務を解説

市場ニーズの拡大により、EC化を進める企業も多くなりました。自社でEC化を進めるためには、必要なECの業態や業務を把握しておかなければいけません。

本記事では、ECビジネスモデルや市場規模、ECビジネスに関連した専門用語、EC化に必要な業務について解説しています。自社に適切なビジネスモデルを把握し、EC化の成功につなげてください。

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ECとは

プログラミングのアドバイスする人

基本となるECの用語の意味と市場規模を解説します。

ECの言葉の意味

ECとは英語の”electronic commerce”の略で、日本語では「電子商取引」と訳されます。インターネットを通じた売買取引の総称で「eコマース」とも呼ばれています。

インターネットで売買取引ができるサイトをECサイトと呼びます。一般的にはECサイトを通じたネットショッピングがECを指すことが多く、ECサイトはネットショップと同義でもちいられることがほとんどです。

ECの市場規模

経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は19.3兆円で、前年の19.4兆円と比較するとわずか0.43%減と、ほぼ横ばいとなっています。

一方BtoB-EC(企業間の電子商取引)の市場規模を見ると334.9兆円で、前年の353.0兆円と比べて5.1%減と、統計開始以来初の減少となりました。

減少となった理由は新型コロナウイルスの感染症拡大の対策として、外出自粛およびECの利用がすすめられたためです。物販系分野は大きく市場規模が拡大した一方、旅行サービスの縮小にともなってサービス系分野の市場規模が大きく減少したことが背景にあります。

2013年の日本国内のBtoC-EC市場規模は11.2兆円で、市場規模は物販系、サービス系、デジタル分野いずれでも年々増加しています。さらに2020年の日本国内の市場規模自体は減少したものの、企業のEC化率はBtoC-ECで8.08%で前年よりも1.32ポイント増、BtoB-ECは33.5%で前年よりも1.8ポイント増となりました。

今後もECの市場規模の拡大や、EC化する企業は増加していくことが予想されています。

ECサイトの種類

多種多様なスマートフォン

インターネット上で売買取引を行うECサイトは、大きく分けて以下の2種類があります。

  1. モール型ECサイト
  2. 自社ECサイト

それぞれの特徴や具体的なサイトの種類について解説します。

1. モール型ECサイト

モール型ECサイトとは、ひとつのサイトの中に複数のECサイトが集まっている形態のECさいとです。モールの中に自社のECサイトを持つことになるため、ECサイトを「出店する」形となります。

代表的なモール型ECサイトは以下の通りです。

  • Amazon
  • 楽天市場
  • Yahoo!ショッピング
  • PayPayモール

2. 自社ECサイト

自社ECサイトとは、自社で構築したECサイトです。構築方法やプラットフォームによって、以下の5種類があります。

  1. ショッピングカートASP
  2. ECパッケージ
  3. クラウドEC
  4. オープンソース
  5. フルスクラッチ

1. ショッピングカートASP

ショッピングカートASPとは、クラウド上でECサイトを開業できるサービスです。ECカートサービス、ECプラットフォームサービスとも呼ばれています。使える機能や容量に応じて月々の利用料やプラン使用料を支払います。ShopifyやBASE、MakeShopなどが代表的なショッピングカートASPです。

2. ECパッケージ

ECパッケージはECサイト構築の機能がそろったソフトウェアを購入し、ECサイトを構築する方法です。サイト構築の費用がややかかりますが、大規模なECサイトでも比較的スムーズに構築できるでしょう。

3. クラウドEC

クラウドECは、クラウド上でECサイトを構築するサービスです。ショッピングカートASPのプラットフォームで、ECパッケージを使ってECサイトを構築するイメージと考えればよいでしょう。サイトのデザインや機能など、ある程度カスタマイズもできます。

4. オープンソース

オープンソースとは、インターネット上で公開されているオープンソースを使ってECサイトを構築する方法です。代表的なオープンソースにWordPressがあります。ECサイト構築のコストをおさえられますがおさえられますが、ECサイト構築の知識やスキルが必要です。

5. フルスクラッチ

フルスクラッチは、制作会社などに0からECサイトの開発から構築までを依頼する方法です。ECサイトの構築方法の中ではもっとも納期と費用がかかりますが、オリジナリティのあるECサイトが作れます。

ECの代表的な5つのビジネスモデル

同じ卓を囲んでネットを楽しむ人々

ECには代表的なビジネスモデルとして以下の5つがあります。

  1. BtoB
  2. BtoC
  3. CtoC
  4. CtoB
  5. DtoC

1. BtoB

BtoBとは企業や法人同士の電子商取引を指します。代表的なBtoBのビジネスモデルは以下のものがあります。

  • メーカーと卸売業
  • 卸売業と小売業・飲食業
  • 広告業とサービス業
  • 不動産業と建設業
  • 本部と支店

企業と法人同士の取引のほか、本部と支店など同社間での取引もBtoBに含まれます。具体例は以下の通りです。

  1. Web受注型
  2. Web発注型
  3. 同社内システム

Web受注型

Web受注型は自社の商品やサービスをインターネットを通じて、顧客が注文や購入をするシステムです。すでに取引のある特定の企業や法人間の取引のほか、不特定多数の企業や法人を対象にしたECサイトも含まれます。

Web発注型

Web発注型は、卸売業やメーカーに対する注文をインターネットを通じて行うシステムです。

同社内システム

同社内システムは、同じ社内で受発注に使用するシステムを指します。例えば本社が支店で必要な部材などをまとめて購入する場合、支店から本社へ発注するときに使用するシステムが同社内システムに該当します。

BtoBは、ほかのECビジネスモデルと比較して以下の独自機能が必要です。

売り手側に必要な機能買い手側に必要な機能
・取引先別価格機能
・最低ロットと注文金額の設定
・与信取引機能
・荷姿の選択
・社内の基幹システムと連携可能な設定
・ID構造
・自動見積書作成
・リピート機能
・複数商品の投入
・承認フロー機能

BtoBの場合、取引先によって商品の価格や注文数などが異なります。さらに、ECサイトの決済に売掛・買掛での取引に対応した機能が必要です。発注前に予算を確認したいときの見積書の作成も求められます。

同じ商品、複数商品を定期的に購入する取引先も多いため、買い手側が使用する機能にも、リピート機能などの独自のものが求められます。ECサイト上での発注確定や決済時に上長の承認が得られるフローもシステムに入れておくと、スムーズな取引が実現するでしょう。

2. BtoC

BtoCとは企業や法人が消費者に対して行う電子商取引です。一般的なECサイトやネットショッピングは、BtoCを指すことが多くなっています。

3. CtoC

CtoCとは消費者対消費者のインターネット上の売買取引を指します。CtoC ECの代表例は以下の通りです。

  • メルカリ
  • フリル(旧楽天フリマ)
  • minne
  • ヤフオク!(旧Yahoo!オークション)

インターネットやモバイルデバイスの普及にともなって、CtoCの市場規模も拡大傾向にあります。経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2020年の日本国内のCtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、1兆9,586億円(前年比で12.5%増)となりました。

新型コロナウイルス感染症拡大の対策として外出自粛が行われた結果、BtoBやBtoCECの利用が拡大してCtoCの市場規模も拡大したとみられています。

4. CtoB

CtoBとは消費者(個人)が企業に対して商品やサービスを提供する売買取引です。個人事業主であるフリーランスが企業から仕事を依頼され、請け負うなどは、CtoBにあたります。例えば「ランサーズ」は、CtoB ECサイトの代表例です。

5. DtoC

DtoCとは”Direct to Consumer”の略で、メーカーやブランドが中間に事業者を通さず直接消費者と売買取引を行うビジネスモデルです。ECサイトを通じてなら、自社で製造や企画をした商品を中間に事業者を通さず消費者へ直接届けられます。

メーカーやブランドからの直販売は企業側の利益率が上がるほか、顧客所方法を取り入れることでマーケティングにも活用できるなどのメリットがあります。

ただし、販売や在庫管理などの負担が増えるデメリットへの対策が必要です。在庫やデータの管理機能がそなわったECサイトを活用すればデメリットも解消できるため、DtoCが拡大傾向にあります。なお、DtoCとBtoBの併用も可能です。

ECビジネスの専門用語を解説

薄型ノートPCの上に置かれた眼鏡

ECビジネスの専門用語には、以下のものがあります。

  1. OtoO
  2. オムニチャネル
  3. OMO
  4. 越境EC

それぞれの意味や概要を解説します。

1. OtoO

OtoOとは”Online to Offline”(または”Offline to Online”)の略です。オンラインで取得したものをオフラインで活用する、またはその逆を指します。

OtoOの主な事例には以下のものがあります。

  • メールで取得したクーポンを実店舗で使用する
  • 予約サイトで獲得したポイントを実店舗の支払いに使用する
  • チラシに記載されているQRコードからECサイトにアクセスする
  • 紙の発注書を反映させてオンライン上で発注する

2. オムニチャネル

オムニチャネルとは、企業と消費者の接点や販売経路(チャネル)を統合することです。主なオムニチャネルの事例には以下のものがあります。

  • 実店舗とECサイトのポイント統合
  • ECサイトで注文した商品を実店舗で受け取る
  • 実店舗で試着した商品をECサイトから注文する
  • SNSで紹介した商品をECサイトから購入する

オムニチャネルと似た、以下の用語もあります。

  • マルチチャネル
  • クロスチャネル

マルチチャネルとは、企業と消費者の接点や販売経路を増やすことです。実店舗に加えてECサイトを持つなどが該当します。クロスチャネルとは、マルチチャネルで新たに設置したチャネル同士を連携させることです。実店舗とECサイトのポイントを統合するなどが、あたります。

3. OMO

OMOとは”Online Merges with Offline”の略です。消費者がチャネルの違いを意識せずに購入体験ができる仕組みを構築する考えを指します。

オムニチャネルが消費者の購買行動を指すのに対して、OMOは消費者の購買を含めたあらゆる行動である顧客体験(UX:ユーザー・エクスペリエンス)を指しているという違いがあります。

4. 越境EC

越境ECとは、日本国内ではなく海外に向けた電子商取引全般を指します。多言語に翻訳、多通貨対応と海外の消費者をターゲットにしたECサイトは、越境ECサイトと呼ばれます。

ECビジネスに必要な業務

ノートPCで業務をこなす人

ECビジネスで発生する業務は大きく分けて以下のふたつです。

  1. フロント業務
  2. バックエンド業務

それぞれの具体的な業務内容について解説します。

1. フロント業務

フロント業務とは、ECビジネスでの売買取引成立へつなげるさまざまな施策のことです。以下がフロント業務にあたります。

  • デザイン制作
  • ECサイトの改善
  • 広告
  • SEO対策
  • 商品や販売施策、分析

2. バックエンド業務

バックエンド業務とはECビジネスの表には出てこない業務です。以下がバックエンド業務にあたります。

  • 受発注
  • ささげ(撮影、採寸、原稿)業務
  • 梱包や発送
  • 売上報告
  • 課題の分析
  • 問い合わせやクレーム、返品対応
  • 在庫管理
  • 顧客データ管理
  • 取引先との交渉

ECビジネス業務を効率よく進めるには

ECビジネスを開業するには、ECサイトやシステムの構築、その後も多くの業務が発生します。業務の負担が多く人的なリソースが不足する、ほかの業務に手が回らないということもあるでしょう。自社内でECビジネス業務をすべて行うのが難しいときは、外注をする選択肢もあります。

ECビジネスの業務は、フリーランスへ依頼できます。必要な依頼内容に応じてスポットで依頼が可能です。ECビジネス開業や運営のリソースが不足しているときはもちろん、スムーズな開業にも活用できます。

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ECの概要やECサイトの種類、ECのビジネスモデルや専門用語、ECサイト解説や運営に必要な業務を解説しました。EC市場は拡大傾向にあり、企業のEC化も増加傾向にあります。

ECのビジネスモデルはいろいろな種類があるため、自社やECサイト開設の目的にあったモデルを選びましょう。ECサイト構築や運営に必要な業務内容を把握すれば、スムーズなECビジネスの開業にもつながります。

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