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ネットショップの5つの送料パターンと具体的な送料の決め方を解説

ネットショップの開設時に送料の決め方について悩む方は多いのではないでしょうか。送料は商品購入を決める重要なポイントとなっており、設定する送料次第でネットショップの収益を大きく左右します。

本記事ではネットショップの5つの送料パターンと具体的な送料の決め方、少しでも送料を抑える方法をまとめて紹介していきます。最後まで読むと適切な送料設定ができるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

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ネットショップの送料設定が重要な理由

ネットショップの配送

ネットショップでは収益を確保しながらも、顧客が納得できる送料設定が欠かせません。

Baymard Institute社が実施した「ユーザーがカートを放棄する理由」によると、顧客がチェックアウト中に購入を放棄をする原因として、送料や手数料などの追加料金が高いことが1位に挙げられています。

下表は、顧客がECサイトのチェックアウト中に商品購入を放棄をする理由を調査したものです。予想外の送料がかご落ちの大きな原因となり、売上やネットショップの信頼性の低下につながってしまうのです。

チェックアウト中の放棄の理由

次の章では、ネットショップが適切な送料を設定するための5つのパターンを詳しく解説していきます。

ネットショップの送料設定の5つのパターン

カートと商品
ネットショップの送料には、次の5つのパターンがあります。

  1. 全国一律で送料を固定する
  2. 全国一律で送料無料にする
  3. 一定額以上の注文で送料無料にする
  4. 地域ごとに送料を設定する
  5. 梱包サイズや配送方法ごとに送料を設定する

送料のパターンにより特徴や向いているケースが異なるため、自社のネットショップに合うパターンを見つけてみてください。

1. 全国一律で送料を固定する

顧客が納得感を得やすい送料設定に、全国一律で送料を固定する方法があります。

例えば、全国一律500円の送料に固定してあらかじめ提示すると、顧客が把握しやすく購入画面に進んだときに「思ったよりも送料が高い」という不満を抱きにくくなるでしょう。

通常の送料設定では本州より沖縄県や北海道などの遠方地域が高くなりますが、一律設定にすることで遠方顧客の負担を減らし利用しやすくなるところもメリットです。

ただし、送料を全国一律で固定するときにはネットショップ側が収益を確保できるように、適切な送料設定をする必要があります。

2. 全国一律で送料無料にする

顧客が最もお得に感じるのは、商品の購入金額や購入頻度を問わず送料が無料であることです。類似商品を扱っているネットショップがある場合には、送料を無料にすることで差別化ができ購入促進ができるでしょう。

ただし、全国一律で送料無料する際はネットショップ側が配送コストや人件費を持つことになるため、あらかじめ販売商品に料金を上乗せするなどの戦略が欠かせません。

3. 一定額以上の注文で送料無料にする

顧客の購入価格を問わず全国一律送料無料にすると、ネットショップ側の収益確保が難しくなるケースがあります。

例えば、500円以下の安価な商品を扱っている場合には、1つの商品注文のみで送料無料にしてしまうと収益が極端に減ります。このような運営を続けてしまうと、ネットショップの利益が確保できません。

ネットショップ側の収益を確保しつつ顧客側にお得感を与えたいときには、一定額以上の商品購入で送料無料にする方法があります。

収益分岐点となる金額を設定し3,000円以上なら送料無料、5,000円以上なら送料無料と一定額以上を送料無料にすることで、ネットショップ額の収益を確保することが可能です。

また、顧客側は送料無料になる金額まで購入したほうがお得だなと感じるようになるため、客単価のアップや全体の売上アップも見込めます。

4. 地域ごとに送料を設定する

ネットショップの送料は、配送元と配送先の距離により大きく異なります。例えば、首都圏にあるネットショップから60サイズの商品を配送すると、地域により下記のような料金差が生まれます。

配送地域送料
北海道1,370円
関東地方930円
中部地方930円
関西地方1,040円
四国地方1,150円
中国地方1,150円
九州地方1,370円
沖縄1,370円

関東地域は930円で配送できますが、沖縄県や北海道は1,370円かかります。配送先によって最大440円もの差があるため、あらかじめ理解をして送料を設定しないとネットショップ側の負担が大きくなるのです。

地域による送料差を考慮して、地域ごとに個別の送料設定をしているネットショップもあります。大型家具や電化製品など梱包サイズが大きく送料が高い商品を扱っている場合は、全国一律の送料設定にすると送料負担が大きいです。

ネットショップの収益が減るリスクを回避するために、エリアごとに妥当な送料を設定するのも一つの方法だと言えるでしょう。

5. 梱包サイズや配送方法ごとに送料を設定する

ネットショップの送料は配送先だけでなく、梱包サイズや配送方法によっても差が生まれます。例えば、クロネコヤマトでは梱包サイズや配送方法により、下記のような料金差があります。

サイズ首都圏エリアから同エリア内に商品を配送するときの料金
60サイズ(60cm以内・2kgまで)930円
80サイズ(80cm以内・5kgまで)1,150円
100サイズ(100cm以内・10kgまで)1,390円
120サイズ(120cm以内・15kgまで)1,610円
宅急便コンパクト610円

宅急便の120サイズと宅急便コンパクトでは、1,000円もの料金差があることがわかります。郵便局や他の運送業者の配送方法も含めると、配送方法による差はより大きくなるでしょう。

そのため、大型家具からアクセサリーまで多様な商品を扱うネットショップや梱包サイズの差が生まれる商品を扱うネットショップでは、地域や購入額により一律の送料設定をするとネットショップ側に負担がかかります。

購入商品の梱包サイズにより送料を個別に設定する、複数の梱包方法から選択してもらうというのも一つの方法です。

ネットショップの送料を決め方

ネットショップで買い物
ネットショップの送料のパターンが把握できたところで、具体的な送料の決め方が気になる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、送料パターンに応じた送料の決め方を解説していきます。具体的な送料設定の方法として、ぜひ参考にしてみてください。

全国一律で料金設定をするときは送料の平均額を参考にする

全国一律で送料を設定する際には、ネットショップの周辺地域の送料のみを参考にするとネットショップ側の負担が大きくなる可能性があります。

先ほども述べたように、発送元から配送先の距離に応じて送料が異なるからです。ネットショップ側が損をしないように全国の送料の平均+梱包資材費+人件費で算出するといいでしょう。

例えば、同一の梱包サイズで送料を調べたところ、下記のような料金差が生まれたとします。

配送地域同一の梱包サイズでの送料
北海道・沖縄県・九州地方1,370円
関東地方・中部地方930円
関西地方1,040円
四国地方・中国地方1,150円

送料の平均は約1,122円となるので、ここに梱包資材費と人件費を含めた価格を設定すればネットショップ側の負担が軽減できます。

ネットショップ側の負担が大きいと商品が売れても収益が残りにくくなるため、送料を一律にしても収益を確保できるか考えながら妥当な送料を設定しましょう。

全国一律で送料無料にしたい場合は利幅を知る

全国一律で送料無料にするときは、ネットショップ側の収益が確保できる工夫が必要です。

何も考えないで全国一律送料無料にすると、ネットショップ側が送料や梱包資材費などを負担することになります。これでは商品が売れても手元に残る収益が減ってしまい、長期的に見ると大きな収益減につながるでしょう。

一定の収益を確保しながら全国一律送料無料を実現するには利幅を知り、商品の価格を調整することが大切です。例えば、利益率が30%以上あれば収益が確保できる商品を扱っているとします。

全国一律で送料無料にした際に商品価格の5%の送料、梱包コスト負担があると、利益率は25%まで低下してしまうのです。利益率を30%まで回復させるには、あらかじめ商品の価格を調整する必要があります。

このように、全国一律で送料無料に設定するときには、あらかじめ戦略的に価格を設定しネットショップ側の収益が確保できる仕組みを作らなければなりません。

地域ごとに送料を設定する場合は遠方顧客の負担を減らす

ネットショップの送料は配送先の地域により異なるため、あらかじめ地域ごとに適切な送料を設定することはネットショップ側のリスク回避となります。

例えば、遠方の顧客からの注文が続いたときに、送料無料や送料一律ではネットショップ側の負担が大きくなるでしょう。地域に合わせた送料であれば、遠方に済む顧客の利用が増えてもネットショップ側の負担は変わりません。

ただし、ネットショップを利用する顧客側から見ると、送料が割高となる地域の顧客は利用しにくくなります。遠方顧客をターゲットとして含めない場合はいいですが、日本全国の顧客に利用して欲しいときには収益の減少につながるかもしれません。

そのため、地域ごとに異なる送料設定をするなら、下記のような配慮が必要でしょう。

  • 遠方地域の送料が高くなってしまう理由を説明する
  • 送料が高いエリアの顧客にはクーポン配布などのプラスアルファとなるサービスを提供する

ネットショップ送料の相場

配送トラック
ネットショップの送料に、明確な相場はありません。ここまで述べてきたように、ネットショップの規模や扱い商品に応じて収益を確保しながら適切な送料を設定する必要があるからです。

適切な送料はネットショップの規模や商品のサイズ、配送地域により左右されるため、ネットショップ業界全体で統一することはできません。

参考までに、国内の大型ネットショップは下記のような送料設定をしています。

国内の大型ネットショップ送料
Amazon・合計額が2,000円(税込)以上で送料無料
・2,000円未満の場合は送料410円(税込)
(北海道・九州・沖縄・離島は450円(税込))
・一部商品は送料100円(税込)のメール便対応
・Amazonプライム会員は送料無料
楽天市場・39ショップ対応店舗は合計額が3,980円(税込)以上で送料無料
(沖縄・離島・一部地域への配送は、9,800円(税込)以上で送料無料)
・39ショップ対応店舗以外は個別設定
Yahoo!ショッピング店舗ごとに個別設定
ZOZOTOWN・通常配送は全国一律210円(税込)
・即日配送は全国一律560円(税込)
LOHACO・合計額が3,300円(税込)以上で送料無料
・3,300円未満は全国一律220円(税込)
(沖縄のみ送料330円(税込))
ベルメゾン・全国一律490円(税込)
・クール便は別途300円(税込)が必要
・送料無料の商品を一部取り扱いしている

国内の大型ネットショップを見ても、取り扱い商品やネットショップの規模に応じた送料設定をしていることが分かります。

地域に応じた送料設定や購入金額に応じた送料無料設定などの戦略が目立つので、参考にしてみてください。

ネットショップの送料を少しでも安く抑える3つの方法

商品の配送にかかる送料を少しでも抑えることができれば、ネットショップのコスト負担が軽減できます。そこで最後に、ネットショップの送料を少しでも安く抑える下記の3つの方法をご紹介します。

  1. 運送業者と個別契約をする
  2. 必要最低限の梱包にする
  3. 配送地域やサイズに応じて最適な運送業者を選定する

ネットショップの収益アップや送料引き下げにつながる対策が検討できるので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 運送業者と個別契約をする

ネットショップの配送を依頼する際に、毎回個人で営業所やコンビニに持ち込むと労力とコストがかかります。国内の主要な運送業者は法人、個人問わず個別契約に対応しているので、契約を検討してみるといいでしょう。

運送会社と個別契約をすると、下記のようなメリットがあります。

  • 指定の場所まで集荷に来てもらえる
  • 梱包資材が割引、または無料で提供してもらえる
  • 1日当たりの集荷数に応じて送料の割引が受けられる可能性がある
  • 代引きの対応を依頼できる

運送業者との契約内容によっては、送料の割引が受けられるでしょう。また、梱包資材の割引や提供を受けられることもあり、配送にかかるコストが抑えられるようになります。

運送業者との個別契約は、最寄りの運送業者に問い合わせをして見積書や契約内容を確認するところから始めてみましょう。

2. 必要最低限の梱包にする

ネットショップの送料を抑えたいときに、見落としがちなのが梱包資材です。過剰な梱包をしていると梱包サイズが大きくなり、送料がかかります。

例えば、同一エリア内のクロネコヤマトの送料は、60サイズ(60cm以内・2kgまで)は630円、80サイズ(80cm以内・5kgまで)は1,150円です。

簡易梱包にして80サイズから60サイズにできれば、1配送当たり520円も送料が抑えられます。現在検討している梱包が本当に最適な方法かを見直すだけでも、送料が抑えられるでしょう。

また、梱包資材に費用をかけていると配送全体にかかるコストが高騰します。1商品当たりの梱包に33円かかっている場合には、安価な梱包資材を探して1商品当たり20円に抑えると配送にかかるコストを削減することが可能です。

3. 配送地域やサイズに応じて最適な運送業者を選定する

少し手間はかかりますが、配送地域やサイズに応じて適切な運送会社を使い分けるのも一つの方法です。日本国内にはさまざまな運送業者がありますが、業者によってサービス内容や料金が異なります。

商品に応じてその都度最適な配送方法を選べば、送料を抑えられるようになるでしょう。例えば、東京都から都内に80サイズの商品を配送する際に、運送業者によって下記のように送料が異なります。

運送業者東京都から東京都に80サイズの商品を配送する場合の送料
クロネコヤマト1,150円
佐川急便1,045円
日本郵便1,030円

この場合は、日本郵便を選べば送料を安く抑えることが可能です。このように、商品サイズや配送地域に応じて柔軟に配送業者を変えれば送料が抑えられるでしょう。

ネットショップの送料は収益を左右する重要なポイント

ネットショップは、送料設定が収益を左右する大きな鍵となります。顧客は妥当な送料でないと負担を感じるため、商品購入につながる妥当な送料設定が必要です。

また、ネットショップから見ると送料の過度なサービスは収益の減少につながるため、しっかりと収益を確保できる仕組みを整える必要があるでしょう。

今回ご紹介したネットショップの送料のパターンや送料の決め方を参考に、商品やネットショップの規模に応じた送料設定をしてみてください。

デザイン・開発・動画編集・SNS運用など、経験豊富なプロにカンタン依頼